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亜紀と柳のアフリカ戦線

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 タカさんとレジーナ様(こう呼ばないと大変だよー!)の「グレイプニル」が《ハイヴ》攻略をする前。
 それと、タカさんがまだ保奈美さんとの夢の世界にいた頃からの時期になる。
 「虎」の軍として、私と柳さんとでアフリカの制圧に奔走していた。

 中南米では主に各所で勃発している戦闘への介入だったが、アフリカではもう一歩踏み込んで直接軍隊への攻撃を行なった。
 これは中南米がある程度明確に敵と味方に分かれていたことに対し、アフリカではそれが結構曖昧で、更に以前からの政情の不安定さから混乱が続いていたためだった。
 本来は各国に政治の運営は任せるというのが国際社会の基本だが、「業」の軍が乗り出している現在、曖昧さはそのまま敵に着け入れられることになるとのタカさんの判断だった。
 要するに、私たちは軍事施設や軍隊そのものに直接乗り込み、「虎」の軍に服従するように制圧していったのだ。
 まー、「悪人狩り」と一緒だ。

 「亜紀ちゃん、一緒じゃないよー!」

 私が「悪人はどこだー」と言うと、柳さんがいつも叫んでいた。
 柳さんは毎回、ちゃんと最初に説明をしたがる。
 でも、そうやっていると時間が掛かるので、私が適当に何人か(何百人のこともあるけど)ぶっ飛ばして、力づくで納得させる。
 一応デュールゲリエのルーとハーが一緒に来てくれ、言葉はすぐに翻訳してくれるのだけど、そのルーとハーにしてから戦闘狂だ。
 私たちの顔はたちまちアフリカ全土に知られていった。
 事前に各国政府や軍事機関に「虎」の軍から通達があり、「虎」の軍への協力を要請していた。
 まあ、要請と言うよりも実質は脅迫に近いが。
 その時に、もしも敵対する場合は容赦なく攻撃をすると言っていたのだから、無反応は敵と見做してもいいのだが。
 私と柳さん、デュールゲリエのルーとハーの映像も添付されている。
 そのため私も柳さんも、市街地でのんびりするわけには行かなくなった。
 私たちを何とか暗殺しようとする連中が後を絶たなかったからだ。
 「虎」の軍に協力を約束した国でさえ、迂闊に宿泊施設に泊まるわけには行かない。
 アフリカには、日本のように政府がしっかりと全部を掌握している国は無いのだ。
 常に反対勢力が幾つもあって、それらに狙われる可能性が高い。
 本当に市街地でのんびりするには、今後デュールゲリエの外交官たちが政府を統率してからだ。
 タカさんはそこまでアフリカの惨状を憂いている。

 そういうことで、私たちは大体人のいない場所で野宿をしていた。
 まあ、タカさんが超豪華なテントや野外装備を用意してくれていたので、意外と快適だったけど。
 食事も街で買い物くらいは出来るので、十分に揃った。
 野生動物は狩るなとタカさんからきつく言われている。

 「アフリカの動物はなぁ、みんな一生懸命に生きてんだ」
 「え、それはどこも同じじゃ?」
 「うるせぇ!」

 なんか、タカさんが子どもの頃によく観ていたドキュメンタリー番組『野生の王国』が思い出されているらしい。
 しらんがな。





 野営地で朝食を終えて、柳さんと準備をした。

 「今日はコンゴのキンシャサ周辺をやりましょー!」
 「うん」
 「キンシャサには陸海軍がありますから、遣り甲斐バッチリですよー!」
 「亜紀ちゃん、元気だよね」
 「アレ? 柳さん、疲れてます?」
 
 柳さんに元気がないぞー!

 「うん、大丈夫だけど、しばらく石神さんの顔を見てないなって」
 「あー、それですね! じゃあ、ちょっと見に行きます? 私も会いたいし」
 「でも、今は研究所で眠ってるでしょ?」
 「まー、そうですけど」
 「そっとしておいてあげなきゃ」
 「そうですねー」

 じゃあ、どうしたいんだろうか。

 「でも柳さん、今ならタカさんのオチンチン見放題ですよ?」
 「ハゥ!」

 冗談だったのだが、柳さんがその気になってしまった。
 柳さんもタカさんのオチンチンが大好きなのだ。
 タカさんのオチンチンはカワイイ。

 「本当に行きます?」
 「え、いや、でも、あそこは《ロータス》が厳しく見張ってるから」
 「あー、柳さん、《ロータス》に目を付けられてますもんねー」
 「亜紀ちゃん、それは言わないでー!」

