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みんなで真夏の別荘! Ⅱ

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 子どもたちがバーベキューの準備をしている間、俺たちはのんびり話していた。
 俺は麗星、六花、栞に生まれた子どもたちの話をした。
 子どもたちも、作りながら聞いている。
 
 「道間家でさ、今度こそは絶対にヘンな名前は辞めようと思ってたのよ」

 亜紀ちゃんが肉をカットしながら言った。

 「ダメでしたよねー」
 「なんなんだろうな、あそこ!」
 「まだまだ結構、そういう名前ってもしかしたらあるんじゃないですか?」
 「こぇーな!」

 みんなが笑う。

 「紅六花」の連中が大騒ぎだったことや、銀世が生まれた翌日に石神家の連中が来て大変だったことを話すと、みんなが爆笑していた。
 
 「怒貪虎さんまで来てよ! 駐車場で2時間も『怒貪虎音頭』を踊ったんだよ! 参ったぜ!」
 「私たちも行きたかったぁー!」
 
 ルーとハーが残念がった。
 二人は怒貪虎さんや虎白さんたちが大好きで、『怒貪虎音頭』も大好物だ。
 他のみんなは大笑いしていた。
 早乙女に、俺の病院での戦闘を話した。

 「栞が襲撃された時に、磯良が来てくれただろう?」
 「ああ!」
 「あいつ、大分強くなったよ」
 「そうか、良かったよ!」
 「でも、斬も言ってたんだけどな。戦場の経験が圧倒的に足りない」
 「そうか……」

 早乙女には分かったと思う。
 今後、磯良を戦場へ送り出すつもりだ。
 亜紀ちゃんと柳があちこちの戦場を渡り歩いたが、まだまだ世界中で戦争は引き続くだろう。
 それにこれからは「業」との本格的な戦闘も始まるに違いない。
 中南米とアフリカで一応の終息を得た今後は、「業」が自分の軍団を動かし、人類絶滅に向けて動き出す。
 その戦場へ磯良を送り出すつもりだった。
 今は響子、雪野さんや澪さんもいるので、明確には言わなかった。
 でも、雪野さんは察していたかもしれない。
 雪野さんは早乙女の腕を握って黙っていた。

 亜紀ちゃんが俺を呼んだ。

 「タカさーん! サザエの料理はどうしますかー」
 「おう、今行く!」

 御堂たちはもう少しのんびりさせ、俺はウッドデッキに出た。





 いつものバーベキューであり、サザエは刺身、つぼ焼きの他、マッシュルームとのアヒージョ、バジルソース焼き、バター醤油炒めなどにした。
 オーブンで仕上げていく。
 サザエは火を通し過ぎると硬くなるので、火加減に気を遣う。
 先にロボに刺身を食べさせると喜んで踊った。
 澪さんと雪野さんが率先してロボの御飯を用意してくれる。
 ロボは大興奮で二人に甘えながら喜んだ。
 子どもたちも肉大会を終えて、サザエを中心に魚介類を楽しみ始める。
 御堂はバジルソース焼きを好み、澪さんはつぼ焼きを楽しんだ。
 早乙女と雪野さんもバジルソース焼きを美味しいと言っていた。

 「エスカルゴも、俺はバジルソース焼きが好きだな」
 「あ! 青山の蓮見さんのお店で食べましたよね!」
 「そうだな」
 「また行きましょうよー!」
 「まあ、そのうちにな」

 前に真夜と亜紀ちゃんが行って、酔った亜紀ちゃんがカウンターをぶっ壊した。
 それから、俺の同行でなければ出入り禁止にしている。
 ちゃんと守っているようだ。
 もちろん、あれ以来何度かは行っている。
 亜紀ちゃん、真夜、それに皇紀や双子も連れて行った。
 皇紀と双子はソフトドリンクとアルコール抜きのカクテルだ。
 
 他の子どもたちもサザエを喜んで食べていた。
 双子が食べながら、別な調理法を話し合っている。
 怜花は海老やハマグリなどの方が好きなようだが、久留守は喜んでサザエの様々な料理を食べていた。
 こいつは大人の舌だ。

 大満足の食事の後で、交代で風呂に入った。
 御堂と澪さんに最初に入ってもらい、早乙女達を次に入れる。
 子どもたちが片づけを終えて、俺たちがみんなで入った。
 響子が大人びた身体になって来たので、双子が悔しがった。

 「響子ちゃん、オッパイ大きくなったね」
 「うん」
 
 双子と亜紀ちゃんが『仰げば尊し』を歌った。

 「……」

 響子は何の意味かは分かっていない。
 勝手にこいつらが「チッパイ同盟」に加えていただけだ。

 風呂から上がり、子どもたちが酒のつまみを用意する。

 刺身各種(ロボのも)。
 雪野ナス。
 雪野ポテト。
 雪野マイタケ。
 雪野アスパラ。
 雪野ビーフ。

 「もう、その名前は辞めて下さい!」

 みんなで笑った。

 身欠きニシン。
 豆腐(各種薬味:ごま油ネギ、ショウガ、七味卵黄、ミョウガ、梅肉、豆板醤大根おろし、高菜カツオ、等々)。
 他はいつもの唐揚げ(大量)と巾着タマゴなどだ。

 雪野さんが「また食べ過ぎちゃう」と言っていた。
 みんなで「幻想空間」に上がり、しばらく雰囲気を味わった。
 俺と御堂、早乙女、雪野さん、亜紀ちゃん、双子は冷酒を呑む。
 澪さんと柳はバドワイザー。
 響子と怜花、久留守はバナナミルクセーキを作った。
 その他にフルーツポンチもある。
 小さな子どもたちと、大人のチェイサー替わりだ。

 「今回はよ。亜紀ちゃんと柳の慰労会みたいなことを一番考えていたんだ」
 「え、私たちですか?」
 「石神さん!」
 「ああ、長い間、本当に御苦労だったな。ほとんど毎日戦場で、大変だったろうと思う。お前たちのお陰で大分助かった。ありがとう」

 俺が立ち上がって頭を下げると、二人が立ち上がって止めた。

 「タカさんに言われたんだから、どこでも行きますよ!」
 「そうですよ! それに戦場も楽しかったですよ!」
 
 俺は笑って二人を座らせた。

 「いや、本当に助かったんだ。俺が寝ている間にも、二人がどんどん戦場を片付けてくれた。ほとんど死人もなくな」
 「亜紀ちゃんヨイ子ですよ!」
 「私もですよ!」

 みんなが笑った。

 「中南米でまずはやってもらったが、ブラジルは大分荒れていたよな」
 「はい、予想以上に入り組んでて。他の国は小規模な敵勢力を制圧することが多かったんですけど、ブラジルは浸食が激しかったですね」
 
 ブラジルは当初から大変な戦場になることが分かっていた。
 政府も軍部も四分五裂で「業」の手が浸透していたのだ。

 「後で、サッカーの試合をやっただろう?」
 「はい、やりましたね! 私と柳さんも行きました!」
 「ああ。実はな、あの後で手紙が届いたんだ」
 「なんですか、それ!」

 亜紀ちゃんと柳が興味を示した。
 俺は語り出した。
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