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はじまったばかりの夏休み
シェアルたちをみにいこう
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シェアルたちがどんな生活をしているか見学するために、24人の子どもたちは、お弁当をもって、いっしょにでかけていった。
ケアイケ自然公園の、あちこちにシェアルはいた。のびのびと気もちよさそうにしている。
泉の前にやってくると、羽のはえたピクシーたちが、おしゃべりをしたり、水遊びをしたりしていた。
「あの子たち、あちこち飛びまわって、情報をあつめてるの」
エリールは、目の前にいるピクシーたちをみてウインクした。
「ニュースにでてくる事件は、かれらがみつけたものでいっぱいだよ」
ピクシーたちは子どもたちをちらりとみたあと、なにやら話しあって、たのしそうにしている。
子どもたちは泉をとおりすぎて、草木にかこまれた、はばのひろい道をあるいていった。しばらくすすむと、おおきな池と原っぱがみえてきた。
その原っぱには、2本足でたっている子ガメと大人のカメがいて、魔法のトレーニングをしている。
子ガメの身長はマサたちとおなじくらいだった。かれの手のひらからは、ホースから水がでてくるように、いきおいよく水がでてきている。
口のなかからバスケットボールほどのおおきさの水のかたまりがでてきたとおもうと、20メートルほど先へ飛んでいった。
「あんなふうに魔法が使えるようになるよ。トレーニングすればね」
「あっ、車が空飛んでるー」
エータは空を指さした。
ひこうきのように空を飛ぶ車が、上空を通りがかった。
車のなかにいるシェアルは手をふっている。
「空を飛んでるのは、シェアルのおかげ」
エリールは空を飛んでいる車をみあげながらいって、
「もしも、シェアルがちからをかしてくれなくなったら……どうなるとおもう?」
と手をおもいきり、ぐわっとひろげ、
「車はドッカーン、ばくはつ~。そして、ついらく~」
とバクハツしたかのような顔をした。
マサたちは森のおくへおくへはいっていった。
木々におおわれて、太陽のひかりがあまりとどかない、うす暗い森の小道を歩いている。
――ここはどこだろう?
マサはすっかり迷子の気分。
小道をまがると、そこには、金色の太陽のひかりがいっぱいにふりそそぐ草地があった。
その草地は、木々にかこまれていて、まんなかには、白い木のテーブルがあった。
3体のハニワが、ハチミツいりの紅茶とビスケットをたのしみながらおしゃべりしている。
かれらは魔法でビスケットをフワフワうかべると、紅茶のなかにポチャンといれた。そして、やわらかくなったそれをまたフワフワとうかべて、口にはこんで、パクッと食べた。
かれらの手はイルカのヒレのような形をしていて指はない。食事のときは、ナイフやフォークを空ちゅうにうかべて、そのまま空ちゅうで切って、パクッと食べる。
「あっ、おーい、やっほー!きのうの子たちー」
ハニワたちは手をふっている。
「ん?しりあいなの?」
エリールはおどろきながらマサたちをみた。
「しりあいっていうか……まあ、ちょっとね……」
「なーに?あやしいな?」
リサがマサをフォローした。
「きのうの夜ね、キャンプ場の広場で、たまたま、ハニワさんとしりあいになったの。ほんと、たまたまだからね。そうだよね、マサ?」
「そうそう。たまたま、夜空を飛んできたんです、ハニワさんたちが」
「ダメよ、ま夜なかに、外にいちゃ」
リサはハニワたちのところへかけていって、ささやいた。
「パーティにいったこと、いわないでね」
「うん、わかったよー」
ハニワたちは元気よくこたえた。
「不安になる、返事だなー」
「そうだ、ぼくらの村にきてくれないかな?宝石がぬすまれちゃったんだよ」
「ぬすまれた?あの、青くひかってた宝石が?」
