2,466 / 2,806
蓮花研究所 防衛戦
しおりを挟む
「タイガー! ロシアのクラスノヤルスクの《ハイヴ》で熱源反応だ!」
「早速過ぎるな」
アラスカのターナー大将からの連絡だった。
柳が蓮花研究所の外壁を破壊してから1週間だ。
ロシア上空の監視衛星からの情報であり、俺たちの幾つもの監視衛星『御幸』が世界中を覆っている。
そこからのデータはアラスカに送られ、常時解析されているのだ。
「来るとは思っていたけどよ、こりゃ随分と早かったよなぁ」
「ああ、だがやはりシオリとシオウの動向はあちらにも分かっているようだな」
「規模はどうだ?」
「地上型ジェヴォーダン40、バイオノイド4000で、そのうちの100体くらいは《デモノイド》ではないかと推測されている」
「霊素が違うんだな?」
「そうだ。それにジェヴォーダンはお前が言っていたように、別途飛行型がいるようだ。そちらは4体いる」
「やっぱりか。ついにジェヴォーダンで飛ぶ奴が来るな」
俺の足元で、ロボが腿に身体を伸ばして来た。
なんだ?
「にゃ!(それ知ってる! 何度もシュパってしたよ!)」
「ロボ、ちょっと今電話中なんだ。大人しくしててくれ」
「にゃー(なんでよー!)」
柳に言ってロボを連れて行ってもらう。
あ、柳がぶっ飛ばされた。
「悪いな。妖魔の方は分かるか?」
「ああ、大体8000万くらいらしい。それに、やはりでかい奴がいるぞ」
「当然だな。あそこはレベル5の《ハイヴ》だ。穴底の奴も相当だろう」
「輸送はしないな」
「そうだ。また「業」の空間転移で送られるだろうよ」
前に「業」は空間転移で蓮花研究所に来た。
当時は短距離しか転移出来なかったようだが、そのうちに遠距離に部隊や神を送り込めるようになったようだ。
俺たちは超々音速機「タイガーファング」などを開発したが、敵も同様に兵站を自在に送り込めるようになった。
但し、相当なエネルギーを使うようで、制限はあると考えられていた。
それに、結界を超えることは出来ない。
麗星とタヌ吉の結界の手前に出現するだろう。
距離にして30キロだ。
「大丈夫か?」
「ワハハハハハハ! 石神家本家がいるんだぞ!」
「そうか。頼もしいな」
「任せておけ」
ターナー大将が別な話をした。
「ところで、例の謎の《ハイヴ》消滅なんだが」
「ああ、どうした?」
「観測の解析結果が出た。やはり既にレベル7になっていたものだ」
「なんだと? レベル7って、これまでの最高度だろう?」
「そうなんだ。それが突然だ。観測衛星『ミユキ』も、霊素観測レーダーも何も捉えていない。突然未知の高エネルギーが生じて、直後に全ての反応がなくなった。光学観測では大穴が空いていたよ」
「おい、そりゃどうなってんだよ」
ロボがまたやって来て、俺の肩に飛び乗って鳴きまくる。
「にゃーにゃー(それ、私がやったんだよ!)」
「おい、だから電話中なんだ。降りてくれ」
柳がまた来て、俺からロボを引き剥がそうとする。
怒ったロボが「ブーメラン・ヘルスイング・キック」を柳に見舞う。
大丈夫か?
「まあ、《ハイヴ》には不安定な要素もあるのかもな。今は蓮花研究所の防衛に集中するよ」
「分かった。何かあればいつでもこちらから応援を送る」
「おう、じゃあまたな」
ターナー大将との通話を切った。
蓮花研究所に連絡し、敵が一両日で来ることを知らせた。
虎白さんにも連絡し、襲撃が近いと言った。
「恐らく、明日、明後日のうちです」
「そうか! やるぜぇ!」
「アハハハハ、お願いしますね」
「おう、任せろ!」
俺は虎白さんに敵の規模を知らせた。
「どうやら《地獄の悪魔》も来るようです」
「楽しみだぜぇ!」
虎白さんは喜んでいた。
本当に戦闘が好きな人たちだ。
今回は噛み応えがあるだろう。
数で押して来る敵に対し、俺たちは力で押し返す。
「業」との戦いの縮図となるだろう。
俺も獰猛に笑った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
蓮花研究所の外壁が柳によって破壊され(二度も)、俺は虎白さんにしばらくの防衛を頼んだ。
子どもたちが腹を空かせて先に食堂へ行きたいと言ったが、俺が止めた。
今日はカレーだ。
俺の分が残るわけがねぇ。
虎白さんに電話した。
「虎白さん、お願いがあるんですけど」
「おう、なんだ?」
俺は状況を説明し、数か月の間、剣士たちを送って欲しいと頼んだ。
「じゃあ、明日の朝に行くぜ! 剣士は全員連れてく」
「ほんとですか!」
流石に虎白さんの決定は早い。
