2,430 / 2,917
《虎星》: ロボと鍛錬! Ⅳ
しおりを挟む
「タカさん! じゃあ、もう「魔法陣」は私たちの技に使えるんですか!」
亜紀ちゃんが真っ先に興奮して聞いて来た。
「まあな。但し、この技術は俺たちの最後の切り札になると思う。だからまだ多くは公開出来ないんだ」
「分かりました! タカさんに全てお任せします!」
全員が納得してくれるが、逆に双子が聞いて来た。
「タカさん、石神家本家には公開しても良かったの?」
「まあな。あの人たちは本当に信頼出来るからな。それとあれは実は俺が確認した中でも比較的軽度のものなんだ」
「「エッェェェェェーーー!」」
双子が驚く。
「あれって、凄まじい技だよね!」
「だって、《地獄の悪魔》も《神》も殺せるんだよね!」
「そうだ。だけど、俺たちはそれだけじゃ不足なんだ」
「「そんなぁー!」」
まだ子どもたちには話せないことがあった。
この宇宙の一角で、星系規模の「業」が出現したことを。
対抗する何かが現われたようだが、どういうものなのかまだ分からない。
だから最悪の場合、俺たちが《ミラー星系》に現われたものと戦わなければならないかもしれないのだ。
現段階で俺が全てを話せるのは聖と蓮花だけだと考えていた。
それ以外は子どもたちといえどもまだ話せない。
信頼していないとかという問題ではない。
余りにも次元の異なる力なのだ。
宇宙の銀河星団を吹っ飛ばすほどの威力の技。
俺はそういう力を目指していた。
もちろん、まだ確立したわけではない。
自分がそこへ到達出来るのかさえ分からない。
ロボとの鍛錬はまだまだ続きそうだ。
亜紀ちゃんが俺の背中に回って、後ろから抱き締めて来た。
「タカさんはいつもそうですよね」
「なんだ?」
「私たちの知らない所で一生懸命に。私たちを守るためにいつも。ずっとそうして来たんですよね」
俺は笑って亜紀ちゃんの腕を握った。
「そんなこと、当たり前だろう」
「「「タカさーん!」」」
「石神さーん!」
みんなが俺の周りに集まって抱き着いて来る。
「なんだよ」
「だってぇ! タカさーん!」
「石神さん! 私も一緒にやりますからぁー!」
「柳は十分にやってるよ。毎日毎日、真面目に頑張ってくれてるじゃないか」
「でも、全然石神さんには届きませんよ!」
「そんなことはない。俺はお前に妖魔を斃す技を任せて良かったと思ってるぞ」
柳が泣き出す。
「私なんかより、亜紀ちゃんやルーちゃんとかハーちゃんの方がぁ!」
「そうじゃないよ。お前が必要なんだ。なあ、お前らもそう思うだろ?」
「そうですよ! 柳さんがゼロから何かを生み出してくれるんで、私たちも真似が出来るんです!」
「柳ちゃん、スゴイよ!」
「うん、柳ちゃんじゃなきゃ出来ないよ!」
まったくその通りだ。
解析し、それを辿って身に着けることは誰でも出来る。
柳は無から生み出しているのだ。
それは真面目で一途で「絶対」と思っている人間にしか出来ない。
そういう人間ですら到達出来ずに終わることだって多いのだ。
柳はやった。
「あの無人島だってそうじゃないですか! 柳さんの「オロチストライク」が無ければ私たち全滅でしたよ!」
「そうだよ! 柳ちゃんが私たちを救ったんだよ!」
「柳ちゃん、ありがとー!」
柳は大泣きだ。
話が大分逸れたのだが、そういう雰囲気じゃなくなった。
ロボが柳を「サウザンド・トルネードキック」でぶっ飛ばした。
「なんでぇー!」
今日は双子が受け止めてやる。
ロボが俺の膝の上に登って来た。
自分の話をされていたのだ、という感じだ。
「まあ、本当にロボのお陰で進んでいるんだよ。な、ロボ?」
「にゃー!」
「お前は最高だよなー」
「にゃ」
ロボが俺の顔をペロペロする。
「……」
柳が俺たちを見ていた。
「タカさん、私たちも「魔法陣」の一部は教えて頂けますか?」
「ああ。石神家に明かしたレベルのことは、もうお前たちも覚えていいだろう」
「ヤッタァー!」
「今度、みんなで《虎星》へ行くか」
「ほんとですか!」
「絶対行きたい!」
「スゴイよね!」
「石神さん! 私も是非!」
「当然だ、柳」
「嬉しいぃ!」
「ああ、皇紀も連れて行くぞ」
「「うん!」」
子どもたちが《虎星》について聞いてくる。
俺は《アイオーン》に納めた《虎星》の映像を子どもたちに見せた。
グランマザー自らが撮影、編集したものだ。
あいつ、随分とノリノリでこの映像を作っていた。
俺とロボが二人で検証をしている間、グランマザーはあちこちを飛び回って映像素材を集めていたのだ。
もう今日は終わりにすると言うと、ちょっと不満げな顔で戻って来た。
なんなんだ、あいつ。
たくさんの映像がテーマ別に制作されているので、今日はダイジェスト版「《虎星》観光案内」を子どもたちに見せた。
みんなが夢中になって画面に食い入るように観ている。
「これよ」
「スゴイ綺麗ですね!」
「あ、クジラみたいのがいるよ!」
「きれーい!」
「あ、ペンギンみたいのだぁ!」
「カワイイー!」
「あのよ」
「夕焼け! 綺麗ですよ!」
「星が綺麗だなー」
「キラキラしてる山! 行ってみたいよー!」
「クマだぁぁぁぁぁぁーーーーー!」
「おい、聞けよ!」
「「「「なんですかぁー!」」」」
本当に夢中なので俺を睨んで文句を言う。
「これ、130時間あるからよ」
「「「「!」」」」
「ゆっくり、暇な時に見ろ」
「「「「……」」」」
「これはダイジェスト版で、本編は12000時間以上あるんだ。他に「動物篇」「植物篇」「自然篇」「四季めぐり」「極寒の土地」「灼熱の土地」「いろいろ動物エッチ画像集」、その他8万2千以上の仕分けがあってな」
「「「「……」」」」
「全部で124万年分の長さがあるんだってさ」
「「「「……」」」」
あいつ、頑張ったからなー。
亜紀ちゃんが真っ先に興奮して聞いて来た。
「まあな。但し、この技術は俺たちの最後の切り札になると思う。だからまだ多くは公開出来ないんだ」
「分かりました! タカさんに全てお任せします!」
全員が納得してくれるが、逆に双子が聞いて来た。
「タカさん、石神家本家には公開しても良かったの?」
「まあな。あの人たちは本当に信頼出来るからな。それとあれは実は俺が確認した中でも比較的軽度のものなんだ」
「「エッェェェェェーーー!」」
双子が驚く。
「あれって、凄まじい技だよね!」
「だって、《地獄の悪魔》も《神》も殺せるんだよね!」
「そうだ。だけど、俺たちはそれだけじゃ不足なんだ」
「「そんなぁー!」」
まだ子どもたちには話せないことがあった。
この宇宙の一角で、星系規模の「業」が出現したことを。
対抗する何かが現われたようだが、どういうものなのかまだ分からない。
だから最悪の場合、俺たちが《ミラー星系》に現われたものと戦わなければならないかもしれないのだ。
現段階で俺が全てを話せるのは聖と蓮花だけだと考えていた。
それ以外は子どもたちといえどもまだ話せない。
信頼していないとかという問題ではない。
余りにも次元の異なる力なのだ。
宇宙の銀河星団を吹っ飛ばすほどの威力の技。
俺はそういう力を目指していた。
もちろん、まだ確立したわけではない。
自分がそこへ到達出来るのかさえ分からない。
ロボとの鍛錬はまだまだ続きそうだ。
亜紀ちゃんが俺の背中に回って、後ろから抱き締めて来た。
「タカさんはいつもそうですよね」
「なんだ?」
「私たちの知らない所で一生懸命に。私たちを守るためにいつも。ずっとそうして来たんですよね」
俺は笑って亜紀ちゃんの腕を握った。
「そんなこと、当たり前だろう」
「「「タカさーん!」」」
「石神さーん!」
みんなが俺の周りに集まって抱き着いて来る。
「なんだよ」
「だってぇ! タカさーん!」
「石神さん! 私も一緒にやりますからぁー!」
「柳は十分にやってるよ。毎日毎日、真面目に頑張ってくれてるじゃないか」
「でも、全然石神さんには届きませんよ!」
「そんなことはない。俺はお前に妖魔を斃す技を任せて良かったと思ってるぞ」
柳が泣き出す。
「私なんかより、亜紀ちゃんやルーちゃんとかハーちゃんの方がぁ!」
「そうじゃないよ。お前が必要なんだ。なあ、お前らもそう思うだろ?」
「そうですよ! 柳さんがゼロから何かを生み出してくれるんで、私たちも真似が出来るんです!」
「柳ちゃん、スゴイよ!」
「うん、柳ちゃんじゃなきゃ出来ないよ!」
まったくその通りだ。
解析し、それを辿って身に着けることは誰でも出来る。
柳は無から生み出しているのだ。
それは真面目で一途で「絶対」と思っている人間にしか出来ない。
そういう人間ですら到達出来ずに終わることだって多いのだ。
柳はやった。
「あの無人島だってそうじゃないですか! 柳さんの「オロチストライク」が無ければ私たち全滅でしたよ!」
「そうだよ! 柳ちゃんが私たちを救ったんだよ!」
「柳ちゃん、ありがとー!」
柳は大泣きだ。
話が大分逸れたのだが、そういう雰囲気じゃなくなった。
ロボが柳を「サウザンド・トルネードキック」でぶっ飛ばした。
「なんでぇー!」
今日は双子が受け止めてやる。
ロボが俺の膝の上に登って来た。
自分の話をされていたのだ、という感じだ。
「まあ、本当にロボのお陰で進んでいるんだよ。な、ロボ?」
「にゃー!」
「お前は最高だよなー」
「にゃ」
ロボが俺の顔をペロペロする。
「……」
柳が俺たちを見ていた。
「タカさん、私たちも「魔法陣」の一部は教えて頂けますか?」
「ああ。石神家に明かしたレベルのことは、もうお前たちも覚えていいだろう」
「ヤッタァー!」
「今度、みんなで《虎星》へ行くか」
「ほんとですか!」
「絶対行きたい!」
「スゴイよね!」
「石神さん! 私も是非!」
「当然だ、柳」
「嬉しいぃ!」
「ああ、皇紀も連れて行くぞ」
「「うん!」」
子どもたちが《虎星》について聞いてくる。
俺は《アイオーン》に納めた《虎星》の映像を子どもたちに見せた。
グランマザー自らが撮影、編集したものだ。
あいつ、随分とノリノリでこの映像を作っていた。
俺とロボが二人で検証をしている間、グランマザーはあちこちを飛び回って映像素材を集めていたのだ。
もう今日は終わりにすると言うと、ちょっと不満げな顔で戻って来た。
なんなんだ、あいつ。
たくさんの映像がテーマ別に制作されているので、今日はダイジェスト版「《虎星》観光案内」を子どもたちに見せた。
みんなが夢中になって画面に食い入るように観ている。
「これよ」
「スゴイ綺麗ですね!」
「あ、クジラみたいのがいるよ!」
「きれーい!」
「あ、ペンギンみたいのだぁ!」
「カワイイー!」
「あのよ」
「夕焼け! 綺麗ですよ!」
「星が綺麗だなー」
「キラキラしてる山! 行ってみたいよー!」
「クマだぁぁぁぁぁぁーーーーー!」
「おい、聞けよ!」
「「「「なんですかぁー!」」」」
本当に夢中なので俺を睨んで文句を言う。
「これ、130時間あるからよ」
「「「「!」」」」
「ゆっくり、暇な時に見ろ」
「「「「……」」」」
「これはダイジェスト版で、本編は12000時間以上あるんだ。他に「動物篇」「植物篇」「自然篇」「四季めぐり」「極寒の土地」「灼熱の土地」「いろいろ動物エッチ画像集」、その他8万2千以上の仕分けがあってな」
「「「「……」」」」
「全部で124万年分の長さがあるんだってさ」
「「「「……」」」」
あいつ、頑張ったからなー。
1
お気に入りに追加
230
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」


娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。

私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる