2,796 / 2,806
寮歌祭 準備 Ⅲ
しおりを挟む
中でお客さんの避難誘導をしていた警備員たちが私たちが犯人を取り押さえたのを見て高島屋の中から出て来て、すぐにパトカーと警官隊も集まって来た。
手足がへし折れた5人を見て、通行人が悲鳴を挙げていた。
もちろん、黒い連中は地面に転がって呻いている。
私たちが「虎」の軍の身分証を見せると、刑事さんから敬礼された。
もう「虎」の軍の身分証は、全警察官に周知されている。
「御苦労様です。あなた方が犯人を!」
「はい、銃を持っていたので、咄嗟に」
「はい! 本当に助かりました! あとは我々が確保いたします! 御協力、ありがとうございました!」
「いいえー」
まあこいつら、ちょっとは手際の良いやり方だったから、私たちがいなければ逃げられていたかもしれない。
多分、少し先で別な逃走車両が用意してある。
量子コンピューターを使えば追えるだろうけど、そこまでは私たちの範囲じゃない。
今度、早乙女さんに相談すっかー。
「虎」の軍の身分証なんで、私たちはすぐに解放された。
後で簡単な確認もされるだろうけど、このまま帰って良さそうだ。
そういうことなので、さっきから青い顔で突っ立っている薔薇たちに向いて言った。
「それで、お前ら、どこを斬られたい?」
「「「!」」」
「言わなきゃチンコな」
「「「!」」」
三人が泣き出した。
土下座して謝って来る。
「なんだ、首がいいのか?」
「「「ヒィッ!」」」
三人がすぐに立ち上がった。
さっき話していた刑事さんが私たちに気付いて走って来た。
「あの、こいつらも何か?」
「ああ、私らを拉致しようとしてきまして」
「なんですって!」
その時、日産のセレナが急ブレーキで停まった。
「おい! 早くそいつらを車に押し込め!」
高島屋の前のパトカーに気付いていないようだ。
私たちを攫うのに夢中なのだろう。
「早くしろって! なんだ、そのオッサン?」
刑事さんが身分証を見せた。
セレナの運転手と私たちの前の三人が身を強張らせた。
「こいつらなんですか?」
「さー、「業」の軍なのかなー」
「なんですって!」
「ちょっとこいつらも調べてもらえます?」
「もちろんです!」
三人がうなだれていた。
「ああ、ちょっと待って」
私が言うと、三人と刑事さんが私を見た。
「おい、お前ら、ところでどこを斬っていいんだよ?」
「「「!」」」
悪人だからなー。
すると、車の奴が叫んだ。
「おい、乗れ! 逃げっぞ!」
三人が一瞬私を見て、慌ててスライドドアを引いて逃げようとした。
真昼が前に飛んで、「螺旋花」をフロントにぶち込んだ。
車体の下が吹っ飛んで、セレナがガコンと落ちた。
「てぇーめぇーらぁー!」
全員を車から引きずり出して歩道に放り投げた。
刑事さんが警官たちを呼んだ。
「そ、それでは彼らを連行しますので!」
「そうですか」
「あ、あの、よろしいですか!」
「お願い出来ますか」
「もちろんです。では」
歩き出した私たちの後ろで、刑事さんが四人に話しているのが聞こえた。
「お前ら、助かったな」
「ありがとうございます!」
「僕の目の前で殺されても不思議は無かったんだぞ?」
「「「「!」」」」
いいヒマ潰しが出来たので、丁度いい時間に懐石料理のお店に入った。
座敷に案内され、私は6人前、真夜と真昼は3人前のコースが出て来た。
お昼だったけど、特別にディナーメニューを出してもらっている。
「豚シャブも結構美味しいんだよ!」
「そうなんですか!」
牛シャブと豚シャブが半々のコースが、私は五人前と懐石料理のコースが一人前。
真夜と真昼はそれが二人前と一人前にしている。
「あ、豚シャブも美味しいですね!」
「ね!」
「亜紀さんは美味しいお店、一杯知ってますよね?」
「私じゃないよ、タカさんがね、前に連れて来てくれたの!」
「なるほど!」
「でもね、タカさんは全然食通ぶらないの。それに、あんまり外に食べにも行かないのね」
「不思議ですねぇ」
「スイーツなんかもね、私たちにどこのお店の何を買って来るように言うの」
「はい」
「いっつも、びっくりするぐらい美味しいの!」
「凄いですね!」
楽しく話しながら食べて行った。
「食べ歩きなんかしないのにねぇ。本当に不思議」
「それに、石神さんのお料理っていつも美味しいですよね?」
「真昼、いいこと言ったぁー!」
「アハハハハハハ」
真昼に豚を一枚あげようとしたら、「コワイからいいです」と遠慮された。
むしゃむしゃ。
「本当にそうなのよ! タカさんって、いつも美味しいものを私たちに作ってくれるの!」
「今は亜紀さんたちが作ってますよね?」
「でも時々タカさんが作ってくれるんだ! 今じゃルーとハーが料理に興味を持って頑張ってくれてるんだけど、いつもタカさんにアドバイスもらってる。それにやっぱりタカさんが作ると違うんだなぁー」
「そうなんですか!」
「亜紀さんはずっと石神さんのお傍にいるんで、死ぬまで食べられますね」
「真夜、最高のこと言ったぁー!」
豚シャブの残りを全部あげようとしたら「ものすごいコワイんでいいです」と言われた。
むしゃむしゃ。
最後に抹茶のババロアが出て、それも美味しかった。
支払いは真夜が自分たちに付き合ってもらったお礼だと言った。
「真夜、私が誘ったんだから私が払うよ!」
「いいえ、亜紀さん。いつも亜紀さんに御馳走になってばかりですから」
「何言ってんの、友達でしょ?」
「はい、だからですよ。あんな素敵なお店を紹介していただいて、今日もわざわざ車を出していただいて。友達だったら、お返しをしないと」
「真夜!」
「ね、亜紀さん?」
「うん、御馳走さまでした!」
「はい、また出掛けましょうね」
「うん!」
三人で高島屋に寄って「グラマシーニューヨーク」の杏仁豆腐を買って帰った。
真夜たちも一緒に三時のお茶にした。
タカさんに高島屋で強盗を捕まえた話をし、ついでにナンパして来た連中を締めた話をすると、大笑いしていた。
ネットのニュースを集め、夕方のニュースをみんなで観た。
楽しい一日だったぁー!
手足がへし折れた5人を見て、通行人が悲鳴を挙げていた。
もちろん、黒い連中は地面に転がって呻いている。
私たちが「虎」の軍の身分証を見せると、刑事さんから敬礼された。
もう「虎」の軍の身分証は、全警察官に周知されている。
「御苦労様です。あなた方が犯人を!」
「はい、銃を持っていたので、咄嗟に」
「はい! 本当に助かりました! あとは我々が確保いたします! 御協力、ありがとうございました!」
「いいえー」
まあこいつら、ちょっとは手際の良いやり方だったから、私たちがいなければ逃げられていたかもしれない。
多分、少し先で別な逃走車両が用意してある。
量子コンピューターを使えば追えるだろうけど、そこまでは私たちの範囲じゃない。
今度、早乙女さんに相談すっかー。
「虎」の軍の身分証なんで、私たちはすぐに解放された。
後で簡単な確認もされるだろうけど、このまま帰って良さそうだ。
そういうことなので、さっきから青い顔で突っ立っている薔薇たちに向いて言った。
「それで、お前ら、どこを斬られたい?」
「「「!」」」
「言わなきゃチンコな」
「「「!」」」
三人が泣き出した。
土下座して謝って来る。
「なんだ、首がいいのか?」
「「「ヒィッ!」」」
三人がすぐに立ち上がった。
さっき話していた刑事さんが私たちに気付いて走って来た。
「あの、こいつらも何か?」
「ああ、私らを拉致しようとしてきまして」
「なんですって!」
その時、日産のセレナが急ブレーキで停まった。
「おい! 早くそいつらを車に押し込め!」
高島屋の前のパトカーに気付いていないようだ。
私たちを攫うのに夢中なのだろう。
「早くしろって! なんだ、そのオッサン?」
刑事さんが身分証を見せた。
セレナの運転手と私たちの前の三人が身を強張らせた。
「こいつらなんですか?」
「さー、「業」の軍なのかなー」
「なんですって!」
「ちょっとこいつらも調べてもらえます?」
「もちろんです!」
三人がうなだれていた。
「ああ、ちょっと待って」
私が言うと、三人と刑事さんが私を見た。
「おい、お前ら、ところでどこを斬っていいんだよ?」
「「「!」」」
悪人だからなー。
すると、車の奴が叫んだ。
「おい、乗れ! 逃げっぞ!」
三人が一瞬私を見て、慌ててスライドドアを引いて逃げようとした。
真昼が前に飛んで、「螺旋花」をフロントにぶち込んだ。
車体の下が吹っ飛んで、セレナがガコンと落ちた。
「てぇーめぇーらぁー!」
全員を車から引きずり出して歩道に放り投げた。
刑事さんが警官たちを呼んだ。
「そ、それでは彼らを連行しますので!」
「そうですか」
「あ、あの、よろしいですか!」
「お願い出来ますか」
「もちろんです。では」
歩き出した私たちの後ろで、刑事さんが四人に話しているのが聞こえた。
「お前ら、助かったな」
「ありがとうございます!」
「僕の目の前で殺されても不思議は無かったんだぞ?」
「「「「!」」」」
いいヒマ潰しが出来たので、丁度いい時間に懐石料理のお店に入った。
座敷に案内され、私は6人前、真夜と真昼は3人前のコースが出て来た。
お昼だったけど、特別にディナーメニューを出してもらっている。
「豚シャブも結構美味しいんだよ!」
「そうなんですか!」
牛シャブと豚シャブが半々のコースが、私は五人前と懐石料理のコースが一人前。
真夜と真昼はそれが二人前と一人前にしている。
「あ、豚シャブも美味しいですね!」
「ね!」
「亜紀さんは美味しいお店、一杯知ってますよね?」
「私じゃないよ、タカさんがね、前に連れて来てくれたの!」
「なるほど!」
「でもね、タカさんは全然食通ぶらないの。それに、あんまり外に食べにも行かないのね」
「不思議ですねぇ」
「スイーツなんかもね、私たちにどこのお店の何を買って来るように言うの」
「はい」
「いっつも、びっくりするぐらい美味しいの!」
「凄いですね!」
楽しく話しながら食べて行った。
「食べ歩きなんかしないのにねぇ。本当に不思議」
「それに、石神さんのお料理っていつも美味しいですよね?」
「真昼、いいこと言ったぁー!」
「アハハハハハハ」
真昼に豚を一枚あげようとしたら、「コワイからいいです」と遠慮された。
むしゃむしゃ。
「本当にそうなのよ! タカさんって、いつも美味しいものを私たちに作ってくれるの!」
「今は亜紀さんたちが作ってますよね?」
「でも時々タカさんが作ってくれるんだ! 今じゃルーとハーが料理に興味を持って頑張ってくれてるんだけど、いつもタカさんにアドバイスもらってる。それにやっぱりタカさんが作ると違うんだなぁー」
「そうなんですか!」
「亜紀さんはずっと石神さんのお傍にいるんで、死ぬまで食べられますね」
「真夜、最高のこと言ったぁー!」
豚シャブの残りを全部あげようとしたら「ものすごいコワイんでいいです」と言われた。
むしゃむしゃ。
最後に抹茶のババロアが出て、それも美味しかった。
支払いは真夜が自分たちに付き合ってもらったお礼だと言った。
「真夜、私が誘ったんだから私が払うよ!」
「いいえ、亜紀さん。いつも亜紀さんに御馳走になってばかりですから」
「何言ってんの、友達でしょ?」
「はい、だからですよ。あんな素敵なお店を紹介していただいて、今日もわざわざ車を出していただいて。友達だったら、お返しをしないと」
「真夜!」
「ね、亜紀さん?」
「うん、御馳走さまでした!」
「はい、また出掛けましょうね」
「うん!」
三人で高島屋に寄って「グラマシーニューヨーク」の杏仁豆腐を買って帰った。
真夜たちも一緒に三時のお茶にした。
タカさんに高島屋で強盗を捕まえた話をし、ついでにナンパして来た連中を締めた話をすると、大笑いしていた。
ネットのニュースを集め、夕方のニュースをみんなで観た。
楽しい一日だったぁー!
0
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
まさか、、お兄ちゃんが私の主治医なんて、、
ならくま。くん
キャラ文芸
おはこんばんにちは!どうも!私は女子中学生の泪川沙織(るいかわさおり)です!私こんなに元気そうに見えるけど実は貧血や喘息、、いっぱい持ってるんだ、、まあ私の主治医はさすがに知人だと思わなかったんだけどそしたら血のつながっていないお兄ちゃんだったんだ、、流石にちょっとこれはおかしいよね!?でもお兄ちゃんが医者なことは事実だし、、
私のおにいちゃんは↓
泪川亮(るいかわりょう)お兄ちゃん、イケメンだし高身長だしもう何もかも完璧って感じなの!お兄ちゃんとは一緒に住んでるんだけどなんでもてきぱきこなすんだよね、、そんな二人の日常をお送りします!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる