2,430 / 2,806
《虎星》: ロボと鍛錬! Ⅳ
しおりを挟む
「タカさん! じゃあ、もう「魔法陣」は私たちの技に使えるんですか!」
亜紀ちゃんが真っ先に興奮して聞いて来た。
「まあな。但し、この技術は俺たちの最後の切り札になると思う。だからまだ多くは公開出来ないんだ」
「分かりました! タカさんに全てお任せします!」
全員が納得してくれるが、逆に双子が聞いて来た。
「タカさん、石神家本家には公開しても良かったの?」
「まあな。あの人たちは本当に信頼出来るからな。それとあれは実は俺が確認した中でも比較的軽度のものなんだ」
「「エッェェェェェーーー!」」
双子が驚く。
「あれって、凄まじい技だよね!」
「だって、《地獄の悪魔》も《神》も殺せるんだよね!」
「そうだ。だけど、俺たちはそれだけじゃ不足なんだ」
「「そんなぁー!」」
まだ子どもたちには話せないことがあった。
この宇宙の一角で、星系規模の「業」が出現したことを。
対抗する何かが現われたようだが、どういうものなのかまだ分からない。
だから最悪の場合、俺たちが《ミラー星系》に現われたものと戦わなければならないかもしれないのだ。
現段階で俺が全てを話せるのは聖と蓮花だけだと考えていた。
それ以外は子どもたちといえどもまだ話せない。
信頼していないとかという問題ではない。
余りにも次元の異なる力なのだ。
宇宙の銀河星団を吹っ飛ばすほどの威力の技。
俺はそういう力を目指していた。
もちろん、まだ確立したわけではない。
自分がそこへ到達出来るのかさえ分からない。
ロボとの鍛錬はまだまだ続きそうだ。
亜紀ちゃんが俺の背中に回って、後ろから抱き締めて来た。
「タカさんはいつもそうですよね」
「なんだ?」
「私たちの知らない所で一生懸命に。私たちを守るためにいつも。ずっとそうして来たんですよね」
俺は笑って亜紀ちゃんの腕を握った。
「そんなこと、当たり前だろう」
「「「タカさーん!」」」
「石神さーん!」
みんなが俺の周りに集まって抱き着いて来る。
「なんだよ」
「だってぇ! タカさーん!」
「石神さん! 私も一緒にやりますからぁー!」
「柳は十分にやってるよ。毎日毎日、真面目に頑張ってくれてるじゃないか」
「でも、全然石神さんには届きませんよ!」
「そんなことはない。俺はお前に妖魔を斃す技を任せて良かったと思ってるぞ」
柳が泣き出す。
「私なんかより、亜紀ちゃんやルーちゃんとかハーちゃんの方がぁ!」
「そうじゃないよ。お前が必要なんだ。なあ、お前らもそう思うだろ?」
「そうですよ! 柳さんがゼロから何かを生み出してくれるんで、私たちも真似が出来るんです!」
「柳ちゃん、スゴイよ!」
「うん、柳ちゃんじゃなきゃ出来ないよ!」
まったくその通りだ。
解析し、それを辿って身に着けることは誰でも出来る。
柳は無から生み出しているのだ。
それは真面目で一途で「絶対」と思っている人間にしか出来ない。
そういう人間ですら到達出来ずに終わることだって多いのだ。
柳はやった。
「あの無人島だってそうじゃないですか! 柳さんの「オロチストライク」が無ければ私たち全滅でしたよ!」
「そうだよ! 柳ちゃんが私たちを救ったんだよ!」
「柳ちゃん、ありがとー!」
柳は大泣きだ。
話が大分逸れたのだが、そういう雰囲気じゃなくなった。
ロボが柳を「サウザンド・トルネードキック」でぶっ飛ばした。
「なんでぇー!」
今日は双子が受け止めてやる。
ロボが俺の膝の上に登って来た。
自分の話をされていたのだ、という感じだ。
「まあ、本当にロボのお陰で進んでいるんだよ。な、ロボ?」
「にゃー!」
「お前は最高だよなー」
「にゃ」
ロボが俺の顔をペロペロする。
「……」
柳が俺たちを見ていた。
「タカさん、私たちも「魔法陣」の一部は教えて頂けますか?」
「ああ。石神家に明かしたレベルのことは、もうお前たちも覚えていいだろう」
「ヤッタァー!」
「今度、みんなで《虎星》へ行くか」
「ほんとですか!」
「絶対行きたい!」
「スゴイよね!」
「石神さん! 私も是非!」
「当然だ、柳」
「嬉しいぃ!」
「ああ、皇紀も連れて行くぞ」
「「うん!」」
子どもたちが《虎星》について聞いてくる。
俺は《アイオーン》に納めた《虎星》の映像を子どもたちに見せた。
グランマザー自らが撮影、編集したものだ。
あいつ、随分とノリノリでこの映像を作っていた。
俺とロボが二人で検証をしている間、グランマザーはあちこちを飛び回って映像素材を集めていたのだ。
もう今日は終わりにすると言うと、ちょっと不満げな顔で戻って来た。
なんなんだ、あいつ。
たくさんの映像がテーマ別に制作されているので、今日はダイジェスト版「《虎星》観光案内」を子どもたちに見せた。
みんなが夢中になって画面に食い入るように観ている。
「これよ」
「スゴイ綺麗ですね!」
「あ、クジラみたいのがいるよ!」
「きれーい!」
「あ、ペンギンみたいのだぁ!」
「カワイイー!」
「あのよ」
「夕焼け! 綺麗ですよ!」
「星が綺麗だなー」
「キラキラしてる山! 行ってみたいよー!」
「クマだぁぁぁぁぁぁーーーーー!」
「おい、聞けよ!」
「「「「なんですかぁー!」」」」
本当に夢中なので俺を睨んで文句を言う。
「これ、130時間あるからよ」
「「「「!」」」」
「ゆっくり、暇な時に見ろ」
「「「「……」」」」
「これはダイジェスト版で、本編は12000時間以上あるんだ。他に「動物篇」「植物篇」「自然篇」「四季めぐり」「極寒の土地」「灼熱の土地」「いろいろ動物エッチ画像集」、その他8万2千以上の仕分けがあってな」
「「「「……」」」」
「全部で124万年分の長さがあるんだってさ」
「「「「……」」」」
あいつ、頑張ったからなー。
亜紀ちゃんが真っ先に興奮して聞いて来た。
「まあな。但し、この技術は俺たちの最後の切り札になると思う。だからまだ多くは公開出来ないんだ」
「分かりました! タカさんに全てお任せします!」
全員が納得してくれるが、逆に双子が聞いて来た。
「タカさん、石神家本家には公開しても良かったの?」
「まあな。あの人たちは本当に信頼出来るからな。それとあれは実は俺が確認した中でも比較的軽度のものなんだ」
「「エッェェェェェーーー!」」
双子が驚く。
「あれって、凄まじい技だよね!」
「だって、《地獄の悪魔》も《神》も殺せるんだよね!」
「そうだ。だけど、俺たちはそれだけじゃ不足なんだ」
「「そんなぁー!」」
まだ子どもたちには話せないことがあった。
この宇宙の一角で、星系規模の「業」が出現したことを。
対抗する何かが現われたようだが、どういうものなのかまだ分からない。
だから最悪の場合、俺たちが《ミラー星系》に現われたものと戦わなければならないかもしれないのだ。
現段階で俺が全てを話せるのは聖と蓮花だけだと考えていた。
それ以外は子どもたちといえどもまだ話せない。
信頼していないとかという問題ではない。
余りにも次元の異なる力なのだ。
宇宙の銀河星団を吹っ飛ばすほどの威力の技。
俺はそういう力を目指していた。
もちろん、まだ確立したわけではない。
自分がそこへ到達出来るのかさえ分からない。
ロボとの鍛錬はまだまだ続きそうだ。
亜紀ちゃんが俺の背中に回って、後ろから抱き締めて来た。
「タカさんはいつもそうですよね」
「なんだ?」
「私たちの知らない所で一生懸命に。私たちを守るためにいつも。ずっとそうして来たんですよね」
俺は笑って亜紀ちゃんの腕を握った。
「そんなこと、当たり前だろう」
「「「タカさーん!」」」
「石神さーん!」
みんなが俺の周りに集まって抱き着いて来る。
「なんだよ」
「だってぇ! タカさーん!」
「石神さん! 私も一緒にやりますからぁー!」
「柳は十分にやってるよ。毎日毎日、真面目に頑張ってくれてるじゃないか」
「でも、全然石神さんには届きませんよ!」
「そんなことはない。俺はお前に妖魔を斃す技を任せて良かったと思ってるぞ」
柳が泣き出す。
「私なんかより、亜紀ちゃんやルーちゃんとかハーちゃんの方がぁ!」
「そうじゃないよ。お前が必要なんだ。なあ、お前らもそう思うだろ?」
「そうですよ! 柳さんがゼロから何かを生み出してくれるんで、私たちも真似が出来るんです!」