「そうそう。みんなシクシクないてるよ」
地面から10センチほどういているハニワたちは、スーっとそのまままるでオバケのようにすすんで、みんなを案内した。
ハニワたちの村には、カラフルないくつものたてものがたっている。
村の広場にあつまっている50体ほどのハニワたちは、シクシクとなみだをながしていた。
さく夜、ハニワたちは、あずかったばかりの〈ゆめのコハク〉をかこんでパーティをしたのだが、その宝石がなくなってしまった。
――ゴブリンのカップルにぬすまれてしまった。
「宝石をさがしてます!てつだってくれませんか?青いひかりを自分からだす、とってもめずらしい宝石なんです」
「ぬすまれたみたい。かりてる宝石なのに」
「どうしよう、どうしよう」
ポロポロとなみだをこぼしているハニワの村長テケテンは、目をプロジェクターのようにして、空に映画のように、映像をうつした。
映画のスクリーンのようになった空には、青くひかる〈ゆめのコハク〉と、それをかこんでおどるハニワたちがうつっている。
マサたちは、びっくりぎょうてん。
その映像に、たのしそうにおどっている自分たちのすがたが、ばっちり、うつっていたから。
「なんできみたちもおどってるのかな?」
エリールはマサをみて、うで組みした。
「さあ、なんでだろうねえ」
とマサは両手をひろげて、あとずさりしていった。
「てつだってくれるんですよね?」
テケテンは、おそるおそる、エリールをみた。
「ええ、もちろん」
エリールはすぐに笑顔にもどって、ヒーローたちに電話をした。
「かれらもてつだってくれるって」
ハニワたちは、花がさいたような笑顔になって、泣いていたのがウソのように歌ったり、おどったり。
空を飛びながらクルクルまわったりもしている。
キャンプ場にもどったマサたちは、バーベキューをはじめて、お肉やウィンナー、野菜などをもりもり食べた。
笑い声がひびく夏の夕空は、花のような赤ピンク色にそまっている。鉄板のうえでお肉や野菜がジュウジュウと焼ける音、それに、にぎやかな声がハーモニーとなって、森のなかにひびいていった。
ケアイケ自然公園の、あちこちにシェアルはいた。のびのびと気もちよさそうにしている。
泉の前にやってくると、羽のはえたピクシーたちが、おしゃべりをしたり、水遊びをしたりしていた。
「あの子たち、あちこち飛びまわって、情報をあつめてるの」
エリールは、目の前にいるピクシーたちをみてウインクした。
「ニュースにでてくる事件は、かれらがみつけたものでいっぱいだよ」
ピクシーたちは子どもたちをちらりとみたあと、なにやら話しあって、たのしそうにしている。
子どもたちは泉をとおりすぎて、草木にかこまれた、はばのひろい道をあるいていった。しばらくすすむと、おおきな池と原っぱがみえてきた。
その原っぱには、2本足でたっている子ガメと大人のカメがいて、魔法のトレーニングをしている。
子ガメの身長はマサたちとおなじくらいだった。かれの手のひらからは、ホースから水がでてくるように、いきおいよく水がでてきている。
口のなかからバスケットボールほどのおおきさの水のかたまりがでてきたとおもうと、20メートルほど先へ飛んでいった。
「あんなふうに魔法が使えるようになるよ。トレーニングすればね」
「あっ、車が空飛んでるー」
エータは空を指さした。
ひこうきのように空を飛ぶ車が、上空を通りがかった。
車のなかにいるシェアルは手をふっている。
「空を飛んでるのは、シェアルのおかげ」
エリールは空を飛んでいる車をみあげながらいって、
「もしも、シェアルがちからをかしてくれなくなったら……どうなるとおもう?」
と手をおもいきり、ぐわっとひろげ、
「車はドッカーン、ばくはつ~。そして、ついらく~」
とバクハツしたかのような顔をした。
マサたちは森のおくへおくへはいっていった。
木々におおわれて、太陽のひかりがあまりとどかない、うす暗い森の小道を歩いている。
――ここはどこだろう?
マサはすっかり迷子の気分。
小道をまがると、そこには、金色の太陽のひかりがいっぱいにふりそそぐ草地があった。
その草地は、木々にかこまれていて、まんなかには、白い木のテーブルがあった。
3体のハニワが、ハチミツいりの紅茶とビスケットをたのしみながらおしゃべりしている。
かれらは魔法でビスケットをフワフワうかべると、紅茶のなかにポチャンといれた。そして、やわらかくなったそれをまたフワフワとうかべて、口にはこんで、パクッと食べた。
かれらの手はイルカのヒレのような形をしていて指はない。食事のときは、ナイフやフォークを空ちゅうにうかべて、そのまま空ちゅうで切って、パクッと食べる。
「あっ、おーい、やっほー!きのうの子たちー」
ハニワたちは手をふっている。
「ん?しりあいなの?」
エリールはおどろきながらマサたちをみた。
「しりあいっていうか……まあ、ちょっとね……」
「なーに?あやしいな?」
リサがマサをフォローした。
「きのうの夜ね、キャンプ場の広場で、たまたま、ハニワさんとしりあいになったの。ほんと、たまたまだからね。そうだよね、マサ?」
「そうそう。たまたま、夜空を飛んできたんです、ハニワさんたちが」
「ダメよ、ま夜なかに、外にいちゃ」
リサはハニワたちのところへかけていって、ささやいた。
「パーティにいったこと、いわないでね」
「うん、わかったよー」
ハニワたちは元気よくこたえた。
「不安になる、返事だなー」
「そうだ、ぼくらの村にきてくれないかな?宝石がぬすまれちゃったんだよ」
「ぬすまれた?あの、青くひかってた宝石が?」
「そうそう。みんなシクシクないてるよ」
地面から10センチほどういているハニワたちは、スーっとそのまままるでオバケのようにすすんで、みんなを案内した。
ハニワたちの村には、カラフルないくつものたてものがたっている。
村の広場にあつまっている50体ほどのハニワたちは、シクシクとなみだをながしていた。
さく夜、ハニワたちは、あずかったばかりの〈ゆめのコハク〉をかこんでパーティをしたのだが、その宝石がなくなってしまった。
――ゴブリンのカップルにぬすまれてしまった。
「宝石をさがしてます!てつだってくれませんか?青いひかりを自分からだす、とってもめずらしい宝石なんです」
「ぬすまれたみたい。かりてる宝石なのに」
「どうしよう、どうしよう」
ポロポロとなみだをこぼしているハニワの村長テケテンは、目をプロジェクターのようにして、空に映画のように、映像をうつした。
映画のスクリーンのようになった空には、青くひかる〈ゆめのコハク〉と、それをかこんでおどるハニワたちがうつっている。
マサたちは、びっくりぎょうてん。
その映像に、たのしそうにおどっている自分たちのすがたが、ばっちり、うつっていたから。
「なんできみたちもおどってるのかな?」
エリールはマサをみて、うで組みした。
「さあ、なんでだろうねえ」
とマサは両手をひろげて、あとずさりしていった。
「てつだってくれるんですよね?」
テケテンは、おそるおそる、エリールをみた。
「ええ、もちろん」
エリールはすぐに笑顔にもどって、ヒーローたちに電話をした。
「かれらもてつだってくれるって」
ハニワたちは、花がさいたような笑顔になって、泣いていたのがウソのように歌ったり、おどったり。
空を飛びながらクルクルまわったりもしている。
キャンプ場にもどったマサたちは、バーベキューをはじめて、お肉やウィンナー、野菜などをもりもり食べた。
笑い声がひびく夏の夕空は、花のような赤ピンク色にそまっている。鉄板のうえでお肉や野菜がジュウジュウと焼ける音、それに、にぎやかな声がハーモニーとなって、森のなかにひびいていった。
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