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九州・我當会 Ⅵ
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我當会の本部で全員が集まり、俺は「虎の穴」へ連絡し、「霊素観測レーダー」を搭載した《ウラール》の出撃とソルジャー、デュールゲリエの派遣を指示した。
我當会が把握したものが全ての拠点とは限らない。
《ウラール》の「霊素観測レーダー」で感知できない異常な状況があれば、とにかく襲撃しろと命じた。
そういう場所は、妖魔を練り込んだ特殊な施設であり、要するに敵の拠点ということだ。
俺たちはもうやることも無いので食事を用意させた。
今度は我當会本部のでかい広間に案内され、畳敷きの500畳の部屋だった。
本部建物とは別棟のものだ。
ここで様々な式典などが行なわれるのだろう。
我當は親子盃の儀を執り行ないたいと言ったので、俺たちが好きに飲み食いして良いのであればと承諾した。
300人の組員が座り、厳かに親子盃の儀が進行した。
俺と我當を中心に、俺の側に亜紀ちゃん、柳、千両。
我當の側に座光寺と新藤という幹部が座った。
流石に九州の雄だけあり、格調の高いものだった。
我當が俺の盃を受け、俺たちも一応儀式の間は大人しく付き合った。
千両が亜紀ちゃんの向こうから声を掛けて来た。
「石神さん、懐かしいですな」
「お前んとこは辰巳組が暴れて血まみれだったけどな」
「アハハハハハハハ!」
亜紀ちゃんはこういうのが好きなので、興奮気味で儀式を眺めていた。
柳は興味無いだろうが、大人しく終わるのを待っていた。
俺が急げと言ったので、20分ほどで儀式が終わり、宴会となった。
見たことも無いでかい鯛が後ろにあり、もう一尾、小さな鯛が置かれていた。
親子の格付けが表わされている。
様々な魚介が俺たちの前に用意され、また専任の料理人が切り分けて行く。
ステーキ用の料理人が3人いて、亜紀ちゃんと柳がどんどん注文して行く。
寿司職人もいたし、後ろの方に天ぷらを揚げる奴もいた。
俺たちの膳はまたばかでかいもので、我當たちのものは少し小さなものになっている。
俺は洋食の皿を口にして驚いた。
その俺の表情を見て、我當が言った。
「フレンチの職人も控えておりますので、召し上がりたいものがありましたら」
「そうか、じゃあ、車エビとソラマメのフランに、何か冷たいリキッドで皿にしてくれ」
「かしこまりました」
おい、出来んのかよ?
結構手間の掛かる料理のはずだが、20分で出て来た。
スゴイ料理人がいる。
車エビとソラマメの蒸しはともかく、俺が咄嗟に言ったものの全体のバランスを取って全体をローズマリーなどの香草できちんとまとめ上げてある。
それに最大の問題は「冷たいリキッド」だ。
これが温製のものであれば話は違う。
冷製のものは相当な熟練を要する。
香りと味わいが冷たいものは鈍くなるのだ。
だから冷たい中でしっかりと味を出すというのは難しい。
ローズマリーの香りが程よく感じられるのも素晴らしい。
大体、フランを更にリキッドで覆うなどということは、普通のフレンチの職人はやらない。
「おい、美味いぞ!」
我當は頭を軽く下げただけだった。
自慢めいた雰囲気は微塵も無い。
「料理人を呼んでくれないか? 是非礼を言いたい」
「かしこまりました」
人が出て行って、すぐに料理人を連れて来た。
「本日のフレンチを担当しております木崎と申します」
「見事な腕前だ! 本当に美味かった。ありがとう」
「「虎」の軍の石神様にお褒め頂ければ光栄でございます」
「俺なんて別に食通でもなんでもねぇ。ただ、これだけ心を込めたものを出されたら礼を言いたくなるってもんだ」
「心をですか」
「そうだろう? 幾らでも妥協できるものに、これだけの完璧さを盛り込んだんだ。木崎さんは最高の料理人だ」
「ありがとうございます。そのお言葉、一生の誇りになります」
「何言ってやがる。こんなクソヤクザの下にいたんじゃもったいねぇぞ」
「普段は店を持っております。今回は石神様がいらっしゃると伺いまして、拙いながらも自分からお願いしました」
「おい、今後我當会がなんか言ってきたら俺に連絡しろ。全部ぶっ潰してやるからよ」
「ありがとうございます」
木崎は笑顔で戻って行った。
「あの料理人をいじめてねぇだろうなぁ!」
「滅相も無い。うちでも普段は相手にされない人ですよ。本当に石神さんのお名前で来て貰ったんです」
「千両! 俺ってスゲェな!」
「まったくで」
亜紀ちゃんと柳が口にステーキを頬張りながら、俺と木崎の遣り取りを聞いていた。
亜紀ちゃんと柳も夢中で貪っている。
特に寿司職人が必死にマグロの柵に挑み続けている。
マグロやステーキなど、高級な食材が美味い食事だと思い込んでいる。
まあ、間違いでもないし、好きなように考えればいいことだ。
ステーキの合間にマグロの握りを喰って、笑顔になっている。
それでいい。
でも、木崎の作ったムール貝とカニのメロッソをいつもの御飯の感覚で口に入れた瞬間。
「! これ、美味しい!」
亜紀ちゃんが叫んで、柳にも食べるように言った。
柳も口に入れる。
「!」
「ね!」
「ほんとだ! なにこれ!」
「タカさんが褒めるはずですよ!」
「そうだよね!」
どうやら、木崎の腕前に気付いたようだった。
ステーキとマグロの寿司を止めて、フレンチの皿を狙い始めた。
どれも夢中で漁って行く。
その様子を見ていた着物の仲居たちが甲斐甲斐しく空いた皿を下げて行く。
「お嬢様方も、よろしければ食べたいものを仰って下さい」
「この人の焼いたステーキが食べたい!」
やっぱ、それかぁー。
我當が笑いながら言った。
「もう用意しているはずです」
様々な料理の中で、木崎は俺たちの食べ方を観て次の料理を用意していくのだろう。
ステーキを喰い続ける亜紀ちゃんたちのために、確かにもう準備しているはずだった。
予想通りに、5分で500gの赤肉のステーキが出て来た。
亜紀ちゃんと柳が唸り、涙を浮かべながらステーキを食べた。
俺には200gのものだ。
そういうことも、ちゃんと「心」で推し量って作っている人間だ。
「赤身の熟成肉だな。火の通りが完璧だ」
ナイフを入れた瞬間に皿の上まで落ちるように切れる。
赤身肉は炭火で焼くのが一番美味い。
ただ、火が近いと硬くなるので、遠火でじっくりと焼かなければならない。
非常に手間と時間が掛かるものだ。
だから最初から木崎はこの肉に取り掛かっていたはずだった。
その合間に俺の注文を受けて、あれだけの皿を出したのか。
改めて、木崎の凄さが分かった。
亜紀ちゃんが俺に聞いて来た。
「タカさん、さっきの炊いたご飯はなんですか!」
もうとっくに二人は食べ尽くしている。
「メロッソというな、洋風のおじやのようなものだ。魚介の出汁で炊き込んだものだよ」
「そうなんですか! 一口食べたら、口の中が幸せになりました!」
俺が笑い、また言った。
「このステーキも最高だろ? 多分、2時間以上かけている」
「「エェ!」」
「お前らの喰い方じゃ一生喰えないものだよなぁ」
「石神さん、じゃあこのお肉のお替りは!」
「まあこれだけの腕前だ。お任せで他にも食べた方がいいぞ」
「「はい!」」
木崎のものには及ばないが、ステーキを焼いている連中も腕は悪くない。
丁寧に下ごしらえを施した様々な部位を一番美味い火加減で出してきている。
寿司職人も一流だ。
ようやく二人も落ち着いて、俺と同じく寿司はお任せで握ってもらった。
一流の職人は、客の喰い方を見ながら満足させるように作って行く。
亜紀ちゃんと柳も、ステーキを喰いながら他の寿司ネタに喜んでいた。
大食いと超大食いの俺たちが満足する食事となった。
最後に木崎が自ら洋ナシのムースを持って来た。
俺たちが木崎を褒め称え、他の料理人たちにも礼を言った。
「我當、素晴らしい食事をありがとうな」
「いいえ、とんでもございません」
我當会はもてなしの高さで有名だったが、確かにその通りだった。
俺たちをここまで満足させる所は少ない。
「心」が無ければ出来ないことだ。
我當会が把握したものが全ての拠点とは限らない。
《ウラール》の「霊素観測レーダー」で感知できない異常な状況があれば、とにかく襲撃しろと命じた。
そういう場所は、妖魔を練り込んだ特殊な施設であり、要するに敵の拠点ということだ。
俺たちはもうやることも無いので食事を用意させた。
今度は我當会本部のでかい広間に案内され、畳敷きの500畳の部屋だった。
本部建物とは別棟のものだ。
ここで様々な式典などが行なわれるのだろう。
我當は親子盃の儀を執り行ないたいと言ったので、俺たちが好きに飲み食いして良いのであればと承諾した。
300人の組員が座り、厳かに親子盃の儀が進行した。
俺と我當を中心に、俺の側に亜紀ちゃん、柳、千両。
我當の側に座光寺と新藤という幹部が座った。
流石に九州の雄だけあり、格調の高いものだった。
我當が俺の盃を受け、俺たちも一応儀式の間は大人しく付き合った。
千両が亜紀ちゃんの向こうから声を掛けて来た。
「石神さん、懐かしいですな」
「お前んとこは辰巳組が暴れて血まみれだったけどな」
「アハハハハハハハ!」
亜紀ちゃんはこういうのが好きなので、興奮気味で儀式を眺めていた。
柳は興味無いだろうが、大人しく終わるのを待っていた。
俺が急げと言ったので、20分ほどで儀式が終わり、宴会となった。
見たことも無いでかい鯛が後ろにあり、もう一尾、小さな鯛が置かれていた。
親子の格付けが表わされている。
様々な魚介が俺たちの前に用意され、また専任の料理人が切り分けて行く。
ステーキ用の料理人が3人いて、亜紀ちゃんと柳がどんどん注文して行く。
寿司職人もいたし、後ろの方に天ぷらを揚げる奴もいた。
俺たちの膳はまたばかでかいもので、我當たちのものは少し小さなものになっている。
俺は洋食の皿を口にして驚いた。
その俺の表情を見て、我當が言った。
「フレンチの職人も控えておりますので、召し上がりたいものがありましたら」
「そうか、じゃあ、車エビとソラマメのフランに、何か冷たいリキッドで皿にしてくれ」
「かしこまりました」
おい、出来んのかよ?
結構手間の掛かる料理のはずだが、20分で出て来た。
スゴイ料理人がいる。
車エビとソラマメの蒸しはともかく、俺が咄嗟に言ったものの全体のバランスを取って全体をローズマリーなどの香草できちんとまとめ上げてある。
それに最大の問題は「冷たいリキッド」だ。
これが温製のものであれば話は違う。
冷製のものは相当な熟練を要する。
香りと味わいが冷たいものは鈍くなるのだ。
だから冷たい中でしっかりと味を出すというのは難しい。
ローズマリーの香りが程よく感じられるのも素晴らしい。
大体、フランを更にリキッドで覆うなどということは、普通のフレンチの職人はやらない。
「おい、美味いぞ!」
我當は頭を軽く下げただけだった。
自慢めいた雰囲気は微塵も無い。
「料理人を呼んでくれないか? 是非礼を言いたい」
「かしこまりました」
人が出て行って、すぐに料理人を連れて来た。
「本日のフレンチを担当しております木崎と申します」
「見事な腕前だ! 本当に美味かった。ありがとう」
「「虎」の軍の石神様にお褒め頂ければ光栄でございます」
「俺なんて別に食通でもなんでもねぇ。ただ、これだけ心を込めたものを出されたら礼を言いたくなるってもんだ」
「心をですか」
「そうだろう? 幾らでも妥協できるものに、これだけの完璧さを盛り込んだんだ。木崎さんは最高の料理人だ」
「ありがとうございます。そのお言葉、一生の誇りになります」
「何言ってやがる。こんなクソヤクザの下にいたんじゃもったいねぇぞ」
「普段は店を持っております。今回は石神様がいらっしゃると伺いまして、拙いながらも自分からお願いしました」
「おい、今後我當会がなんか言ってきたら俺に連絡しろ。全部ぶっ潰してやるからよ」
「ありがとうございます」
木崎は笑顔で戻って行った。
「あの料理人をいじめてねぇだろうなぁ!」
「滅相も無い。うちでも普段は相手にされない人ですよ。本当に石神さんのお名前で来て貰ったんです」
「千両! 俺ってスゲェな!」
「まったくで」
亜紀ちゃんと柳が口にステーキを頬張りながら、俺と木崎の遣り取りを聞いていた。
亜紀ちゃんと柳も夢中で貪っている。
特に寿司職人が必死にマグロの柵に挑み続けている。
マグロやステーキなど、高級な食材が美味い食事だと思い込んでいる。
まあ、間違いでもないし、好きなように考えればいいことだ。
ステーキの合間にマグロの握りを喰って、笑顔になっている。
それでいい。
でも、木崎の作ったムール貝とカニのメロッソをいつもの御飯の感覚で口に入れた瞬間。
「! これ、美味しい!」
亜紀ちゃんが叫んで、柳にも食べるように言った。
柳も口に入れる。
「!」
「ね!」
「ほんとだ! なにこれ!」
「タカさんが褒めるはずですよ!」
「そうだよね!」
どうやら、木崎の腕前に気付いたようだった。
ステーキとマグロの寿司を止めて、フレンチの皿を狙い始めた。
どれも夢中で漁って行く。
その様子を見ていた着物の仲居たちが甲斐甲斐しく空いた皿を下げて行く。
「お嬢様方も、よろしければ食べたいものを仰って下さい」
「この人の焼いたステーキが食べたい!」
やっぱ、それかぁー。
我當が笑いながら言った。
「もう用意しているはずです」
様々な料理の中で、木崎は俺たちの食べ方を観て次の料理を用意していくのだろう。
ステーキを喰い続ける亜紀ちゃんたちのために、確かにもう準備しているはずだった。
予想通りに、5分で500gの赤肉のステーキが出て来た。
亜紀ちゃんと柳が唸り、涙を浮かべながらステーキを食べた。
俺には200gのものだ。
そういうことも、ちゃんと「心」で推し量って作っている人間だ。
「赤身の熟成肉だな。火の通りが完璧だ」
ナイフを入れた瞬間に皿の上まで落ちるように切れる。
赤身肉は炭火で焼くのが一番美味い。
ただ、火が近いと硬くなるので、遠火でじっくりと焼かなければならない。
非常に手間と時間が掛かるものだ。
だから最初から木崎はこの肉に取り掛かっていたはずだった。
その合間に俺の注文を受けて、あれだけの皿を出したのか。
改めて、木崎の凄さが分かった。
亜紀ちゃんが俺に聞いて来た。
「タカさん、さっきの炊いたご飯はなんですか!」
もうとっくに二人は食べ尽くしている。
「メロッソというな、洋風のおじやのようなものだ。魚介の出汁で炊き込んだものだよ」
「そうなんですか! 一口食べたら、口の中が幸せになりました!」
俺が笑い、また言った。
「このステーキも最高だろ? 多分、2時間以上かけている」
「「エェ!」」
「お前らの喰い方じゃ一生喰えないものだよなぁ」
「石神さん、じゃあこのお肉のお替りは!」
「まあこれだけの腕前だ。お任せで他にも食べた方がいいぞ」
「「はい!」」
木崎のものには及ばないが、ステーキを焼いている連中も腕は悪くない。
丁寧に下ごしらえを施した様々な部位を一番美味い火加減で出してきている。
寿司職人も一流だ。
ようやく二人も落ち着いて、俺と同じく寿司はお任せで握ってもらった。
一流の職人は、客の喰い方を見ながら満足させるように作って行く。
亜紀ちゃんと柳も、ステーキを喰いながら他の寿司ネタに喜んでいた。
大食いと超大食いの俺たちが満足する食事となった。
最後に木崎が自ら洋ナシのムースを持って来た。
俺たちが木崎を褒め称え、他の料理人たちにも礼を言った。
「我當、素晴らしい食事をありがとうな」
「いいえ、とんでもございません」
我當会はもてなしの高さで有名だったが、確かにその通りだった。
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