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戦士:秋宮魁斗

アレクVS上位魔獣

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初めて見る上位魔獣。
真っ先に感じたのは、恐怖だった。

怖い。戦えば完全に殺される。
みんな同じことを思ったのだろう。言われた通りに全力で走った。

魔獣は遠くから見れば、ただの茶色い土の山にしか見えない。
だがよく見れば、目だけ黄色く光り両手両足がある。うめき声も上げているようだ。

「やれやれ、上位魔獣と戦闘になるなんてな。1人でどこまでできるか。」

アレクの構えに隙がない。間違いなく本気だ。
タンッと魔獣の顔まで一足で飛び上がる。

「中位魔法:【炎閃暁】!」

魔獣の顔をものすごい炎が包む。呪文は同じだが、正直アルフレッドとは威力が桁違いだ。
使う人でここまで別物になるのか。
心なしか、アルフレッドは悔しそうな顔をしている。

上位魔獣は、無傷だった。

「この程度じゃ通用しないか..」

アレクが苦戦を強いられているのが伝わってくる。
あの威力で全くの無傷かよ。化け物め。

逃げることに必死だったが、気づけば逃げる先にもゴロゴロと下位魔獣が現れていた。

どうにか突破するしかない。

「下位魔法:【小雷】!やるしかねぇな!」

ミゲルも戦闘態勢に入っている。アリサもすでに弓を構えている。
このメンバーなら、中位魔獣くらいならば突破できるだろう。

「行くぞエヴァ!」

「はい、兄さま!」

アクオール兄妹の流れるような連携。2人にしかできない攻撃だろう。
速すぎて目が追い付かない。
あっという間に下位魔獣10体ほどは倒しただろうか。

逃げる先には下位魔獣しか現れていないため、アレクとはかなり距離が離れただろう。
このまま走り抜ければきっと助かるはずだ。

まぁ、俺とアイネはおろおろするばかりで何もできていないのだが。
クローカーも無言で走るだけで戦おうとはしていない。

10分ほど走っただろうか。もうかなり遠くに来た。おそらく助かるだろう。

ドカンと、真後ろに何かが落ちてくる音がした。

紛れもなく、それはアレクだった。

うそ、だろ?
アレクが負けたのか?

「も、もっと遠くにだ!はぁ、早くしろ!」

ボロボロになったアレクの姿が見えた。

やばいやばいやばい。
中位魔獣とはあまりにも格が違う。

走る速度を上げる。が、すでに上位魔獣に追いつかれていた。
魔獣のでかい手がこちらに襲い掛かってくる。

「あぁ!くぁあぁあ!」

アイネだ!逃げ遅れたアイネが魔獣の手につかまっている。
今にも握りつぶされそうになっている。

「中位魔法:【エンロード】」

「下位魔法:【小氷】」

アダンとアリサの攻撃は全く通用していないようだ。
アレクも立ち上がることが出来ない。

「うぁあっぁ!」

くそっなんで何もできない!
アイネが死ぬ。

ボトッと、地面に落ちた手。

「わりーな遅くなって。全員無事か?」

揺れる金髪。
立っていたのはウーラだった。

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