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第六章 可愛い婚約者にズキュンさせれれっぱなしの俺
第六十六話 二度目のデート7 いかがわしい芝居の内容
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「じゃあ、何があったというのです」
ミアは心配そうにネリーネに尋ねた。
「お芝居の内容に動揺しただけですわ」
「内容ですか? 市井で流行っている舞台だと伺ってましたけど」
「あんなお芝居が流行るなんて信じられませんわ」
「……もっもしかしていかがわしい内容でしたか⁈」
「わたくしからは口に出すのも憚られる内容でしたわ」
ネリーネはため息をつき、ミアが俺を睨みつける。
いやいやいや。
「ネリーネ! 言い方に気を付けてくれ。いかがわしくはない!」
俺は必死に首を横に振った。女たちが脚を上げて扇状的に踊るような、いかがわしい内容の舞台も流行っているのは聞いたことがあるが、断じてそんな内容ではない。だいたいチケットを買ったのはネリーネだ。
「では、どんな内容なのですか」
まだ疑っているのか、ミアの視線は冷たい。
「王太子殿下とその婚約者様を揶揄するような内容だったのだ──」
ミアに聞かれた俺はできる限り冷静に内容を説明した。ネリーネは俺の説明を聞きながら怒ったり泣いたりと忙しい。
「……どうしてあんなお芝居が流行っているの? 信じられないわ。お二人のこと何も知らないのに……」
ネリーネは口を尖らせて顔をしわくちゃにしてつぶやいた。
美少女がするとそんな仕草すら可愛い。
いや。王太子殿下とそのご婚約者さまに心を寄せているその優しさが可愛いらしいのだ。見た目だけの問題ではない。
まぁ、やはり今のネリーネは見た目からしてとんでもなく可愛いのだけど……
「王太子殿下は、まだ王立学園に通ってらっしゃるのに、すでにお仕事に邁進されてらっしゃるとお兄様やステファン様から伺っておりますし、こないだお目もじした時にもたくさんの書類に囲まれてらしてご多忙そうにされていらしたわ。誰よりも国の発展のためにご尽力されてらっしゃるわ。ねぇ、ステファン様。そうなのでしょう?」
ネリーネはそう言って俺の目を見て同意を求める。
俺はネリーネの可愛さに酔いしれながら頷く。
「それにエレナ様だって十六歳だと伺いましたけど、わたくしよりも三つも年下ですのに領地の発展のために事業計画をたてられたりと聡明な方だったわ。わたくしも投資などはしてますけれど、領地のお仕事はお父様やお兄様に任せきりだったものでしたから、自分を見つめ直すいいきっかけになりましたのよ?」
「自分を見つめ直すきっかけ?」
「えぇ。先日ステファン様とお会いしたときに、結婚いたしましたらマグナレイ侯爵家の別邸に住むと伺いましたでしょ? わたくしにお役に立てることがなにかあるかしらと思案しておりますの。帳簿くらいは読めるとは思いますけど、貴方は官吏のお仕事を続けられるのであればわたくしが屋敷の管理も担わなくてはいけないでしょうし、お役に立てることを増やさなくてはと思っておりますわ」
拳を胸の前で握り、ふすふすと鼻息が荒い。
あぁ、可愛い。
俺と結婚した後のことを真剣に考えていることを興奮しながら主張する目の前の美少女は可愛い以外の何者でもなかった。
ミアは心配そうにネリーネに尋ねた。
「お芝居の内容に動揺しただけですわ」
「内容ですか? 市井で流行っている舞台だと伺ってましたけど」
「あんなお芝居が流行るなんて信じられませんわ」
「……もっもしかしていかがわしい内容でしたか⁈」
「わたくしからは口に出すのも憚られる内容でしたわ」
ネリーネはため息をつき、ミアが俺を睨みつける。
いやいやいや。
「ネリーネ! 言い方に気を付けてくれ。いかがわしくはない!」
俺は必死に首を横に振った。女たちが脚を上げて扇状的に踊るような、いかがわしい内容の舞台も流行っているのは聞いたことがあるが、断じてそんな内容ではない。だいたいチケットを買ったのはネリーネだ。
「では、どんな内容なのですか」
まだ疑っているのか、ミアの視線は冷たい。
「王太子殿下とその婚約者様を揶揄するような内容だったのだ──」
ミアに聞かれた俺はできる限り冷静に内容を説明した。ネリーネは俺の説明を聞きながら怒ったり泣いたりと忙しい。
「……どうしてあんなお芝居が流行っているの? 信じられないわ。お二人のこと何も知らないのに……」
ネリーネは口を尖らせて顔をしわくちゃにしてつぶやいた。
美少女がするとそんな仕草すら可愛い。
いや。王太子殿下とそのご婚約者さまに心を寄せているその優しさが可愛いらしいのだ。見た目だけの問題ではない。
まぁ、やはり今のネリーネは見た目からしてとんでもなく可愛いのだけど……
「王太子殿下は、まだ王立学園に通ってらっしゃるのに、すでにお仕事に邁進されてらっしゃるとお兄様やステファン様から伺っておりますし、こないだお目もじした時にもたくさんの書類に囲まれてらしてご多忙そうにされていらしたわ。誰よりも国の発展のためにご尽力されてらっしゃるわ。ねぇ、ステファン様。そうなのでしょう?」
ネリーネはそう言って俺の目を見て同意を求める。
俺はネリーネの可愛さに酔いしれながら頷く。
「それにエレナ様だって十六歳だと伺いましたけど、わたくしよりも三つも年下ですのに領地の発展のために事業計画をたてられたりと聡明な方だったわ。わたくしも投資などはしてますけれど、領地のお仕事はお父様やお兄様に任せきりだったものでしたから、自分を見つめ直すいいきっかけになりましたのよ?」
「自分を見つめ直すきっかけ?」
「えぇ。先日ステファン様とお会いしたときに、結婚いたしましたらマグナレイ侯爵家の別邸に住むと伺いましたでしょ? わたくしにお役に立てることがなにかあるかしらと思案しておりますの。帳簿くらいは読めるとは思いますけど、貴方は官吏のお仕事を続けられるのであればわたくしが屋敷の管理も担わなくてはいけないでしょうし、お役に立てることを増やさなくてはと思っておりますわ」
拳を胸の前で握り、ふすふすと鼻息が荒い。
あぁ、可愛い。
俺と結婚した後のことを真剣に考えていることを興奮しながら主張する目の前の美少女は可愛い以外の何者でもなかった。
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