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真冬の別荘 Gathering-Memory Ⅴ
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柳が激しく泣いていた。
俺は立ち上がって、柳を抱き締めた。
「御堂は最高だ。昔も今もな」
「はい!」
ロボが来て、柳の足に上半身を伸ばした。
俺が柳を座らせると、柳の膝に乗って顔を舐めた。
「私、お父さんが何もしてなかったわけないと思ってました」
「そうか」
「でも、お父さんも話してくれなくて」
「そうだな。御堂は家を捨てようとしたんだからな」
「石神さんのために! お父さんはやっぱり!」
俺は柳の頭を抱いた。
「当たり前だろう。俺と御堂だぞ」
「はい……」
他の全員が泣いていた。
「まあ、こういうことだからな。御堂には話すな。あいつは誰かのために何かをしたなんて言われたくない奴だ。渋谷で命懸けで人々を救ったって、何のこともねぇ。あいつが気にしたのは、自分のせいで青嵐が死ぬところだったということだけだ」
青嵐は御堂のために「デスウィッシュ」、シボレー・コルベットの全兵装を使えるようにする代わりに、自分の命を絶つことを実行した。
御堂はそれを知らずに頼んでしまった。
そのことで、御堂は青嵐に必死に謝った。
亜紀ちゃんが泣きながら俺を心配そうに見ている。
奈津江の死の話だったからだ。
俺は笑って亜紀ちゃんの頭を撫でた。
「栞もな、頑張ってたんだ」
「そうなんですか!」
亜紀ちゃんが驚く。
「栞は実家にいろいろと問い合わせてくれていた。「花岡家」は人体に関する様々な術があるからな。西洋医学でどうしようもないことを、東洋医学的に何とか方法を探してくれていた」
「栞さん……」
「あの当時は俺と花岡家は関りが無かったからな。それでも鍼灸師や漢方薬などを手配してくれていたようだ。その前に奈津江が俺を助けてくれたわけだけどな」
みんなが黙っている。
「それ以前にも、俺は知らなかったが親父が命を擲ってくれた。吉原龍子や道間家も、石神家も奔走してくれていた。お袋もずっと俺の命を信じて必死に看病してくれていた。俺は、もう挫けるわけには行かねぇよな」
柳が立ち上がった。
「石神さん!」
「おう」
「今晩、私の初めてを貰って下さい!」
「お前のそういうとこは、未だに恐ぇよ!」
みんなが笑った。
柳は自分が感情的に盛り上がり過ぎたと気付いて真っ赤になって座った。
「ほんとにお前はよう。なんでそうなるんだよぅ」
「あ、あの、全力で慰めたいって……」
「慰められなくていいよ! 俺は大丈夫だよ!」
またみんなが笑った。
双子が「どんまい」と言って頭をなでなでしていた。
「あー、そろそろ寝るかぁ。なんか最後に爆弾が破裂したからな」
「石神さん!」
「もうどういう顔で飲んでいいか分からねぇよ」
「すいません!」
みんなで片づけを始めた。
まあ、柳のお陰で暗い雰囲気にならずに済んだ。
響子と六花と一緒に寝た。
吹雪はベビーベッドだ。
ロボは迷っていたが、吹雪のベッドに入った。
温めてくれるつもりなのだろう。
移動で疲れたか、響子はすぐに眠った。
六花が珍しく俺にベタベタしなかった。
「私は紫苑のために、何も出来ませんでした」
「違うだろう。お前は紫苑のために、最高のことをしてやったじゃないか」
「そうでしょうか」
「そうだよ。最後まで一緒にいてやったんだろう? 真剣に紫苑のために何か出来ないか探していたじゃないか」
「そうでしたが、でも……」
俺は腕を伸ばし、六花の美しい髪を撫でた。
「紫苑がどんなに嬉しかったか、俺には分かるぞ」
「そうですか?」
「六花と出会い、一緒に過ごした日々が、紫苑の宝になっていた。絶対にそうだ」
「トラ!」
「最後まで自分の傍にいてくれる親友がいた。最高の人生じゃないか」
「……」
御堂の話を聞きながら、六花は紫苑のことを重ねていたか。
そして、六花は俺に対してあの時の御堂と同じことを考えている。
御堂には思い切り責任を押し付け、二度と後追いなど出来なくしてやった。
しかし、六花はどうだろうか。
俺はベッドの中を移動し、六花を抱き締めた。
「取り敢えずよ」
「はい?」
「響子のパンツ、脱がしておくか」
「そうですね!」
六花が響子の下を脱がして、枕元に置いた。
俺も六花を脱がした。
「あ!」
六花が喜んだ。
翌朝。
響子は寝かせたままで、みんなで8時に朝食を食べた。
