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茜 Ⅳ
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12月最初の月曜日。
一江からのいつもの報告を受け、俺は茜の部屋へ行った。
「トラさん!」
「今日から検査をするからな。面倒だろうが我慢しろ」
「いいえ! 宜しくお願いします!」
茜は俺が買って来た紺のパジャマを着ている。
「看護師さんから、いろいろ教えて頂きました」
「そうか」
「ほんとに、随分と特別な扱いだそうで。自分なんかのためにすみません」
「いいんだよ。茜のためにいろいろさせてくれよ」
「トラさん!」
茜は気付いているだろうか。
最初は自分を「私」と言っていた。
でも、途中から昔の「自分」というものになっていた。
茜の中で、昔の俺たちの間柄が甦ったのだろう。
響子が六花と遊びに来た。
「タカトラ!」
「おう、来たのか」
「うん! 茜さんとはもうダチだからね!」
「そうか!」
茜も笑った。
「響子さんは、トラさんの一番大事な人と聞きました」
「まあそうだけどな。でも六花もお前も大事なんだぞ」
「はい!」
響子は茜から「ルート20」時代の話を聞いて喜んでいる。
茜は響子の病室へは行けないことは承知している。
響子のいい入院友達になりそうだ。
俺は鷹も紹介し、俺の恋人だと話した。
「また六花さんとは違ったスゴイ美人ですね!」
「そうだろう! 鷹はそれに料理が抜群に美味いんだよ。料亭の娘なのな」
「そうなんですか!」
その日は検査を一日して、茜もヘトヘトになった。
「おし、じゃあ俺が夕飯を作ってやるからな!」
「ほんとですか!」
「牛丼を作るぞ」
「マジで!」
俺は笑って茜を食堂へ連れて行った。
厨房長の岩波さんに断って、調理をさせてもらう。
玉ねぎを縦切りにして触感を出すようにする。
牛肉は山形和牛の霜降り500g。
春菊とタマネギを炒め、牛肉も軽く炒める。
出汁を牛コツと鶏ガラでとって、醤油や酒、みりんなどと共に、隠し味に蜂蜜とケチャップを少量加える。
岩波さんたちが俺を見ている。
「ハチミツとケチャップですか!」
「ああ、味が深くなるんですよ」
「へぇー!」
「生姜焼きにもいいんですから」
「早速試します!」
茜はテーブルに座りながら、俺たちを見ていた。
出し汁に牛肉などを入れて、少し煮込む。
家から持って来たでかい丼(3人前入る)に、ご飯と牛肉を乗せた。
「卵もいるか?」
「はい、お願いします!」
御堂家の卵を器に入れて出した。
お新香と味噌汁は厨房のものを頂く。
「ほら、喰えよ」
「ありがとうございます!」
茜が嬉しそうに卵を割って牛丼にかけた。
頬張って行く。
「ウッメェェー!」
みんなが笑って見ていた。
「トラさん! これ牛丼じゃないですよ!」
「牛丼だよ!」
茜が夢中で食べてくれる。
「多かったら残していいからな」
「はい!」
茜は全部食べた。
「あー、食べ終わっちゃったー」
「アハハハハハ!」
小さな身体で、3人前食べた。
「本当に美味かったです! ありがとうございました!」
「良かったよ」
「昨日も随分と豪華な食事で。自分、あんなの食べたこと無くて」
「栄養のバランスは考えているからな。時々は俺が外へ連れ出すしな」
「そうっすか!」
茜が嬉しそうに笑った。
「昨日、加奈子と志野がうちに来たよ」
「聞きました! 凄いお宅だって」
「そんなことはねぇよ。ああ、お前も一度うちで飯を喰うか」
「お願いします!」
俺もコーヒーをもらい、茜と飲んだ。
「3人しかいないのに、自分がこんなことになって申し訳ないんです」
「しょうがねぇよ。加奈子たちだって分かってるさ」
「でも、仕事に穴を空けてしまって」
