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石神家 ハイスクール仁義 X
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家に帰り、夕飯を食べて子どもたちと打ち合わせた。
いつもより遅い時間まで家に誰もいなかったので、ロボが俺から離れなかった。
まず俺の「爆撃天使」とのことを話し、星蘭高校の頂点か、もしくはそれに近い位置に部団連盟があることを話した。
「アーチェリー部のマンロウさんが教えてくれました!」
「明日タカさんが剣道部の島津一剣と試合をさせられるって」
「そうか」
刈谷も似たようなことを俺に言っていた。
亜紀ちゃんが「死愚魔」のことを話した。
「全員ぶっちめて、傘下に置きました!」
「何やってんだよ」
「えー!」
「あんな連中いらねぇだろう」
「だってぇー!」
まあ、「デミウルゴス」とは関りが無いらしいことは分かったのでよしとする。
ただの不良集団のようだ。
学校内で問題を起こせば部団連盟などから制裁を受けるのだろう。
しかし、学校外のことであれば見逃されている。
今回のように外で女性を拉致してきても、それは見逃しの範疇なのだろう。
部団連盟は正義の味方ではない。
ただ、どうしてあんな不良連中を野放しにしているのかが分からない。
部団連盟であれば、いくらでも統制出来るだろうに。
柳が「間宮会」の報告をした。
「真面目な勉強熱心な人たちでした!」
「そうか」
「私も入れてもらえることになりました!」
「なんで?」
「え?」
こいつも亜紀ちゃんと同じで勘違いをしている。
怪しくない連中を支配したり潜入してもしょうがねぇのに。
恐らく、学校法人としての建前のために、間宮などのような勉強に優秀な生徒も集めているのだろう。
実際に星蘭高校の一流大学の合格率はそこそこある。
トップクラスとは言えないが、結構優秀な上位校だとも言える。
双子の「ノスフェラトウ」と「髑髏連盟」は不発だった。
ただ、アーチェリー部のマンロウ千鶴と話したようで、いい情報が手に入った。
双子も、マンロウ千鶴が信頼出来る人間だと言っていた。
「ところでよ」
俺はみんなに聞いた。
「俺の白ランって、結構評判になってない?」
「「「「……」」」」
「おい、誰も聞いてねぇのか?」
「カッコイイよ!」
「たまんないよ!」
ルーとハーが言った。
「そうか!」
「でも、年齢に無理があるよ!」
「マンロウちゃんも言ってたよ」
「……」
なんだよ。
じゃあ明日はもうちょっと子どもらしくするかぁー。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
翌朝。
俺は学校へ行く前に、病院へ入った榊を見舞った。
ドゥカティのスーパー・レッジェーラに乗って行った。
やっぱ高校生はバイクだよな!
榊の病室は窓から明るい陽が入る上等な個室だった。
金は部団連盟から出ているのだろうか。
「よう!」
榊は起きていて、ベッドの上に上半身を起こしていた。
まだ全身の傷の治療があるので、病院支給の解放しやすい寝間着だった。
左肩と左の肋骨を2本の骨折、左の脛骨にヒビ。
左側を中心に全身に裂傷。
左半身を前に出すボクサースタイルで俺の「轟雷」を防いだ結果だろう。
あの状況で、まだ俺に反撃する気概があったのだ。
大した奴だった。
「猫神、来たのか」
「ああ、一応俺がやっちまったからな」
「あれは試合だ。気にするな」
榊は笑っていた。
明るいいい笑顔だった。
元気そうだ。
「骨はすぐにつながる。俺の身体はそうなっているんだ」
「そうか」
俺は見舞いに持って来た千疋屋のフルーツを渡した。
「負けちまった」
「そうだな」
「お前、なんであんなに強いんだ?」
「「花岡」を習っているからな」
「「花岡」! でもお前のは相当上級のものだろう」
「おかしいかよ?」
「「花岡」のことは詳しくは知らん。だが、ある程度の年数を掛けなければ身に付かない拳法だってことは分かる」
「へぇ」
「お前、本当は幾つなんだ?」
榊の額を小突いた。
「年齢の話はすんな!」
「あ、ああ、分かった」
俺は睨みながら言った。
「誰にも言うなよ」
「おう」
「実は俺は18歳じゃねぇ」
「そうだろうな」
「本当は19歳なんだ」
榊が大笑いし、もう一度額を小突いた。
「俺は喧嘩の天才だからな。「花岡」の習得も早かったんだ」
「そうか」
榊に聞いてみた。
「お前のあの技だってものスゲェものだろう? 殺気を分裂させるなんざよ」
「分かったのか?」
「ああ。最後のはしかも4体だ。そのうちの2体が本物に感じた」
「それでもお前に負けた」
「ボクシングじゃねぇからな。お前は最後までボクシングの試合をしていた。俺は「花岡」を使った。だから俺の勝ちなんてもんじゃねぇよ」
「フフフフ」
榊が小さく笑った。
「あの最後の技は封印していたんだ」
「なに?」
「前にな、部団連盟を裏切ろうとした奴を、お前と同じように公開試合をやった」
「……」
「そいつはボクシング部の部長だった人でな。俺が一年でその人が三年。強かったよ」
「そうなのか」
「あまりに強かったんで、あの技を使った」
「……」
「死んだよ。そんなつもりは無かったんだがな」
「……」
それで応援団長の郷間が「構わない」と言ったのか。
あの技を使って俺を殺しても良いと。
榊は部団連盟の制裁役として、どうしても俺を倒さなければならなかった。
「あれが通じないとはな。お前には完敗だ」
「そうか」
俺はそろそろ学校へ行くと言うと、榊が呼び止めた。
「ボクシング部は正式に部団連盟を脱退することにした」
「なんだと!」
俺は驚いた。
そんなことが出来る組織とは思えなかった。
あの久我が相当硬い組織にしていることは分かっている。
「もう決めたんだ」
「お前、それで大丈夫なのかよ!」
「分からない。恐らく、島津一剣か郷原と戦わされるだろうよ」
「おい!」
榊が笑った。
「俺も負けるつもりはない。これでも部団連盟の最強の一角を誇っていたんだからな」
「お前、どうして!」
榊が笑みを止めて話した。
「もう嫌なんだ。久我さんの下で自分の意志とは違うことをさせられるのがな」
「……」
「猫神、お前に負けてやっと分かった。何か不利益があるとしても、自分が正しいと思ったことをしなきゃな」
「榊、お前……」
「俺個人が抜けようと思ったんだ。でも他の部員たちも俺と一緒に出るって言ってる」
「部団連盟に逆らうのか」
「そういうつもりもないんだけどな。でも久我さんたちはそう思うだろうな」
榊の決意は固いようだった。
「榊、お前らは俺が護ってやるよ」
「なに?」
「俺が部団連盟を潰してやる」
「おい、猫神!」
「ああ、今日は島津一剣とやらされるようだ」
「もうか! おい、あいつは……」
俺は手で制した。
「聞かなくてもいい。お前との試合もそうだったしな」
「猫神! 待て!」
「俺はよ、世界最強の剣術集団に鍛えられてんだ」
「「花岡」じゃねぇのかよ!」
「むしろ剣術の方がすげぇよ。島津がどんな奴かは知らないが、俺の剣術より上ってことは絶対にねぇ」
「猫神、お前……」
笑って手を振った。
「また来るわ。島津をどうやって倒したか聞かせてやる」
榊も笑った。
「そうか、待ってる」
「おう! 任せろ!」
俺は病院を出た。
いつもより遅い時間まで家に誰もいなかったので、ロボが俺から離れなかった。
まず俺の「爆撃天使」とのことを話し、星蘭高校の頂点か、もしくはそれに近い位置に部団連盟があることを話した。
「アーチェリー部のマンロウさんが教えてくれました!」
「明日タカさんが剣道部の島津一剣と試合をさせられるって」
「そうか」
刈谷も似たようなことを俺に言っていた。
亜紀ちゃんが「死愚魔」のことを話した。
「全員ぶっちめて、傘下に置きました!」
「何やってんだよ」
「えー!」
「あんな連中いらねぇだろう」
「だってぇー!」
まあ、「デミウルゴス」とは関りが無いらしいことは分かったのでよしとする。
ただの不良集団のようだ。
学校内で問題を起こせば部団連盟などから制裁を受けるのだろう。
しかし、学校外のことであれば見逃されている。
今回のように外で女性を拉致してきても、それは見逃しの範疇なのだろう。
部団連盟は正義の味方ではない。
ただ、どうしてあんな不良連中を野放しにしているのかが分からない。
部団連盟であれば、いくらでも統制出来るだろうに。
柳が「間宮会」の報告をした。
「真面目な勉強熱心な人たちでした!」
「そうか」
「私も入れてもらえることになりました!」
「なんで?」
「え?」
こいつも亜紀ちゃんと同じで勘違いをしている。
怪しくない連中を支配したり潜入してもしょうがねぇのに。
恐らく、学校法人としての建前のために、間宮などのような勉強に優秀な生徒も集めているのだろう。
実際に星蘭高校の一流大学の合格率はそこそこある。
トップクラスとは言えないが、結構優秀な上位校だとも言える。
双子の「ノスフェラトウ」と「髑髏連盟」は不発だった。
ただ、アーチェリー部のマンロウ千鶴と話したようで、いい情報が手に入った。
双子も、マンロウ千鶴が信頼出来る人間だと言っていた。
「ところでよ」
俺はみんなに聞いた。
「俺の白ランって、結構評判になってない?」
「「「「……」」」」
「おい、誰も聞いてねぇのか?」
「カッコイイよ!」
「たまんないよ!」
ルーとハーが言った。
「そうか!」
「でも、年齢に無理があるよ!」
「マンロウちゃんも言ってたよ」
「……」
なんだよ。
じゃあ明日はもうちょっと子どもらしくするかぁー。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
翌朝。
俺は学校へ行く前に、病院へ入った榊を見舞った。
ドゥカティのスーパー・レッジェーラに乗って行った。
やっぱ高校生はバイクだよな!
