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プテラノドンの涙 Ⅱ
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また散歩に出た。
最近よく飛んでる。
なんか、あのクサイ飛ぶ奴が増えて来たように思えるからだ。
あいつら、大嫌い。
スン
地球を300周くらいした。
今日は何だか、クサイ臭いがきっつい気がするぞー。
「にゃ(あそこか?)」
森林の中の場所だ。
「にゃ!(クッサイ!)」
悪臭の塊みたいな場所があった。
ドッグワァァァァァァァァン
「ばーん」をやってやった。
クッサイ連中がたくさん死んだ。
ざまぁ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ミハイル様、バイオビースト(※ジェヴォーダン)の飛行型生産施設が攻撃されました」
「またか!」
部下からの報告で私は気分を害した。
「イシガミの攻撃か?」
「いいえ、また観測出来ない攻撃でした。あの「謎のX」と思われます」
「またあいつか!」
「謎のX」は度々《ハイヴ》や研究所、また地上に出ているバイオビーストを襲っている。
《ハイヴ》は高レベルのものまで壊滅されており、イシガミサイドであることは予想しているが、全く正体が掴めなかった。
何しろ攻撃の瞬間ですら、何も観測されないのだ。
何らかの高エネルギーであることは、破壊の現象で分かる。
しかし、それがどのようなエネルギーであるのかが皆目分からない。
そして攻撃の本体ですら何も見えないのだ。
その「謎のX」が、何故かバイオビーストの飛行型をよく狙っている。
それもどのような理由かも不明だ。
「何故あいつはこうも飛行型ばかり狙うのだ!」
癇癪を起した私に、部下が戸惑っている。
「分かりませんが、もしかしたら飛行型が敵にとって何らかの脅威なのではないでしょうか?」
「どういうことか説明しろ!」
部下が必死に考えている。
「あの、「クリムゾン・リッカ」の街を襲った際に」
「あれがどうした!」
「一体の飛行型のバイオビーストが、防衛システムを瞬時に破壊しました!」
「おお! あれか!」
子どもの施設を襲わせた際に、確かに防衛システムは攻撃前に破壊された。
飛行型の高速度の攻撃によってだ。
「なるほど! イシガミの防衛システムは空中からの攻撃に弱いということか!」
「はい! そのように愚考します!」
私が賛同したので、部下がホッとしている。
「そうか。ならば逆に飛行型のバイオビーストを先に量産するか。それを主体に攻撃の軍を作れば、イシガミたちの基地を撃破出来るかもしれないな」
「はい!」
私はそのように指示した。
但し、飛行型のバイオビーストは一つ問題があった。
陸戦型や海戦型は成体になればそのまま運用出来たが、飛行型は「飛び方」を訓練しなければならない。
実際にはバイオビースト自身が飛行を覚えるのだが、実際に飛ぶまで練習の期間が必要なのだ。
そのため、一時的に外で飛行訓練をさせる。
これまで「謎のX」は、その飛行訓練のバイオビーストを襲っているのだ。
飛行型のバイオビーストは幾つかの施設で培養しているのだが、何故か「謎のX」は各地でバイオビーストを捉え、攻撃している。
まあ、いい。
これから幾つもの施設で量産すれば、その全てを襲うことは出来ないだろう。
更に培養生育所を増やし分散して実行しよう。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
蓮花から連絡が来た。
「石神様。やはり飛行タイプも他のタイプと同様に、量産されていたようです」
「そうなのか?」
「しかし、観測後から急激に数が減っております」
「詳細に話せ」
「はい。4週間前の記録に遡りますが、分類の結果をあてはめますと、凡そ3000体がおりました」
「結構多いな」
「そうなのです。しかし、一昨日までに、それが12体にまで減少していたのです」
「なんだと?」
「原因は不明です。もしかすると、敵の内部事情なのかもしれませんが」
「生育が困難だとかいう理由か?」
「その通りでございます。しかし、敵のバイオ技術を考えると、考えにくいことではないかと」
「そうだよなぁ」
よく分からないことだ。
「まあ、注意して行こう。《ウラノス》に追跡考察事項として他の量子コンピューターとも共有させてくれ」
「かしこまりました」
3000体もいた飛行タイプが、どうして激減しているのか。
悪い情報ではないのだが、謎だった。
何か飛行型には問題でもあるのか。
「業」のジェヴォーダンを生み出す技術は相当に高い。
果たして、何らかの弱点のあるものを量産するのだろうか。
まあ、考えても分からないことは取り敢えず放置だ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ぎゃおー(また、モスクワでプテラさんが殺されたそうだぞ!)」
「ぎゃおー(ああ、知ってる。それどこじゃないよ、グルジアのプテラさんたちが皆殺しらしい)」
「ぎゃおー(なんてことだ! なんで私たちばっかり!)」
「ぎゃおー(こわいよー)」
「ぎゃおー(でも、なんかミハイル様が僕たちを一杯創ってくれるみたいだよ?)」
「ぎゃおー(だけど、それでも殺されちゃったら……)」
「ぎゃおー(沢山の施設で創るらしいから。きっとここは安全だよ)」
「ぎゃおー(そうかなぁ……)」
「ぎゃおー(戦争の無い国に行きたいよー)」
「ぎゃおー(しくしく……)」
「ぎゃおー(そう泣くなよ、きっといいことがあるって)」
「ぎゃおー(僕は戦争が終わったら畑を耕してのんびり生きたいな)」
「ぎゃおー(私も、旦那さんと一緒に子育てしたいわ)」
「ぎゃおー(きっとそうなるさ)」
「ぎゃおー(みんなで仲良く暮らしたいね)」
「ぎゃおー(ねぇ、君。僕と結婚しないか?)」
「ぎゃおー(え!)」
「ぎゃおー(こんな暮らしでも、今出来ることをやろうよ)」
「ぎゃおー(う、嬉しい!)」
「ぎゃおー(なんだなんだ、おめでたい話じゃないか!)」
「ぎゃおー(ええ、今だって愛があれば、幸せになれますよ)」
「ぎゃおー(じゃあ、結婚しなよ! 僕たちで祝おう!)」
「「ぎゃおー(ありがとうございます!)」」
「ぎゃおー(プテラさん! 愛してます)」
「ぎゃおー(プテラさん! わたしも!)」
ドッグワァァァァァァァァン
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
アキがトイレの掃除をしていた。
この家のトイレはいつも清潔だ。
まあ、ちょっとでも放置すればとんでもないことになる。
特に、ハーが使ったあとは物凄い臭いで近付きたくない。
私たちは鼻がいい。
そのハーが私のトイレを掃除している。
みんな私のトイレもいつも綺麗にしてくれる。
時々愛しのタカトラも掃除してくれる。
「ロボー、今綺麗にするからねー」
「にゃ(ありがと)」
ハーがニコニコしてトイレを洗って拭き、砂を替えてくれた。
また散歩に出た。
最近よく飛んでる。
なんか、あのクサイ飛ぶ奴がさらに増えて来たように思えるからだ。
あいつら、大嫌い。
スン
今日は何だか、クサイ臭いがきっつい気がするぞー。
それも、幾つもあちこちにある。
「にゃー!(ドグサレがぁー!)」
ドッグワァァァァァァァァン
ドッグワァァァァァァァァン
ドッグワァァァァァァァァン
ドッグワァァァァァァァァン
ドッグワァァァァァァァァン
ドッグワァァァァァァァァン……
全部吹っ飛ばしてやった。
ざまぁ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ミハイル様、バイオビーストの飛行タイプの生育施設が全て壊滅いたしました……」
「なんだとぉー!」
「「謎のX」です。《ハイヴ》の20%が喪われました」
「なんということだ……」
部下が私を見ている。
「ミハイル様、しばらくは飛行タイプの生育は控えた方が良いかと」
「何を言う!」
「優先的にやられます。「謎のX」の攻撃は、今の我々には防げません」
「お前ぇ!」
「落ち着いて下さい! これ以上《ハイヴ》を喪うことは、「カルマ」様の逆鱗に触れる可能性が!」
「!」
「どうか、計画を今一度」
「わ、分かった!」
どうしようもない。
「飛行タイプ」を生育したせいで《ハイヴ》を喪ったとあれば、確かに不味いだろう。
ウラあたりが知れば、きっと「カルマ」様に何か吹き込むに違いない。
部下の言う通り、「飛行タイプ」はしばらく見合わせるか。
しかし悔しい。
最近、ウラは桁違いに強い妖魔を生み出したようだ。
既存の強力な妖魔に、何らかの技を埋め込んだとか聞いている。
私は「飛行タイプ」のバイオビーストで実績を上げようと思っていたのだが。
まあいい。
私には《ニルヴァーナ》がある。
今後、「カルマ」様の戦略は、この《ニルヴァーナ》が中心となる。
ウラが多少褒められたとしても、結局は私の手柄が大きいのだ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
また蓮花からジェヴォーダンの連絡が来た。
「石神様、飛行型の霊素観測が全て消えました」
「どういうことだ?」
「分かりません。「御幸」がこれまで捉えていた霊素反応が全て途絶えたのです」
「隠ぺいされているのではないか?」
「その可能性もありますが。ですが、《ハイヴ》全体を覆うような隠蔽工作をしますでしょうか?」
「まあ、大規模過ぎて実用的ではないか」
「はい。それに《ハイヴ》そのものの反応も途絶えたのです。衛星画像でも完全に破壊されていると分かりました」
「なんだと!」
俺たち以外にあの《ハイヴ》を攻略する者がいるということか。
「それも分かりません。一切の攻撃の初動すら観測出来て居りません。一体何があったのでしょうか?」
「何らかの事故か?」
「ああ、なるほど」
「どれほど《ハイヴ》が消えたんだ?」
「凡そ20%。我々が捉えていた《ハイヴ》のうち39カ所が壊滅しました」
「まあ、ざまぁってことだが、何かあるかもしれんな。今まで通り、《ハイヴ》の観測は優先してやってくれ」
「はい、かしこまりました」
通話を切った。
何が起きているのだろうか。
まさか、《ハイヴ》を破壊して偽装工作ということでもないだろう。
俺たちも《ハイヴ》攻略の作戦を勧めてはいるが、簡単なことではない。
20%も自壊しての作戦など考えられない。
やはり事故なのだろうか。
まあ、今後も詳細に観測していくしかないだろう。
ロボが散歩から帰って来た。
最近ちょくちょくいなくなる。
まあ、自由な奴なのでいいのだが。
「にゃー」
「おう、お帰り」
俺はウッドデッキに出てロボの足を拭いてやった。
「おい、どこまで行ってたんだよ?」
「にゃー」
「そうか」
まあ、分からん。
ロボはカワイイ。
最近よく飛んでる。
なんか、あのクサイ飛ぶ奴が増えて来たように思えるからだ。
あいつら、大嫌い。
スン
地球を300周くらいした。
今日は何だか、クサイ臭いがきっつい気がするぞー。
「にゃ(あそこか?)」
森林の中の場所だ。
「にゃ!(クッサイ!)」
悪臭の塊みたいな場所があった。
ドッグワァァァァァァァァン
「ばーん」をやってやった。
クッサイ連中がたくさん死んだ。
ざまぁ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ミハイル様、バイオビースト(※ジェヴォーダン)の飛行型生産施設が攻撃されました」
「またか!」
部下からの報告で私は気分を害した。
「イシガミの攻撃か?」
「いいえ、また観測出来ない攻撃でした。あの「謎のX」と思われます」
「またあいつか!」
「謎のX」は度々《ハイヴ》や研究所、また地上に出ているバイオビーストを襲っている。
《ハイヴ》は高レベルのものまで壊滅されており、イシガミサイドであることは予想しているが、全く正体が掴めなかった。
何しろ攻撃の瞬間ですら、何も観測されないのだ。
何らかの高エネルギーであることは、破壊の現象で分かる。
しかし、それがどのようなエネルギーであるのかが皆目分からない。
そして攻撃の本体ですら何も見えないのだ。
その「謎のX」が、何故かバイオビーストの飛行型をよく狙っている。
それもどのような理由かも不明だ。
「何故あいつはこうも飛行型ばかり狙うのだ!」
癇癪を起した私に、部下が戸惑っている。
「分かりませんが、もしかしたら飛行型が敵にとって何らかの脅威なのではないでしょうか?」
「どういうことか説明しろ!」
部下が必死に考えている。
「あの、「クリムゾン・リッカ」の街を襲った際に」
「あれがどうした!」
「一体の飛行型のバイオビーストが、防衛システムを瞬時に破壊しました!」
「おお! あれか!」
子どもの施設を襲わせた際に、確かに防衛システムは攻撃前に破壊された。
飛行型の高速度の攻撃によってだ。
「なるほど! イシガミの防衛システムは空中からの攻撃に弱いということか!」
「はい! そのように愚考します!」
私が賛同したので、部下がホッとしている。
「そうか。ならば逆に飛行型のバイオビーストを先に量産するか。それを主体に攻撃の軍を作れば、イシガミたちの基地を撃破出来るかもしれないな」
「はい!」
私はそのように指示した。
但し、飛行型のバイオビーストは一つ問題があった。
陸戦型や海戦型は成体になればそのまま運用出来たが、飛行型は「飛び方」を訓練しなければならない。
実際にはバイオビースト自身が飛行を覚えるのだが、実際に飛ぶまで練習の期間が必要なのだ。
そのため、一時的に外で飛行訓練をさせる。
これまで「謎のX」は、その飛行訓練のバイオビーストを襲っているのだ。
飛行型のバイオビーストは幾つかの施設で培養しているのだが、何故か「謎のX」は各地でバイオビーストを捉え、攻撃している。
まあ、いい。
これから幾つもの施設で量産すれば、その全てを襲うことは出来ないだろう。
更に培養生育所を増やし分散して実行しよう。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
蓮花から連絡が来た。
「石神様。やはり飛行タイプも他のタイプと同様に、量産されていたようです」
「そうなのか?」
「しかし、観測後から急激に数が減っております」
「詳細に話せ」
「はい。4週間前の記録に遡りますが、分類の結果をあてはめますと、凡そ3000体がおりました」
「結構多いな」
「そうなのです。しかし、一昨日までに、それが12体にまで減少していたのです」
「なんだと?」
「原因は不明です。もしかすると、敵の内部事情なのかもしれませんが」
「生育が困難だとかいう理由か?」
「その通りでございます。しかし、敵のバイオ技術を考えると、考えにくいことではないかと」
「そうだよなぁ」
よく分からないことだ。
「まあ、注意して行こう。《ウラノス》に追跡考察事項として他の量子コンピューターとも共有させてくれ」
「かしこまりました」
3000体もいた飛行タイプが、どうして激減しているのか。
悪い情報ではないのだが、謎だった。
何か飛行型には問題でもあるのか。
「業」のジェヴォーダンを生み出す技術は相当に高い。
果たして、何らかの弱点のあるものを量産するのだろうか。
まあ、考えても分からないことは取り敢えず放置だ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ぎゃおー(また、モスクワでプテラさんが殺されたそうだぞ!)」
「ぎゃおー(ああ、知ってる。それどこじゃないよ、グルジアのプテラさんたちが皆殺しらしい)」
「ぎゃおー(なんてことだ! なんで私たちばっかり!)」
「ぎゃおー(こわいよー)」
「ぎゃおー(でも、なんかミハイル様が僕たちを一杯創ってくれるみたいだよ?)」
「ぎゃおー(だけど、それでも殺されちゃったら……)」
「ぎゃおー(沢山の施設で創るらしいから。きっとここは安全だよ)」
「ぎゃおー(そうかなぁ……)」
「ぎゃおー(戦争の無い国に行きたいよー)」
「ぎゃおー(しくしく……)」
「ぎゃおー(そう泣くなよ、きっといいことがあるって)」
「ぎゃおー(僕は戦争が終わったら畑を耕してのんびり生きたいな)」
「ぎゃおー(私も、旦那さんと一緒に子育てしたいわ)」
「ぎゃおー(きっとそうなるさ)」
「ぎゃおー(みんなで仲良く暮らしたいね)」
「ぎゃおー(ねぇ、君。僕と結婚しないか?)」
「ぎゃおー(え!)」
「ぎゃおー(こんな暮らしでも、今出来ることをやろうよ)」
「ぎゃおー(う、嬉しい!)」
「ぎゃおー(なんだなんだ、おめでたい話じゃないか!)」
「ぎゃおー(ええ、今だって愛があれば、幸せになれますよ)」
「ぎゃおー(じゃあ、結婚しなよ! 僕たちで祝おう!)」
「「ぎゃおー(ありがとうございます!)」」
「ぎゃおー(プテラさん! 愛してます)」
「ぎゃおー(プテラさん! わたしも!)」
ドッグワァァァァァァァァン
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
アキがトイレの掃除をしていた。
この家のトイレはいつも清潔だ。
まあ、ちょっとでも放置すればとんでもないことになる。
