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「ガンドッグ」軍事教練
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最初はトラも俺も手を焼いた「ガンドッグ」を仲間にすることになった。
「ガンドッグ」を率いていた総帥ラッセルが自決し、トラに赦しを乞うた。
トラはラッセルの娘のソニアを受け入れ、「ガンドッグ」全員を「虎」の軍に参入させた。
俺はトラに言われて、ガンスリンガーたちを引き受け、訓練することになった。
俺たちの戦いに、どう組み込めるのか、トラは全て俺に任せると言った。
トラは俺を信頼してくれている。
そのことが単純に嬉しかった。
ガンスリンガーたちの戦闘力は高い。
あの超絶の銃技は俺もトラも真似できない。
それに戦闘の感覚も素晴らしい。
恐らく、通常の軍隊では相当な数と装備を整えなければガンスリンガーには対抗出来ないだろう。
まあ、やり方は幾らでもあるが。
そしてガンスリンガーたちを支える「ガンドッグ」の連中も優秀だ。
一個の軍隊として運用出来そうなことが、すぐに分かった。
作戦立案、兵站の構築、運搬や整備、資金の収集や運用まで、「ガンドッグ」が全て担える。
だからガンスリンガーたちは、状況を整えれば今でも十二分に通用する実力だった。
それは、俺もトラも分かっていた。
トラが予測した通り、ガンスリンガーたちは数倍の戦力相手でも、また装甲車や戦車も破壊出来た。
航空戦力も、三〇〇メートル以内であれば撃破出来た。
対物ライフルなどの武器を使えば、爆撃機高度でも対応出来ることが分かった。
エイブラムズ戦車を、あのスーパーブラックホークで破壊したのを見て、俺も驚いた。
俺には無理だ。
44マグナム弾という非力な武器の破壊力を格段に強化出来る能力があるのだ。
およそ銃器での戦闘では次元の違う戦い方が出来る。
しかし、妖魔相手では通用しない。
唯一、ソニアの弟マークが、「崋山」のスーパーレッドホークで対応できるだけだ。
それも、中級妖魔までだった。
通常戦力は、「花岡」を習得したソルジャーで十分だ。
恐らく、今後俺たちの戦場で、普通の軍隊が相手になることは少ない。
バイオノイドやライカンスロープは、ガンスリンガーでも対抗は出来るだろうが。
でも、妖魔相手では荷が重い。
つまり、「ガンドッグ」の連中は使いどころが少ないのだ。
俺はまたトラに相談した。
「「カサンドラ」は使わせたか?」
「ああ、普通の兵士以上に扱えるよ」
「だったら、それでいいじゃねぇか」
「だけどよ、折角あんなに技量のある連中だ。それを生かせないものかな」
「そうだなぁ。まあ、ちょっと考えてみるよ」
そう言ったトラは、2日後にやって来た。
拳銃弾を100発持って来ていた。
「聖の「散華」の弾を、44口径にしてみたんだ」
「なんだ?」
「ヒヒイロカネの弾殻に、あのハーケンクロイツだよ。これをガンスリンガーたちに使わせてみよう」
「おお!」
流石はトラだ。
「崋山」の武器は素晴らしいが、弾頭だけでも真似れば何かが起きるかもしれない。
早速ガンスリンガーを集め、ソニアに試射させる。
標的は、あのクロピョンの触手だ。
触手を見てソニアは驚いていたが、すぐに冷静さを取り戻した。
44口径の弾丸を与える。
「特殊な弾丸だ。もしかしたら、妖魔相手に使えるかもしれん」
「分かったわ」
ソニアが弾丸を調べ、弾倉に込めた。
軽くスーパーブラックホークを振ってバランスを確認する。
すぐに把握したようだ。
「あの黒いのを撃てばいいね」
「そうだ」
一度ホルスターに戻して、クイックドロウを見せた。
「「「!」」」
クロピョンの触手が四散し、後から出てきた触手が「二重丸」を作った。
「おい、すげぇじゃねぇか!」
「トラ、大成功だ!」
「今のなによ!」