焼き鮭、ハムチーズのオムレツ、野菜サラダ(必須)、ウインナー(好きなだけ自分で焼け)。
味噌汁はナメコだ。
「亜紀ちゃん、食糧はどうだ?」
「大丈夫そうですけど。でも、もうちょっと買っておきますか」
「今晩はカレー大会だよな?」
「はい。でも明日はまたバーベキューですよ」
「年内最後にバーベキューかぁ」
「食べ納めですからね!」
意味が分からんが、まあ買いに行くか。
9時になり、六花と一緒に響子を起こしに行った。
六花が響子のパジャマの下を被り、俺がパンツを被った。
「響子、そろそろ起きろよ」
「うーん」
「ほら」
「おはよー」
響子が目を開けた。
「なに!」
「なんだ?」
「なんですか?」
「あ!」
六花と笑った。
「お前、またパンツ脱いじゃって」
「タカトラが脱がしたんでしょう!」
「なんでだよ」
「今かぶってるじゃん! ヘンタイ!」
響子の顔を抱き締めた。
「違うよ、お前を愛してるからだよ」
「私もです」
「何言ってんのよー!」
布団をめくって下半身を出す。
「やめてー!」
「ワハハハハハハ!」
「ワハハハハハハ!」
「早くトイレに行け」
「パンツかえしてー!」
「どうせ脱ぐじゃん」
「そういうことじゃないからー!」
響子が俺の頭からパンツを取り、六花が笑ってパジャマを履かせてやった。
お尻をポンポンしてやる。
「もう!」
俺は吹雪を抱いて、リヴィングへ降りた。
響子が顔を洗って六花と降りて来る。
「響子、オムレツでいいか?」
「絶対美味しいのね!」
「分かったよ」
響子に薄味のポテト、ベーコン、オニオンのオムレツを作り、吹雪には細かく刻んだレタス入りのオムレツを作った。
ナメコの味噌汁も出す。
昼が近いので、響子もそれだけだ。
みんなで庭に出て、雪で遊ぶ。
全員で早乙女家を作り、双子が早乙女達の姿を4階のテラスに並べた。
雪野さんが久留守を抱いている。
写真を撮って、早乙女に送ってやった。
すぐに電話が掛かって来て、泣きそうな声で喜んでいた。
「石神! ありがとう!」
「おう! 久留守は元気か?」
「ああ! 怜花も可愛がってるんだ」
「そうか。三人目は自分たちで名前を決めろよな!」
「アハハハハハハ!」
あいつらなら、また来年生まれるかもしれねぇ。
どこも幸せそうだ。
俺は栞と鷹と麗星、蓮花にも電話した。
やっぱりみんな幸せそうだった。
俺は立ち上がって、柳を抱き締めた。
「御堂は最高だ。昔も今もな」
「はい!」
ロボが来て、柳の足に上半身を伸ばした。
俺が柳を座らせると、柳の膝に乗って顔を舐めた。
「私、お父さんが何もしてなかったわけないと思ってました」
「そうか」
「でも、お父さんも話してくれなくて」
「そうだな。御堂は家を捨てようとしたんだからな」
「石神さんのために! お父さんはやっぱり!」
俺は柳の頭を抱いた。
「当たり前だろう。俺と御堂だぞ」
「はい……」
他の全員が泣いていた。
「まあ、こういうことだからな。御堂には話すな。あいつは誰かのために何かをしたなんて言われたくない奴だ。渋谷で命懸けで人々を救ったって、何のこともねぇ。あいつが気にしたのは、自分のせいで青嵐が死ぬところだったということだけだ」
青嵐は御堂のために「デスウィッシュ」、シボレー・コルベットの全兵装を使えるようにする代わりに、自分の命を絶つことを実行した。
御堂はそれを知らずに頼んでしまった。
そのことで、御堂は青嵐に必死に謝った。
亜紀ちゃんが泣きながら俺を心配そうに見ている。
奈津江の死の話だったからだ。
俺は笑って亜紀ちゃんの頭を撫でた。
「栞もな、頑張ってたんだ」
「そうなんですか!」
亜紀ちゃんが驚く。
「栞は実家にいろいろと問い合わせてくれていた。「花岡家」は人体に関する様々な術があるからな。西洋医学でどうしようもないことを、東洋医学的に何とか方法を探してくれていた」
「栞さん……」
「あの当時は俺と花岡家は関りが無かったからな。それでも鍼灸師や漢方薬などを手配してくれていたようだ。その前に奈津江が俺を助けてくれたわけだけどな」
みんなが黙っている。
「それ以前にも、俺は知らなかったが親父が命を擲ってくれた。吉原龍子や道間家も、石神家も奔走してくれていた。お袋もずっと俺の命を信じて必死に看病してくれていた。俺は、もう挫けるわけには行かねぇよな」
柳が立ち上がった。
「石神さん!」
「おう」
「今晩、私の初めてを貰って下さい!」
「お前のそういうとこは、未だに恐ぇよ!」
みんなが笑った。
