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愛する者の帰還 Ⅷ 柳のブレイクスルー 2
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「柳さん!」
「柳ちゃん! 何があったの!」
「とんでもない威力だよぉー!」
亜紀ちゃんとルーちゃんたちが駆け寄って来る。
幸い、私が技を撃った前方には誰もいなかった。
ふぅー。
でも、直後に警報が鳴った!
研究所の量子コンピューター《ロータス》が全館にアナウンスする。
《脅威度A級の破壊威力を確認! 直ちに研究所全体にレベル5の警戒態勢を敷きます。各自レベル5の対処に従って下さい。繰り返します。レベル5の警戒体制。各自レベル5の……》
《ロータス》がアナウンスを繰り返す。
サイレンの音が大きく恐ろしい。
えーと、脅威度Aっていうのは確か《地獄の悪魔》級の襲撃で、この研究所の防衛システムでも危ないっていう……
た、大変だぁー!
「あ、あ、あ、あ、亜紀ちゃん!」
「り、柳さん!」
「慌てないで! すぐに蓮花さんに連絡しよ!」
ハーちゃんが建物に向かおうとした。
大勢のデュールゲリエがハンガーから出て来る。
なんか、物凄いゴツい装備だぁ!
ブランのみなさんは私たちの所へ走って来た。
ミユキさんが私たちの前に駆け寄る。
研究所の端末を持って見ながら言った。
「皆様、とにかく、一度避難を!」
「え!」
「あのデュールゲリエは「バーサーカー・モード」です! 「サーチ・アンド・デストロイ」ですので、今研究所内で不用意に動く者は全て攻撃されます!」
「そんなぁ!」
「さあ、こちらへ! 逃げ遅れた場合に避難する場所がありますから!」
「柳さん! とにかくそっちへ!」
本館の正面玄関で物凄い破壊音がした。
ハーちゃんが逃げ帰って来た。
本館は全て出入り口が閉鎖されており、どこからも入れないようだ。
それに出入り口付近にはモードSの殲滅装備になったデュールゲリエがいるらしい。
「攻撃されるよー!」
「ハーさんも早くこちらへ!」
「うん!」
えーと、これ、私のせいだよね?
みんなでミユキさんたちに付いて行った。
走りながらルーちゃんがミユキさんに話す。
「早く蓮花さんに知らせないと!」
「今は無理です。脅威度B級以上の攻撃があった場合、蓮花様は真っ先に隔離されます」
「えぇ!」
「最高度の絶対防衛施設に入り、しばらくは石神様以外の誰とも接触出来ません。精神攻撃の妖魔もいますから、無暗と誰とも話せないのです! だから襲撃者が撃破されるか、事態が完全に安全と把握されるまでは」
「ブランのみなさんは迎撃に入らないの?」
「本来は蓮花様の護衛に着きたいのですが。しかし訓練中の場合、十分な武器を所持していないため、一旦避難施設に入ります。《ロータス》の判断によって、そこから武装を許可されれば移動できますが。でも、無防備に外にいた場合はやはり精神侵食の可能性もありますから、一旦は《ロータス》の判断によります」
「今日の場合は?」
「分かりません。敵勢力の確認が出来ないことから、時間が掛かると思われます」
「じゃあ、どうなるの!」
「とにかく、しばらく待ちましょう」
「うん!」
本当に大変なことになった。
《ロータス》は突然あの外壁が破壊されたことから、未知の攻撃を受けたと判断したのだろう。
私が「オロチブレイカー」を撃ち損ねたことが分かるだろうか?
避難施設に入ると、施設の建物ごと地中に移動して行った。
下に移動してから、上方で隔壁が閉じ、更に横方向へ進んでいく。
10分程移動し、部屋の移動が止まった。
ミユキさんの話によると、ここが避難所兼隔離場所になるらしい。
隔離というのは、私たちが妖魔の精神侵食を受けていないかがこれから判断されるということだ。
薄暗い空間に、ディスプレイの赤いアラートの表示が明滅している。
外の状況は一切分からない。
精神を乗っ取られていた場合に、防衛の状況を知らせないためだ。
もうミユキさんの端末も沈黙してブラックアウトしていた。
この部屋の状況は全て《ロータス》が監視しているはず。
「亜紀ちゃん! 私のせいだよ!」
「落ち着いて下さい、柳さん!」
「でも!」
アナイアレイターの何人かが私に言ってきた。
「柳様! あの時、柳様の足元に小さな女の子がいましたが!」
「え?」
「あの女の子は誰でしょうか! 突然現われて、また消えてしまいました!」
「なんのこと!」
「あれは敵だったのでしょうか?」
「え……」
分からない。
何、小さな女の子って!
私は誰も見てないよー!
「《ロータス》に確認してはいかがでしょうか?」
「え、うん! でも、どうやって!」
「音声で通じるはずです」
「え、分かった! 《ロータス》さん! 聞こえますか!」
《なんでしょうか柳様》
「今の会話は聞いてましたか?」
《はい、小さな女の子がいたという》
「そうです! 確認できますか? 私が「オロチブレイカー」を撃とうとした時です!」
《分かりました……解析しました。確かに0.03秒ほど、身長90センチの女性の姿が確認できました》
「ほんとに!」
《その直後に柳様が撃ったエネルギーが外壁を破壊しましたのですね》
「そ、そうです!」
《……》
《ロータス》が少し沈黙した。
《このクサレモノが》
「はい?」
《ロータス》が突然コワイ声で言った。
《全員に指示! クソ女を即座に拘束せよ! 抵抗すれば殺傷も厭いません。指示に従わない場合、全員が妖魔の浸食を受けたと判断します!》
「なんでぇぇぇぇーーーーー!」
「柳さんゴメン!」
「今は大人しくしてて!」
みんなに拘束された。
なんでよぉー!
「柳ちゃん! 何があったの!」
「とんでもない威力だよぉー!」
亜紀ちゃんとルーちゃんたちが駆け寄って来る。
幸い、私が技を撃った前方には誰もいなかった。
ふぅー。
でも、直後に警報が鳴った!
研究所の量子コンピューター《ロータス》が全館にアナウンスする。
《脅威度A級の破壊威力を確認! 直ちに研究所全体にレベル5の警戒態勢を敷きます。各自レベル5の対処に従って下さい。繰り返します。レベル5の警戒体制。各自レベル5の……》
《ロータス》がアナウンスを繰り返す。
サイレンの音が大きく恐ろしい。
えーと、脅威度Aっていうのは確か《地獄の悪魔》級の襲撃で、この研究所の防衛システムでも危ないっていう……
た、大変だぁー!
「あ、あ、あ、あ、亜紀ちゃん!」
「り、柳さん!」
「慌てないで! すぐに蓮花さんに連絡しよ!」
ハーちゃんが建物に向かおうとした。
大勢のデュールゲリエがハンガーから出て来る。
なんか、物凄いゴツい装備だぁ!
ブランのみなさんは私たちの所へ走って来た。
ミユキさんが私たちの前に駆け寄る。
研究所の端末を持って見ながら言った。
「皆様、とにかく、一度避難を!」
「え!」
「あのデュールゲリエは「バーサーカー・モード」です! 「サーチ・アンド・デストロイ」ですので、今研究所内で不用意に動く者は全て攻撃されます!」
「そんなぁ!」
「さあ、こちらへ! 逃げ遅れた場合に避難する場所がありますから!」
「柳さん! とにかくそっちへ!」
本館の正面玄関で物凄い破壊音がした。
ハーちゃんが逃げ帰って来た。
本館は全て出入り口が閉鎖されており、どこからも入れないようだ。
それに出入り口付近にはモードSの殲滅装備になったデュールゲリエがいるらしい。
「攻撃されるよー!」
「ハーさんも早くこちらへ!」
「うん!」
えーと、これ、私のせいだよね?
みんなでミユキさんたちに付いて行った。
走りながらルーちゃんがミユキさんに話す。
「早く蓮花さんに知らせないと!」
「今は無理です。脅威度B級以上の攻撃があった場合、蓮花様は真っ先に隔離されます」
「えぇ!」
「最高度の絶対防衛施設に入り、しばらくは石神様以外の誰とも接触出来ません。精神攻撃の妖魔もいますから、無暗と誰とも話せないのです! だから襲撃者が撃破されるか、事態が完全に安全と把握されるまでは」
「ブランのみなさんは迎撃に入らないの?」
「本来は蓮花様の護衛に着きたいのですが。しかし訓練中の場合、十分な武器を所持していないため、一旦避難施設に入ります。《ロータス》の判断によって、そこから武装を許可されれば移動できますが。でも、無防備に外にいた場合はやはり精神侵食の可能性もありますから、一旦は《ロータス》の判断によります」
「今日の場合は?」
「分かりません。敵勢力の確認が出来ないことから、時間が掛かると思われます」
「じゃあ、どうなるの!」
「とにかく、しばらく待ちましょう」
「うん!」
本当に大変なことになった。
《ロータス》は突然あの外壁が破壊されたことから、未知の攻撃を受けたと判断したのだろう。
私が「オロチブレイカー」を撃ち損ねたことが分かるだろうか?
避難施設に入ると、施設の建物ごと地中に移動して行った。
下に移動してから、上方で隔壁が閉じ、更に横方向へ進んでいく。
10分程移動し、部屋の移動が止まった。
ミユキさんの話によると、ここが避難所兼隔離場所になるらしい。
隔離というのは、私たちが妖魔の精神侵食を受けていないかがこれから判断されるということだ。
薄暗い空間に、ディスプレイの赤いアラートの表示が明滅している。
外の状況は一切分からない。
精神を乗っ取られていた場合に、防衛の状況を知らせないためだ。
もうミユキさんの端末も沈黙してブラックアウトしていた。
この部屋の状況は全て《ロータス》が監視しているはず。
「亜紀ちゃん! 私のせいだよ!」
「落ち着いて下さい、柳さん!」
「でも!」
アナイアレイターの何人かが私に言ってきた。
「柳様! あの時、柳様の足元に小さな女の子がいましたが!」
「え?」
「あの女の子は誰でしょうか! 突然現われて、また消えてしまいました!」
「なんのこと!」
「あれは敵だったのでしょうか?」
「え……」
分からない。
何、小さな女の子って!
私は誰も見てないよー!
「《ロータス》に確認してはいかがでしょうか?」
「え、うん! でも、どうやって!」
「音声で通じるはずです」
「え、分かった! 《ロータス》さん! 聞こえますか!」
《なんでしょうか柳様》
「今の会話は聞いてましたか?」
《はい、小さな女の子がいたという》
「そうです! 確認できますか? 私が「オロチブレイカー」を撃とうとした時です!」
《分かりました……解析しました。確かに0.03秒ほど、身長90センチの女性の姿が確認できました》
「ほんとに!」
《その直後に柳様が撃ったエネルギーが外壁を破壊しましたのですね》
「そ、そうです!」
《……》
《ロータス》が少し沈黙した。
《このクサレモノが》
「はい?」
《ロータス》が突然コワイ声で言った。
《全員に指示! クソ女を即座に拘束せよ! 抵抗すれば殺傷も厭いません。指示に従わない場合、全員が妖魔の浸食を受けたと判断します!》
「なんでぇぇぇぇーーーーー!」
「柳さんゴメン!」
「今は大人しくしてて!」
みんなに拘束された。
なんでよぉー!
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