「それは大丈夫だ。御堂グループでちゃんとやってるから」
「そうっすか」
茜の頭を撫でた。
「お前は何の心配をしなくていいぞ。身体をゆっくり治せ」
「はい」
「お前のトラックもちゃんと無事だ。御堂グループで責任をもって整備して会社に届けているからな」
「ありがとうございます!」
「「保奈美 命」のな!」
「アハハハハハ!」
茜を部屋へ連れて行った。
「じゃあ、俺はそろそろ帰るからな」
「トラさん!」
茜が大きな声で俺を呼んだ。
「あんだよ?」
「ちょっとお話が」
「おう!」
俺は茜をベッドに座らせ、自分は見舞い客用の椅子を出した。
「どうした?」
「あの、保奈美さんの手紙のことで」
「ああ」
昨日、10年前に茜が保奈美から手紙を受け取ったと聞いた。
「保奈美さんは、トラさんを探してるんだって言ってました」
「……」
分かっている。
無茶苦茶な方法だが、保奈美は戦場に出た俺を追って、「国境なき医師団」に志願した。
他に方法が無かったのだ。
素人の日本人の女が戦場へ行くことなど出来ない。
保奈美がずっと考えて、求めて、ようやくたどり着いた方法なのだろう。
「でも、自分でも会えるわけないって言ってました」
「そうか」
「それでも! トラさんがいる戦場に、自分も行きたいんだって」
「保奈美……」
俺があいつに連絡をしなかったばかりに、すれ違いの状況になってしまった。
俺も、まさかあいつがと思った。
俺が知った時には、既に保奈美は日本を出ていて、行方が分からなくなっていた。
「俺も傭兵会社をやってる聖に頼んではいるんだ。情報を得たら教えて欲しいってな」
「はい」
もちろん、「虎」の軍でも情報を集めている。
しかし俺の個人的なことでもあり、また「国境なき医師団」が思いの外厳重に情報を隠蔽している組織であったことで、まだ行方は分からない。
「保奈美のことは俺に任せてくれ。お前は「保奈美 命」のトラックでさ……」
「トラさん! トラさんは「虎」の軍のトップなんですよね!」
「茜!」
加奈子たちか。
「昨日、加奈子さんたちに言われて、自分もいろいろ観てみたんです! トラさんのギター、聴きました!」
「お前……」
「御堂総理の演説の、東京ドームのあれ、トラさんの演奏ですよね!」
「何言ってんだよ」
「だって! 保奈美さんと一緒にトラさんのギター聴きましたもん! 間違いないですよ!」
「……」
「仮面で隠してましたけど、トラさんです! 加奈子さんの言う通り、すぐに分かりました!」
「何言ってんだよ……」
俺を知っている人間であれば分かるのかもしれない。
「俺が誰だっていいだろう。俺は茜の兄貴分の……」
茜を説得しようとしたが、茜に遮られた。
俺が俺である限り、否定できない方法で。
「トラさん! お願いします!」
「なんだよ」
「自分、保奈美さんを探しに行きたいです!」
「!」
茜が保奈美をどれほど大事に思っているのかを、俺は知っている。
俺に頼んで来るのならば、うなずこうとは思っていた。
しかし茜は自分で探しに行くと言った。
「でも、自分、全然強くありません! でも、「虎」の軍で鍛えてもらって、そうしたら!」
「バカを言うな!」
思わず怒鳴ってしまった。
「自分、どんな辛い訓練でも平気です! だからトラさん、自分をお願いします!」
「茜……」
茜はまっすぐに俺を見ていた。
その目は、保奈美のために命すら擲つ人間であることを示していた。
「お前、バカにされたことじゃなくて、保奈美の名前を蹴られたから暴れたんだな」
「そうですよ!」
「お前は昔からそうだったな」
「そうですよ!」
「保奈美のためなら何でもするってバカだよな!」
「その通りです!」
二人で笑った。
「俺は「虎」の軍を作り、「虎」の軍の最高司令官だ」
「はい!」
「そしてお前の兄貴分だ」
「はい!」