柳は自分が感情的に盛り上がり過ぎたと気付いて真っ赤になって座った。
「ほんとにお前はよう。なんでそうなるんだよぅ」
「あ、あの、全力で慰めたいって……」
「慰められなくていいよ! 俺は大丈夫だよ!」
またみんなが笑った。
双子が「どんまい」と言って頭をなでなでしていた。
「あー、そろそろ寝るかぁ。なんか最後に爆弾が破裂したからな」
「石神さん!」
「もうどういう顔で飲んでいいか分からねぇよ」
「すいません!」
みんなで片づけを始めた。
まあ、柳のお陰で暗い雰囲気にならずに済んだ。
響子と六花と一緒に寝た。
吹雪はベビーベッドだ。
ロボは迷っていたが、吹雪のベッドに入った。
温めてくれるつもりなのだろう。
移動で疲れたか、響子はすぐに眠った。
六花が珍しく俺にベタベタしなかった。
「私は紫苑のために、何も出来ませんでした」
「違うだろう。お前は紫苑のために、最高のことをしてやったじゃないか」
「そうでしょうか」
「そうだよ。最後まで一緒にいてやったんだろう? 真剣に紫苑のために何か出来ないか探していたじゃないか」
「そうでしたが、でも……」
俺は腕を伸ばし、六花の美しい髪を撫でた。
「紫苑がどんなに嬉しかったか、俺には分かるぞ」
「そうですか?」
「六花と出会い、一緒に過ごした日々が、紫苑の宝になっていた。絶対にそうだ」
「トラ!」
「最後まで自分の傍にいてくれる親友がいた。最高の人生じゃないか」
「……」
御堂の話を聞きながら、六花は紫苑のことを重ねていたか。
そして、六花は俺に対してあの時の御堂と同じことを考えている。
御堂には思い切り責任を押し付け、二度と後追いなど出来なくしてやった。
しかし、六花はどうだろうか。
俺はベッドの中を移動し、六花を抱き締めた。
「取り敢えずよ」
「はい?」
「響子のパンツ、脱がしておくか」
「そうですね!」
六花が響子の下を脱がして、枕元に置いた。
俺も六花を脱がした。
「あ!」
六花が喜んだ。
翌朝。
響子は寝かせたままで、みんなで8時に朝食を食べた。
焼き鮭、ハムチーズのオムレツ、野菜サラダ(必須)、ウインナー(好きなだけ自分で焼け)。
味噌汁はナメコだ。
「亜紀ちゃん、食糧はどうだ?」
「大丈夫そうですけど。でも、もうちょっと買っておきますか」
「今晩はカレー大会だよな?」
「はい。でも明日はまたバーベキューですよ」
「年内最後にバーベキューかぁ」
「食べ納めですからね!」
意味が分からんが、まあ買いに行くか。
9時になり、六花と一緒に響子を起こしに行った。
六花が響子のパジャマの下を被り、俺がパンツを被った。
「響子、そろそろ起きろよ」
「うーん」
「ほら」
「おはよー」
響子が目を開けた。
「なに!」
「なんだ?」
「なんですか?」
「あ!」
六花と笑った。
「お前、またパンツ脱いじゃって」
「タカトラが脱がしたんでしょう!」
「なんでだよ」
「今かぶってるじゃん! ヘンタイ!」
響子の顔を抱き締めた。
「違うよ、お前を愛してるからだよ」
「私もです」
「何言ってんのよー!」
布団をめくって下半身を出す。
「やめてー!」
「ワハハハハハハ!」
「ワハハハハハハ!」
「早くトイレに行け」
「パンツかえしてー!」
「どうせ脱ぐじゃん」
「そういうことじゃないからー!」
響子が俺の頭からパンツを取り、六花が笑ってパジャマを履かせてやった。
お尻をポンポンしてやる。
「もう!」
俺は吹雪を抱いて、リヴィングへ降りた。
響子が顔を洗って六花と降りて来る。
「響子、オムレツでいいか?」
「絶対美味しいのね!」
「分かったよ」
響子に薄味のポテト、ベーコン、オニオンのオムレツを作り、吹雪には細かく刻んだレタス入りのオムレツを作った。
ナメコの味噌汁も出す。
昼が近いので、響子もそれだけだ。
みんなで庭に出て、雪で遊ぶ。
全員で早乙女家を作り、双子が早乙女達の姿を4階のテラスに並べた。
雪野さんが久留守を抱いている。
写真を撮って、早乙女に送ってやった。
すぐに電話が掛かって来て、泣きそうな声で喜んでいた。
「石神! ありがとう!」
「おう! 久留守は元気か?」
「ああ! 怜花も可愛がってるんだ」
「そうか。三人目は自分たちで名前を決めろよな!」
「アハハハハハハ!」
あいつらなら、また来年生まれるかもしれねぇ。
どこも幸せそうだ。
俺は栞と鷹と麗星、蓮花にも電話した。
やっぱりみんな幸せそうだった。
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