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グアテマラ強襲作戦 Ⅱ
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建物は厚さ10メートルのべトンだった。
第二次世界大戦のトーチカ並みの構造だ。
その分厚さは、当時の兵器の恐ろしいほどの威力を示していた。
そして現在、俺たちの攻撃に耐えうる構造をこの建物が備えている。
山脈を削るほどの亜紀ちゃんの「最後の涙」の攻撃が通じていない。
どのような技術かは不明だが、「業」もやはり対抗手段を研究していたのだ。
「ハー! 「八葉」であのでかい扉をぶっ飛ばせ!」
「はい!」
ハーが前に出て、自分の周囲に8個の渦を生じさせる。
一斉にそこから巨大なエネルギーが噴き出す。
鋼鉄製と思われる扉が吹っ飛んだ。
「やったー!」
「油断するな! 出て来るぞ!」
俺は「虎王」を構えた。
聖は高出力の「カサンドラ」の改造「レーヴァテイン」を握っている。
突然、熱線が来た。
俺は「虎王」の極星結界を拡げる。
「皇紀! 柳!」
「「はい!」」
二人が「Ωシールド」を構え、俺もその後ろに入った。
空中の亜紀ちゃんも狙われ、慌てて回避しながら俺たちの中へ入る。
熱線は「Ωシールド」に完全に防がれているが、周囲の熱がすぐに上昇して行く。
「おい、ブサイク! お前、何で戻って来た!」
「だって! 熱かったんですもん!」
「バカ! お前が空中から攻撃しなきゃどうすんだよ!」
「あ!」
亜紀ちゃんが聖に怒鳴られていた。
「トラ、どうする!」
「ちょっと待て。こんな高エネルギーがいつまでも続くわけねぇ」
「そっか!」
と思っていたが、5分経過しても止むことは無かった。
周囲の気温がどんどん上昇して来る。
まずい。
「タカさん! ちょっと熱いですよ!」
「分かってる!」
皇紀が叫んだ。
「タカさん! シールドが溶け始めてます!」
「あんだと!」
「石神さん! こっちも!」
柳も泣きそうな声で叫ぶ。
「トラ!」
「ちょっと待て!」
俺は必死で考えていた。
「トラ! 敵が回り込んでいるぞ!」
「分かってる!」
熱線を避けながら、建物の中から膨大な敵が出て来て、俺たちの横に回り込みつつあった。
「ブサイク! お前もう一度飛べ!」
「死んじゃいますって!」
「Ωシールド」の周囲は熱線で覆われている。
皇紀も柳も、シールドが高熱になって握っていられなくなっている。
スージーが意識を喪いそうだった。
「全員、周辺の地面を「虚震花」で破壊しろ!」
皇紀と柳以外の全員で地面を爆発させる。
大量の土砂が舞い上がり、高熱が徐々に遮られて行く。
俺たちはどんどん撃ち込み、前方の地面も破壊して行った。
何とか耐え切れる温度になり、俺が「虎王」で前方を薙いだ。
「虎王」の力を隠している場合ではなかった。
「飛影斬!」
「七星虎王」から必殺の斬撃が向かって行く。
4頭の柱の化け物を両断した。
一瞬熱線が途絶える。
「お前ら飛べ!」
「「「はい!」」」
亜紀ちゃんと双子が空中へ上がり、それぞれが大技を撃ち込んで行く。
「聖! 右を頼む!」
「おう!」
「皇紀と柳は左だ! シールドはもう捨てろ!」
「「はい!」」
俺は前方へ飛んだ。
まだ柱の化け物は死んではいない。
「連山!」
「七星虎王」で石神家の奥義を放った。
柱の化け物を次々に斬り刻んで行った。
「熱ぃ!」
何度か熱線を必死に放たれ、回避しながらも高熱に焙られた。
「このやろう!」
俺は更に高速で斬り刻んで行った。
ようやく、柱の化け物が沈黙した。
それぞれが数十の肉塊になった。
聖を見ると、「花岡」と「レーヴァテイン」で難なく撃破している。
柳と皇紀は、皇紀がディフェンスに専念し、柳が攻撃役となって、何とか敵を潰して行っている。
聖と違って高速タイプに多少苦戦しているが、皇紀の防御が完璧なので、形になっている。
その時、俺は巨大なプレッシャーを感じた。
インカムでハーに叫ぶ。
「ハー! 超長距離タイプだ! すぐに撃破しろ!」
