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トアル最強ノ剣士ノ話

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廣岡光星は剣の達人である。
道場の一人息子として生まれて、未踏の高校剣道全国大会三連覇を達成した。
性格は少し鈍感だが優しさと正義感がある普通の高校生。そんな彼が今、相対するのは絶世の美女である。


「…ここは?」
「私の名前はアルルルーシア、運命の女神です」
言葉が通じないレベルでキャッチボールされていない。そして、運命の女神だって?
頭が痛い。俺はなぜここにいるんだ?
思い出せ。
思い出せ。
たしか、さっきまで俺は。
「そうだ!女の子!俺は女の子を助けようと…」
アルルルーシアは正に女神のような笑顔で優しく微笑む。まるで我が子を見る母のように。
「そうです、貴方は子供を庇いトラックに跳ねられました」
そうだ、衝撃と痛み。流れる血。俺の意識はそこで消えた。
信じられないが、ここが死後の世界ということか?
「すると、あんたは閻魔大王みたいなものか?」
少し女神さまの笑顔が歪んだような、ムッとしたような気がした。
「違います。私は運命の女神。貴方と世界の運命を変えるためにこうして貴方を喚んだのです」
「俺と世界を、変える?」
「そうです。貴方はこれから異世界へと行って貰います」
そうか!これはよくアニメである別の世界に行くやつか。本当にある話なんだな。まあ、どう見てもこの部屋は現代科学を越えているし、ちょっと信じられる話だな。
部屋には無数の本が無重力の様に浮かんで漂っており、それを避けるように魚が宙を泳いでいた。
「俺が世界を救う……やってやるぜ!!」
女神は再び慈愛に満ちた笑顔で微笑んだ。
「どうかこの者に加護を…」
そこで光星の意識は再び闇へと沈んだ。



「……」
鳥の鳴き声が聞こえる。土の匂いがする。
光星が恐る恐る目を開くとそこは森の中のようだ。
「ここが異世界か。一見ただの森だな」
周囲を見渡して獲物を探す。幸いにも森なのですぐに見つかった。
「うん、ちょうどいい!」
木の枝で素振りをしてみる。固さも樫くらいはありそうだ。
ん、頭の中でウインドウが開くぞ

ステータス
レベル99
HP  904
MP  12
ちから 855
まもり 946
素早さ 999
じゅもん なし

おお、最初から最強だ!これなら仲間を集めれば魔王にも勝てるのかもな。ツンデレな魔法使いに清楚な僧侶、堅物の武道家、こんな感じかな。

「グルルル…」
唸り声が背後から聞こえる。
「誰だっ!」
光星は振り向くと共に距離を取る。警戒していることとリーチのある武器を持っている以上離れた方が有利と考えたからだ。
「グルルル…」
「…えっ?」
そのおどろおどろしい唸り声の持ち主は、裏腹に可愛らしいデザインの水滴のような奴だった。
「スライムか?」
俺はため息と共に頭に浮かんだ技名を叫ぶ、HP が消費されたような気がして身体は勝手に動いた。
「煉獄疾風閃!!」
木の棒は炎の刃を纏い高速での五連撃がスライムに命中する!!


ミス、ダメージをあたえられない。

スライムに1のダメージ。

ミス、ダメージをあたえられない。

ミス、ダメージをあたえられない。

かいしんの一撃!スライムに1のダメージ!!


……あれ?効いてない?
「そうか!」
相手が液体だから物理ダメージが通らないのか!まずいぞ、俺は魔法なんて使えない。
「誰か!誰かいないかー!!」
俺は叫んだ、このままではいきなりスライムに負けるというかなり恥ずかしい結末で終わってしまう。
「幻惑天空落とし!!」
混乱のステータス異常付きの斬撃だ!

ミス、ダメージをあたえられない。スライムはこんらんした。

よし、時間は稼げそうだ。誰か来てくれ!

「あれれ、珍しい服を着ている人ですねえ」
ボインなお姉さんがあらわれた。
服装は、正に魔法使いだ!
「助かった!お姉さん、魔法を使えますか?」
「はいはい~、お姉さんは魔法使いさんなのでもちろん使えますよ~、でも」
お姉さんは少し困った顔をする
「でも?」
「私は攻撃魔法専門なんです、治癒とかできませんよ~」
「怪我なんてしていません!そこのスライムに魔法をお願いします」
お姉さんはさらにポカンとする。
「スライムに、攻撃魔法?」
「ええ、そこのスライムには物理攻撃が効かないんです!」
「うーん、えい!」
お姉さんは首をかしげると、杖でぽこりとスライムをたたいた。

村娘Aのこうげき!
スライムに255のダメージ、スライムはたおれた!

光星は484418953のけいけんを手にいれた。
光星はレベルが上がった
HPが6増えた、ちからが2増えた、まもりが1増えた、素早さが3増えた

「え?」
「あはは、君は首都の方から来たのかな~?ここら辺は魔王軍が来るからモンスターも強いのよ~」
ここで、光星は頭の中のウインドウを再び開く

村娘A
LV 580004391
HP 4711453899
MP 66801432913
ちから 1745455339
まもり 7593515377
素早さ 2032215661
せつめい 村の名前を教えてくれる娘、たまに森に出掛けていていないぞ。

「全然カンストしてない…」

彼はその後、最もレベルの低い首都でも兵士としてのステータスが不足していることを知り、村娘Aに養われつつ、冒険者達に武器の装備の大切さを説きながら、ささやかな、そして人並みに幸せな人生を過ごしたという。
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