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第1章
作戦会議
しおりを挟む一限目の授業が至が担当する古典の授業だと聞いて張り切って登校したうららだったが、一限目が終わって至が教室を後にするなり両手を投げ出して机へとだらしなく突っ伏していた。
「あーーーー⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯どした、うらら」
「ももちぃ⋯⋯ちょっと聴いてくれる?」
「はいはい⋯⋯どうせ勝手に話し出すんでしょ? 聴くしかないじゃん」
うららは、面倒くさそうな顔をしながらも自分の話に耳を傾けてくれる百香のそういうところが好きだった。
「至センセーを落とすって決めたはいーけどさぁ~⋯⋯⋯⋯肝心の具体的な方法が思いつかんのよ⋯⋯」
「うらららしいというか、何というか⋯⋯」
「ももちぃ、あたしと違って頭いいっしょ? 何か良い方法ない?」
「あのセンセーなら簡単じゃん。色仕掛けで一発でしょ。どーせDTっしょ、あの人」
「⋯⋯⋯⋯」
「黙り込んでどしたァ?」
「⋯⋯⋯⋯った」
「は⋯⋯⋯⋯?」
「だからぁ! それはもうやったのっ!!」
「ハッ⋯⋯! それは草すぎる。そんで失敗したワケね」
「笑い事じゃないっての!」
腹を抱えて笑う百香を、うららはジトリと睨みつける。
しかもヒィヒィと引き攣った声を上げながらうららの顔と胸部を交互に見比べるものだから失礼極まりない話だ。
「顔はまだしも、その絶壁じゃあねぇ⋯⋯。釣れるのは登山家くらいじゃん?」
「くっそ! 言い返せないのが悔しいっ⋯⋯!!」
うららはパーカー越しでも分かるほどの百香の豊満な胸を恨みのこもった視線で見つめた。
(その胸⋯⋯引きちぎってやろうかアッ⋯⋯⋯⋯!!)
うららの思考が巨乳への憎しみに支配されかけた時————。
一頻《ひとしき》り笑い終えた百香は、笑い過ぎて目尻に浮かぶ涙を拭ってから口を開いた。
「色仕掛けがダメなら、中身で勝負しかないんじゃない?」
「中身ぃ⋯⋯⋯⋯?」
「そ、中身。20代半ばで既に枯れたセンセーにはそれしかない」
「でもあたし⋯⋯ももちぃも知っての通り中身も碌でもないんだけど⋯⋯。具体的には何すれば良いわけ?」
「それは自分で考えなよ、うららの恋なんだから。ウチがうららの行動に一々口出しすんのはなんか違うじゃん?」
「え~⋯⋯⋯⋯」
うららは不満顔で机の下の足をバタバタとさせる。
「⋯⋯でもウチがもしセンセーを本気で落とすなら、『勉強分かんなーい♡』って教えて貰う振りして近付くかなあ?」
「!!」
考え付きもしなかった百香の名案に、うららはガタリと音を立てて勢いよく椅子から立ち上がる。
「さっすがももちぃ、来るもの拒まず去るもの追わずのモテ女! それ採用っ! ⋯⋯だがしかし、ももちぃに至センセーは渡さん!!」
「土下座されても要らんから安心しろ」
「そ、それはそれで解《げ》せぬ⋯⋯⋯⋯」
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