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皇紀&風花 結婚式 Ⅷ 終わったぁー

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 いよいよ披露宴(だったの?)が終わりに近づき、タカさんが会場の人たちに挨拶した。
 あー、やっと終わるかー。
 僕も風花さんもヘロヘロだった。
 そりゃいろいろ物凄いものを見せてはもらったし、こんなに大勢の方々に祝って頂けたのは有難いんだけど。
 最後にタカさんが挨拶でステージに上がった。
 僕と風花さんも一緒に並ぶ。
 そして麗星さん、栞さん、六花さんたちがステージの前に来る。
 なんだ?

 「えー、みなさん、長い時間お付き合い下さりありがとうございました」

 会場から盛大な拍手が湧く。
 
 「晴れて私の息子皇紀と風花が結婚しました」

 タカさんが僕たちの馴れ初めから(普通、最初に喋らない?)話し始めた。
 僕も風花さんも恥ずかしかったけど、黙って聞いていた。

 「そして、今! 風花のお腹には皇紀の子どもがいます!」
 「「!」」

 それ、言うんですか!

 「双子です!」
 「「!」」

 あの、双子って初めて聞きましたけど!
 風花さんも驚いていた。
 会場からまた大きな拍手が湧いた。
 野薔薇ちゃんがサッと上がって来て、自分がタカさんに教えたって言った。
 そうなのかー。
 でも、僕たちにも教えてほしいよ!

 「そして、私の妻の一人麗星も3人目を妊娠いたしました!」
 「「エェー!」」
 「また同じく私の妻栞にも2人目、六花にも2人目が宿りましたぁー!」
 「「エェー!」」

 栞さんを駆け寄った斬さんが肩を掴んで喜んでいるのが見えた。
 「紅六花」の方々が大歓声で祝っていた。
 お姉ちゃんたちが抱き合って喜んでいる。
 あー、みんなも知らなかったんだぁー。

 「えー、めでたいことは重なるものです。これからも宜しくお願いいたします」

 これって、どうなの?
 まあ、非常におめでたいんだけど。

 タカさんは最後にステージに残り、響子ちゃんを呼んで隣に座らせた。
 そしてギターで『KYOKO』を弾き、全ての式典が終了した。






 本当に結婚式の全てのスケジュールが終わり、僕と風花さんは大阪の風花さんの家に行った。
 タカさんと兄弟たちも一緒だ。
 柳さんもロボもいる。
 もちろん野薔薇ちゃんもいる。

 みんなにあらためてお祝いを言われた。
 いただいた膨大なものはほとんどまだアラスカにあって、後から運んでもらえるそうだ。
 みんなで食事を作って食べた。
 もう散々飲み食いはしているので、ステーキ(は必須かぁ)とラタトゥイユや豆腐料理などの簡単なものだ。
 
 「おう、お疲れ」
 「いいえ、本当に盛大な結婚式をありがとうございました」
 「私からもお礼を言わせて下さい」
 「本気かよ?」

 タカさんが大笑いした。
 僕と風花さんも笑った。
 お姉ちゃんたちも大笑いしている。

 「まあ、俺も本気でやったけどな!」
 「本気過ぎですよ!」
 「来週は大阪で改めて披露宴やるからな」
 「マジですか!」
 「今度は一週間な」
 「「エェー!」」

 冗談だと言われてホッとした。

 「塩野社長さんも喜んでいたなぁ」
 「まあ、他の来賓たちに驚いてましたけどね」
 「それに石神さんが「虎」の軍の最高司令官だって初めて知って。本当に驚いてましたよ?」
 「そうだろうな」

 食事を終え、タカさんは尖塔で少し飲もうと言った。
 お腹に赤ちゃんがいる風花さんはミルクティだ。
 タカさんがあらためて「乾杯」と言った。

 「皇紀、お前もこれで家族を持つようになった」
 「はい、しっかりやりますよ」
 「ああ。それでな、お前、これからは「山中」に戻れ」
 「えぇ!」

 タカさん、何を言っているんだろう!
 でももちろん、真面目な眼差しだった。

 「お前は山中家の長男だ。だからお前は山中家を継いでくれよ」
 「タカさん!」
 「亜紀ちゃんやルー、ハーとも話している。三人ともそれでもいいと言っている」
 「タカさん!」

 お姉ちゃんたちを見ると、三人ともうなずいている。

 「山中と奥さんが死んで、俺はそのことだけが心残りだったんだ。山中家が無くなってしまうのがな」
 「タカさん!」

 僕の眼から自然に涙が零れた。
 タカさんの言っていることはよく分かる。
 でも、でも、そうじゃないんだ!

 「タカさん!」
 「おう」
 「僕は「石神皇紀」です!」
 「……」
 「僕は死ぬまで石神皇紀です!」
 「でも、山中が……」

 僕は涙を拭って言った。

 「お父さんもお母さんも大好きです! 忘れたことはありません! でも、僕はあの日から石神皇紀になったんです!」
 「皇紀……」
 「タカさん、お願いです! 僕を石神皇紀のままでいさせてください!」
 「……」

 お姉ちゃんが僕の背中を抱き、両側にルーとハーが来た。

 「タカさん、やっぱりそうでしょう?」
 「皇紀ちゃんは絶対に嫌がるって」
 「そうだったでしょ?」
 「お前ら」

 お姉ちゃんが言った。

 「皇紀が山中に戻るって言うのならそれでも良かったの。私たちが何か変わるわけじゃないしね」
 「お姉ちゃん!」
 「タカさんね、私たちにも山中に戻らないかって言ってたのよ?」
 「え!」
 「当然断った。ルーとハーは大泣きしてタカさんを叩いてね。私たちは、もう「石神」だもんね」
 「そうだよ!」
 「もちろん、お父さんとお母さんはお父さんとお母さん。それも当たり前だよね」
 「そうだよ!」
 「じゃあ、タカさん」

 タカさんは泣きそうな顔で僕たちを見ていた。
 
 「分かったよ。まったくお前らは」

 みんなでタカさんに抱き着いた。

 「じゃあ、祝いの「ヒモダンス」! やるよ!」

 みんなで「ヒモダンス」を踊った。
 いつもは微妙な柳さんもノリノリで踊った。
 風花さんも野薔薇ちゃんも楽しそうに踊った。
 野薔薇ちゃんが言った。

 「主様、お母様にも二人目が生まれました」
 「「「「「「エェーーーーー!!!」」」」」」

 もう一回踊った。








 お祝い事が一杯あるけど、とにかく、石神皇紀、石神風花、結婚しました!
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