上 下
129 / 155

救助隊2-クロード-

しおりを挟む
俺達や他の騎士団は内部に入り、

子供を救助隊する。

救助隊が来てから2時間。

参加チーム14チーム中9チームは保護した。

スタッフも2名を除き保護が完了した。

蔦でぐるぐる巻きにされていた子もいたが、気絶していたようで、激しく締め付けられていなかった為、被害もなく助ける事ができた。

どちらかと言うと、暴れまわった大人の方が締め付けられて被害が甚大だった。


子供達は、剣術大会に出るだけあり、自ら身を守り、蔦の葉が茂りにくい暖炉の中やタンスの中に隠れていた。

被害はほぼ無かったが、泣きじゃくり、かなり衰弱していた。


マリーベルの事を思うととても胸が締め付けられる。泣いてないだろうか、まだ6歳だ。

子供達の証言によると、

自分達は不穏な感じにビビってかなりゆっくり進んでいたが、

マリーベル達や毎回ベスト5に入る5チームは競って奥に向かって進んでいったと言う。

シリルの弟のベリルは温室を目指していたと言う。

温室まで来たが、マリーベル達は居なかった。

移動したのか?

グルグル巻きになった蔦を解いても、

切り刻まれた魔物だった。

辺りには薪の様に縛られた蔦が袋に入れて、置いてあった。

シリルは

「魔物に詳しい子がいるのか?こうする事で、切った蔦が育ちにくくするんだ。

さし木の様に生えてこない様にしてるんだよ。

コレだけの量を燃やせば火事になるかもしれないから、袋に入れてるんだ。」


茂った蔦は連続的な攻撃もあり、建物の5割程度減らすことができた。

後は根っこが生えている地下部分と。3階だ。

3階に繋ぐ幹部分が何処にあるのか未だ分からない。

シリルが言うには、それが最短に見えるが、トラップらしい。

根と上を繋ぐ本幹部分には魔物の意志が強くあるらしく手をつけない方がいいと言う。

理由は、怒ったピンギュラが一気に蔦を茂らすことがあるらしい。

先ずは花を切り、魔法が使えるようにして戦うのが、先決らしい。

花を咲かせるには、2週間かかるそうだ。

シリル達は凄かった。

蜂の巣が有り、群れで襲ってきても、

鎌をブーメランの様にして、沢山の蜂の羽を一度に切った。

そこへスコップ部隊が的確に致命傷を与えた。


通常ならかなり苦戦しているが、一瞬だった。

そして、無駄な戦闘は一切しない。

カタツムリや幼虫の様な青虫、根切虫の魔物が出た時、第二騎士団は戦闘モードで掛かろうとした。

シリルは

「止めろ!アイツは、ピンギュラの天敵で、根や葉を好んで食べる。

アイツらは毒で、自分を攻撃する植物を弱らせてから食べてるんだ。

アイツらが居るから

ここの蔦は、元気がない。

だから、蔦の攻撃がない。」



俺たちは3階部分に到達して休憩した。

シリルは、

「ベリル大丈夫かな。結構時間がたってしまったな。」

「俺の妹も何もなければいいが、他の子達の様に泣いてないだろうか。

魔法が使えないから、魔物に怯えてなければいいが。心配だ。」


その最中、

「クロード隊長、本部から我々の近くで狼煙が上がっていると知らせが届きました。」

「何んだと!」

俺たちは、慌てて付近を捜索する。

その時だった。



すると、向こうからデッカい豚が猛突進して来る。

その豚を、小さな女の子が

包丁を二刀流にして襲いかかる。蔦を後ろで謎の武器で切り刻み援護する男の子。

そして、包丁で豚を素早く捌いた。

男の子は、

「マリーベル!お見事だ。そして、見事な捌きっぷりだ!
コイツを早速、焼いて皆んなで食べよう!」

マリーベルだった。

魔物に怯えて泣くどころか、自ら魔物を食べようと襲い掛かり、涙ではなく、涎を拭いていた。


俺たち騎士団はその光景を唖然と見ていた。


シリルは、


「クロード。お前の妹は、泣くどころか、弱肉強食の強者の様に見えるが気のせいかな。」

・・・。マリーベルは、俺達に気が付かず捌いた肉だけを見て嬉しそうに

「塩焼きにする?醤油ダレする?あっ!焼肉のタレもこんな時の為にリュックに忍び込ませてあるんだ!ネギと胡麻油がないのが残念だね。」

とブツブツと言っている。

男の子は俺たちに気がつき、マリーベルを見たり俺たちを見たり、忙しそうだった。















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。

風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。 ※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。

乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる

レラン
恋愛
 前世でプレーした。乙女ゲーム内に召喚転生させられた主人公。  すでに危機的状況の悪役令嬢に転生してしまい、ゲームに関わらないようにしていると、まさかのチート発覚!?  私は平穏な暮らしを求めただけだっだのに‥‥ふふふ‥‥‥チートがあるなら最大限活用してやる!!  そう意気込みのやりたい放題の、元悪役令嬢の日常。 ⚠︎語彙力崩壊してます⚠︎ ⚠︎誤字多発です⚠︎ ⚠︎話の内容が薄っぺらです⚠︎ ⚠︎ざまぁは、結構後になってしまいます⚠︎

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

そして乙女ゲームは始まらなかった

お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。 一体私は何をしたらいいのでしょうか?

婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな

朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。 !逆転チートな婚約破棄劇場! !王宮、そして誰も居なくなった! !国が滅んだ?私のせい?しらんがな! 18話で完結

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

処理中です...