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再び「カタ研」サバイバルキャンプ
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子どもたちが夏休みに入る前の7月中旬。
亜紀ちゃんが俺に夏休みの予定を確認に来た。
一応仮の予定は話し合っていたが、最終確認のようだ。
「タカさん、今年の夏は前に話した予定通りでいいですか?」
「ああ、8月15日から2週間の休みを取る予定だ。一江にも話しているよ」
最初に蓮花の研究所へ行き、2泊して別荘にまた2泊の予定を話した。
「いいですね! じゃあ、私たちもそのつもりでいます」
「頼むな」
休暇としてはそんな感じだ。
家族全体の予定はそこまでで、俺は別途聖に会いに行ったり、アラスカや道間家へも行く予定だった。
以前に少し話はしていたが、亜紀ちゃんは俺の予定に合わせながら、自分たちの予定を組もうとしていたようだ。
亜紀ちゃんが「カタ研」で合宿をするつもりだと言ってきた。
「そうか。今度はどこへ行くんだ?」
「あのですね、その件でご相談が」
「ん?」
「ちょっと待ってて下さい」
亜紀ちゃんが柳と双子を呼びに行った。
柳とルーとハーが一緒に俺の部屋へ入って来る。
「タカさん! サバイバルキャンプに行きたいの!」
「あ?」
「お願い! 今度はちゃんとやるから!」
「もう、事前調査も済んでるの!」
二人が俺にA4の分厚い資料ファイルを渡してくる。
俺を説得するためにまとめたようだ。
「クマ島(くまじま)っていう無人島なの」
「柳ちゃんと亜紀ちゃんと私たちで、現地に行って安全は確認してるの」
今口にはしていないが、恐らく自由に出来るように購入しているのだろう。
二人が次々に資料の個所をめくりながら俺に説明した。
北海道の稚内から30キロ離れた無人島らしい。
あの辺はいろいろヤバいのだが、日本の領土にはなっているらしい。
但し、いろいろな兼ね合いか、島の名前はついていない。
上から撮影した写真を見ると、一応自生の森のようなものがあり、大きさは直径4キロのほぼ円形のようだ。
島の周囲は崖になっていて、中央がちょっとした山だった。
「地元の人も知っててね、「ああ、クマ島か」って呼んでて有名らしいですよ」
亜紀ちゃんが地元の人間に聞いて回ったようだ。
「地元の人が近づかない海域とかじゃねぇよな?」
「うん、大丈夫! 島の周りは岩場が多いから漁船は島には行かないけど、その周辺は普通に漁をするって」
「クマ島って、ヘンな名前だよな?」
「北海道だからじゃない?」
「うーん」
亜紀ちゃんが眼を潤ませながら俺を見ている。
「クマがいるかもしれません!」
「え?」
「ほら、クマって泳ぐじゃないですか! もしかしたら、クマがよく泳いでいくのかも!」
「あー」
亜紀ちゃんはクマ好きだ。
だから乗り気なんだろう。
本当にクマがいるかどうかは知らん。
「カタ研」の部長の柳に確認した。
「柳はどう思う?」
「はい。今回はちゃんと調べてありますから、安全かと思います」
「まあなぁ」
前回のようなことは、滅多に起きるものでもないだろうし。
「でも、念のために武器は持って行こうと思います」
「武器?」
「石神さん、「カサンドラ」を持って行ってもいいですか?」
「おい、あれは「虎」の軍の武装だぞ」
俺たち「虎」の軍は、法令でいかなる武装も許可されてはいる。
しかし、もちろん子どもたちが武装するのは俺の許可が必要で、ましてや「カサンドラ」は俺が許可しない限りは絶対に携行出来ない。
「分かってます。でも、念のために」
「うーん……」
俺は考えた。
こいつらは前回のとんでもない事態を重く受け止めて警戒しているのだろう。
「花岡」を封じられた場合に、別に戦う武器が必要だ。
しかし、基本的に「カタ研」の合宿は遊びだ。
それに、軍の武器を持たせるのはどうだろうか。
「まあ、却下だな。その代わり、日本刀は持って行っていい。「黒笛」も二本までならな」
「タカさん、ほんと!」
「やったぁー!」
双子は多少、石神家の剣技を使える。
「神雷」も一部使えるので、大抵のことは大丈夫だろう。
「それと、他の人間には見えないようにガンを持ってけよ。XM250とかが幾つもあっただろう?」
「はい、分かりました」
「ああ、他の連中の訓練はどうなってる?」
「はい、一応花岡は第一階梯まで」
「じゃあ、「螺旋花」はなんとかか」
「はい、そうです。ガン・シューティングもそこそこは」
「それなら、もしもの場合は配れる量のガンを持ってけ。他の武器もな」
「はい!」
「万一の場合以外は見せるなよ?」
「分かってます!」
俺が中隊支援の重機関銃や迫撃砲、グレネードなどを指示した。
あれ、結構な量になりそうだな。
キャンプだったよな。
まあ、いいか。
結局「カサンドラ」も全員分を許可した。
必要無いはずなのだが、俺の中で何かの勘が働いたのかもしれない。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
8月20日の木曜日。
竹芝桟橋に8時集合だ。
また飛行艇をチャーターして、クマ島に行く。
前回の苦い経験を活かし、今回は徹底的に調査し、万全の対策をしている。
まあ、事前調査で問題がないことが分かっているので、普通に、本当にサバイバルキャンプが出来る。
島は周囲が崖になっているが、調査の時に私たちが階段を作った。
岩を削って20メートル上の地面まで登れるようになっている。
前回と同様に、元自衛官の清瀬さんがベリエフ「Be-200」で待っていてくれた。
「やあ、みなさん。お揃いですね」
「よろしくお願いします」
部長の柳さんが清瀬さんに挨拶し、私たちも挨拶した。
すぐに機内に荷物を運んで乗り込んだ。
「おや、随分と重いですな」
「ええ、前回は軽装備だったんで、今回は結構」
「そうですか」
機体が沈むので清瀬さんにも分かったようだ。
「前回は大変でしたなぁ」
「はい、清瀬さんにもご迷惑を」
「いえいえ。連絡を頂いて驚いたばかりで。今回は楽しんで来て下さい」
「はい、そのつもりです」
前回は「業」のテロリストと鉢合わせし、「虎」の軍に救出されたことになっている。
言い訳が大変だったよー。
時間通りに海面を離陸し、一路「クマ島」へ向かった。
クマ、いるかなー!
亜紀ちゃんが俺に夏休みの予定を確認に来た。
一応仮の予定は話し合っていたが、最終確認のようだ。
「タカさん、今年の夏は前に話した予定通りでいいですか?」
「ああ、8月15日から2週間の休みを取る予定だ。一江にも話しているよ」
最初に蓮花の研究所へ行き、2泊して別荘にまた2泊の予定を話した。
「いいですね! じゃあ、私たちもそのつもりでいます」
「頼むな」
休暇としてはそんな感じだ。
家族全体の予定はそこまでで、俺は別途聖に会いに行ったり、アラスカや道間家へも行く予定だった。
以前に少し話はしていたが、亜紀ちゃんは俺の予定に合わせながら、自分たちの予定を組もうとしていたようだ。
亜紀ちゃんが「カタ研」で合宿をするつもりだと言ってきた。
「そうか。今度はどこへ行くんだ?」
「あのですね、その件でご相談が」
「ん?」
「ちょっと待ってて下さい」
亜紀ちゃんが柳と双子を呼びに行った。
柳とルーとハーが一緒に俺の部屋へ入って来る。
「タカさん! サバイバルキャンプに行きたいの!」
「あ?」
「お願い! 今度はちゃんとやるから!」
「もう、事前調査も済んでるの!」
二人が俺にA4の分厚い資料ファイルを渡してくる。
俺を説得するためにまとめたようだ。
「クマ島(くまじま)っていう無人島なの」
「柳ちゃんと亜紀ちゃんと私たちで、現地に行って安全は確認してるの」
今口にはしていないが、恐らく自由に出来るように購入しているのだろう。
二人が次々に資料の個所をめくりながら俺に説明した。
北海道の稚内から30キロ離れた無人島らしい。
あの辺はいろいろヤバいのだが、日本の領土にはなっているらしい。
但し、いろいろな兼ね合いか、島の名前はついていない。
上から撮影した写真を見ると、一応自生の森のようなものがあり、大きさは直径4キロのほぼ円形のようだ。
島の周囲は崖になっていて、中央がちょっとした山だった。
「地元の人も知っててね、「ああ、クマ島か」って呼んでて有名らしいですよ」
亜紀ちゃんが地元の人間に聞いて回ったようだ。
「地元の人が近づかない海域とかじゃねぇよな?」
「うん、大丈夫! 島の周りは岩場が多いから漁船は島には行かないけど、その周辺は普通に漁をするって」
「クマ島って、ヘンな名前だよな?」
「北海道だからじゃない?」
「うーん」
亜紀ちゃんが眼を潤ませながら俺を見ている。
「クマがいるかもしれません!」
「え?」
「ほら、クマって泳ぐじゃないですか! もしかしたら、クマがよく泳いでいくのかも!」
「あー」
亜紀ちゃんはクマ好きだ。
だから乗り気なんだろう。
本当にクマがいるかどうかは知らん。
「カタ研」の部長の柳に確認した。
「柳はどう思う?」
「はい。今回はちゃんと調べてありますから、安全かと思います」
「まあなぁ」
前回のようなことは、滅多に起きるものでもないだろうし。
「でも、念のために武器は持って行こうと思います」
「武器?」
「石神さん、「カサンドラ」を持って行ってもいいですか?」
「おい、あれは「虎」の軍の武装だぞ」
俺たち「虎」の軍は、法令でいかなる武装も許可されてはいる。
しかし、もちろん子どもたちが武装するのは俺の許可が必要で、ましてや「カサンドラ」は俺が許可しない限りは絶対に携行出来ない。
「分かってます。でも、念のために」
「うーん……」
俺は考えた。
こいつらは前回のとんでもない事態を重く受け止めて警戒しているのだろう。
「花岡」を封じられた場合に、別に戦う武器が必要だ。
しかし、基本的に「カタ研」の合宿は遊びだ。
それに、軍の武器を持たせるのはどうだろうか。
「まあ、却下だな。その代わり、日本刀は持って行っていい。「黒笛」も二本までならな」
「タカさん、ほんと!」
「やったぁー!」
双子は多少、石神家の剣技を使える。
「神雷」も一部使えるので、大抵のことは大丈夫だろう。
「それと、他の人間には見えないようにガンを持ってけよ。XM250とかが幾つもあっただろう?」
「はい、分かりました」
「ああ、他の連中の訓練はどうなってる?」
「はい、一応花岡は第一階梯まで」
「じゃあ、「螺旋花」はなんとかか」
「はい、そうです。ガン・シューティングもそこそこは」
「それなら、もしもの場合は配れる量のガンを持ってけ。他の武器もな」
「はい!」
「万一の場合以外は見せるなよ?」
「分かってます!」
俺が中隊支援の重機関銃や迫撃砲、グレネードなどを指示した。
あれ、結構な量になりそうだな。
キャンプだったよな。
まあ、いいか。
結局「カサンドラ」も全員分を許可した。
必要無いはずなのだが、俺の中で何かの勘が働いたのかもしれない。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
8月20日の木曜日。
竹芝桟橋に8時集合だ。
また飛行艇をチャーターして、クマ島に行く。
前回の苦い経験を活かし、今回は徹底的に調査し、万全の対策をしている。
まあ、事前調査で問題がないことが分かっているので、普通に、本当にサバイバルキャンプが出来る。
島は周囲が崖になっているが、調査の時に私たちが階段を作った。
岩を削って20メートル上の地面まで登れるようになっている。
前回と同様に、元自衛官の清瀬さんがベリエフ「Be-200」で待っていてくれた。
「やあ、みなさん。お揃いですね」
「よろしくお願いします」
部長の柳さんが清瀬さんに挨拶し、私たちも挨拶した。
すぐに機内に荷物を運んで乗り込んだ。
「おや、随分と重いですな」
「ええ、前回は軽装備だったんで、今回は結構」
「そうですか」
機体が沈むので清瀬さんにも分かったようだ。
「前回は大変でしたなぁ」
「はい、清瀬さんにもご迷惑を」
「いえいえ。連絡を頂いて驚いたばかりで。今回は楽しんで来て下さい」
「はい、そのつもりです」
前回は「業」のテロリストと鉢合わせし、「虎」の軍に救出されたことになっている。
言い訳が大変だったよー。
時間通りに海面を離陸し、一路「クマ島」へ向かった。
クマ、いるかなー!
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