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はじまったばかりの夏休み
アライーゴさん
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今回のキャンプには、マサのクラスメイトも6人きている。
シューとキッちゃんとトモさん。それにリサとコズエとマキ。
キャンプでは3人で1つのチームを組むことになっている。そんなわけで、しらない子と同じチームになるのは、ちょっと心配だなと、友だちといっしょにくる子がおおかった。
広間にもどったマサは、木のかべのすみっこにあつまるクラスメイトたちに声をかけた。
「あれ~、イッシーたちは?」
「べつの日にしたって」
と、黒のまるメガネをかけたキッちゃんはこたえた。
キッちゃんは頭がいい、将来は大学の先生、とクラスメイトたちにいわれている。おしゃべりが好きでほっておくと、いつまでもしゃべりつづけてしまう。
キャンプはべつの日、べつの場所でもひらかれている。毎年、夏休みのはじめから終わりごろまで、ケアイケ自然公園のなかにある、あちこちのキャンプ場は魔法使いになろうとする子たちでいっぱいだ。
夏休みが終わって、ひさしぶりにクラスメイトに会うと、ほとんどの子が魔法使いになっている、なんていうこともある。
マサはクラスメイトとチームを組もうともおもったが、同じマンションにすむ、ようち園のころからのおさななじみのトージとエータとチームを組んだ。
ふたりとは、魔法使いになって大かつやくしようと、ようち園のころからいいあってきていたから。
子どもたちの家族がなん人かやってきていて、あたたかく、みまもっている。
子どもだったころ、キャンプに参加したときのことをおもいだしている人もいる。ここは百年も前からあるキャンプ場。おじいちゃん、おばあちゃんのなかにも、ここで魔法使いになった人がいる。
小学生だったころの気もちにタイムスリップしてしまっているお父さん、お母さんもいる。子供のころをおもいだして、横にいる両親(おじいちゃん、おばあちゃん)をみて、若いころの2人のすがたをはっきりとおもいだしていた。自分がまだ子どもだったころの両親のすがただ。
リンリンリン。
キャンプに参加する子どもたち24人があつまる広間にすずの音がひびいた。
チェルリンがジャンプしたり、頭をゆらして、すずをならしている。
ふわっと、ひかったかとおもうと、チェルリンの横に、青いひかりの円〝ワープゲート〟があらわれて、そこから男の人が飛びでてきた。
今回のキャンプをひらいた人だ。
33歳で、水色の宝石ターコイズのつぶがちりばめられた、銀色のメガネをかけている。
首には、すこし重くてジャラジャラと音のする、太いくさりの銀色のネックレスをつけている。そのネックレスには、十字のデザインのペンダントがついている(さまざまな色の宝石がちりばめられたにじ色のデザインだ)。
「子どもの心をもちつづけて、ゆめいっぱいの、アライーゴさんです」
と、チェルリンはパチパチパチと、ひとりではくしゅをしている。
それにつられて、なん人かがパチパチとはくしゅをした。
「ゆめがあふれてとまらなーい!アライーゴです!いよいよキャンプがはじまるね」
アライーゴはウインクしてニコリとした。
「魔法使いになったあとに、ヒーローになりたい子はいるかな?手をあげてほしいな」
10人ほどが手をあげた。マサとトージとエータも手をあげている。
キョロキョロとまわりをみている子もいる。
おもっていたよりもおおくの子が手をあげてくれたので、アライーゴはうれしくて、しゃべる声のトーンがすこし高くなった。
ヒーローは、魔法を悪いことに使っている人たちから町を守っている。
アライーゴはこの町にアジトがある、かれがつくったヒーローチーム〝マッケルカーチ〟のリーダー。といっても、チームのために、あくせく仕事をして、まるでめしつかい。めだたない、じみな仕事もたくさんしている――アシスタントみたいに。ドジでマヌケで失敗ばかりするし、たよりないところもある。でも、そんなアライーゴのまわりには、いつのころからか人があつまるようになっていた。
「きみたちの未来に、かんぱーい。人生は、負けるが勝ち。ぼくはそうおもってる。負けた人たちにやさしい社会になることをぼくはねがってる」
コップをもったアライーゴは、オレンジジュースをおいしそうにグビグビゴクゴクのみほした。
マサも、かんぱーい、とオレンジジュースをグビグビ、ゴクゴク。