茜を抱き締めた。
「そして今でも保奈美を愛している」
「はい!」
俺は「国境なき医師団」のことで、俺が調べたことを話した。
「どうやら、ある特殊な部署に入っているらしい。完全に情報は隠されていると言うか、恐らくその集団が独自に動いているようなんだ。だから本部にいくら圧力を掛けてもらちが明かない」
「そうなんですか」
「茜、お前やってくれるか?」
「はい!」
茜をまた抱き締めた。
前は小さく細かった茜が、ちゃんと筋肉がつき、逞しくなっていた。
「ありがとう、茜」
「お任せ下さい!」
茜をベッドに座らせる。
「でもな、これからの戦場は本当に危険になる」
「はい!」
「お前に「花岡」を教える。鍛え上げて、お前がどんな戦場でも生還出来るようになったら、保奈美を探して欲しい」
「はい!」
「それまでは、しばらくあのトラックを転がせ。加奈子たちには俺が話そう」
「はい! お願いします!」
俺たちは笑って握手をした。
「保奈美さんは自分の命です!」
「そうだな!」
検査の結果は問題なく、茜は一週間の入院で退院した。
俺は茜の決意を加奈子と志野に話し、二人も「そりゃそうだ」と笑って納得してくれた。
茜はすぐにトラックの運転手をしながら、双子から特訓を受けた。
まるで才能は無かった。
しかし、茜は必死に喰らいつき、ついに2年後に「花岡」上級者になった。
千石の能力も使わずに。
あり得ないことだった。
俺は茜の心が嬉しかったが、茜を戦場に出したくは無かった。
それでも、茜は自分で道を切り拓いた。
保奈美が茜の「命」だったからだ。
外国語が一切話せない茜のために、蓮花と「テトラ」というデュールゲリエを開発しバディにした。
俺と保奈美の思い出の「月見草」の学名「tetraptera」からの命名だった。
茜は過酷な戦場へ旅立って行った。
いつも保奈美の後ろを追い掛けて来た茜。
あいつは本当に保奈美を見つけてくれるかもしれない。
あいつならば、きっと……
一江からのいつもの報告を受け、俺は茜の部屋へ行った。
「トラさん!」
「今日から検査をするからな。面倒だろうが我慢しろ」
「いいえ! 宜しくお願いします!」
茜は俺が買って来た紺のパジャマを着ている。
「看護師さんから、いろいろ教えて頂きました」
「そうか」
「ほんとに、随分と特別な扱いだそうで。自分なんかのためにすみません」
「いいんだよ。茜のためにいろいろさせてくれよ」
「トラさん!」
茜は気付いているだろうか。
最初は自分を「私」と言っていた。
でも、途中から昔の「自分」というものになっていた。
茜の中で、昔の俺たちの間柄が甦ったのだろう。
響子が六花と遊びに来た。
「タカトラ!」
「おう、来たのか」
「うん! 茜さんとはもうダチだからね!」
「そうか!」
茜も笑った。
「響子さんは、トラさんの一番大事な人と聞きました」
「まあそうだけどな。でも六花もお前も大事なんだぞ」
「はい!」
響子は茜から「ルート20」時代の話を聞いて喜んでいる。
茜は響子の病室へは行けないことは承知している。
響子のいい入院友達になりそうだ。
俺は鷹も紹介し、俺の恋人だと話した。
「また六花さんとは違ったスゴイ美人ですね!」
「そうだろう! 鷹はそれに料理が抜群に美味いんだよ。料亭の娘なのな」
「そうなんですか!」
その日は検査を一日して、茜もヘトヘトになった。
「おし、じゃあ俺が夕飯を作ってやるからな!」
「ほんとですか!」
「牛丼を作るぞ」
「マジで!」
俺は笑って茜を食堂へ連れて行った。
厨房長の岩波さんに断って、調理をさせてもらう。
玉ねぎを縦切りにして触感を出すようにする。
牛肉は山形和牛の霜降り500g。
春菊とタマネギを炒め、牛肉も軽く炒める。
出汁を牛コツと鶏ガラでとって、醤油や酒、みりんなどと共に、隠し味に蜂蜜とケチャップを少量加える。
