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石神家本家 釧路湿原/天使型戦
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「タイガーファンフ」に乗って、10分後にアラスカのヘッジホッグへ着いた。
亜紀ちゃんが大騒ぎで、俺を抱きかかえて「虎病院」へ運ぶ。
既に機内で連絡してあり、俺はすぐに迎えられた。
「おい! 自分で歩ける!」
「ちょっと黙っててください!」
「このやろう!」
「なんだ、こらぁ!」
だが、俺が亜紀ちゃんの頭を引っぱたくばかりで、亜紀ちゃんは黙って殴られていた。
だから俺もそのうち、大人しく抱きかかえられた。
「タイガー!」
病院ではターナー少将が待っており、俺が負傷したと聞いて心配していた。
すぐに俺はストレッチャーに乗せられ、検査をするために運ばれた。
「おい、何の検査をするんだ?」
「全部です!」
亜紀ちゃんが言う。
全部ってなんだ?
医師が3人ほど集まっており、俺は裸にされて負傷個所をまず見られた。
もう傷は全部塞がっている。
「あの、どの傷でしょうか?」
「何言ってるの!」
「いえ、どれもみんな塞がっているのと、あまりにも傷が多くて」
「ヤブ医者! このタワケがぁ!」
亜紀ちゃんがまた大騒ぎだ。
「おい、落ち着け」
俺が胸部の二か所と腹部、肩、腿の傷を示した。
医師たちが困っている。
「信じがたいことですが、先ほどの傷としては完全に塞がっていますね」
「そうなんだよ」
「ダメですよ! ちゃんと調べてください!」
亜紀ちゃんは納得しない。
以前の「神殺し」の呪いが相当亜紀ちゃんの中でショックだったのだろう。
あの時は突然俺の死を知らされたからだ。
だから今回は徹底的に調べておきたいという気持ちはわかる。
俺も少しは付き合わねばならんだろう。
戸惑っている医師たちに、俺が言った。
「血液を採血。一通りの免疫系の検査をしてくれ。他にはレントゲン、念のために全身のCTも撮っておくか」
俺は他に幾つかの検査項目を指示した。
「それと、双子を呼べ。そっちの方が重要だ」
「そうでした!」
亜紀ちゃんは慌てて双子を呼びに行った。
俺はまず採血を済ませ、レントゲンを撮っている間にCTの準備をさせた。
亜紀ちゃんが戻ってきて、レントゲン室の俺を双子に観させた。
「さっきもちゃんと見たよ」
「もう一度見て!」
「もーう!」
二人はそれでも、俺に念入りに手をかざして調べてくれた。
「何もないよ!」
「こないだとは違う。タカさんはまた強くなってるしね」
「石神家の方がきついよなー」
「「アハハハハハ!」」
亜紀ちゃんはまだ不安が拭い切れずに、俺を支えながらCT室へ移動した。
「オチンチンは念入りにな!」
技師たちが笑う中、亜紀ちゃんは笑わなかった。
俺はヨード造影剤を注入され、CTに横たわった。
徐々に身体が移動して、全身の映像を得る。
後でも確認するが、撮影の間も技師や医師たちが既に出た血液検査の結果などのタブレットの数値に注目していた。
「おい、俺のデータは全て機密だからな」
「はい、分かっています」
「オチンチンのサイズは公表していいぞ」
「ワハハハハハ!」
撮影が終わり、俺は検査の終了を宣言した。
「タカさん、しばらく寝ててください」