「柳ちゃん、スゴイよ!」
「うん、柳ちゃんじゃなきゃ出来ないよ!」
まったくその通りだ。
解析し、それを辿って身に着けることは誰でも出来る。
柳は無から生み出しているのだ。
それは真面目で一途で「絶対」と思っている人間にしか出来ない。
そういう人間ですら到達出来ずに終わることだって多いのだ。
柳はやった。
「あの無人島だってそうじゃないですか! 柳さんの「オロチストライク」が無ければ私たち全滅でしたよ!」
「そうだよ! 柳ちゃんが私たちを救ったんだよ!」
「柳ちゃん、ありがとー!」
柳は大泣きだ。
話が大分逸れたのだが、そういう雰囲気じゃなくなった。
ロボが柳を「サウザンド・トルネードキック」でぶっ飛ばした。
「なんでぇー!」
今日は双子が受け止めてやる。
ロボが俺の膝の上に登って来た。
自分の話をされていたのだ、という感じだ。
「まあ、本当にロボのお陰で進んでいるんだよ。な、ロボ?」
「にゃー!」
「お前は最高だよなー」
「にゃ」
ロボが俺の顔をペロペロする。
「……」
柳が俺たちを見ていた。
「タカさん、私たちも「魔法陣」の一部は教えて頂けますか?」
「ああ。石神家に明かしたレベルのことは、もうお前たちも覚えていいだろう」
「ヤッタァー!」
「今度、みんなで《虎星》へ行くか」
「ほんとですか!」
「絶対行きたい!」
「スゴイよね!」
「石神さん! 私も是非!」
「当然だ、柳」
「嬉しいぃ!」
「ああ、皇紀も連れて行くぞ」
「「うん!」」
子どもたちが《虎星》について聞いてくる。
俺は《アイオーン》に納めた《虎星》の映像を子どもたちに見せた。
グランマザー自らが撮影、編集したものだ。
あいつ、随分とノリノリでこの映像を作っていた。
俺とロボが二人で検証をしている間、グランマザーはあちこちを飛び回って映像素材を集めていたのだ。
もう今日は終わりにすると言うと、ちょっと不満げな顔で戻って来た。
なんなんだ、あいつ。
たくさんの映像がテーマ別に制作されているので、今日はダイジェスト版「《虎星》観光案内」を子どもたちに見せた。
みんなが夢中になって画面に食い入るように観ている。
「これよ」
「スゴイ綺麗ですね!」
「あ、クジラみたいのがいるよ!」
「きれーい!」
「あ、ペンギンみたいのだぁ!」
「カワイイー!」
「あのよ」
「夕焼け! 綺麗ですよ!」
「星が綺麗だなー」
「キラキラしてる山! 行ってみたいよー!」
「クマだぁぁぁぁぁぁーーーーー!」
「おい、聞けよ!」
「「「「なんですかぁー!」」」」
本当に夢中なので俺を睨んで文句を言う。
「これ、130時間あるからよ」
「「「「!」」」」
「ゆっくり、暇な時に見ろ」
「「「「……」」」」
「これはダイジェスト版で、本編は12000時間以上あるんだ。他に「動物篇」「植物篇」「自然篇」「四季めぐり」「極寒の土地」「灼熱の土地」「いろいろ動物エッチ画像集」、その他8万2千以上の仕分けがあってな」
「「「「……」」」」
「全部で124万年分の長さがあるんだってさ」
「「「「……」」」」
あいつ、頑張ったからなー。
0
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
まさか、、お兄ちゃんが私の主治医なんて、、
ならくま。くん
キャラ文芸
おはこんばんにちは!どうも!私は女子中学生の泪川沙織(るいかわさおり)です!私こんなに元気そうに見えるけど実は貧血や喘息、、いっぱい持ってるんだ、、まあ私の主治医はさすがに知人だと思わなかったんだけどそしたら血のつながっていないお兄ちゃんだったんだ、、流石にちょっとこれはおかしいよね!?でもお兄ちゃんが医者なことは事実だし、、
私のおにいちゃんは↓
泪川亮(るいかわりょう)お兄ちゃん、イケメンだし高身長だしもう何もかも完璧って感じなの!お兄ちゃんとは一緒に住んでるんだけどなんでもてきぱきこなすんだよね、、そんな二人の日常をお送りします!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる