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4章 「RU⭐︎KA」
1月1日
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【1/1
涼香と初詣をし、今年一年の無事と幸せを願うだけだったはずだ。でも今回の事件は俺が解決しないといけない。同じ学校のやつが困っている。そして無実がわかっているのは俺だけのようだ。】
「賽銭ってやっぱ5円だよな。」
「うん。ご縁があるように、って。貸そうか?」
「あるよ。」
涼香と賽銭を投げ、手を合わせ、拝む。
(今年は解決の一年になりますように。SCCとどんな結末を迎えるかわからないが、どんな展開になっても、俺の友達たちは無事で、幸せに…)
この一年の幸せを願い、友達の姿を思い浮かべているときだった。列の後ろの方で悲鳴が聞こえた。
「キャァァァァ!!!人が…人が死んでる!!」
すぐに、列になっていた人混みが輪の形になる。人が亡くなっている場所を中心として。ぽっかり空いた輪の中心、事件現場が見えた。そこには背中から血を流し倒れている男性と、刃物を持った同い年くらいの少女が立っていた。
「あれ、うちの学校の…。」
「そうだよ。遥希くんの隣のクラスだっけ…。月摘栞凪ちゃんだ。」
刃物を持って青ざめた顔をし、立ち尽くしているのはと同じ学校に通う少女だった。しかし、事態の深刻さはそれだけでは済まない。
「おい、あれRU⭐︎KAじゃないか?」
「え?あのアイドルの?」
「そうだよ。アイドルが…人刺して…」
「ルカちゃんが人を指すわけないだろ!!」
人の輪が騒々しくなる。目の前に広がるのは、アイドルが人を刺殺した現場だった。
「ち、違う…。私は何も…。」
「みなさん!落ち着いてください!」
現場は混乱を極めていた。神社の係員が駆け寄る。どうやら男性の息はもう無いらしい。みんなが携帯を取り出す。写真を撮っている者、動画を録る者、電話する者、誰が何をしているのかわからなかった。しかし、あるものが見えていた。
「おかしい。ルカから出ている糸は遺体に繋がってない…。遺体から伸びる糸は別のやつに繋がって…。」
「栞凪ちゃんが犯人じゃないってこと?」
「やばい!犯人が逃げるぞ!」
人だかりの注目が寄せられる。皆が犯人と思っている人物はそこで立ち尽くしている。おかしなことを言っているのは俺だった。そして目星をつけた人物はすぐに人混みに消えていく。人混みに囲まれ、追うこともできない。
やがて警察が到着し、栞凪は連行された。後味の悪い感覚を残し、涼香と家路についた。
「あれじゃ…誰がどう見ても現行犯だしな。」
「遥希くんは、自分の使命が見えるんだっけ。」
「そう解釈してる。だから多分、あの事件を解決してルカを助けるのは俺の役目ってことか…。」
「覆すのは難しそうだね…。」
「あぁ。そういえば、うちの学校にルカがいるって話は知ってたんだが、学校でほとんど見たことないけど。涼香は何か知ってる?」
「私もそんなには詳しくないよ。ただ、一定の人気もあって、学校に来る時間がないくらい仕事はあると思う。テレビでも見るし。」
「気難しい女子高生芸能人とかじゃなければいいが…。」
家に帰ってテレビをつけると、RU⭐︎KAが殺人の現行犯で逮捕されたニュースばかりだった。ネットには根も葉もない噂が流れている。そして、当然のように学校も載っていた。
「これは…面倒なことになりそうだな。」
うんざりしていると、携帯の着信が鳴る。
「もしもし?優太か?」
「あぁ、遥希。すまん。正月から。ニュース見たか?」
「あ、あぁ。ルカのか?なんなら俺は現場にいたが…。」
「本当か?!なぁ、本当に栞凪が刺したのかよ?!」
「おい、落ち着けって。そんなにファンだったのか?」
「いや、幼馴染なんだ。俺と。あいつが人を刺す訳が無いんだ。なぁ、本当に刺したのかよ?!」
「俺は違うと思ってる。根拠もあんまり無いんだが…。」
「本当かよ!!なぁ、栞凪の無実を証明したいんだ!どうかなんねぇか?」
「話の途中だろ。根拠もないんだって。大体、俺らみたいな素人が無実の証明とか無理だろ。」
「俺は諦めないぞ。」
「そんなに好きなのか?」
「当たり前だ!好きだし、そうじゃなかろうと俺の大切な友達だ。」
「わかった。じゃあ、明日の朝集合な。今日はニュースとかで情報を集めてみる。どうせ現場にも近づけないし。」
「いいのか?」
「あぁ。友達の友達は友達ってやつだろ。人助けは嫌いじゃない。」