「任せろ。そこはお前の大事な場所なんだろ?」
「ええ、それに妻の栞と子どもの士王がここにいるようになったんです」
「おお、そうか! 士王に会えるんだな!」
「はい!」
「じゃあ、俺もちょっと鍛えてやるかぁ」
「アハハハ、お願いしますね。ああ、斬も「花岡」を教えて行くそうです」
「そっか! 斬と会うのも楽しみだぜぇ!」
「はい、じゃあ宜しくお願いします」
「おう! じゃあ明日の8時にあのでかい輸送機を寄越してくれ」
「分かりました」
虎白さんはまったく迷うことなく引き受けてくれた。
「高虎、やっとお前の役に立てるぜ」
「何言ってんですか。俺が世話になってるのに」
「今度はしくじらねぇ」
「はい」
電話を切った。
「蓮花、石神家が剣士を全員連れて来てくれるってよ」
「さようでございますか! 有難いことです!」
「ああ。あ!」
「どうされました?」
「そういやよ、今、剣士って何人になってんだろ?」
「はい?」
「こないだ行った時は96人って言ってたなー」
「まあ、随分と多くなりましたね」
蓮花にも石神家の剣士の話はしている。
「まだ2週間くらいだ。変わってないだろう」
「さようでございますか」
「俺、虎白さんとの会話ってどうにもおっかなくてよ。つい聞きそびれちゃうんだよな」
「オホホホホホ」
説明を聞いてないことも多いのだが、若干は俺の落ち度もあるのかもしれない。
いや、そんなことはねぇか。
「まあ、100人くらいと思っておけば大丈夫だろう」
「分かりました」
みんなで食堂へ移動した。
怒涛の勢いで子どもたちがカレーを喰い漁る。
やっぱり先に行かせないで良かったー。
「早速過ぎるな」
アラスカのターナー大将からの連絡だった。
柳が蓮花研究所の外壁を破壊してから1週間だ。
ロシア上空の監視衛星からの情報であり、俺たちの幾つもの監視衛星『御幸』が世界中を覆っている。
そこからのデータはアラスカに送られ、常時解析されているのだ。
「来るとは思っていたけどよ、こりゃ随分と早かったよなぁ」
「ああ、だがやはりシオリとシオウの動向はあちらにも分かっているようだな」
「規模はどうだ?」
「地上型ジェヴォーダン40、バイオノイド4000で、そのうちの100体くらいは《デモノイド》ではないかと推測されている」
「霊素が違うんだな?」
「そうだ。それにジェヴォーダンはお前が言っていたように、別途飛行型がいるようだ。そちらは4体いる」
「やっぱりか。ついにジェヴォーダンで飛ぶ奴が来るな」
俺の足元で、ロボが腿に身体を伸ばして来た。
なんだ?
「にゃ!(それ知ってる! 何度もシュパってしたよ!)」
「ロボ、ちょっと今電話中なんだ。大人しくしててくれ」
「にゃー(なんでよー!)」
柳に言ってロボを連れて行ってもらう。
あ、柳がぶっ飛ばされた。
「悪いな。妖魔の方は分かるか?」
「ああ、大体8000万くらいらしい。それに、やはりでかい奴がいるぞ」
「当然だな。あそこはレベル5の《ハイヴ》だ。穴底の奴も相当だろう」
「輸送はしないな」
「そうだ。また「業」の空間転移で送られるだろうよ」
前に「業」は空間転移で蓮花研究所に来た。
当時は短距離しか転移出来なかったようだが、そのうちに遠距離に部隊や神を送り込めるようになったようだ。
俺たちは超々音速機「タイガーファング」などを開発したが、敵も同様に兵站を自在に送り込めるようになった。
但し、相当なエネルギーを使うようで、制限はあると考えられていた。
それに、結界を超えることは出来ない。
麗星とタヌ吉の結界の手前に出現するだろう。
距離にして30キロだ。
「大丈夫か?」
「ワハハハハハハ! 石神家本家がいるんだぞ!」
「そうか。頼もしいな」
「任せておけ」
ターナー大将が別な話をした。
「ところで、例の謎の《ハイヴ》消滅なんだが」
「ああ、どうした?」
「観測の解析結果が出た。やはり既にレベル7になっていたものだ」
「なんだと? レベル7って、これまでの最高度だろう?」
「そうなんだ。それが突然だ。観測衛星『ミユキ』も、霊素観測レーダーも何も捉えていない。突然未知の高エネルギーが生じて、直後に全ての反応がなくなった。光学観測では大穴が空いていたよ」
「おい、そりゃどうなってんだよ」
ロボがまたやって来て、俺の肩に飛び乗って鳴きまくる。
「にゃーにゃー(それ、私がやったんだよ!)」
「おい、だから電話中なんだ。降りてくれ」
柳がまた来て、俺からロボを引き剥がそうとする。
怒ったロボが「ブーメラン・ヘルスイング・キック」を柳に見舞う。
大丈夫か?
「まあ、《ハイヴ》には不安定な要素もあるのかもな。今は蓮花研究所の防衛に集中するよ」
「分かった。何かあればいつでもこちらから応援を送る」
「おう、じゃあまたな」
ターナー大将との通話を切った。
蓮花研究所に連絡し、敵が一両日で来ることを知らせた。
虎白さんにも連絡し、襲撃が近いと言った。
「恐らく、明日、明後日のうちです」
「そうか! やるぜぇ!」
「アハハハハ、お願いしますね」
「おう、任せろ!」
俺は虎白さんに敵の規模を知らせた。
「どうやら《地獄の悪魔》も来るようです」
「楽しみだぜぇ!」
虎白さんは喜んでいた。
本当に戦闘が好きな人たちだ。
今回は噛み応えがあるだろう。
数で押して来る敵に対し、俺たちは力で押し返す。
「業」との戦いの縮図となるだろう。
俺も獰猛に笑った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
蓮花研究所の外壁が柳によって破壊され(二度も)、俺は虎白さんにしばらくの防衛を頼んだ。
子どもたちが腹を空かせて先に食堂へ行きたいと言ったが、俺が止めた。
今日はカレーだ。
俺の分が残るわけがねぇ。
虎白さんに電話した。
「虎白さん、お願いがあるんですけど」
「おう、なんだ?」
俺は状況を説明し、数か月の間、剣士たちを送って欲しいと頼んだ。
「じゃあ、明日の朝に行くぜ! 剣士は全員連れてく」
「ほんとですか!」
流石に虎白さんの決定は早い。
「任せろ。そこはお前の大事な場所なんだろ?」
「ええ、それに妻の栞と子どもの士王がここにいるようになったんです」
「おお、そうか! 士王に会えるんだな!」
「はい!」
「じゃあ、俺もちょっと鍛えてやるかぁ」
「アハハハ、お願いしますね。ああ、斬も「花岡」を教えて行くそうです」
「そっか! 斬と会うのも楽しみだぜぇ!」
「はい、じゃあ宜しくお願いします」
「おう! じゃあ明日の8時にあのでかい輸送機を寄越してくれ」
「分かりました」
虎白さんはまったく迷うことなく引き受けてくれた。
「高虎、やっとお前の役に立てるぜ」
「何言ってんですか。俺が世話になってるのに」
「今度はしくじらねぇ」
「はい」
電話を切った。
「蓮花、石神家が剣士を全員連れて来てくれるってよ」
「さようでございますか! 有難いことです!」
「ああ。あ!」
「どうされました?」
「そういやよ、今、剣士って何人になってんだろ?」
「はい?」
「こないだ行った時は96人って言ってたなー」
「まあ、随分と多くなりましたね」
蓮花にも石神家の剣士の話はしている。
「まだ2週間くらいだ。変わってないだろう」
「さようでございますか」
「俺、虎白さんとの会話ってどうにもおっかなくてよ。つい聞きそびれちゃうんだよな」
「オホホホホホ」
説明を聞いてないことも多いのだが、若干は俺の落ち度もあるのかもしれない。
いや、そんなことはねぇか。
「まあ、100人くらいと思っておけば大丈夫だろう」
「分かりました」
みんなで食堂へ移動した。
怒涛の勢いで子どもたちがカレーを喰い漁る。
やっぱり先に行かせないで良かったー。
1
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
まさか、、お兄ちゃんが私の主治医なんて、、
ならくま。くん
キャラ文芸
おはこんばんにちは!どうも!私は女子中学生の泪川沙織(るいかわさおり)です!私こんなに元気そうに見えるけど実は貧血や喘息、、いっぱい持ってるんだ、、まあ私の主治医はさすがに知人だと思わなかったんだけどそしたら血のつながっていないお兄ちゃんだったんだ、、流石にちょっとこれはおかしいよね!?でもお兄ちゃんが医者なことは事実だし、、
私のおにいちゃんは↓
泪川亮(るいかわりょう)お兄ちゃん、イケメンだし高身長だしもう何もかも完璧って感じなの!お兄ちゃんとは一緒に住んでるんだけどなんでもてきぱきこなすんだよね、、そんな二人の日常をお送りします!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
イケメン歯科医の日常
moa
キャラ文芸
堺 大雅(さかい たいが)28歳。
親の医院、堺歯科医院で歯科医として働いている。
イケメンで笑顔が素敵な歯科医として近所では有名。
しかし彼には裏の顔が…
歯科医のリアルな日常を超短編小説で書いてみました。
※治療の描写や痛い描写もあるので苦手な方はご遠慮頂きますようよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる