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「般若」でお祝いパーティ Ⅱ

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 他のみんなにはお茶を飲んでゆっくりしてもらい、俺は双子を連れて先に「般若」に行った。
 ハマーは後から亜紀ちゃんがみんなを移動で使うので、タクシーでの移動だ。
 悪いが鷹にも早目に来て貰うようにしている。
 今日は結構な人数が集まるので、料理の準備が大変なはずだ。
 カスミが中心で頑張っているはずだが、青も涼子ちゃんも必死にやっている。
 だから少し早めに行って手伝おうと思っていた。

 「般若」に入ると、思った通り青たちが忙しそうに動いていた。

 「よう! 青、来たぞ!」
 「赤虎! 来てくれたのかよ! 助かるぜ!」

 青が嬉しそうに笑い、カスミと涼子ちゃんも礼を言って来た。
 鷹がもう来ていて、笑顔で俺たちを迎えてくれた。
 俺たちは笑ってすぐにエプロンを付けて手伝い始めた。
 外でバーベキュー台を置き、どんどん焼きながらサパーする方は後からでもいい。
 先に作って置くべき料理も大量にあり、ローストビーフや各種シチューやスープなどの時間の掛かるものはほぼ出来ているようだ。
 後は焼物と刺身などの生ものがメインで、俺たちはそちらを作って行く。
 大量の伊勢海老のテルミドールがあり、俺は主にそれを担当する。
 カスミは各種器の料理で、青はパスタに取り掛かり、涼子ちゃんはサラダを始めている。
 双子は鰻に取り掛かって、ルーが鰻を捌き、ハーがどんどん焼いて行く。
 鷹は日本料理を見事な腕前で作って行く。
 ここだけでは捌き切れないピザなどは専門店に頼んである。
 イタリアンレストランのものだ。
 そのうちに亜紀ちゃんたちも来て、みんなが店に入って来た。
 まだ4時だが、亜紀ちゃんと柳がテーブルを並べ始める。
 今日は店のテーブルでは足りないので、外のテラスカフェで使っているものも中へ運んで行き、ソファなども運び込んだ。
 そのまま二人は外でバーベキューの食材の準備を始めた。


 5時になり、響子が六花たちと茜と葵を連れて来た。
 御堂も澪さんと一緒に来た。
 大渕さんも呼んだのだが、忙しくて来られなかった。
 ダフニスとクロエも護衛についている。
 佐野さんと奥さんが早乙女たちと一緒に来た。
 羽入と紅がほとんど一緒に到着したが、慌てて車を降りて早乙女に挨拶していた。
 そして、でかいベンツのリムジンが来て、ローマ教皇たちが降りて来た。
 流石にその時だけは俺が出迎えた。
 ローマ教皇たちはまっすぐに響子の前に行き、挨拶をした。
 佐野さんが誰なのかに気付いて大声で叫んでいた。
 早乙女が笑ってなだめている。
 早乙女の奴、佐野さんに話してなかったのかよ。
 そのままリムジンを護衛していたデュールゲリエたちが敷地の警戒に入る。
 院長夫妻が最後に来た。

 「おお、大物は最後に登場ですよね!」
 「え!」

 院長が慌ててローマ教皇に挨拶に行った。





 40名以上の人数になったが、「般若」は結構広いので十分に座れた。
 ローマ教皇たちを元々のソファ席に座らせ、響子やまだ身体の万全でない茜たちのためにも、別途ソファを入れてある。
 子どもを生んだばかりの麗星、栞、六花のためにも柔らかなクッションのある椅子を用意した。

 俺が挨拶をし、それぞれの子どもたちと一緒に立っている妻たちをみんなに紹介した。
 みんながベビーベッドに寝かせた夜羽、千歌、銀世、金華、銀華の周りに集まり愛でて行った。
 食事を始め、青やカスミ、涼子ちゃんが忙しくする。
 俺は双子に手伝わせ、亜紀ちゃんと柳は外のバーベキューを始めた。
 鷹も手伝おうとしていたが、俺の隣に座らせた。
 各テーブルを回る時にも、鷹と一緒に回った。
 最初に遠慮して外のテーブルに座っていた羽入と紅を怒鳴りつけて中へ入れ、早乙女たちのテーブルに座らせた。

 ローマ教皇、ガスパリ大司教とマクシミリアンのテーブル。
 
 「石神さん、すみません。ここで何かがあると聞くとどうしても来たくなってしまって」
 「大歓迎ですよ。みなさんお元気そうですね」
 「ええ、いただきましたアレが本当にありがたく。今後もバチカンは石神さんに全力で協力して行きます」
 「お願いします」

 ローマ教皇たちは食欲も旺盛で、ガスパリ大司教は後で出るスイーツが楽しみだと言った。
 ガスパリ大司教は甘いものが大好きだ。

 「マクシミリアン、お前の軍団はどうだよ?」
 「見に来い。度肝を抜いてやる」
 「そうか、じゃあ近々行くからな」
 「楽しみにしている」

 青が刺身の器を持って来た。
 
 「お口に合えばと思いまして。日本人は大好きなんですよ」
 「サシミですか! 大好物です!」

 マクシミリアンがすぐに箸でつまんだ。
 マグロの中トロを慣れた手つきでワザビを乗せて醤油に付けて口に入れた。

 「美味しいです!」
 「そうですか!」

 ローマ教皇とガスパリ大司教もマクシミリアンに促され、醤油だけを付けて食べてみる。
 口に入れて笑顔になった。

 「これは美味しいですね」
 「良かった。一杯ありますから」

 うーん、普段この人たちは何を食べているのだろうか。
 一応ピザもあるのだが。

 響子と六花と吹雪、茜と葵たちのテーブル。

 「響子、銀世はカワイイだろう?」
 「うん! 吹雪みたいに美少年になるね!」
 「そうだよなぁ。六花の街でさ、吹雪が外に出ると人だかりが出来て大変なんだよ」
 「そうなんだ!」

 吹雪は意味が分かっているのかニコニコしている。
 俺はエアリアルが「紫苑六花公園」で吹雪に近づいて大変なことになったと話した。
 エアリアルが「虎」の軍の最重要人物だと伝えた。

 「カリンって手が早いんだよ。制止しても近づこうとするから、エアリアルをぶっ飛ばしてさ」
 「そうなんだ!」
 「まあ、護衛が護ったんだけどさ。エアリアルが鼻血出しちゃってなぁ」
 「たいへんだね!」
 「六花たちも後から正体が分かって大騒ぎでな。俺も様子を見に行ったんだ」
 「そう! 六花、良かったね!」
 「ええ、トラが来てくれなかったら、緊張で倒れそうでした」
 「お前、倒れたじゃん」
 「トラぁー!」

 みんなで笑った。

 御堂と澪さん、早乙女達と佐野さん夫婦、羽入と紅のテーブル。

 「御堂、忙しいのに来てくれてありがとうな」
 「僕も来たかったよ。御子さんたちはみんな元気でいいね」
 「まあな、それが一番だ。お前のとこの三人目は?」
 「えぇ!」

 澪さんが笑い、早乙女達も笑った。

 「雪野さん、お話しても?」
 「ええ、もちろん。御堂さん、私たちも三人目が」
 「そうなんですか! おめでとうございます!」
 「雪野さん、おめでたいわ。お身体を大切にしてね」
 「はい!」

 「だからな。お前らも早く」
 「石神!」

 またみんなが笑った。

 「久留守もお兄ちゃんだな」
 「はい!」
 「怜花はまたお姉ちゃんだな」
 「はい!」
 「早乙女」
 「なんだ?」
 「今度はお前たちで名前を考えろよな」
 「……」
 「おい! 何で黙ってやがる!」

 御堂と澪さんが爆笑した。

 「うちも石神に頼めばよかったよ」
 「おい!」
 「そうでしたね」
 「御堂総理、石神の名付けは最高ですよ!」
 「バカを言うな!」

 怜花と久留守がニコニコしているので、二人の頭を撫でてやった。
 鷹が後ろから肩を抱いて可愛がる。

 「石神先生、二人ともいいお名前ですよね?」
 「おい、鷹まで!」
 「そうでしょう、鷹さん!」
 「まあ、熱が出るまで考えたからな」

 早乙女が心配そうな顔になり、雪野さんがそれを見て笑っていた。

 「羽入、乾さんは会ったことがあるな?」
 「ええ、zecOO(カッチョイイ電動モーターのバイク)の相談に行きました」
 「ディディと虎彦にも会ったな?」
 「ええ、虎彦には驚きましたよ」

 俺は笑顔で言ってやった。

 「いつでも言ってくれな」
 「はい?」
 「お前らの子どもだよ!」
 「「!」」

 俺は二人の肩に後ろから手を乗せた。

 「この戦いが終わっても、お前らは一緒だ。そうだろう?」
 「石神さん……」

 栞と士王、斬、桜花たちと一江と大森のテーブル。
 
 「あなた、皇紀君の子どもたちもカワイイよね!」
 「そうだな。初産で双子とは思わなかったけどなぁ」
 「そうだよね」
 「やっぱ皇紀が双子が大好きだからだろうな」
 「そういうもの?」

 みんなで笑った。
 斬も士王の隣でニコニコだ。

 「もう東京もあとちょっとね」
 「まあな。あっちにもちょくちょく行くからな」
 「本当だよ! 約束してよ!」
 「分かったよ」
 
 
 ♪ ゆびきりげんまん ウソついたら チンコ斬る ♪


 「おい!」
 「だから守ってね!」
 「おう!」




 ちゃんと行こう。
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