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千鶴・御坂 石神家へ XⅡ
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翌朝。
また美味い朝食だった。
石神家本家は苦手なのだが、この美味い飯だけは気に入っている。
だから早朝にでも帰りたいところだったのだが、昼食を食べてから帰る予定にしていた。
味噌焼きの鶏。
自然薯のすりおろしとオクラ。
うずら卵の醤油漬け。
岩ノリ(絶品!)。
ご飯と味噌汁はナスだった。
ロボはササミ。
どれも唸る程美味かったが、岩ノリが最高だった。
「この岩ノリ、美味いですね!」
「そうか、じゃあ持って帰るか?」
「いいんですか!」
「ああ、用意させるよ」
「ありがとうございます!」
やったぁー!
俺がニコニコすると、虎白さんも笑った。
「そういえば虎影の兄貴も好物だったな」
「そうなんですか!」
ますます嬉しくなった。
虎白さんと一緒に外へ出ると、また剣士たちがそれぞれの家から出て来た。
今日は8時6分。
やっぱりすごい人たちだ。
「行くぞ!」
虎白さんの号令で全員で走り出す。
千鶴と御坂も一緒に走っている。
痛みはまだあるのだろうが、耐え切れないものではなくなったようだ。
一安心した。
虎蘭が背負子で真白を背負っていた。
俺を見て真白がニヤリと笑った。
走りながら真白に挨拶する。
「今日はうちの双子を宜しくお願いします」
「ああ、任せな!」
山頂に着いて、すぐに鍛錬が始まる。
双子はヘッジホッグに入って真白の施術を受ける。
ロボがついていった。
少し不安で着いていたかったが、すぐに怒貪虎さんに呼ばれて相手をさせられた。
虎白さんが千鶴と御坂を呼んで、「虎相」を確認している。
二人とも自在に「虎相」を出せるようになっていた。
その状態を維持させ、奥義の型をやらせていく。
俺は怒貪虎さんと魔法陣と奥義の組み合わせを一緒にやった。
全てではないが、幾つかの奥義で魔法陣が有効であることを確認して行く。
「ケロケロ」
「はい?」
ぱちん
「ケロケロ!」
「なんて?」
ぱちん
分からねぇんだって!
怒貪虎さんが型を示す。
「ああ、「雲竜」ですね!」
「ケロ!」
「はいはい」
ぱちん
もうやめてぇー!
結構痛いんですけどぉー!
双子が出て来た。
それほど苦しそうではなかった。
「「いくよー!」」
剣聖たちが双子の周囲に集まった。
双子が集中するのが分かった。
「「おう!」」
「出たぞー!」
「まさか!」
「本当かよ!」
「でも、また違うぞ!」
「なんだありゃ?」
「とぐろまいてるか?」
「……」
ウンコだった……
怒貪虎さんと俺も中断して見に行く。
虎白さんが俺に言った。
「おい、高虎」
「はい」
「あの子らの親の名前って?」
「山中です」
「あー、奥さんは?」
「霧島だったかと」
「知らねー」
「そうですか」
「「虎相」ってよ」
「はい」
「石神家の血は関係ねぇな」
「はい」
真白が傍に来た。
「随分と二人とも楽そうだけど?」
「ああ、そうだね」
「どうして?」
「あの二人を観たら、ああなった」
「へぇ」
千鶴も来た。
「石神さん」
「おう」
「私って、あんなに辛いところまでやる必要ありました?」
「わかんねぇ」
「ちょっと!」
「俺がやったんじゃねぇだろうが!」
「酷いですよ!」
「何で俺に言うんだよ!」
「だって! 他の人だと言えないじゃないですか!」
「このやろう!」
虎白さんが笑っていた。
「まあ、真白の見立てだ。お前にはあれが必要だったんだよ」
「そうなんです?」
「そういうこった」
「なんか、納得できないんですけどー」
「ワハハハハハハハハ!」
千鶴がまた俺を見て睨んだ。
俺だって知らねぇよ!
双子は笑いながら、覚えた石神家の奥義を試していた。
剣聖たちが声援を向ける。
楽しそうだ。
千鶴が俺を睨む。
だから知らねぇって。
怒貪虎さんと虎白さんが話していた。
「ケロケロ」
「はい、やっぱりそうでしたね」
「ケロケロ」
「今後は他の連中にもやりますか」
「ケロケロ」
「はい!」
なんて?
みんな鍛錬に戻り、俺もまた怒貪虎さんと魔法陣の検証を続けた。
楽で良かったー。
昼食になり、今日は大量の焼きめしとタレを塗って串に刺した焼肉だった。
牛と鶏だ。
焼きめしを皿に盛って、串焼きを上に片手に持ってみんなで食べて行く。
千鶴と御坂も食欲があるようで良かった。
食事を終えて虎白さんが俺たちの所へ来た。
「じゃあ、もう行っちまうのか」
「はい。今回もお世話になりました」
「いいって。おい、また来いよな」
「はい!」
まあ、寂しい気持ちも無いわけではないが、やっぱり帰れるのは嬉しい。
今回はそれほど酷い目には遭わなかったから、多少寂しい気持ちは大きい。
「千鶴、鈴葉、よく頑張ったな」
「いえ、また宜しくお願いします!」
「私も是非またお願いします!」
「ルーちゃんとハーちゃんもまたな」
「「はい!」」
「二人は本当に凄いなぁ。「虎相」をあんなに簡単に覚えるなんてな」
「真白さんのお陰ですよ!」
「最後の何かがクリアになって出来ました!」
「そうか」
虎白さんも嬉しそうだった。
怒貪虎さんに挨拶に行った。
「お世話になりました!」
「ケロケロ」
千鶴と御坂も挨拶する。
「「虎相」を覚えられて光栄です! 百目鬼の家ですのに、本当にありがとうございました!」
「ケロケロ」
「本当ですか! ありがとうございます!」
「私も石神家の剣士になれるように頑張ります!」
「ケロケロ」
「はい、また虎白さんにご連絡して!」
「ケロケロ」
「はい! ありがとうございます!」
なんて?
「「怒貪虎さーん!」」
双子が抱き着いた。
「ケロケロ」
「「うん!」」
「ケロケロ」
「「はい! 絶対に!」」
なんて?
怒貪虎さんが俺を見た。
「いろいろとありがとうございました」
「ケロケロ」
「はい!」
「ケロケロ?」
「はい! 頑張ります!」
ぶっ飛ばされた。
「タカさん! 怒貪虎さんは魔法陣をありがとうって言ったんだよ!」
「……」
「あと、今回はカールを持って来てないのかって」
「……」
やっぱ適当じゃ無理かぁー。
カールは持って来ていないと伝え、すぐにここへ送ると伝えた。
「ケロケロ」
「……」
黙ってるとまたぶっ飛ばされた。
「タカさん、ありがとうって……」
「いいえ……」
みんなに別れを告げ、山を降りた。
荷物をハマーに積み込んでいると、綺麗な女性が風呂敷包を持って来た。
「これ、虎白さんから岩ノリをって」
「ああ! ありがとうございます!」
「無くなったらいつでも送るからって」
「ほんとですか! これ、最高に美味いですよね!」
「アハハハハハハ!」
初めて石神家本家からいい気分で帰れた。
しかし、家に着いて、とんでもないことになっていた。
また美味い朝食だった。
石神家本家は苦手なのだが、この美味い飯だけは気に入っている。
だから早朝にでも帰りたいところだったのだが、昼食を食べてから帰る予定にしていた。
味噌焼きの鶏。
自然薯のすりおろしとオクラ。
うずら卵の醤油漬け。
岩ノリ(絶品!)。
ご飯と味噌汁はナスだった。
ロボはササミ。
どれも唸る程美味かったが、岩ノリが最高だった。
「この岩ノリ、美味いですね!」
「そうか、じゃあ持って帰るか?」
「いいんですか!」
「ああ、用意させるよ」
「ありがとうございます!」
やったぁー!
俺がニコニコすると、虎白さんも笑った。
「そういえば虎影の兄貴も好物だったな」
「そうなんですか!」
ますます嬉しくなった。
虎白さんと一緒に外へ出ると、また剣士たちがそれぞれの家から出て来た。
今日は8時6分。
やっぱりすごい人たちだ。
「行くぞ!」
虎白さんの号令で全員で走り出す。
千鶴と御坂も一緒に走っている。
痛みはまだあるのだろうが、耐え切れないものではなくなったようだ。
一安心した。
虎蘭が背負子で真白を背負っていた。
俺を見て真白がニヤリと笑った。
走りながら真白に挨拶する。
「今日はうちの双子を宜しくお願いします」
「ああ、任せな!」
山頂に着いて、すぐに鍛錬が始まる。
双子はヘッジホッグに入って真白の施術を受ける。
ロボがついていった。
少し不安で着いていたかったが、すぐに怒貪虎さんに呼ばれて相手をさせられた。
虎白さんが千鶴と御坂を呼んで、「虎相」を確認している。
二人とも自在に「虎相」を出せるようになっていた。
その状態を維持させ、奥義の型をやらせていく。
俺は怒貪虎さんと魔法陣と奥義の組み合わせを一緒にやった。
全てではないが、幾つかの奥義で魔法陣が有効であることを確認して行く。
「ケロケロ」
「はい?」
ぱちん
「ケロケロ!」
「なんて?」
ぱちん
分からねぇんだって!
怒貪虎さんが型を示す。
「ああ、「雲竜」ですね!」
「ケロ!」
「はいはい」
ぱちん
もうやめてぇー!
結構痛いんですけどぉー!
双子が出て来た。
それほど苦しそうではなかった。
「「いくよー!」」
剣聖たちが双子の周囲に集まった。
双子が集中するのが分かった。
「「おう!」」
「出たぞー!」
「まさか!」
「本当かよ!」
「でも、また違うぞ!」
「なんだありゃ?」
「とぐろまいてるか?」
「……」
ウンコだった……
怒貪虎さんと俺も中断して見に行く。
虎白さんが俺に言った。
「おい、高虎」
「はい」
「あの子らの親の名前って?」
「山中です」
「あー、奥さんは?」
「霧島だったかと」
「知らねー」
「そうですか」
「「虎相」ってよ」
「はい」
「石神家の血は関係ねぇな」
「はい」
真白が傍に来た。
「随分と二人とも楽そうだけど?」
「ああ、そうだね」
「どうして?」
「あの二人を観たら、ああなった」
「へぇ」
千鶴も来た。
「石神さん」
「おう」
「私って、あんなに辛いところまでやる必要ありました?」
「わかんねぇ」
「ちょっと!」
「俺がやったんじゃねぇだろうが!」
「酷いですよ!」
「何で俺に言うんだよ!」
「だって! 他の人だと言えないじゃないですか!」
「このやろう!」
虎白さんが笑っていた。
「まあ、真白の見立てだ。お前にはあれが必要だったんだよ」
「そうなんです?」
「そういうこった」
「なんか、納得できないんですけどー」
「ワハハハハハハハハ!」
千鶴がまた俺を見て睨んだ。
俺だって知らねぇよ!
双子は笑いながら、覚えた石神家の奥義を試していた。
剣聖たちが声援を向ける。
楽しそうだ。
千鶴が俺を睨む。
だから知らねぇって。
怒貪虎さんと虎白さんが話していた。
「ケロケロ」
「はい、やっぱりそうでしたね」
「ケロケロ」
「今後は他の連中にもやりますか」
「ケロケロ」
「はい!」
なんて?
みんな鍛錬に戻り、俺もまた怒貪虎さんと魔法陣の検証を続けた。
楽で良かったー。
昼食になり、今日は大量の焼きめしとタレを塗って串に刺した焼肉だった。
牛と鶏だ。
焼きめしを皿に盛って、串焼きを上に片手に持ってみんなで食べて行く。
千鶴と御坂も食欲があるようで良かった。
食事を終えて虎白さんが俺たちの所へ来た。
「じゃあ、もう行っちまうのか」
「はい。今回もお世話になりました」
「いいって。おい、また来いよな」
「はい!」
まあ、寂しい気持ちも無いわけではないが、やっぱり帰れるのは嬉しい。
今回はそれほど酷い目には遭わなかったから、多少寂しい気持ちは大きい。
「千鶴、鈴葉、よく頑張ったな」
「いえ、また宜しくお願いします!」
「私も是非またお願いします!」
「ルーちゃんとハーちゃんもまたな」
「「はい!」」
「二人は本当に凄いなぁ。「虎相」をあんなに簡単に覚えるなんてな」
「真白さんのお陰ですよ!」
「最後の何かがクリアになって出来ました!」
「そうか」
虎白さんも嬉しそうだった。
怒貪虎さんに挨拶に行った。
「お世話になりました!」
「ケロケロ」
千鶴と御坂も挨拶する。
「「虎相」を覚えられて光栄です! 百目鬼の家ですのに、本当にありがとうございました!」
「ケロケロ」
「本当ですか! ありがとうございます!」
「私も石神家の剣士になれるように頑張ります!」
「ケロケロ」
「はい、また虎白さんにご連絡して!」
「ケロケロ」
「はい! ありがとうございます!」
なんて?
「「怒貪虎さーん!」」
双子が抱き着いた。
「ケロケロ」
「「うん!」」
「ケロケロ」
「「はい! 絶対に!」」
なんて?
怒貪虎さんが俺を見た。
「いろいろとありがとうございました」
「ケロケロ」
「はい!」
「ケロケロ?」
「はい! 頑張ります!」
ぶっ飛ばされた。
「タカさん! 怒貪虎さんは魔法陣をありがとうって言ったんだよ!」
「……」
「あと、今回はカールを持って来てないのかって」
「……」
やっぱ適当じゃ無理かぁー。
カールは持って来ていないと伝え、すぐにここへ送ると伝えた。
「ケロケロ」
「……」
黙ってるとまたぶっ飛ばされた。
「タカさん、ありがとうって……」
「いいえ……」
みんなに別れを告げ、山を降りた。
荷物をハマーに積み込んでいると、綺麗な女性が風呂敷包を持って来た。
「これ、虎白さんから岩ノリをって」
「ああ! ありがとうございます!」
「無くなったらいつでも送るからって」
「ほんとですか! これ、最高に美味いですよね!」
「アハハハハハハ!」
初めて石神家本家からいい気分で帰れた。
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