自分で撃ったソニア自身が驚いているが、これでソニアたちが中級妖魔と渡り合えることが分かった。
他のガンスリンガーたちにもこの弾を与えれば同じということだ。
トラが試射をしたソニアに聞いた。
「何か問題はあるか?」
「そうね、微妙にブリットの重さとバランスが違うけど、少し練習すれば慣れるわ」
「頼もしいな」
俺もトラも、そんなことは考えたこともない。
やはりガンスリンガーというのは違う。
ソニアは10発も撃つとすべて把握したようだった。
マークも呼んで同様に撃たせる。
マークのガンはスーパーレッドホークの「崋山」だが、上級妖魔にも通用するほどの威力を見せた。
マークの場合は通常の弾でも中級妖魔までは斃せる。
あとは作戦の組み方だが、これでガンスリンガーを一チームとして運用出来そうだ。
「聖、こいつらの兵士としての能力はどうだ?」
「ああ、そっちはまだまだだな」
トラも分かっていたようだった。
ガンスリンガーは単独で行動することが多かった。
せいぜいが5人程度のチームだ。
だから、小隊として動く軍隊の動きはほとんど出来ない。
石神家の人間であれば、個に特化しても連携しての動きが素晴らしい。
自然に戦闘の最適解を割り出して、全員がそのように動ける。
本物の戦闘集団であり、妖魔を狩って来た人たちなのだ。
しかし、ガンスリンガーはサイキックを狩るという、特殊な組織だった。
そのために個の戦闘だけに特化し、集団戦は考慮されて来なかった。
だが今後は集団戦もあるし、強大な妖魔と複数で向き合う場面も必ずある。
だから俺たちはガンスリンガーたちを鍛え上げる必要があった。
消費する弾薬はトラが補給してくれる。
俺はガンスリンガーたちに戦闘訓練を施した。
そして、ある程度仕上がって来たこの夏。
トラが教練を見に来る。
丁度先日、トラの子どもたちが北海道の島で戦闘になった。
トラも想定外のことだったようだが、何とか全員無事に片付いた。
俺も呼ばれたが、まあトラに会えるのはいつでも嬉しい。
こんなにも短期間でトラとまた会える。
俺はそのことだけを喜んでいた。
「ガンドッグ」を率いていた総帥ラッセルが自決し、トラに赦しを乞うた。
トラはラッセルの娘のソニアを受け入れ、「ガンドッグ」全員を「虎」の軍に参入させた。
俺はトラに言われて、ガンスリンガーたちを引き受け、訓練することになった。
俺たちの戦いに、どう組み込めるのか、トラは全て俺に任せると言った。
トラは俺を信頼してくれている。
そのことが単純に嬉しかった。
ガンスリンガーたちの戦闘力は高い。
あの超絶の銃技は俺もトラも真似できない。
それに戦闘の感覚も素晴らしい。
恐らく、通常の軍隊では相当な数と装備を整えなければガンスリンガーには対抗出来ないだろう。
まあ、やり方は幾らでもあるが。
そしてガンスリンガーたちを支える「ガンドッグ」の連中も優秀だ。
一個の軍隊として運用出来そうなことが、すぐに分かった。
作戦立案、兵站の構築、運搬や整備、資金の収集や運用まで、「ガンドッグ」が全て担える。
だからガンスリンガーたちは、状況を整えれば今でも十二分に通用する実力だった。
それは、俺もトラも分かっていた。
トラが予測した通り、ガンスリンガーたちは数倍の戦力相手でも、また装甲車や戦車も破壊出来た。
航空戦力も、三〇〇メートル以内であれば撃破出来た。
対物ライフルなどの武器を使えば、爆撃機高度でも対応出来ることが分かった。
エイブラムズ戦車を、あのスーパーブラックホークで破壊したのを見て、俺も驚いた。
俺には無理だ。
44マグナム弾という非力な武器の破壊力を格段に強化出来る能力があるのだ。
およそ銃器での戦闘では次元の違う戦い方が出来る。
しかし、妖魔相手では通用しない。
唯一、ソニアの弟マークが、「崋山」のスーパーレッドホークで対応できるだけだ。
それも、中級妖魔までだった。
通常戦力は、「花岡」を習得したソルジャーで十分だ。
恐らく、今後俺たちの戦場で、普通の軍隊が相手になることは少ない。
バイオノイドやライカンスロープは、ガンスリンガーでも対抗は出来るだろうが。
でも、妖魔相手では荷が重い。
つまり、「ガンドッグ」の連中は使いどころが少ないのだ。
俺はまたトラに相談した。
「「カサンドラ」は使わせたか?」
「ああ、普通の兵士以上に扱えるよ」
「だったら、それでいいじゃねぇか」
「だけどよ、折角あんなに技量のある連中だ。それを生かせないものかな」
「そうだなぁ。まあ、ちょっと考えてみるよ」
そう言ったトラは、2日後にやって来た。
拳銃弾を100発持って来ていた。
「聖の「散華」の弾を、44口径にしてみたんだ」
「なんだ?」
「ヒヒイロカネの弾殻に、あのハーケンクロイツだよ。これをガンスリンガーたちに使わせてみよう」
「おお!」
流石はトラだ。
「崋山」の武器は素晴らしいが、弾頭だけでも真似れば何かが起きるかもしれない。
早速ガンスリンガーを集め、ソニアに試射させる。
標的は、あのクロピョンの触手だ。
触手を見てソニアは驚いていたが、すぐに冷静さを取り戻した。
44口径の弾丸を与える。
「特殊な弾丸だ。もしかしたら、妖魔相手に使えるかもしれん」
「分かったわ」
ソニアが弾丸を調べ、弾倉に込めた。
軽くスーパーブラックホークを振ってバランスを確認する。
すぐに把握したようだ。
「あの黒いのを撃てばいいね」
「そうだ」
一度ホルスターに戻して、クイックドロウを見せた。
「「「!」」」
クロピョンの触手が四散し、後から出てきた触手が「二重丸」を作った。
「おい、すげぇじゃねぇか!」
「トラ、大成功だ!」
「今のなによ!」
自分で撃ったソニア自身が驚いているが、これでソニアたちが中級妖魔と渡り合えることが分かった。
他のガンスリンガーたちにもこの弾を与えれば同じということだ。
トラが試射をしたソニアに聞いた。
「何か問題はあるか?」
「そうね、微妙にブリットの重さとバランスが違うけど、少し練習すれば慣れるわ」
「頼もしいな」
俺もトラも、そんなことは考えたこともない。
やはりガンスリンガーというのは違う。
ソニアは10発も撃つとすべて把握したようだった。
マークも呼んで同様に撃たせる。
マークのガンはスーパーレッドホークの「崋山」だが、上級妖魔にも通用するほどの威力を見せた。
マークの場合は通常の弾でも中級妖魔までは斃せる。
あとは作戦の組み方だが、これでガンスリンガーを一チームとして運用出来そうだ。
「聖、こいつらの兵士としての能力はどうだ?」
「ああ、そっちはまだまだだな」
トラも分かっていたようだった。
ガンスリンガーは単独で行動することが多かった。
せいぜいが5人程度のチームだ。
だから、小隊として動く軍隊の動きはほとんど出来ない。
石神家の人間であれば、個に特化しても連携しての動きが素晴らしい。
自然に戦闘の最適解を割り出して、全員がそのように動ける。
本物の戦闘集団であり、妖魔を狩って来た人たちなのだ。
しかし、ガンスリンガーはサイキックを狩るという、特殊な組織だった。
そのために個の戦闘だけに特化し、集団戦は考慮されて来なかった。
だが今後は集団戦もあるし、強大な妖魔と複数で向き合う場面も必ずある。
だから俺たちはガンスリンガーたちを鍛え上げる必要があった。
消費する弾薬はトラが補給してくれる。
俺はガンスリンガーたちに戦闘訓練を施した。
そして、ある程度仕上がって来たこの夏。
トラが教練を見に来る。
丁度先日、トラの子どもたちが北海道の島で戦闘になった。
トラも想定外のことだったようだが、何とか全員無事に片付いた。
俺も呼ばれたが、まあトラに会えるのはいつでも嬉しい。
こんなにも短期間でトラとまた会える。
俺はそのことだけを喜んでいた。
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