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未來への希望 XX
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山小屋で祈祷をしていた吉原龍子が、顔を上げて戸口を見た。
後ろで控えていた虎頼たちは、何事かと身構える。
殺気や妖気に敏感な二人の石神家の剣士も、自分たち以上に吉原龍子の感知能力が高いことをこれまで行動を共にして来た中で理解していた。
だから自分に何も感じられなくとも、構えた。
吉原龍子を信頼していた。
「虎頼さん、敵だよ」
「なんだと!」
「あんたは感じないかい?」
「待て……うん、確かに来るな」
言われてあらためて集中すると、確かに恐ろしい殺気がこちらへ向かって来ているのが分かった。
虎頼と貢虎は刀を抜き、山小屋の外へ出た。
妖魔には違いないが、二人が知っているものとは何かが異なっていた。
それに数が多い。
これほどの数が向かって来て、自分たちが何も感じなかったのはおかしい。
「これはなんだ?」
「高虎の敵は人間じゃない。時間を遡る奴もいる。だからあんたらは感じなかったのさね」
「なんだ、それは?」
「説明しているヒマはないね。恐ろしい連中だよ」
「あなた、数が多いわ」
「分かっている。貢虎、お前は吉原さんを連れて山を降りろ」
「はい」
戦場で縦横無尽に行動する石神家の剣士たちは、既に状況を把握し自分たちの為すべきことを理解していく。
黒い犬のようなものが無数に斜面を駆け上って来る。
その後ろから顔に無数のトゲを生やした象のようなものたちも来た。
待ち構えて相手をするには具合が悪いことを、瞬時に判断したのだ。
そして観た一瞬で未知の敵の強さと技を把握し、同時に既知の者たちを詳細に計算していく。
「ちぃ! 《牙跨ぎ》もいんのかよ!」
厄介な敵が数多くいる。
虎頼は群れに突っ込んで行った。
その前方で黒犬たちが吹き飛び、斬り刻まれて行く。
「ワハハハハハハハ!」
貢虎はそれを観ようともせずに、斜面を吉原龍子を抱いて駆け上がった。
もう、全ての戦場の構造を悟って行動している。
感知能力には優れているが、戦場のことは吉原龍子にも分からない。
何故虎頼が突っ込み、何故貢虎が自分を抱えて走っているのか。
吉原龍子を抱えてはいるが、貢虎はまるで一切の重量を感じさせない走り方だった。
「貢虎さん、不味いよ。強い奴が来ている」
「分かってる! 喋らないで、舌を噛むよ!」
「虎頼さんも一緒に!」
「あの人が戦うから、私たちは逃げられるんだよ」
「何言ってんだい!」
「黙っててくれ!」
一切後ろを振り返らずにひたすらに全力で走った。
整地されていない山肌を、まるで飛ぶように駆け抜ける。
そして背中ではずっと爆発するような轟音と耳を覆いたくなる悲鳴が響き続けている。
悲鳴は妖魔たちのものだ。
虎頼は絶対に情けない声など上げない。
しかし、絶え間なく響く轟音と悲鳴はいつまでも止まない。
凄まじい攻撃が為されているはずなのだが、一向に終わる気配は無い。
吉原龍子は貢虎が泣いているのに気付いた。
それを観て、やっと吉原龍子にも分かった。
虎頼は死ぬのだろうということだった。
敵はあまりにも強大だ。
本来、時間を遡っての妖魔の派遣は相当な無理がある。
しかし、絶対に自分を殺すために、あれだけの無茶をして襲撃して来たことが分かった。
つまり、敵も身を切っての攻撃なのだと確信していた。
石神家の剣士でさえも防ぎきれないほどの敵だ。
絶対に吉原龍子を殺すつもりなのだ。
吉原龍子は自分の甘さを悔いた。
これほどの攻撃を仕掛けて来るとは考えもしなかった。
高虎の敵が相当な奴だとは分かっていたが、この攻撃は無茶苦茶だ。
自分の半身を喪うほどのものではないか。
それだけ、自分がいなくなれば石神高虎が滅びるということが確定されているのだ。
尾根に到達し、そのまま反対の斜面を降った。
