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竹流と馬込、石神家へ Ⅱ
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馬込は朝方に多少うなされはしたが、起きるころには安らかな寝顔になっていた。
朝食も一緒に摂れるようになり、聖と天丸が驚いていた。
竹流が嬉しそうに茶碗のお替りをしてやっていた。
天丸が文句のように言う。
「おい、随分とこいつ、元気そうじゃねぇか」
「そうだな」
「俺らんときは、全然違ったぞ」
「「虎地獄」と相性がいいんじゃねぇか?」
「そんなのがあんのかよ!」
聖が笑った。
「なんか、調子いいんですよ!」
「そうかよ? でもお前、体つきまで変わったよな?」
「そうだな、筋肉の付き方が昨日と違うぜ」
聖はともかく、天丸まで気付いた。
馬込の身体は痩せていたのだが、一晩で筋肉が増えた。
まだそれほどの違いはないのだが、明日にはもっと変わっているだろう。
俺の血のせいだ。
小さなラットであったシャドウは、目の前でみるみる2メートルを超す体重になった。
人間である馬込はそれほどの変化は無いが、それはレイラの時にも分かっている。
まあ、俺にもまだよく分かっていないことなので、観察は続けるつもりだが。
今日は竹流の番だった。
山頂の鍛錬場で待っていた真白が、竹流に鍼を打った。
他の連中とは違い、普通の鍼灸師の施術を受けているように見えた。
竹流はそれほどの苦痛もなく立ち上がり、虎白さんに打ち込まれた。
竹流は普通に動いていた。
多少の傷は負ったが、全身を切り刻まれた俺たちとは全然違った。
「……」
茶を飲んでいる真白に聞いた。
「おい、カワイイ子だから手加減したのかよ?」
「ふん、そうじゃないよ。あいつはもう仕上がってる。だから径を通すのは簡単さね」
「ほんとかよ!」
「たまーにいるよ。本当の天才だね」
「そんなもんか」
確かに竹流は誰にも教わらずに「飛行:鷹閃花」を習得し、あの若さで自分の固有技「マルミワドワーズ」まで編み出した奴だ。
連城十五の途轍もない闘神の血を引いているためか。
馬込とは対照的な奴だ。
虎白さんも別に驚いている風はなく、竹流に技を教えて行く。
虎白さんには既に分かっていたことなのだろう。
昨日、馬込のことで文句を言った俺だが、「虎地獄」は確かに一定の領域まで引き上げるためのものなのだと理解した。
だから低い者は無茶をさせられる。
竹流は一定の領域に到達していたので、「虎地獄」も無理は無かったのだろう。
馬込は虎蘭が指導していた。
「あんた! 本当に昨日の馬込なの!」
「はい!」
虎蘭が驚いており、やがて楽しそうに技を教えて行った。
幾つかはまだ難しそうだったが、どんどん吸収する馬込が嬉しそうだった。
昼飯になり、虎白さんが虎蘭と一緒に来た。
「おい、高虎。馬込に何かしたか?」
やはり虎白さんは鋭い。
昨日の状態の馬込が今日どんな状態になるかは分かっている。
それが覆されたのだ。
しかしまだ虎白さんとはいえ、俺の血のことは話すことは出来ない。
確証が無いのだ。
一応自分の直観でやっているだけで、まるで保証が無い。
本当に手強い怪物を生み出す可能性だってあるのだ。
難関の血液学の難しさに加え、《神素》なんていう意味不明の問題まで含んでいる。
俺の血肉を欲しがられても厄介だし、気楽にウンコも出来ない。
「優しく看病しただけですよ」
「そんなはずはねぇ! こいつの右手はもげてもおかしくなかったんだ! 今日動かせるはずがねぇぞ!」
「無茶しないで下さいよ!」
「うるせぇ!」
虎蘭が「まあまあ」と納め、一緒に飯を食った。
今日は鮭の焼物ときのこ汁だ。
やっぱり美味い。
「おい、教えろ。俺たちに隠すようなことなのか?」
「そうです。滅多に使えないものなんですよ。失敗すれば《地獄の悪魔》どこじゃない怪物が生まれます」
「それをしたってか」
「こいつにはどうしてもやってもらいたいことがありましてね」
「そうかよ」
虎白さんはそこまでで一応引っ込んだ。
俺が話す気が無いのが分かったのと、俺が話せないのは誰にも知られるわけには行かない情報だと納得してくれたからだろう。
「魔法陣」の情報統制と同じだと感じてくれた。
「一つだけ教えろ。こいつは変わったよな?」
「まあ、そうですかね。確認してください」
「分かった」
昼飯が終わり、虎白さんが馬込の相手をした。
竹流を今度は虎蘭が指導する。
お腹の大きくなって来た虎蘭は自分の鍛錬もしてはいるが、今は主に指導に回っているようだ。
俺は32人の剣聖たちと遣り合った。
「高虎ぁ! 今日も泣かせてやんぜぇ!」
「ワハハハハハハハハ!」
剣聖たちがへたばった。
「た、高虎のくせに……」
「ワハハハハハハハ!」
もう俺の剣技は剣聖を圧倒している。
最後は50人近い剣聖の全員を相手にした。
虎蘭に聞いてみた。
「おい、剣聖って今何人いんだよ?」
「大体、200人くらいですかね」
「剣士は?」
「上級だけで8000人を超えたって聞いてますが」
「また一挙にふえたなー」
「アハハハハハハハ」
俺は我當会の連中を見に行った。
もう剣士見習いになっており、そこそこの実力を見せていた。
「石神さん!」
「おう、お前の名前知らねぇけど頑張ってるな!」
「ワハハハハハハハ!」
剣には素人だった連中だが、流石は虎白さんだ。
まあ、きっと「虎地獄」をもう経験しているのだろうが。
一人も欠けずにいる。
聖と天丸とも遣り合った。
聖は既に剣聖で、天丸もじきになるだろうと言われていた。
いい仕上がりだ。
天丸は本当に頑張っている。
一旦休憩となり、また虎白さんが俺のところへ来た。
「高虎、馬込は本物だ。昨日よ、とんでもねぇボンクラを連れて来やがったと思ったけどなぁ、ありゃいいぜ」
「そうですか」
「根性だけはあるとは思ったけどな。なかなか才能もある」
「へぇ」
虎白さんがコワイ顔で俺を睨んでいた。
やっぱり納得してなかったかー。
「おい、教えろ」
「やです」
「なんだとぉ!」
「さっきも言ったじゃないですかぁ!」
「いいから教えろ!」
「だからダメなんですってぇ!」
また虎蘭が笑って諫めてくれた。
「虎白さん、高虎さんがここまで言うのは、理由があるんですよ」
「ちぃ! お前は高虎の味方だよな!」
「そうですよ。虎白さんもそうでしょう?」
「ふん!」
それでも、その後の訓練も馬込を虎白さんが相手をし、嬉々として教えてくれていた。
馬込も必死な顔をしていたが、目を輝かせて教えを受けていた。
またその最中にも馬込の肉体が変化したが、間違いなく虎白さんも気付いていただろう。
またしつこく聞きにくるかなー。
朝食も一緒に摂れるようになり、聖と天丸が驚いていた。
竹流が嬉しそうに茶碗のお替りをしてやっていた。
天丸が文句のように言う。
「おい、随分とこいつ、元気そうじゃねぇか」
「そうだな」
「俺らんときは、全然違ったぞ」
「「虎地獄」と相性がいいんじゃねぇか?」
「そんなのがあんのかよ!」
聖が笑った。
「なんか、調子いいんですよ!」
「そうかよ? でもお前、体つきまで変わったよな?」
「そうだな、筋肉の付き方が昨日と違うぜ」
聖はともかく、天丸まで気付いた。
馬込の身体は痩せていたのだが、一晩で筋肉が増えた。
まだそれほどの違いはないのだが、明日にはもっと変わっているだろう。
俺の血のせいだ。
小さなラットであったシャドウは、目の前でみるみる2メートルを超す体重になった。
人間である馬込はそれほどの変化は無いが、それはレイラの時にも分かっている。
まあ、俺にもまだよく分かっていないことなので、観察は続けるつもりだが。
今日は竹流の番だった。
山頂の鍛錬場で待っていた真白が、竹流に鍼を打った。
他の連中とは違い、普通の鍼灸師の施術を受けているように見えた。
竹流はそれほどの苦痛もなく立ち上がり、虎白さんに打ち込まれた。
竹流は普通に動いていた。
多少の傷は負ったが、全身を切り刻まれた俺たちとは全然違った。
「……」
茶を飲んでいる真白に聞いた。
「おい、カワイイ子だから手加減したのかよ?」
「ふん、そうじゃないよ。あいつはもう仕上がってる。だから径を通すのは簡単さね」
「ほんとかよ!」
「たまーにいるよ。本当の天才だね」
「そんなもんか」
確かに竹流は誰にも教わらずに「飛行:鷹閃花」を習得し、あの若さで自分の固有技「マルミワドワーズ」まで編み出した奴だ。
連城十五の途轍もない闘神の血を引いているためか。
馬込とは対照的な奴だ。
虎白さんも別に驚いている風はなく、竹流に技を教えて行く。
虎白さんには既に分かっていたことなのだろう。
昨日、馬込のことで文句を言った俺だが、「虎地獄」は確かに一定の領域まで引き上げるためのものなのだと理解した。
だから低い者は無茶をさせられる。
竹流は一定の領域に到達していたので、「虎地獄」も無理は無かったのだろう。
馬込は虎蘭が指導していた。
「あんた! 本当に昨日の馬込なの!」
「はい!」
虎蘭が驚いており、やがて楽しそうに技を教えて行った。
幾つかはまだ難しそうだったが、どんどん吸収する馬込が嬉しそうだった。
昼飯になり、虎白さんが虎蘭と一緒に来た。
「おい、高虎。馬込に何かしたか?」
やはり虎白さんは鋭い。
昨日の状態の馬込が今日どんな状態になるかは分かっている。
それが覆されたのだ。
しかしまだ虎白さんとはいえ、俺の血のことは話すことは出来ない。
確証が無いのだ。
一応自分の直観でやっているだけで、まるで保証が無い。
本当に手強い怪物を生み出す可能性だってあるのだ。
難関の血液学の難しさに加え、《神素》なんていう意味不明の問題まで含んでいる。
俺の血肉を欲しがられても厄介だし、気楽にウンコも出来ない。
「優しく看病しただけですよ」
「そんなはずはねぇ! こいつの右手はもげてもおかしくなかったんだ! 今日動かせるはずがねぇぞ!」
「無茶しないで下さいよ!」
「うるせぇ!」
虎蘭が「まあまあ」と納め、一緒に飯を食った。
今日は鮭の焼物ときのこ汁だ。
やっぱり美味い。
「おい、教えろ。俺たちに隠すようなことなのか?」
「そうです。滅多に使えないものなんですよ。失敗すれば《地獄の悪魔》どこじゃない怪物が生まれます」
「それをしたってか」
「こいつにはどうしてもやってもらいたいことがありましてね」
「そうかよ」
虎白さんはそこまでで一応引っ込んだ。
俺が話す気が無いのが分かったのと、俺が話せないのは誰にも知られるわけには行かない情報だと納得してくれたからだろう。
「魔法陣」の情報統制と同じだと感じてくれた。
「一つだけ教えろ。こいつは変わったよな?」
「まあ、そうですかね。確認してください」
「分かった」
昼飯が終わり、虎白さんが馬込の相手をした。
竹流を今度は虎蘭が指導する。
お腹の大きくなって来た虎蘭は自分の鍛錬もしてはいるが、今は主に指導に回っているようだ。
俺は32人の剣聖たちと遣り合った。
「高虎ぁ! 今日も泣かせてやんぜぇ!」
「ワハハハハハハハハ!」
剣聖たちがへたばった。
「た、高虎のくせに……」
「ワハハハハハハハ!」
もう俺の剣技は剣聖を圧倒している。
最後は50人近い剣聖の全員を相手にした。
虎蘭に聞いてみた。
「おい、剣聖って今何人いんだよ?」
「大体、200人くらいですかね」
「剣士は?」
「上級だけで8000人を超えたって聞いてますが」
「また一挙にふえたなー」
「アハハハハハハハ」
俺は我當会の連中を見に行った。
もう剣士見習いになっており、そこそこの実力を見せていた。
「石神さん!」
「おう、お前の名前知らねぇけど頑張ってるな!」
「ワハハハハハハハ!」
剣には素人だった連中だが、流石は虎白さんだ。
まあ、きっと「虎地獄」をもう経験しているのだろうが。
一人も欠けずにいる。
聖と天丸とも遣り合った。
聖は既に剣聖で、天丸もじきになるだろうと言われていた。
いい仕上がりだ。
天丸は本当に頑張っている。
一旦休憩となり、また虎白さんが俺のところへ来た。
「高虎、馬込は本物だ。昨日よ、とんでもねぇボンクラを連れて来やがったと思ったけどなぁ、ありゃいいぜ」
「そうですか」
「根性だけはあるとは思ったけどな。なかなか才能もある」
「へぇ」
虎白さんがコワイ顔で俺を睨んでいた。
やっぱり納得してなかったかー。
「おい、教えろ」
「やです」
「なんだとぉ!」
「さっきも言ったじゃないですかぁ!」
「いいから教えろ!」
「だからダメなんですってぇ!」
また虎蘭が笑って諫めてくれた。
「虎白さん、高虎さんがここまで言うのは、理由があるんですよ」
「ちぃ! お前は高虎の味方だよな!」
「そうですよ。虎白さんもそうでしょう?」
「ふん!」
それでも、その後の訓練も馬込を虎白さんが相手をし、嬉々として教えてくれていた。
馬込も必死な顔をしていたが、目を輝かせて教えを受けていた。
またその最中にも馬込の肉体が変化したが、間違いなく虎白さんも気付いていただろう。
またしつこく聞きにくるかなー。
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