【使命感か、友達が困っているからか、俺はルカの謎を解き、無実を証明する決意をした。優太の幼馴染で思い人なら、きっと悪いやつじゃない。それにあの逃走した人物も何かを知っているに違いない。警察が気づいていない事実がきっとある。】
涼香と初詣をし、今年一年の無事と幸せを願うだけだったはずだ。でも今回の事件は俺が解決しないといけない。同じ学校のやつが困っている。そして無実がわかっているのは俺だけのようだ。】
「賽銭ってやっぱ5円だよな。」
「うん。ご縁があるように、って。貸そうか?」
「あるよ。」
涼香と賽銭を投げ、手を合わせ、拝む。
(今年は解決の一年になりますように。SCCとどんな結末を迎えるかわからないが、どんな展開になっても、俺の友達たちは無事で、幸せに…)
この一年の幸せを願い、友達の姿を思い浮かべているときだった。列の後ろの方で悲鳴が聞こえた。
「キャァァァァ!!!人が…人が死んでる!!」
すぐに、列になっていた人混みが輪の形になる。人が亡くなっている場所を中心として。ぽっかり空いた輪の中心、事件現場が見えた。そこには背中から血を流し倒れている男性と、刃物を持った同い年くらいの少女が立っていた。
「あれ、うちの学校の…。」
「そうだよ。遥希くんの隣のクラスだっけ…。月摘栞凪ちゃんだ。」
刃物を持って青ざめた顔をし、立ち尽くしているのはと同じ学校に通う少女だった。しかし、事態の深刻さはそれだけでは済まない。
「おい、あれRU⭐︎KAじゃないか?」
「え?あのアイドルの?」
「そうだよ。アイドルが…人刺して…」
「ルカちゃんが人を指すわけないだろ!!」
人の輪が騒々しくなる。目の前に広がるのは、アイドルが人を刺殺した現場だった。
「ち、違う…。私は何も…。」
「みなさん!落ち着いてください!」
現場は混乱を極めていた。神社の係員が駆け寄る。どうやら男性の息はもう無いらしい。みんなが携帯を取り出す。写真を撮っている者、動画を録る者、電話する者、誰が何をしているのかわからなかった。しかし、あるものが見えていた。
「おかしい。ルカから出ている糸は遺体に繋がってない…。遺体から伸びる糸は別のやつに繋がって…。」
「栞凪ちゃんが犯人じゃないってこと?」
「やばい!犯人が逃げるぞ!」
人だかりの注目が寄せられる。皆が犯人と思っている人物はそこで立ち尽くしている。おかしなことを言っているのは俺だった。そして目星をつけた人物はすぐに人混みに消えていく。人混みに囲まれ、追うこともできない。
やがて警察が到着し、栞凪は連行された。後味の悪い感覚を残し、涼香と家路についた。
「あれじゃ…誰がどう見ても現行犯だしな。」
「遥希くんは、自分の使命が見えるんだっけ。」
「そう解釈してる。だから多分、あの事件を解決してルカを助けるのは俺の役目ってことか…。」
「覆すのは難しそうだね…。」
「あぁ。そういえば、うちの学校にルカがいるって話は知ってたんだが、学校でほとんど見たことないけど。涼香は何か知ってる?」
「私もそんなには詳しくないよ。ただ、一定の人気もあって、学校に来る時間がないくらい仕事はあると思う。テレビでも見るし。」
「気難しい女子高生芸能人とかじゃなければいいが…。」
家に帰ってテレビをつけると、RU⭐︎KAが殺人の現行犯で逮捕されたニュースばかりだった。ネットには根も葉もない噂が流れている。そして、当然のように学校も載っていた。
「これは…面倒なことになりそうだな。」
うんざりしていると、携帯の着信が鳴る。
「もしもし?優太か?」
「あぁ、遥希。すまん。正月から。ニュース見たか?」
「あ、あぁ。ルカのか?なんなら俺は現場にいたが…。」
「本当か?!なぁ、本当に栞凪が刺したのかよ?!」
「おい、落ち着けって。そんなにファンだったのか?」
「いや、幼馴染なんだ。俺と。あいつが人を刺す訳が無いんだ。なぁ、本当に刺したのかよ?!」
「俺は違うと思ってる。根拠もあんまり無いんだが…。」
「本当かよ!!なぁ、栞凪の無実を証明したいんだ!どうかなんねぇか?」
「話の途中だろ。根拠もないんだって。大体、俺らみたいな素人が無実の証明とか無理だろ。」
「俺は諦めないぞ。」
「そんなに好きなのか?」
「当たり前だ!好きだし、そうじゃなかろうと俺の大切な友達だ。」
「わかった。じゃあ、明日の朝集合な。今日はニュースとかで情報を集めてみる。どうせ現場にも近づけないし。」
「いいのか?」
「あぁ。友達の友達は友達ってやつだろ。人助けは嫌いじゃない。」
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