岩波さんたちが俺を見ている。
「ハチミツとケチャップですか!」
「ああ、味が深くなるんですよ」
「へぇー!」
「生姜焼きにもいいんですから」
「早速試します!」
茜はテーブルに座りながら、俺たちを見ていた。
出し汁に牛肉などを入れて、少し煮込む。
家から持って来たでかい丼(3人前入る)に、ご飯と牛肉を乗せた。
「卵もいるか?」
「はい、お願いします!」
御堂家の卵を器に入れて出した。
お新香と味噌汁は厨房のものを頂く。
「ほら、喰えよ」
「ありがとうございます!」
茜が嬉しそうに卵を割って牛丼にかけた。
頬張って行く。
「ウッメェェー!」
みんなが笑って見ていた。
「トラさん! これ牛丼じゃないですよ!」
「牛丼だよ!」
茜が夢中で食べてくれる。
「多かったら残していいからな」
「はい!」
茜は全部食べた。
「あー、食べ終わっちゃったー」
「アハハハハハ!」
小さな身体で、3人前食べた。
「本当に美味かったです! ありがとうございました!」
「良かったよ」
「昨日も随分と豪華な食事で。自分、あんなの食べたこと無くて」
「栄養のバランスは考えているからな。時々は俺が外へ連れ出すしな」
「そうっすか!」
茜が嬉しそうに笑った。
「昨日、加奈子と志野がうちに来たよ」
「聞きました! 凄いお宅だって」
「そんなことはねぇよ。ああ、お前も一度うちで飯を喰うか」
「お願いします!」
俺もコーヒーをもらい、茜と飲んだ。
「3人しかいないのに、自分がこんなことになって申し訳ないんです」
「しょうがねぇよ。加奈子たちだって分かってるさ」
「でも、仕事に穴を空けてしまって」
「それは大丈夫だ。御堂グループでちゃんとやってるから」
「そうっすか」
茜の頭を撫でた。
「お前は何の心配をしなくていいぞ。身体をゆっくり治せ」
「はい」
「お前のトラックもちゃんと無事だ。御堂グループで責任をもって整備して会社に届けているからな」
「ありがとうございます!」
「「保奈美 命」のな!」
「アハハハハハ!」
茜を部屋へ連れて行った。
「じゃあ、俺はそろそろ帰るからな」
「トラさん!」
茜が大きな声で俺を呼んだ。
「あんだよ?」
「ちょっとお話が」
「おう!」
俺は茜をベッドに座らせ、自分は見舞い客用の椅子を出した。
「どうした?」
「あの、保奈美さんの手紙のことで」
「ああ」
昨日、10年前に茜が保奈美から手紙を受け取ったと聞いた。
「保奈美さんは、トラさんを探してるんだって言ってました」
「……」
分かっている。
無茶苦茶な方法だが、保奈美は戦場に出た俺を追って、「国境なき医師団」に志願した。
他に方法が無かったのだ。
素人の日本人の女が戦場へ行くことなど出来ない。
保奈美がずっと考えて、求めて、ようやくたどり着いた方法なのだろう。
「でも、自分でも会えるわけないって言ってました」
「そうか」
「それでも! トラさんがいる戦場に、自分も行きたいんだって」
「保奈美……」
俺があいつに連絡をしなかったばかりに、すれ違いの状況になってしまった。
俺も、まさかあいつがと思った。
俺が知った時には、既に保奈美は日本を出ていて、行方が分からなくなっていた。
「俺も傭兵会社をやってる聖に頼んではいるんだ。情報を得たら教えて欲しいってな」
「はい」
もちろん、「虎」の軍でも情報を集めている。
しかし俺の個人的なことでもあり、また「国境なき医師団」が思いの外厳重に情報を隠蔽している組織であったことで、まだ行方は分からない。
「保奈美のことは俺に任せてくれ。お前は「保奈美 命」のトラックでさ……」
「トラさん! トラさんは「虎」の軍のトップなんですよね!」
「茜!」
加奈子たちか。
「昨日、加奈子さんたちに言われて、自分もいろいろ観てみたんです! トラさんのギター、聴きました!」
「お前……」
「御堂総理の演説の、東京ドームのあれ、トラさんの演奏ですよね!」
「何言ってんだよ」
「だって! 保奈美さんと一緒にトラさんのギター聴きましたもん! 間違いないですよ!」
「……」
「仮面で隠してましたけど、トラさんです! 加奈子さんの言う通り、すぐに分かりました!」
「何言ってんだよ……」
俺を知っている人間であれば分かるのかもしれない。
「俺が誰だっていいだろう。俺は茜の兄貴分の……」
茜を説得しようとしたが、茜に遮られた。
俺が俺である限り、否定できない方法で。
「トラさん! お願いします!」
「なんだよ」
「自分、保奈美さんを探しに行きたいです!」
「!」
茜が保奈美をどれほど大事に思っているのかを、俺は知っている。
俺に頼んで来るのならば、うなずこうとは思っていた。
しかし茜は自分で探しに行くと言った。
「でも、自分、全然強くありません! でも、「虎」の軍で鍛えてもらって、そうしたら!」
「バカを言うな!」
思わず怒鳴ってしまった。
「自分、どんな辛い訓練でも平気です! だからトラさん、自分をお願いします!」
「茜……」
茜はまっすぐに俺を見ていた。
その目は、保奈美のために命すら擲つ人間であることを示していた。
「お前、バカにされたことじゃなくて、保奈美の名前を蹴られたから暴れたんだな」
「そうですよ!」
「お前は昔からそうだったな」
「そうですよ!」
「保奈美のためなら何でもするってバカだよな!」
「その通りです!」
二人で笑った。
「俺は「虎」の軍を作り、「虎」の軍の最高司令官だ」
「はい!」
「そしてお前の兄貴分だ」
「はい!」
茜を抱き締めた。
「そして今でも保奈美を愛している」
「はい!」
俺は「国境なき医師団」のことで、俺が調べたことを話した。
「どうやら、ある特殊な部署に入っているらしい。完全に情報は隠されていると言うか、恐らくその集団が独自に動いているようなんだ。だから本部にいくら圧力を掛けてもらちが明かない」
「そうなんですか」
「茜、お前やってくれるか?」
「はい!」
茜をまた抱き締めた。
前は小さく細かった茜が、ちゃんと筋肉がつき、逞しくなっていた。
「ありがとう、茜」
「お任せ下さい!」
茜をベッドに座らせる。
「でもな、これからの戦場は本当に危険になる」
「はい!」
「お前に「花岡」を教える。鍛え上げて、お前がどんな戦場でも生還出来るようになったら、保奈美を探して欲しい」
「はい!」
「それまでは、しばらくあのトラックを転がせ。加奈子たちには俺が話そう」
「はい! お願いします!」
俺たちは笑って握手をした。
「保奈美さんは自分の命です!」
「そうだな!」
検査の結果は問題なく、茜は一週間の入院で退院した。
俺は茜の決意を加奈子と志野に話し、二人も「そりゃそうだ」と笑って納得してくれた。
茜はすぐにトラックの運転手をしながら、双子から特訓を受けた。
まるで才能は無かった。
しかし、茜は必死に喰らいつき、ついに2年後に「花岡」上級者になった。
千石の能力も使わずに。
あり得ないことだった。
俺は茜の心が嬉しかったが、茜を戦場に出したくは無かった。
それでも、茜は自分で道を切り拓いた。
保奈美が茜の「命」だったからだ。
外国語が一切話せない茜のために、蓮花と「テトラ」というデュールゲリエを開発しバディにした。
俺と保奈美の思い出の「月見草」の学名「tetraptera」からの命名だった。
茜は過酷な戦場へ旅立って行った。
いつも保奈美の後ろを追い掛けて来た茜。
あいつは本当に保奈美を見つけてくれるかもしれない。
あいつならば、きっと……
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