「大丈夫だって」
「お願いします! 全部の検査の結果が出るまでは!」
「腹が空いたんだよ!」
「あ!」
亜紀ちゃんも何も食べていない。
双子はさっき食事の真っ最中だったようだ。
途中で引っ張られて機嫌が悪かったらしい。
もう食事に戻っている。
「じゃあ、何か持ってきますので、タカさんはベッドで」
「いい加減にしろ!」
亜紀ちゃんが泣きそうな顔になったが、今度は俺が抱きかかえて病院の食堂へ移動した。
検査着の俺を見て、俺を知っている連中が驚く。
「なんでもねぇ! ただの検査だ!」
みんなが安心して食事に戻る。
俺はサーモンステーキを2人前とパンケーキを頼んだ。
すぐに食堂の人間が運んでくる。
他の人間は好きな食材を自分で持って来るシステムだ。
亜紀ちゃんもトレイを持って自分でよそってきた。
「タカさん、食欲ありますか?」
「俺は病人じゃねぇ! 見りゃ分かるだろう!」
亜紀ちゃんがちょっとホッとした顔をした。
ようやくか。
「自分で分かるよ。今回は大丈夫だ」
「いつもタカさんはそう言うじゃないですか」
「あー」
そんな気もする。
もちろん心配させないようになのだが、結果的に物凄く心配を掛けてきた。
「今回は大丈夫だよ」
「そうですかー」
亜紀ちゃんはサーモンと鹿肉のステーキ山盛りだ。
3つのトレイに乗せてきた。
マッシュポテトが美味そうだった。
「おい、ポテトを少しくれ」
「自分で取って来てくださいよ!」
「あ、お前!」
「!」
亜紀ちゃんが涙目で俺にポテトをくれた。
やはり美味い。
「まあ、今日はもうゆっくりするよ。虎白さんとか桜たちの様子を聴いたらだけどな」
「虎白さんたちは北海道ですよね?」
「ああ、「アドヴェロス」からの情報だ。北海道は随分と妖魔が多いみてぇだからな」
「大丈夫でしょうか」
「虎白さんたちのことじゃないよな?」
1ミリも心配していない。
「いいえ、北海道が」
「……」
あー。
「でもよ、千両と桜も一緒だぜ?」
「止められると思いますか?」
「分かんねぇ」
不安になって来た。
出発は明日のはずだ。
「タカさんは寝てて下さいね」
「うーん」
「ルーとハーに行かせましょうか?」
「あいつらかー」
「虎白さん、可愛がってますよね?」
「そうだけどな」
一つだけ具体的な不安があった。
「一応虎白さんには言ってあるんだけどよ」
「なんですか?」
「「黒笛」は持っていくなって言ってるんだよ」
「それはそうですよね!」
あんなものを使われては堪らん。
「やっぱ双子も必要か」
「千両さんたちじゃ止められませんよね」
「だな」
ルーとハーの二人を同行させることを決めた。
亜紀ちゃんが大騒ぎで、俺を抱きかかえて「虎病院」へ運ぶ。
既に機内で連絡してあり、俺はすぐに迎えられた。
「おい! 自分で歩ける!」
「ちょっと黙っててください!」
「このやろう!」
「なんだ、こらぁ!」
だが、俺が亜紀ちゃんの頭を引っぱたくばかりで、亜紀ちゃんは黙って殴られていた。
だから俺もそのうち、大人しく抱きかかえられた。
「タイガー!」
病院ではターナー少将が待っており、俺が負傷したと聞いて心配していた。
すぐに俺はストレッチャーに乗せられ、検査をするために運ばれた。
「おい、何の検査をするんだ?」
「全部です!」
亜紀ちゃんが言う。
全部ってなんだ?
医師が3人ほど集まっており、俺は裸にされて負傷個所をまず見られた。
もう傷は全部塞がっている。
「あの、どの傷でしょうか?」
「何言ってるの!」
「いえ、どれもみんな塞がっているのと、あまりにも傷が多くて」
「ヤブ医者! このタワケがぁ!」
亜紀ちゃんがまた大騒ぎだ。
「おい、落ち着け」
俺が胸部の二か所と腹部、肩、腿の傷を示した。
医師たちが困っている。
「信じがたいことですが、先ほどの傷としては完全に塞がっていますね」
「そうなんだよ」
「ダメですよ! ちゃんと調べてください!」
亜紀ちゃんは納得しない。
以前の「神殺し」の呪いが相当亜紀ちゃんの中でショックだったのだろう。
あの時は突然俺の死を知らされたからだ。
だから今回は徹底的に調べておきたいという気持ちはわかる。
俺も少しは付き合わねばならんだろう。
戸惑っている医師たちに、俺が言った。
「血液を採血。一通りの免疫系の検査をしてくれ。他にはレントゲン、念のために全身のCTも撮っておくか」
俺は他に幾つかの検査項目を指示した。
「それと、双子を呼べ。そっちの方が重要だ」
「そうでした!」
亜紀ちゃんは慌てて双子を呼びに行った。
俺はまず採血を済ませ、レントゲンを撮っている間にCTの準備をさせた。
亜紀ちゃんが戻ってきて、レントゲン室の俺を双子に観させた。
「さっきもちゃんと見たよ」
「もう一度見て!」
「もーう!」
二人はそれでも、俺に念入りに手をかざして調べてくれた。
「何もないよ!」
「こないだとは違う。タカさんはまた強くなってるしね」
「石神家の方がきついよなー」
「「アハハハハハ!」」
亜紀ちゃんはまだ不安が拭い切れずに、俺を支えながらCT室へ移動した。
「オチンチンは念入りにな!」
技師たちが笑う中、亜紀ちゃんは笑わなかった。
俺はヨード造影剤を注入され、CTに横たわった。
徐々に身体が移動して、全身の映像を得る。
後でも確認するが、撮影の間も技師や医師たちが既に出た血液検査の結果などのタブレットの数値に注目していた。
「おい、俺のデータは全て機密だからな」
「はい、分かっています」
「オチンチンのサイズは公表していいぞ」
「ワハハハハハ!」
撮影が終わり、俺は検査の終了を宣言した。
「タカさん、しばらく寝ててください」
「大丈夫だって」
「お願いします! 全部の検査の結果が出るまでは!」
「腹が空いたんだよ!」
「あ!」
亜紀ちゃんも何も食べていない。
双子はさっき食事の真っ最中だったようだ。
途中で引っ張られて機嫌が悪かったらしい。
もう食事に戻っている。
「じゃあ、何か持ってきますので、タカさんはベッドで」
「いい加減にしろ!」
亜紀ちゃんが泣きそうな顔になったが、今度は俺が抱きかかえて病院の食堂へ移動した。
検査着の俺を見て、俺を知っている連中が驚く。
「なんでもねぇ! ただの検査だ!」
みんなが安心して食事に戻る。
俺はサーモンステーキを2人前とパンケーキを頼んだ。
すぐに食堂の人間が運んでくる。
他の人間は好きな食材を自分で持って来るシステムだ。
亜紀ちゃんもトレイを持って自分でよそってきた。
「タカさん、食欲ありますか?」
「俺は病人じゃねぇ! 見りゃ分かるだろう!」
亜紀ちゃんがちょっとホッとした顔をした。
ようやくか。
「自分で分かるよ。今回は大丈夫だ」
「いつもタカさんはそう言うじゃないですか」
「あー」
そんな気もする。
もちろん心配させないようになのだが、結果的に物凄く心配を掛けてきた。
「今回は大丈夫だよ」
「そうですかー」
亜紀ちゃんはサーモンと鹿肉のステーキ山盛りだ。
3つのトレイに乗せてきた。
マッシュポテトが美味そうだった。
「おい、ポテトを少しくれ」
「自分で取って来てくださいよ!」
「あ、お前!」
「!」
亜紀ちゃんが涙目で俺にポテトをくれた。
やはり美味い。
「まあ、今日はもうゆっくりするよ。虎白さんとか桜たちの様子を聴いたらだけどな」
「虎白さんたちは北海道ですよね?」
「ああ、「アドヴェロス」からの情報だ。北海道は随分と妖魔が多いみてぇだからな」
「大丈夫でしょうか」
「虎白さんたちのことじゃないよな?」
1ミリも心配していない。
「いいえ、北海道が」
「……」
あー。
「でもよ、千両と桜も一緒だぜ?」
「止められると思いますか?」
「分かんねぇ」
不安になって来た。
出発は明日のはずだ。
「タカさんは寝てて下さいね」
「うーん」
「ルーとハーに行かせましょうか?」
「あいつらかー」
「虎白さん、可愛がってますよね?」
「そうだけどな」
一つだけ具体的な不安があった。
「一応虎白さんには言ってあるんだけどよ」
「なんですか?」
「「黒笛」は持っていくなって言ってるんだよ」
「それはそうですよね!」
あんなものを使われては堪らん。
「やっぱ双子も必要か」
「千両さんたちじゃ止められませんよね」
「だな」
ルーとハーの二人を同行させることを決めた。
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