テーブルのうえのクッキーやポテトチップス、マシュマロやチョコレート、それにポップコーンなどは、あっというまに、子どもたちのおなかのなかへ消えていった。
シューとキッちゃんとトモさん。それにリサとコズエとマキ。
キャンプでは3人で1つのチームを組むことになっている。そんなわけで、しらない子と同じチームになるのは、ちょっと心配だなと、友だちといっしょにくる子がおおかった。
広間にもどったマサは、木のかべのすみっこにあつまるクラスメイトたちに声をかけた。
「あれ~、イッシーたちは?」
「べつの日にしたって」
と、黒のまるメガネをかけたキッちゃんはこたえた。
キッちゃんは頭がいい、将来は大学の先生、とクラスメイトたちにいわれている。おしゃべりが好きでほっておくと、いつまでもしゃべりつづけてしまう。
キャンプはべつの日、べつの場所でもひらかれている。毎年、夏休みのはじめから終わりごろまで、ケアイケ自然公園のなかにある、あちこちのキャンプ場は魔法使いになろうとする子たちでいっぱいだ。
夏休みが終わって、ひさしぶりにクラスメイトに会うと、ほとんどの子が魔法使いになっている、なんていうこともある。
マサはクラスメイトとチームを組もうともおもったが、同じマンションにすむ、ようち園のころからのおさななじみのトージとエータとチームを組んだ。
ふたりとは、魔法使いになって大かつやくしようと、ようち園のころからいいあってきていたから。
子どもたちの家族がなん人かやってきていて、あたたかく、みまもっている。
子どもだったころ、キャンプに参加したときのことをおもいだしている人もいる。ここは百年も前からあるキャンプ場。おじいちゃん、おばあちゃんのなかにも、ここで魔法使いになった人がいる。
小学生だったころの気もちにタイムスリップしてしまっているお父さん、お母さんもいる。子供のころをおもいだして、横にいる両親(おじいちゃん、おばあちゃん)をみて、若いころの2人のすがたをはっきりとおもいだしていた。自分がまだ子どもだったころの両親のすがただ。
リンリンリン。
キャンプに参加する子どもたち24人があつまる広間にすずの音がひびいた。
チェルリンがジャンプしたり、頭をゆらして、すずをならしている。
ふわっと、ひかったかとおもうと、チェルリンの横に、青いひかりの円〝ワープゲート〟があらわれて、そこから男の人が飛びでてきた。
今回のキャンプをひらいた人だ。
33歳で、水色の宝石ターコイズのつぶがちりばめられた、銀色のメガネをかけている。
首には、すこし重くてジャラジャラと音のする、太いくさりの銀色のネックレスをつけている。そのネックレスには、十字のデザインのペンダントがついている(さまざまな色の宝石がちりばめられたにじ色のデザインだ)。
「子どもの心をもちつづけて、ゆめいっぱいの、アライーゴさんです」
と、チェルリンはパチパチパチと、ひとりではくしゅをしている。
それにつられて、なん人かがパチパチとはくしゅをした。
「ゆめがあふれてとまらなーい!アライーゴです!いよいよキャンプがはじまるね」
アライーゴはウインクしてニコリとした。
「魔法使いになったあとに、ヒーローになりたい子はいるかな?手をあげてほしいな」
10人ほどが手をあげた。マサとトージとエータも手をあげている。
キョロキョロとまわりをみている子もいる。
おもっていたよりもおおくの子が手をあげてくれたので、アライーゴはうれしくて、しゃべる声のトーンがすこし高くなった。
ヒーローは、魔法を悪いことに使っている人たちから町を守っている。
アライーゴはこの町にアジトがある、かれがつくったヒーローチーム〝マッケルカーチ〟のリーダー。といっても、チームのために、あくせく仕事をして、まるでめしつかい。めだたない、じみな仕事もたくさんしている――アシスタントみたいに。ドジでマヌケで失敗ばかりするし、たよりないところもある。でも、そんなアライーゴのまわりには、いつのころからか人があつまるようになっていた。
「きみたちの未来に、かんぱーい。人生は、負けるが勝ち。ぼくはそうおもってる。負けた人たちにやさしい社会になることをぼくはねがってる」
コップをもったアライーゴは、オレンジジュースをおいしそうにグビグビゴクゴクのみほした。
マサも、かんぱーい、とオレンジジュースをグビグビ、ゴクゴク。
テーブルのうえのクッキーやポテトチップス、マシュマロやチョコレート、それにポップコーンなどは、あっというまに、子どもたちのおなかのなかへ消えていった。
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