3 / 5
3
しおりを挟む
「皇帝陛下の愛を試したくて、国中の宝石を独占したいとわがままを言ってそれを咎めるような家臣たちを宮殿から追い出したり、いろんな男をたぶらかしては私のテクニックで夢中にさせて陛下を嫉妬させようとしたり、後宮の女達をいたぶったりしたわ。国を傾けた悪帝と悪妃として斬首刑の咎を受けて……気がついたら、私がずっと馬鹿にしていたような冴えない男に生まれ変わっていたの。天罰ね……」
おいおい。
オマエの十八年間は天罰に感じるほどひどくないと思うぞ……
まぁ、中学生以降のオマエしか知らないけど。
「ちゃんとこの世界で生きた十八年間の記憶もあるのよ……あるからこそ、皇帝陛下に愛された美しき傾国の悪妃の記憶と混濁していて気持ちの整理がつかないの。私が前世のような振る舞いをしたらおかしいし、でも冴えない男として振る舞うのは私のプライドが許せない……」
コイツはオレのこと揶揄ってるのか……
それとも創作活動に没頭しすぎて虚構が現実を侵食し始めたのだろうか……
オレはとりあえず氷がすっかり溶けて無くなった麦茶を一気に飲み干す。
ゴン
勉強机にコップを少し乱暴に置いて注意を引く。
「……いきなりオマエの振る舞いが傾国の美女になっても周りも混乱するし、かと言ってオマエも傾国の美女の記憶をなかったものにするのも辛いだろ? とりあえずさ、オレの前では気にせず傾国の美女として好きに振る舞えばいいよ」
揶揄ってるならそのうち飽きるだろうし、虚構と現実の区別がつかなくなってるとしてもそう長くは続かないだろう……付き合ってやるか。
そう思ってそんな事を言ってしまったのを、今は猛烈に後悔している。
オレの言葉に目を輝かせて、急に抱きついてきた。
「うわぁ」
驚いて声を上げた口を塞ぎ、オレの口の内に生ぬるい舌が入ってくる。
え? 待てよ。
俺のファーストキス……!
「んっ……んっ……」
白くて細い腕を俺の首に巻きつけて、甘い声をわざと出すのは煽っているのだろうか。
「……っ!!」
口内を蠢く舌で上顎をなぞられると、ゾクゾクとした刺激が身体を駆け巡る。
オレが感じ始めているのを察したのか舌同士を乱暴に絡められてしまい、どんどん呼吸が苦しくなる。
余裕のない俺の顔を蕩けるような眼差しで見つめていたと思ったら、急に舌の動きが止まり唇が離れる。
わざと口を半開きにして舌の先に唾液の糸が繋がっているのを見せプツリと切れる。唇についた唾液を赤い舌が舐めとる。
オレの首に巻きついていた腕は離されて、いつのまにか俺の制服のズボンはくつろげられていた。
オレの方がガタイがいい分、押し返せば逃げられたはずだ……
それなのにオレは、コイツが次に何をするのか期待して逃げ出さずにとどまってしまった。
おいおい。
オマエの十八年間は天罰に感じるほどひどくないと思うぞ……
まぁ、中学生以降のオマエしか知らないけど。
「ちゃんとこの世界で生きた十八年間の記憶もあるのよ……あるからこそ、皇帝陛下に愛された美しき傾国の悪妃の記憶と混濁していて気持ちの整理がつかないの。私が前世のような振る舞いをしたらおかしいし、でも冴えない男として振る舞うのは私のプライドが許せない……」
コイツはオレのこと揶揄ってるのか……
それとも創作活動に没頭しすぎて虚構が現実を侵食し始めたのだろうか……
オレはとりあえず氷がすっかり溶けて無くなった麦茶を一気に飲み干す。
ゴン
勉強机にコップを少し乱暴に置いて注意を引く。
「……いきなりオマエの振る舞いが傾国の美女になっても周りも混乱するし、かと言ってオマエも傾国の美女の記憶をなかったものにするのも辛いだろ? とりあえずさ、オレの前では気にせず傾国の美女として好きに振る舞えばいいよ」
揶揄ってるならそのうち飽きるだろうし、虚構と現実の区別がつかなくなってるとしてもそう長くは続かないだろう……付き合ってやるか。
そう思ってそんな事を言ってしまったのを、今は猛烈に後悔している。
オレの言葉に目を輝かせて、急に抱きついてきた。
「うわぁ」
驚いて声を上げた口を塞ぎ、オレの口の内に生ぬるい舌が入ってくる。
え? 待てよ。
俺のファーストキス……!
「んっ……んっ……」
白くて細い腕を俺の首に巻きつけて、甘い声をわざと出すのは煽っているのだろうか。
「……っ!!」
口内を蠢く舌で上顎をなぞられると、ゾクゾクとした刺激が身体を駆け巡る。
オレが感じ始めているのを察したのか舌同士を乱暴に絡められてしまい、どんどん呼吸が苦しくなる。
余裕のない俺の顔を蕩けるような眼差しで見つめていたと思ったら、急に舌の動きが止まり唇が離れる。
わざと口を半開きにして舌の先に唾液の糸が繋がっているのを見せプツリと切れる。唇についた唾液を赤い舌が舐めとる。
オレの首に巻きついていた腕は離されて、いつのまにか俺の制服のズボンはくつろげられていた。
オレの方がガタイがいい分、押し返せば逃げられたはずだ……
それなのにオレは、コイツが次に何をするのか期待して逃げ出さずにとどまってしまった。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。
マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。
いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。
こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。
続編、ゆっくりとですが連載開始します。
「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)
蒼い炎
海棠 楓
BL
誰からも好かれる優等生・深海真司と、顔はいいけど性格は最悪の緋砂晃司とは、幼馴染。
しかし、いつしか真司は晃司にそれ以上の感情を持ち始め、自分自身戸惑う。
思いきって気持ちを打ち明けると晃司はあっさりとその気持ちにこたえ2人は愛し合うが、 そのうち晃司は真司の愛を重荷に思い始める。とうとう晃司は真司の愛から逃げ出し、晃司のためにすべてを捨てた真司に残されたものは何もなかった。
男子校に入った真司はまたもクラスメートに恋をするが、今度は徹底的に拒絶されてしまった。 思い余って病弱な体で家を出た真司を救ってくれた美青年に囲われ、彼が働く男性向けホストクラブ に置いてもらうことになり、いろいろな人と出会い、いろいろな経験をするが、結局真司は 晃司への想いを断ち切れていなかった…。
表紙:葉月めいこ様

幸せになりたかった話
幡谷ナツキ
BL
このまま幸せでいたかった。
このまま幸せになりたかった。
このまま幸せにしたかった。
けれど、まあ、それと全部置いておいて。
「苦労もいつかは笑い話になるかもね」
そんな未来を想像して、一歩踏み出そうじゃないか。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる