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真夏の別荘 愛する者たちと Ⅳ
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翌朝。
8時にみんなで朝食を食べる。
今日も和食で、アジの開き、ミツバ入り出汁巻き卵、インゲンとシソの和え物、コーンサラダ、味噌汁は海苔だ。
「早乙女、よく眠れたか?」
「ああ、ぐっすりだよ。ここはいいなぁ」
「そうか。まあ、のんびりしてくれよ」
「ありがとう。そうさせてもらうよ」
早乙女は雪野さんと一緒に「美味しいね」と言いながらニコニコしている。
「そういえば、キャンプはどうだった?」
「ああ、そうだ!」
早乙女が慌てた。
「石神に是非話したかったんだ!」
「なんだよ?」
早乙女と雪野さんが俺を見ている。
「《巫炎》と会ったんだ」
「おお! そうだったんだ」
《巫炎》は、俺が名付けた。
元々はフェンリルという神獣だったようだ。
「綺麗な狼だった。石神の香りがしたんで出て来たって言ってた」
「へぇー! あいつ、鼻がいいからな!」
「うん。モハメドさんとも知り合いみたいで」
「そうなのかよ」
「あとな、久留守のことも知ってたみたいだ」
「ほう。まあ、長くヨーロッパにいた奴だからな」
久留守を見ると、こちらの話には気付かないで食事をしていた。
「あとな、山の主も来た」
「あいつかぁ!」
「えぇ、また来たの!」
「こないだ言い聞かせたのに!」
双子が叫ぶ。
亜紀ちゃんと皇紀もこっちを見ている。
柳は思い出したくないのか、下を向いていた。
「じゃあ、また置いてった?」
「うん、ドングリをね」
「あんにゃろう!」
「また締めに行くかぁ!」
「いや、デュールゲリエたちが何かやったみたいだから」
「そうなんだ。流石だね!」
なんだか気の毒だったのだと早乙女達は言った。
まあ、そうだろう。
怒っている子どもたちではなく、俺に向かって早乙女が言った。
「一生懸命に持って来てくれたんだよ」
「そうだよな」
「だから、あんなにみんなから怒られるのは、ちょっと可哀想に思ったんだ」
「まあな」
双子が反論した。
「早乙女さん、でもね、何度もダメだって言ったんだよ?」
「それなのに毎回持って来るんだよ?」
「ああ、それは困っちゃうよね」
「タカさんはどう思います?」
亜紀ちゃんが俺に聞いて来た。
「まあ、どっちの意見も分かるよ。でもな、俺の考えはこうだ。あの山の主は誰かに感謝すること、謝ること、崇敬の気持ち、そういったものをドングリを集めて来ることでしか表現出来ないんだよ」
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
「だから、怒られても止められても、あいつはあれをやるのな。それしか出来ないんだ」
子どもたちが半泣きになった。
「た、タカさん!」
「間違ってたよぉー!」
「私も気持ち悪いって思ってました!」
「僕も!」
「石神さんの考え方に気付きませんでしたぁ!」
「おい!」
子どもたちが謝って来る。
「別に、どう思っていようといいんだよ。好き嫌いはあってもいいんだ。俺の考え方が正しいってわけじゃないんだからな」
「ううん、違うよ! タカさんの考え方は「石神家」だよ!」
「ルー! それだぁ!」
亜紀ちゃんとルーが抱き合って泣く。
なんなんだ。
子どもたちは食事を切り上げて、すぐに「Ωコンバットスーツ」に着替えて来た。
「タカさん、謝って来るね!」
「すぐに戻ります!」
「おいおい」
飛んでった。
まあ、いいけど。
早乙女がまた泣いてた。
「雪野さん、やっぱり石神だよ」
「ええ、そうですね」
そんな会話が聞こえて弱った。
奴隷たちがいなくなったので仕方なく俺が朝食の後片付けをしていると、桜花たちが手伝うと言って来た。
栞も来たが、もう手は足りるので断った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ハー、分かる?」
「うん、あっちっぽい!」
みんなで探した。
「あ、あそこだよ!」
尾根のちょっと下で、地面を掘って何かを探していた。
「山の主ぃー!」
《あ、みなさまお揃いで!》
みんなで山の主の前に降りた。
そして一斉に頭を下げた。
「「「「「ごめんなさい!」」」」」
《え、どうされたんですか! どうか頭をお上げ下さい!》
ルーが代表して説明した。
「前からね、ドングリを一杯持って来てくれてるじゃない」
《はい、皆様にはあまり喜ばれませんが》
「うん、私たちは勘違いしてた!」
《はい?》
「山の主が精一杯の気持ちで毎回持って来てくれてるのに! その心を見ようともしなかったよ! 本当にごめんなさい!」
《い、いいえ! わたしこそあんなことしか出来ずに申し訳ない》
「タカさんにさっき言われたの! 精一杯の気持ちなんだって! それでみんなで謝りに来たの!」
《それはそれは、石神様のお陰なんですね》
「うん! これからは持って来てくれたものはちゃんと有難く受け取るよ! 最初もそうやってたのにね」
《さようでございますか。それは有難いことでございます》
「あ、でもね。そんなには食べないから、ちょっとでいいよ?」
《かしこまりました。そうさせていただきますね》
山の主はとても喜んでいた。
私たちは山の主の食事の邪魔をしたことを謝った。
そしてお土産に持って来たジャガイモをあげた。
10キロだ。
山の主は大喜びでジャガイモを食べた。
《おいしいです!》
「さっきは何を掘ってたの?」
《はい、自然薯です》
「そうなんだ! タカさんも大好きだよ!」
《そうですか! ではたまには自然薯も持って行きますね》
「うん、きっと喜ぶよ!」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
そんな会話があったらしい。
しばらく後に、俺が丹沢に行くと、山の主が来た。
《自然薯がお好みとのことで》
「ああ、好きだけどな」
《では》
ンゴォォォガァァァー! ゲロゲロ ンモォォォーーー ゲロゲロ
「……」
ドロドロの白いものを吐き出し、胃液と混ざったか凄まじい悪臭がした。
《どうぞ》
「……ああ、ありがとう……」
その後、もう自然薯ではなくドングリにして欲しいということを分からせるのに苦労した。
えーと、誰が悪かった?
8時にみんなで朝食を食べる。
今日も和食で、アジの開き、ミツバ入り出汁巻き卵、インゲンとシソの和え物、コーンサラダ、味噌汁は海苔だ。
「早乙女、よく眠れたか?」
「ああ、ぐっすりだよ。ここはいいなぁ」
「そうか。まあ、のんびりしてくれよ」
「ありがとう。そうさせてもらうよ」
早乙女は雪野さんと一緒に「美味しいね」と言いながらニコニコしている。
「そういえば、キャンプはどうだった?」
「ああ、そうだ!」
早乙女が慌てた。
「石神に是非話したかったんだ!」
「なんだよ?」
早乙女と雪野さんが俺を見ている。
「《巫炎》と会ったんだ」
「おお! そうだったんだ」
《巫炎》は、俺が名付けた。
元々はフェンリルという神獣だったようだ。
「綺麗な狼だった。石神の香りがしたんで出て来たって言ってた」
「へぇー! あいつ、鼻がいいからな!」
「うん。モハメドさんとも知り合いみたいで」
「そうなのかよ」
「あとな、久留守のことも知ってたみたいだ」
「ほう。まあ、長くヨーロッパにいた奴だからな」
久留守を見ると、こちらの話には気付かないで食事をしていた。
「あとな、山の主も来た」
「あいつかぁ!」
「えぇ、また来たの!」
「こないだ言い聞かせたのに!」
双子が叫ぶ。
亜紀ちゃんと皇紀もこっちを見ている。
柳は思い出したくないのか、下を向いていた。
「じゃあ、また置いてった?」
「うん、ドングリをね」
「あんにゃろう!」
「また締めに行くかぁ!」
「いや、デュールゲリエたちが何かやったみたいだから」
「そうなんだ。流石だね!」
なんだか気の毒だったのだと早乙女達は言った。
まあ、そうだろう。
怒っている子どもたちではなく、俺に向かって早乙女が言った。
「一生懸命に持って来てくれたんだよ」
「そうだよな」
「だから、あんなにみんなから怒られるのは、ちょっと可哀想に思ったんだ」
「まあな」
双子が反論した。
「早乙女さん、でもね、何度もダメだって言ったんだよ?」
「それなのに毎回持って来るんだよ?」
