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パムッカレ 緊急防衛戦 Ⅷ
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高虎さんたちはまだ戻らない。
いつ戻るのか聞いていないので、このまま鍛錬をするだけだが。
高虎さんが、なんとUFOを呼んで、剣聖の方々を連れてった。
あれ、なんだったんだろう?
虎白さんが物凄い顔をしてたけど、大丈夫だったろうか。
「小雷」で円を描く練習をしていると、天豪さんが近付いて来た。
「虎水さん、自分にもそれ、教えて頂けませんか?」
「え? ああ、これはまだ教えられないの」
「そうですか」
天豪さんが、私たちの「魔法陣」に興味を持った。
私たちが懸命にやっているのを見て、何かあると踏んだのだろう。
一応全員が「魔法陣」は描いていない。
以前は普通に鍛錬でも使っていたのだが、しばらく前に高虎さんから禁じられた。
「魔法陣」は私たちの切り札になるから、鍛錬でも使わないようにと言われた。
《刃》の出現の後からだ。
だから、天丸さんたちが来た頃には、「円」を描く訓練だけしている。
それでも図形を描く速さの訓練にはなっている。
「これは高虎さんが編み出した究極の技なの。一定の剣士になるまでは教えられないのよ」
「そうなんですね」
虎白さんから、初級の剣士やもちろん剣士になっていない見習いの人間たちには、「魔法陣」は教えるなとも言われていた。
それでも、「ガンスリンガー」の総帥のソフィアさんなどは、やはり興味を持っていた。
何をやっているのかは分からないようにしていたのだが、こう毎日みんなで懸命に鍛錬していれば、気付く者は気付く。
天豪さんまで言って来たので、私はちょっと不味かったかと思うようになった。
虎城さんに相談する。
「そうか、確かにちょっと良くないかもな。よし、今後は場所を変えてやるか」
「その方がいいでしょうね」
虎城さんが私に言った。
「虎水、お前、天豪に何も話していないだろうな?」
「あ、究極の技だってさっき天豪さんに」
「バカ!」
殴られた。
言われて気付いたのだが、確かに迂闊だった。
「まあ、天豪は高虎が連れて来た人間だから信用出来るけどなぁ。でも何があるか分からねぇんだ。実際虎葉さんがやられたんだからよ」
「はい! すみませんでした!」
「魔法陣」を使う剣士たちは、他の人間と離れた場所でやるようになった。
私は自分の甘さを悔いていた。
万一にも、「魔法陣」は敵に渡ってはならない秘儀なのだ。
これほど大勢の仲間と懸命に毎日鍛錬していることで、その甘さが生まれた。
信頼出来る人間たちだからだ。
しかし、敵はとんでもない手段で盗みに来るのだ。
今まさに、その戦いをしているのではないか!
剣聖の虎葉さんが敵に奪われ、私たちは最大の困難に陥っている。
その日の鍛錬を終え、みんなで山を降りて夕飯を食べた。
私は虎城さんに誘われて、一緒に食事をした。
天丸さんと天豪さんも呼ばれた。
「天豪、お前調子が悪いそうだな?」
昼間の「魔法陣」に関わる話かと思っていたが、別件だったようだ。
今は虎城さんが鍛錬の預かりをしている。
だから、天豪さんの調子が気になったのだろう。
普段は他の剣士同様にぶっきらぼうな人だが、芯は優しい。
「いいえ! 確かに数日前からおかしい感覚はあったのですが、今はもう大丈夫です」
「そうか?」
「はい。やっと身体に馴染んだようで」
「馴染んだ?」
「はい、もう大丈夫ですよ」
私はそれを聞いて、石神家の鍛錬に馴染んだのかと解釈した。
これまで、こんな鍛錬はしたことがないだろう。
天豪さんも、明るく笑っていた。
しかし、虎城さんは天豪さんを睨んでいた。
「お前、何かおかしいな」
「はい?」
「え?」
虎城さんがおかしなことを言った。
天豪さんも笑顔が停まった。
「確かによ、最初にここに来た頃とは違う。お前が変わったことは確かだろう」
「えーと、よく分かりませんが」
「まあ、俺にも分からん。とにかく大丈夫なんだな?」
「はい!」
よく分からなかったが、天丸さんが何か考え込んでいるような顔をしていた。
虎城さんが何かを気にしているようだったので、私も聞いてみた。
「天丸さん、何か気になることがありますか?」
「いや、何でもありません。天豪、本当に大丈夫か?」
「ああ。親父も見ているだろう? 俺はもう調子がいいよ」
「そうか。確かに身体は良く動くようになってきたよな」
「そうだよ」
また虎城さんが天豪さんを睨んでいた。
剣聖に近い虎城さんには、何かを感じられているのだろうか。
天丸さんが言った。
「こいつ今じゃこんなナリですが、子どもの頃には結構病気を繰り返してましてね」
「そうなんですか」
「でも、静香が心配して一度実家へ連れ帰りまして。今から思えば、あの有名な道間家だったんですね。でも、戻ってからはすっかり元気で。何か特別なことをしてもらったんでしょう」
「良かったですね」
「ええ。なんか久し振りに思い出しましたよ」
「そうですか」
天丸さんと天豪さんは食事の礼を述べて帰って行った。
虎城さんとしばらく一緒にいたが、もう何も言わなかった。
その日の午後22時。
突然警報が鳴った。
山頂の《ヘッジホッグ》が警報を鳴らした。
各戸に備えられた端末が、警報の詳細を報せる。
《妖魔の霊素を探知! 妖魔は東へ逃走中!》
全員が家から出て、妖魔を追った。
自分もそうだが、みんな驚いているだろう。
まさかこの石神家の里に妖魔の侵入を許すとは!
山頂からは既に沢山のデュールゲリエが出動し、霊素観測レーダーの解析と共に、逐次妖魔の情報を報せて来る。
私と虎城さんの家は近いので、一緒に行動した。
「虎水! とにかく妖魔を殺すぞ!」
「はい! でも、どうやって里の中に妖魔が!」
「分からん! でも絶対に逃がすな!」
「はい!」
尋常な事態ではない。
一体、妖魔は何をしに来たのか。
その時、《ヘッジホッグ》が驚くべき情報を伝えた。
《妖魔は光賀天豪!》
「「!」」
虎城さんも驚いている。
まさか!
《東に「業」のゲート出現。光賀天豪はそこへ向かっている》
「急げぇ!」
「はい!」
他の剣士たちも急いだ。
私と天豪さんは「飛行」で瞬時に移動した。
前方に空間が揺らめくゲートが見えた。
天豪はそこへ飛び込んで行った。
虎城さんと私は躊躇なくゲートへ「連山」を放った。
間に合わなかった。
「ちくしょう!」
「虎城さん!」
天豪は逃げ去った。
「天丸は!」
天丸さんは家で腹を大きく裂かれて瀕死だった。
その家の剣士は胸を潰されて絶命していた。
天丸さんは病院へ運ばれ、剣士全員が夜を徹して警戒した。
虎城さんはアラスカや蓮花さんの研究所と連絡を取り合っている。
その2時間後、高虎さんたちが戻って来た。
いつ戻るのか聞いていないので、このまま鍛錬をするだけだが。
高虎さんが、なんとUFOを呼んで、剣聖の方々を連れてった。
あれ、なんだったんだろう?
虎白さんが物凄い顔をしてたけど、大丈夫だったろうか。
「小雷」で円を描く練習をしていると、天豪さんが近付いて来た。
「虎水さん、自分にもそれ、教えて頂けませんか?」
「え? ああ、これはまだ教えられないの」
「そうですか」
天豪さんが、私たちの「魔法陣」に興味を持った。
私たちが懸命にやっているのを見て、何かあると踏んだのだろう。
一応全員が「魔法陣」は描いていない。
以前は普通に鍛錬でも使っていたのだが、しばらく前に高虎さんから禁じられた。
「魔法陣」は私たちの切り札になるから、鍛錬でも使わないようにと言われた。
《刃》の出現の後からだ。
だから、天丸さんたちが来た頃には、「円」を描く訓練だけしている。
それでも図形を描く速さの訓練にはなっている。
「これは高虎さんが編み出した究極の技なの。一定の剣士になるまでは教えられないのよ」
「そうなんですね」
虎白さんから、初級の剣士やもちろん剣士になっていない見習いの人間たちには、「魔法陣」は教えるなとも言われていた。
それでも、「ガンスリンガー」の総帥のソフィアさんなどは、やはり興味を持っていた。
何をやっているのかは分からないようにしていたのだが、こう毎日みんなで懸命に鍛錬していれば、気付く者は気付く。
天豪さんまで言って来たので、私はちょっと不味かったかと思うようになった。
虎城さんに相談する。
「そうか、確かにちょっと良くないかもな。よし、今後は場所を変えてやるか」
「その方がいいでしょうね」
虎城さんが私に言った。
「虎水、お前、天豪に何も話していないだろうな?」
「あ、究極の技だってさっき天豪さんに」
「バカ!」
殴られた。
言われて気付いたのだが、確かに迂闊だった。
「まあ、天豪は高虎が連れて来た人間だから信用出来るけどなぁ。でも何があるか分からねぇんだ。実際虎葉さんがやられたんだからよ」
「はい! すみませんでした!」
「魔法陣」を使う剣士たちは、他の人間と離れた場所でやるようになった。
私は自分の甘さを悔いていた。
万一にも、「魔法陣」は敵に渡ってはならない秘儀なのだ。
これほど大勢の仲間と懸命に毎日鍛錬していることで、その甘さが生まれた。
信頼出来る人間たちだからだ。
しかし、敵はとんでもない手段で盗みに来るのだ。
今まさに、その戦いをしているのではないか!
剣聖の虎葉さんが敵に奪われ、私たちは最大の困難に陥っている。
その日の鍛錬を終え、みんなで山を降りて夕飯を食べた。
私は虎城さんに誘われて、一緒に食事をした。
天丸さんと天豪さんも呼ばれた。
「天豪、お前調子が悪いそうだな?」
昼間の「魔法陣」に関わる話かと思っていたが、別件だったようだ。
今は虎城さんが鍛錬の預かりをしている。
だから、天豪さんの調子が気になったのだろう。
普段は他の剣士同様にぶっきらぼうな人だが、芯は優しい。
「いいえ! 確かに数日前からおかしい感覚はあったのですが、今はもう大丈夫です」
「そうか?」
「はい。やっと身体に馴染んだようで」
「馴染んだ?」
「はい、もう大丈夫ですよ」
私はそれを聞いて、石神家の鍛錬に馴染んだのかと解釈した。
これまで、こんな鍛錬はしたことがないだろう。
天豪さんも、明るく笑っていた。
しかし、虎城さんは天豪さんを睨んでいた。
「お前、何かおかしいな」
「はい?」
「え?」
虎城さんがおかしなことを言った。
天豪さんも笑顔が停まった。
「確かによ、最初にここに来た頃とは違う。お前が変わったことは確かだろう」
「えーと、よく分かりませんが」
「まあ、俺にも分からん。とにかく大丈夫なんだな?」
「はい!」
よく分からなかったが、天丸さんが何か考え込んでいるような顔をしていた。
虎城さんが何かを気にしているようだったので、私も聞いてみた。
「天丸さん、何か気になることがありますか?」
「いや、何でもありません。天豪、本当に大丈夫か?」
「ああ。親父も見ているだろう? 俺はもう調子がいいよ」
「そうか。確かに身体は良く動くようになってきたよな」
「そうだよ」
また虎城さんが天豪さんを睨んでいた。
剣聖に近い虎城さんには、何かを感じられているのだろうか。
天丸さんが言った。
「こいつ今じゃこんなナリですが、子どもの頃には結構病気を繰り返してましてね」
「そうなんですか」
「でも、静香が心配して一度実家へ連れ帰りまして。今から思えば、あの有名な道間家だったんですね。でも、戻ってからはすっかり元気で。何か特別なことをしてもらったんでしょう」
「良かったですね」
「ええ。なんか久し振りに思い出しましたよ」
「そうですか」
天丸さんと天豪さんは食事の礼を述べて帰って行った。
虎城さんとしばらく一緒にいたが、もう何も言わなかった。
その日の午後22時。
突然警報が鳴った。
山頂の《ヘッジホッグ》が警報を鳴らした。
各戸に備えられた端末が、警報の詳細を報せる。
《妖魔の霊素を探知! 妖魔は東へ逃走中!》
全員が家から出て、妖魔を追った。
自分もそうだが、みんな驚いているだろう。
まさかこの石神家の里に妖魔の侵入を許すとは!
山頂からは既に沢山のデュールゲリエが出動し、霊素観測レーダーの解析と共に、逐次妖魔の情報を報せて来る。
私と虎城さんの家は近いので、一緒に行動した。
「虎水! とにかく妖魔を殺すぞ!」
「はい! でも、どうやって里の中に妖魔が!」
「分からん! でも絶対に逃がすな!」
「はい!」
尋常な事態ではない。
一体、妖魔は何をしに来たのか。
その時、《ヘッジホッグ》が驚くべき情報を伝えた。
《妖魔は光賀天豪!》
「「!」」
虎城さんも驚いている。
まさか!
《東に「業」のゲート出現。光賀天豪はそこへ向かっている》
「急げぇ!」
「はい!」
他の剣士たちも急いだ。
私と天豪さんは「飛行」で瞬時に移動した。
前方に空間が揺らめくゲートが見えた。
天豪はそこへ飛び込んで行った。
虎城さんと私は躊躇なくゲートへ「連山」を放った。
間に合わなかった。
「ちくしょう!」
「虎城さん!」
天豪は逃げ去った。
「天丸は!」
天丸さんは家で腹を大きく裂かれて瀕死だった。
その家の剣士は胸を潰されて絶命していた。
天丸さんは病院へ運ばれ、剣士全員が夜を徹して警戒した。
虎城さんはアラスカや蓮花さんの研究所と連絡を取り合っている。
その2時間後、高虎さんたちが戻って来た。
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