特に、ハーが使ったあとは物凄い臭いで近付きたくない。
私たちは鼻がいい。
そのハーが私のトイレを掃除している。
みんな私のトイレもいつも綺麗にしてくれる。
時々愛しのタカトラも掃除してくれる。
「ロボー、今綺麗にするからねー」
「にゃ(ありがと)」
ハーがニコニコしてトイレを洗って拭き、砂を替えてくれた。
また散歩に出た。
最近よく飛んでる。
なんか、あのクサイ飛ぶ奴がさらに増えて来たように思えるからだ。
あいつら、大嫌い。
スン
今日は何だか、クサイ臭いがきっつい気がするぞー。
それも、幾つもあちこちにある。
「にゃー!(ドグサレがぁー!)」
ドッグワァァァァァァァァン
ドッグワァァァァァァァァン
ドッグワァァァァァァァァン
ドッグワァァァァァァァァン
ドッグワァァァァァァァァン
ドッグワァァァァァァァァン……
全部吹っ飛ばしてやった。
ざまぁ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ミハイル様、バイオビーストの飛行タイプの生育施設が全て壊滅いたしました……」
「なんだとぉー!」
「「謎のX」です。《ハイヴ》の20%が喪われました」
「なんということだ……」
部下が私を見ている。
「ミハイル様、しばらくは飛行タイプの生育は控えた方が良いかと」
「何を言う!」
「優先的にやられます。「謎のX」の攻撃は、今の我々には防げません」
「お前ぇ!」
「落ち着いて下さい! これ以上《ハイヴ》を喪うことは、「カルマ」様の逆鱗に触れる可能性が!」
「!」
「どうか、計画を今一度」
「わ、分かった!」
どうしようもない。
「飛行タイプ」を生育したせいで《ハイヴ》を喪ったとあれば、確かに不味いだろう。
ウラあたりが知れば、きっと「カルマ」様に何か吹き込むに違いない。
部下の言う通り、「飛行タイプ」はしばらく見合わせるか。
しかし悔しい。
最近、ウラは桁違いに強い妖魔を生み出したようだ。
既存の強力な妖魔に、何らかの技を埋め込んだとか聞いている。
私は「飛行タイプ」のバイオビーストで実績を上げようと思っていたのだが。
まあいい。
私には《ニルヴァーナ》がある。
今後、「カルマ」様の戦略は、この《ニルヴァーナ》が中心となる。
ウラが多少褒められたとしても、結局は私の手柄が大きいのだ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
また蓮花からジェヴォーダンの連絡が来た。
「石神様、飛行型の霊素観測が全て消えました」
「どういうことだ?」
「分かりません。「御幸」がこれまで捉えていた霊素反応が全て途絶えたのです」
「隠ぺいされているのではないか?」
「その可能性もありますが。ですが、《ハイヴ》全体を覆うような隠蔽工作をしますでしょうか?」
「まあ、大規模過ぎて実用的ではないか」
「はい。それに《ハイヴ》そのものの反応も途絶えたのです。衛星画像でも完全に破壊されていると分かりました」
「なんだと!」
俺たち以外にあの《ハイヴ》を攻略する者がいるということか。
「それも分かりません。一切の攻撃の初動すら観測出来て居りません。一体何があったのでしょうか?」
「何らかの事故か?」
「ああ、なるほど」
「どれほど《ハイヴ》が消えたんだ?」
「凡そ20%。我々が捉えていた《ハイヴ》のうち39カ所が壊滅しました」
「まあ、ざまぁってことだが、何かあるかもしれんな。今まで通り、《ハイヴ》の観測は優先してやってくれ」
「はい、かしこまりました」
通話を切った。
何が起きているのだろうか。
まさか、《ハイヴ》を破壊して偽装工作ということでもないだろう。
俺たちも《ハイヴ》攻略の作戦を勧めてはいるが、簡単なことではない。
20%も自壊しての作戦など考えられない。
やはり事故なのだろうか。
まあ、今後も詳細に観測していくしかないだろう。
ロボが散歩から帰って来た。
最近ちょくちょくいなくなる。
まあ、自由な奴なのでいいのだが。
「にゃー」
「おう、お帰り」
俺はウッドデッキに出てロボの足を拭いてやった。
「おい、どこまで行ってたんだよ?」
「にゃー」
「そうか」
まあ、分からん。
ロボはカワイイ。
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