貢虎は自分の負担を考えて走ってはくれていたが、それでも相当きつい。
一気に麓まで駆け下り、国道へ出た頃には、呼吸さえ困難なほど疲弊していた。
揺さぶられた内臓が悲鳴を挙げているのだ。
大型トラックが通り掛る。
貢虎は両手を振ってトラックの前に立ちはだかり、止まった助手席を無造作に開いて吉原龍子を押し込めた。
運転手が何事かと驚いている。
吉原龍子は息が継げず、言葉を発することが出来なかった。
貢虎が叫んだ。
「この人を頼む!」
「ちょっと、あんた!」
「早く行って!」
貢虎が懐から分厚い財布を出して運転手に投げ渡した。
「急げぇ!」
激しい気合のこもった叫びに、運転手は訳も分からずにアクセルを踏み込んで発進した。
吉原龍子は山を再び駆け上がる貢虎を見た。
一瞬振り返って、貢虎が深々と頭を下げたのを吉原龍子が見た。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
虎白さんが吉原龍子から聞いた話だと虎蘭に教えた。
「虎葉さんはお前を預かり、立派に育てた」
虎蘭が泣いていた。
途中で自分の両親の話であることを悟っていた。
両眼から溢れる涙を拭おうともせずに、目を見開き、俺を見詰めて黙って聴いていた。
「お前の御両親は吉原龍子を護って死んだ。敵は時を遡って来た「業」の妖魔たちだ。俺も出会ったことがある。六花を襲おうとしていた連中だった。吉原龍子も狙われていたんだな」
俺はこの話を最近虎白さんから聞いた。
虎蘭の両親が俺のために死んだことを。
虎白さんも俺に話すつもりは無かったようだが、虎蘭と俺が結ばれたと知り、俺に話してくれたのだ。
虎蘭も知らないことだと言っていた。
虎蘭に話すかどうかは俺に任せるとも言った。
だから話した。
「お前はまだ生まれたばかりで、物心ついた時には既に虎頼さんも貢虎さんもいなかった」
虎蘭が泣きながらうなずいた。
涙がテーブルに一層零れた。
ロボが虎蘭の顔を舐め、虎蘭はロボを抱き締めた。
俺は立ち上がった。
「済まなかった! 俺なんかのために、お前の御両親が死んでしまった!」
虎蘭が俺を見詰めていた。
ロボを椅子に置いて立ち上がった。
「石神家当主! 石神高虎様! 万歳!」
虎蘭は直立して叫んだ。
その声は震えていた。
「私の両親は立派でした! 虎葉さんからは戦いの中で死んだとしか聞いていませんでした。石神家ならばそういうこともあると私は思っていました。でも、今日、その死に様を聞けて、私は父と母を一層、心から尊敬することが出来ました!」
「虎葉さんは、俺のためにお前にも黙っていたんだろう」
俺のことを石神家の当主にしたかった虎葉さんたちにとって、虎蘭が両親の死をどう思うのか分からなかったからだ。
そうはならなかっただろうが、俺を恨んでも不思議は無い。
いずれ話そうとは思っていたのかもしれないが。
でも、その前に俺と虎蘭が愛し合うようになった。
虎蘭が微笑んで俺に言った。
「虎葉さんも見くびってくれたものですね。私は高虎さんをこれほど尊敬していますのに」
「おい、虎蘭……」
「両親を誇りに思います。よくぞ高虎さんのために死んだと」
「……」
「高虎さん、どうか虎頼と貢虎を褒めてやってくれませんか?」
「当たり前だ! 虎頼さんと貢虎さんに、俺は最大の感謝を捧げるぞ! お二人のお陰で俺は生き延びたんだからな! 虎蘭、お前を愛する俺を二人に自慢してくれ!」
「かしこまりましたぁ!」
虎蘭は叫んでまた涙を流した。
「石神虎頼! 石神貢虎! お見事な最期! そして私も高虎様に自分を捧げます!」
栞が手を叩き、みんなが拍手した。
虎蘭が嬉しそうに微笑み、頭を深々と下げた。
ここにいる全員が、俺と共に戦ってくれる。
誰もが幸せを掴んで当たり前の連中だ。
しかし、誰もが修羅の道を選んでくれた。
俺は自分の運命を嘆き、そして誇りに思う。
激情の嵐の中で、虎蘭は美しく屹立していた。
俺の隣に立ち、俺と共に戦場をどこまでも一緒に走る美しい虎がそこにいた。
俺はその虎を思い切り抱き締めた。
後ろで控えていた虎頼たちは、何事かと身構える。
殺気や妖気に敏感な二人の石神家の剣士も、自分たち以上に吉原龍子の感知能力が高いことをこれまで行動を共にして来た中で理解していた。
だから自分に何も感じられなくとも、構えた。
吉原龍子を信頼していた。
「虎頼さん、敵だよ」
「なんだと!」
「あんたは感じないかい?」
「待て……うん、確かに来るな」
言われてあらためて集中すると、確かに恐ろしい殺気がこちらへ向かって来ているのが分かった。
虎頼と貢虎は刀を抜き、山小屋の外へ出た。
妖魔には違いないが、二人が知っているものとは何かが異なっていた。
それに数が多い。
これほどの数が向かって来て、自分たちが何も感じなかったのはおかしい。
「これはなんだ?」
「高虎の敵は人間じゃない。時間を遡る奴もいる。だからあんたらは感じなかったのさね」
「なんだ、それは?」
「説明しているヒマはないね。恐ろしい連中だよ」
「あなた、数が多いわ」
「分かっている。貢虎、お前は吉原さんを連れて山を降りろ」
「はい」
戦場で縦横無尽に行動する石神家の剣士たちは、既に状況を把握し自分たちの為すべきことを理解していく。
黒い犬のようなものが無数に斜面を駆け上って来る。
その後ろから顔に無数のトゲを生やした象のようなものたちも来た。
待ち構えて相手をするには具合が悪いことを、瞬時に判断したのだ。
そして観た一瞬で未知の敵の強さと技を把握し、同時に既知の者たちを詳細に計算していく。
「ちぃ! 《牙跨ぎ》もいんのかよ!」
厄介な敵が数多くいる。
虎頼は群れに突っ込んで行った。
その前方で黒犬たちが吹き飛び、斬り刻まれて行く。
「ワハハハハハハハ!」
貢虎はそれを観ようともせずに、斜面を吉原龍子を抱いて駆け上がった。
もう、全ての戦場の構造を悟って行動している。
感知能力には優れているが、戦場のことは吉原龍子にも分からない。
何故虎頼が突っ込み、何故貢虎が自分を抱えて走っているのか。
吉原龍子を抱えてはいるが、貢虎はまるで一切の重量を感じさせない走り方だった。
「貢虎さん、不味いよ。強い奴が来ている」
「分かってる! 喋らないで、舌を噛むよ!」
「虎頼さんも一緒に!」
「あの人が戦うから、私たちは逃げられるんだよ」
「何言ってんだい!」
「黙っててくれ!」
一切後ろを振り返らずにひたすらに全力で走った。
整地されていない山肌を、まるで飛ぶように駆け抜ける。
そして背中ではずっと爆発するような轟音と耳を覆いたくなる悲鳴が響き続けている。
悲鳴は妖魔たちのものだ。
虎頼は絶対に情けない声など上げない。
しかし、絶え間なく響く轟音と悲鳴はいつまでも止まない。
凄まじい攻撃が為されているはずなのだが、一向に終わる気配は無い。
吉原龍子は貢虎が泣いているのに気付いた。
それを観て、やっと吉原龍子にも分かった。
虎頼は死ぬのだろうということだった。
敵はあまりにも強大だ。
本来、時間を遡っての妖魔の派遣は相当な無理がある。
しかし、絶対に自分を殺すために、あれだけの無茶をして襲撃して来たことが分かった。
つまり、敵も身を切っての攻撃なのだと確信していた。
石神家の剣士でさえも防ぎきれないほどの敵だ。
絶対に吉原龍子を殺すつもりなのだ。
吉原龍子は自分の甘さを悔いた。
これほどの攻撃を仕掛けて来るとは考えもしなかった。
高虎の敵が相当な奴だとは分かっていたが、この攻撃は無茶苦茶だ。
自分の半身を喪うほどのものではないか。
それだけ、自分がいなくなれば石神高虎が滅びるということが確定されているのだ。
尾根に到達し、そのまま反対の斜面を降った。
貢虎は自分の負担を考えて走ってはくれていたが、それでも相当きつい。
一気に麓まで駆け下り、国道へ出た頃には、呼吸さえ困難なほど疲弊していた。
揺さぶられた内臓が悲鳴を挙げているのだ。
大型トラックが通り掛る。
貢虎は両手を振ってトラックの前に立ちはだかり、止まった助手席を無造作に開いて吉原龍子を押し込めた。
運転手が何事かと驚いている。
吉原龍子は息が継げず、言葉を発することが出来なかった。
貢虎が叫んだ。
「この人を頼む!」
「ちょっと、あんた!」
「早く行って!」
貢虎が懐から分厚い財布を出して運転手に投げ渡した。
「急げぇ!」
激しい気合のこもった叫びに、運転手は訳も分からずにアクセルを踏み込んで発進した。
吉原龍子は山を再び駆け上がる貢虎を見た。
一瞬振り返って、貢虎が深々と頭を下げたのを吉原龍子が見た。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
虎白さんが吉原龍子から聞いた話だと虎蘭に教えた。
「虎葉さんはお前を預かり、立派に育てた」
虎蘭が泣いていた。
途中で自分の両親の話であることを悟っていた。
両眼から溢れる涙を拭おうともせずに、目を見開き、俺を見詰めて黙って聴いていた。
「お前の御両親は吉原龍子を護って死んだ。敵は時を遡って来た「業」の妖魔たちだ。俺も出会ったことがある。六花を襲おうとしていた連中だった。吉原龍子も狙われていたんだな」
俺はこの話を最近虎白さんから聞いた。
虎蘭の両親が俺のために死んだことを。
虎白さんも俺に話すつもりは無かったようだが、虎蘭と俺が結ばれたと知り、俺に話してくれたのだ。
虎蘭も知らないことだと言っていた。
虎蘭に話すかどうかは俺に任せるとも言った。
だから話した。
「お前はまだ生まれたばかりで、物心ついた時には既に虎頼さんも貢虎さんもいなかった」
虎蘭が泣きながらうなずいた。
涙がテーブルに一層零れた。
ロボが虎蘭の顔を舐め、虎蘭はロボを抱き締めた。
俺は立ち上がった。
「済まなかった! 俺なんかのために、お前の御両親が死んでしまった!」
虎蘭が俺を見詰めていた。
ロボを椅子に置いて立ち上がった。
「石神家当主! 石神高虎様! 万歳!」
虎蘭は直立して叫んだ。
その声は震えていた。
「私の両親は立派でした! 虎葉さんからは戦いの中で死んだとしか聞いていませんでした。石神家ならばそういうこともあると私は思っていました。でも、今日、その死に様を聞けて、私は父と母を一層、心から尊敬することが出来ました!」
「虎葉さんは、俺のためにお前にも黙っていたんだろう」
俺のことを石神家の当主にしたかった虎葉さんたちにとって、虎蘭が両親の死をどう思うのか分からなかったからだ。
そうはならなかっただろうが、俺を恨んでも不思議は無い。
いずれ話そうとは思っていたのかもしれないが。
でも、その前に俺と虎蘭が愛し合うようになった。
虎蘭が微笑んで俺に言った。
「虎葉さんも見くびってくれたものですね。私は高虎さんをこれほど尊敬していますのに」
「おい、虎蘭……」
「両親を誇りに思います。よくぞ高虎さんのために死んだと」
「……」
「高虎さん、どうか虎頼と貢虎を褒めてやってくれませんか?」
「当たり前だ! 虎頼さんと貢虎さんに、俺は最大の感謝を捧げるぞ! お二人のお陰で俺は生き延びたんだからな! 虎蘭、お前を愛する俺を二人に自慢してくれ!」
「かしこまりましたぁ!」
虎蘭は叫んでまた涙を流した。
「石神虎頼! 石神貢虎! お見事な最期! そして私も高虎様に自分を捧げます!」
栞が手を叩き、みんなが拍手した。
虎蘭が嬉しそうに微笑み、頭を深々と下げた。
ここにいる全員が、俺と共に戦ってくれる。
誰もが幸せを掴んで当たり前の連中だ。
しかし、誰もが修羅の道を選んでくれた。
俺は自分の運命を嘆き、そして誇りに思う。
激情の嵐の中で、虎蘭は美しく屹立していた。
俺の隣に立ち、俺と共に戦場をどこまでも一緒に走る美しい虎がそこにいた。
俺はその虎を思い切り抱き締めた。
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