榊の病室は窓から明るい陽が入る上等な個室だった。
金は部団連盟から出ているのだろうか。
「よう!」
榊は起きていて、ベッドの上に上半身を起こしていた。
まだ全身の傷の治療があるので、病院支給の解放しやすい寝間着だった。
左肩と左の肋骨を2本の骨折、左の脛骨にヒビ。
左側を中心に全身に裂傷。
左半身を前に出すボクサースタイルで俺の「轟雷」を防いだ結果だろう。
あの状況で、まだ俺に反撃する気概があったのだ。
大した奴だった。
「猫神、来たのか」
「ああ、一応俺がやっちまったからな」
「あれは試合だ。気にするな」
榊は笑っていた。
明るいいい笑顔だった。
元気そうだ。
「骨はすぐにつながる。俺の身体はそうなっているんだ」
「そうか」
俺は見舞いに持って来た千疋屋のフルーツを渡した。
「負けちまった」
「そうだな」
「お前、なんであんなに強いんだ?」
「「花岡」を習っているからな」
「「花岡」! でもお前のは相当上級のものだろう」
「おかしいかよ?」
「「花岡」のことは詳しくは知らん。だが、ある程度の年数を掛けなければ身に付かない拳法だってことは分かる」
「へぇ」
「お前、本当は幾つなんだ?」
榊の額を小突いた。
「年齢の話はすんな!」
「あ、ああ、分かった」
俺は睨みながら言った。
「誰にも言うなよ」
「おう」
「実は俺は18歳じゃねぇ」
「そうだろうな」
「本当は19歳なんだ」
榊が大笑いし、もう一度額を小突いた。
「俺は喧嘩の天才だからな。「花岡」の習得も早かったんだ」
「そうか」
榊に聞いてみた。
「お前のあの技だってものスゲェものだろう? 殺気を分裂させるなんざよ」
「分かったのか?」
「ああ。最後のはしかも4体だ。そのうちの2体が本物に感じた」
「それでもお前に負けた」
「ボクシングじゃねぇからな。お前は最後までボクシングの試合をしていた。俺は「花岡」を使った。だから俺の勝ちなんてもんじゃねぇよ」
「フフフフ」
榊が小さく笑った。
「あの最後の技は封印していたんだ」
「なに?」
「前にな、部団連盟を裏切ろうとした奴を、お前と同じように公開試合をやった」
「……」
「そいつはボクシング部の部長だった人でな。俺が一年でその人が三年。強かったよ」
「そうなのか」
「あまりに強かったんで、あの技を使った」
「……」
「死んだよ。そんなつもりは無かったんだがな」
「……」
それで応援団長の郷間が「構わない」と言ったのか。
あの技を使って俺を殺しても良いと。
榊は部団連盟の制裁役として、どうしても俺を倒さなければならなかった。
「あれが通じないとはな。お前には完敗だ」
「そうか」
俺はそろそろ学校へ行くと言うと、榊が呼び止めた。
「ボクシング部は正式に部団連盟を脱退することにした」
「なんだと!」
俺は驚いた。
そんなことが出来る組織とは思えなかった。
あの久我が相当硬い組織にしていることは分かっている。
「もう決めたんだ」
「お前、それで大丈夫なのかよ!」
「分からない。恐らく、島津一剣か郷原と戦わされるだろうよ」
「おい!」
榊が笑った。
「俺も負けるつもりはない。これでも部団連盟の最強の一角を誇っていたんだからな」
「お前、どうして!」
榊が笑みを止めて話した。
「もう嫌なんだ。久我さんの下で自分の意志とは違うことをさせられるのがな」
「……」
「猫神、お前に負けてやっと分かった。何か不利益があるとしても、自分が正しいと思ったことをしなきゃな」
「榊、お前……」
「俺個人が抜けようと思ったんだ。でも他の部員たちも俺と一緒に出るって言ってる」
「部団連盟に逆らうのか」
「そういうつもりもないんだけどな。でも久我さんたちはそう思うだろうな」
榊の決意は固いようだった。
「榊、お前らは俺が護ってやるよ」
「なに?」
「俺が部団連盟を潰してやる」
「おい、猫神!」
「ああ、今日は島津一剣とやらされるようだ」
「もうか! おい、あいつは……」
俺は手で制した。
「聞かなくてもいい。お前との試合もそうだったしな」
「猫神! 待て!」
「俺はよ、世界最強の剣術集団に鍛えられてんだ」
「「花岡」じゃねぇのかよ!」
「むしろ剣術の方がすげぇよ。島津がどんな奴かは知らないが、俺の剣術より上ってことは絶対にねぇ」
「猫神、お前……」
笑って手を振った。
「また来るわ。島津をどうやって倒したか聞かせてやる」
榊も笑った。
「そうか、待ってる」
「おう! 任せろ!」
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