 柳さんが新技を撃った時、思わず蓮花研究所の外壁を破壊してしまった。
 《ロータス》が激オコで、柳さんを締め出したりした。
 柳さんは今でもトラウマだ。
 
 「トイレで水は流れないし、シャワーは冷水か熱湯だし」
 「大変でしたよねー」
 「もっと酷いことがあったの」
 「なんです?」
 「い、言えない……」

 実は知ってる。
 柳さんが自室でオナニーしていた動画が《ロータス》に録画されたのだ。
 今度研究所をちょっとでも破壊したら、世界のあらゆるサイトに発信すると脅された。
 それを知ったタカさんが怒って《ロータス》に消させ、二度とやらないように約束させられた。
 それから柳さんへの《ロータス》の嫌がらせは無くなったのだが。
 私は偶然、タカさんが蓮花さんと話しているのを聞いてしまったから知ってる。
 たいへんだなー。
 まあ、柳さんはムッツリだ。

 「じゃあ、気を取り直して、キンシャサを壊滅しますかー!」
 「亜紀ちゃん、壊滅じゃないよ!」
 「分かってますよー!」

 ルーとハーと合流し、4人で飛んだ。

 




 私たちのやり方は大体決まっている。
 軍事基地の上空でルーかハーが最後通牒を警告する。
 通信回線に介入し、同時に大音量の音声で抵抗せずに「虎」の軍を受け入れるように言う。
 最初のうちは激しい抵抗もあったが、私たちが圧倒的な戦力で抵抗を鎮めて行くので、徐々に私たちが行くと無抵抗な場合も多くなった。
 
 「じゃー! キンシャサ司令部! 行くよー!」
 「亜紀ちゃん、待って!」
 「冗談ですって」
 「こないだ、ほんとにやったじゃん!」
 「ワハハハハハハハ!」

 ルーが通信で全面降伏を呼びかけ、ハーが上空から音声で同じ内容を通告している。

 《我々は「虎」の軍だ。一切の抵抗を辞め、基地司令官との面会を求む!》

 スホーイ(戦闘機)が上がって来た。
 キンシャサの軍部はアフリカの中でも装備が揃っていて結構強い。
 
 「あ、やる気だよ!」
 「亜紀ちゃん、待って!」
 
 ハーがロックオンされたことを伝える。
 ルーが即座に「カサンドラ」で撃墜した。

 「だから待ってってぇー!」

 柳さんが必死だ。
 更にMi24(攻撃ヘリ)が3機来た。
 ハーが「轟雷」で全機墜とす。

 「「ギャハハハハハハハ!」」
 「ワハハハハハハハ!」
 「もう!」

 こうなっては勧告の意味はない。
 指令本部へ「虚震花」をぶっ込んで建物を半壊させた。
 破壊されたところから内部へ侵入し、指令本部を急襲する。
 ほとんど抵抗はなく、司令官を捕らえた。

 「あのさー、まだやる気?」
 「待て! どうして「虎」の軍がここを襲うんだ!」
 「え?」
 「我々は「虎」の軍に敵対していないぞ!」
 「さっき攻撃してきたじゃん」
 「あれは君たちがいきなり基地上空へ侵入したからだ!」
 
 なんか頭に来た。

 「あのさ」
 「なんだ!」
 「あんたら、意味分かってんの?」
 「なに?」
 「私ら、簡単にこの基地も国も破壊出来るんだけど?」
 「何を言う!」
 
 柳さんが通信端末を持って叫んだ。

 「待って! 今、コンゴ共和国政府と繋がった!」
 「えー!」
 「全面降伏を受け入れたよ! 亜紀ちゃん、ここまで!」
 「なんだよー」
 「コラ!」
 「わかりましたー」

 なんかつまんない。

 「おい」
 「なんでしょうか」
 「お前、何、メンチ切ってんだよ?」
 「はい?」

 ルーが「メンチ切る」を上手く訳せなかった。
 
 「文句あんのかよ!」
 「そりゃあるよ!」
 「あ?」
 「なんなんだ、一体! あんたら……」

 ぶっ飛ばした。
 周囲の人間も向かってきたので、どんどんぶっ飛ばす。
 ちょっとスッキリした。

 「亜紀ちゃん……」
 「まー、こんなもんですかね!」
 「……」

 その日、他の基地にも行き、全面的に無抵抗になるまでヤった。
 ルーもハーもノリノリで基地と人間をぶっ壊して行った。
 夕方までかかった。

 お腹空いたよー。
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