「ああ、それは困っちゃうよね」
「タカさんはどう思います?」
亜紀ちゃんが俺に聞いて来た。
「まあ、どっちの意見も分かるよ。でもな、俺の考えはこうだ。あの山の主は誰かに感謝すること、謝ること、崇敬の気持ち、そういったものをドングリを集めて来ることでしか表現出来ないんだよ」
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
「だから、怒られても止められても、あいつはあれをやるのな。それしか出来ないんだ」
子どもたちが半泣きになった。
「た、タカさん!」
「間違ってたよぉー!」
「私も気持ち悪いって思ってました!」
「僕も!」
「石神さんの考え方に気付きませんでしたぁ!」
「おい!」
子どもたちが謝って来る。
「別に、どう思っていようといいんだよ。好き嫌いはあってもいいんだ。俺の考え方が正しいってわけじゃないんだからな」
「ううん、違うよ! タカさんの考え方は「石神家」だよ!」
「ルー! それだぁ!」
亜紀ちゃんとルーが抱き合って泣く。
なんなんだ。
子どもたちは食事を切り上げて、すぐに「Ωコンバットスーツ」に着替えて来た。
「タカさん、謝って来るね!」
「すぐに戻ります!」
「おいおい」
飛んでった。
まあ、いいけど。
早乙女がまた泣いてた。
「雪野さん、やっぱり石神だよ」
「ええ、そうですね」
そんな会話が聞こえて弱った。
奴隷たちがいなくなったので仕方なく俺が朝食の後片付けをしていると、桜花たちが手伝うと言って来た。
栞も来たが、もう手は足りるので断った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ハー、分かる?」
「うん、あっちっぽい!」
みんなで探した。
「あ、あそこだよ!」
尾根のちょっと下で、地面を掘って何かを探していた。
「山の主ぃー!」
《あ、みなさまお揃いで!》
みんなで山の主の前に降りた。
そして一斉に頭を下げた。
「「「「「ごめんなさい!」」」」」
《え、どうされたんですか! どうか頭をお上げ下さい!》
ルーが代表して説明した。
「前からね、ドングリを一杯持って来てくれてるじゃない」
《はい、皆様にはあまり喜ばれませんが》
「うん、私たちは勘違いしてた!」
《はい?》
「山の主が精一杯の気持ちで毎回持って来てくれてるのに! その心を見ようともしなかったよ! 本当にごめんなさい!」
《い、いいえ! わたしこそあんなことしか出来ずに申し訳ない》
「タカさんにさっき言われたの! 精一杯の気持ちなんだって! それでみんなで謝りに来たの!」
《それはそれは、石神様のお陰なんですね》
「うん! これからは持って来てくれたものはちゃんと有難く受け取るよ! 最初もそうやってたのにね」
《さようでございますか。それは有難いことでございます》
「あ、でもね。そんなには食べないから、ちょっとでいいよ?」
《かしこまりました。そうさせていただきますね》
山の主はとても喜んでいた。
私たちは山の主の食事の邪魔をしたことを謝った。
そしてお土産に持って来たジャガイモをあげた。
10キロだ。
山の主は大喜びでジャガイモを食べた。
《おいしいです!》
「さっきは何を掘ってたの?」
《はい、自然薯です》
「そうなんだ! タカさんも大好きだよ!」
《そうですか! ではたまには自然薯も持って行きますね》
「うん、きっと喜ぶよ!」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
そんな会話があったらしい。
しばらく後に、俺が丹沢に行くと、山の主が来た。
《自然薯がお好みとのことで》
「ああ、好きだけどな」
《では》
ンゴォォォガァァァー! ゲロゲロ ンモォォォーーー ゲロゲロ
「……」
ドロドロの白いものを吐き出し、胃液と混ざったか凄まじい悪臭がした。
《どうぞ》
「……ああ、ありがとう……」
その後、もう自然薯ではなくドングリにして欲しいということを分からせるのに苦労した。
えーと、誰が悪かった?
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