「はい!」
ハーはすぐに方向を察知し、ルーと一緒に飛んで行く。
3キロ離れた場所で、閃光が上がった。
「亜紀ちゃん! 皇紀と柳を支援しろ!」
「はい!」
建物を破壊しようとしていた亜紀ちゃんを呼び戻した。
ルーとハーが戻って来る。
「タカさん、ヤバかったね!」
「間に合ったな!」
俺は二人を連れて、建物の中へ入った。
建物から出て来たライカンスロープは凡そ2000体。
聖たちが撃破するだろう。
中に残っている者がいないか、警戒しながら進む。
ルーとハーが壁を調べていた。
「タカさん、この壁は何かのエネルギーが覆ってるね」
「多分、「大闇月」を電気的に再現したものだね」
「そうか」
周波数の組み合わせでやったのだろう。
以前に「業」たちは、「花岡」耐性の片鱗を俺たちに見せていた。
その発展型なのか。
亜紀ちゃんの「最後の涙」のような大規模破壊の技まで止めてしまうとは。
「何か感じるか?」
「ダメ。この壁のせいだよ。私たちの感知力も防がれてる」
「タカさんの勘だけが頼りだね」
「頑張るよ」
双子の不思議な感知能力が役立たないのは弱った。
しかし、内部を探らないわけには行かなかった。
壁が異常に厚いために、扉から部屋までは長い通路になっていた。
ライカンスロープの飼育のためらしき部屋は見つかったが、肝心の研究施設はまだだ。
上の階に上がる階段やエレベーターもまだ見えない。
俺たちが入って来た柱の化け物がいた部屋は、最上階までの吹き抜けになっていた。
この建物には巨大な扉はそこだけだったので、恐らくもう柱の化け物はいない。
「おい、この建物って床面は普通なんじゃないか?」
「あ、そうかも!」
壁が堅牢であれば、屋上以外の床面まで厚くする必要はない。
外部からの攻撃は、外壁で十分に耐えられる。
俺は部屋の天井に「虚震花」を撃ち込んだ。
予想通り、天井が崩れ、上階の部屋へ出られた。
「やったね!」
「おう!」
三人で2階部分を探索した。
今度は中央辺りで、エレベーターと階段を見つけることが出来た。
恐らく、ライカンスロープの反乱を畏れての構造だろう。
唯一の移動手段を限定しておけば、ある程度は閉じ込めておくことが出来る。
エレベーターは使わずに、内部だけ確認した。
やはり8階までの構造物のようだった。
俺たちは階段で移動した。
警戒しながらも高速移動で部屋を確認して行ったので、30分程で7階まで上がっていた。
これまではライカンスロープのための部屋しか発見していない。
7階でようやく研究施設を見つけた。
ルーとハーがコンピューターに取りつき、データを調べて行く。
研究員はまだ一人も見ていない。
俺は隣接する部屋へ入った。
20人程の遺体があった。
全員が薬物を飲んで自決したようだった。
手にコップが握られていた。
「お前ら、一体何をやってんだよ」
「業」に操られていたのかもしれないが、憐れな連中だった。
研究室へ戻ると、双子がデータの吸い出しを始めていた。
俺は二人に任せて、7階の他の部屋の探索を始めた。
このフロアは研究員たちの私室も兼ねていたようで、20人の研究員だけで使っているようだった。
この建物の大きさはでかいが、壁の厚さを考慮すると、もしかしたら20人だけで全体を賄っていたのかもしれない。
ライカンスロープの餌だけでも大変だっただろうが、睡眠状態にでもしていたのだろう。
何にしても非人道的な施設には違いない。
研究員たちが自決したということは、情報の漏洩を防ぐためだろうか。
彼らは一体何を隠さなければならなかったというのか。
一通りフロアを周って、双子のいる研究施設へ戻った。
「タカさん、データの吸出しは終わったよ!」
「でもここからアラスカへは送れなかった。電波暗室だね」
「そうか」
俺たちは最後のフロアの8階へ向かった。
第二次世界大戦のトーチカ並みの構造だ。
その分厚さは、当時の兵器の恐ろしいほどの威力を示していた。
そして現在、俺たちの攻撃に耐えうる構造をこの建物が備えている。
山脈を削るほどの亜紀ちゃんの「最後の涙」の攻撃が通じていない。
どのような技術かは不明だが、「業」もやはり対抗手段を研究していたのだ。
「ハー! 「八葉」であのでかい扉をぶっ飛ばせ!」
「はい!」
ハーが前に出て、自分の周囲に8個の渦を生じさせる。
一斉にそこから巨大なエネルギーが噴き出す。
鋼鉄製と思われる扉が吹っ飛んだ。
「やったー!」
「油断するな! 出て来るぞ!」
俺は「虎王」を構えた。
聖は高出力の「カサンドラ」の改造「レーヴァテイン」を握っている。
突然、熱線が来た。
俺は「虎王」の極星結界を拡げる。
「皇紀! 柳!」
「「はい!」」
二人が「Ωシールド」を構え、俺もその後ろに入った。
空中の亜紀ちゃんも狙われ、慌てて回避しながら俺たちの中へ入る。
熱線は「Ωシールド」に完全に防がれているが、周囲の熱がすぐに上昇して行く。
「おい、ブサイク! お前、何で戻って来た!」
「だって! 熱かったんですもん!」
「バカ! お前が空中から攻撃しなきゃどうすんだよ!」
「あ!」
亜紀ちゃんが聖に怒鳴られていた。
「トラ、どうする!」
「ちょっと待て。こんな高エネルギーがいつまでも続くわけねぇ」
「そっか!」
と思っていたが、5分経過しても止むことは無かった。
周囲の気温がどんどん上昇して来る。
まずい。
「タカさん! ちょっと熱いですよ!」
「分かってる!」
皇紀が叫んだ。
「タカさん! シールドが溶け始めてます!」
「あんだと!」
「石神さん! こっちも!」
柳も泣きそうな声で叫ぶ。
「トラ!」
「ちょっと待て!」
俺は必死で考えていた。
「トラ! 敵が回り込んでいるぞ!」
「分かってる!」
熱線を避けながら、建物の中から膨大な敵が出て来て、俺たちの横に回り込みつつあった。
「ブサイク! お前もう一度飛べ!」
「死んじゃいますって!」
「Ωシールド」の周囲は熱線で覆われている。
皇紀も柳も、シールドが高熱になって握っていられなくなっている。
スージーが意識を喪いそうだった。
「全員、周辺の地面を「虚震花」で破壊しろ!」
皇紀と柳以外の全員で地面を爆発させる。
大量の土砂が舞い上がり、高熱が徐々に遮られて行く。
俺たちはどんどん撃ち込み、前方の地面も破壊して行った。
何とか耐え切れる温度になり、俺が「虎王」で前方を薙いだ。
「虎王」の力を隠している場合ではなかった。
「飛影斬!」
「七星虎王」から必殺の斬撃が向かって行く。
4頭の柱の化け物を両断した。
一瞬熱線が途絶える。
「お前ら飛べ!」
「「「はい!」」」
亜紀ちゃんと双子が空中へ上がり、それぞれが大技を撃ち込んで行く。
「聖! 右を頼む!」
「おう!」
「皇紀と柳は左だ! シールドはもう捨てろ!」
「「はい!」」
俺は前方へ飛んだ。
まだ柱の化け物は死んではいない。
「連山!」
「七星虎王」で石神家の奥義を放った。
柱の化け物を次々に斬り刻んで行った。
「熱ぃ!」
何度か熱線を必死に放たれ、回避しながらも高熱に焙られた。
「このやろう!」
俺は更に高速で斬り刻んで行った。
ようやく、柱の化け物が沈黙した。
それぞれが数十の肉塊になった。
聖を見ると、「花岡」と「レーヴァテイン」で難なく撃破している。
柳と皇紀は、皇紀がディフェンスに専念し、柳が攻撃役となって、何とか敵を潰して行っている。
聖と違って高速タイプに多少苦戦しているが、皇紀の防御が完璧なので、形になっている。
その時、俺は巨大なプレッシャーを感じた。
インカムでハーに叫ぶ。
「ハー! 超長距離タイプだ! すぐに撃破しろ!」
「はい!」
ハーはすぐに方向を察知し、ルーと一緒に飛んで行く。
3キロ離れた場所で、閃光が上がった。
「亜紀ちゃん! 皇紀と柳を支援しろ!」
「はい!」
建物を破壊しようとしていた亜紀ちゃんを呼び戻した。
ルーとハーが戻って来る。
「タカさん、ヤバかったね!」
「間に合ったな!」
俺は二人を連れて、建物の中へ入った。
建物から出て来たライカンスロープは凡そ2000体。
聖たちが撃破するだろう。
中に残っている者がいないか、警戒しながら進む。
ルーとハーが壁を調べていた。
「タカさん、この壁は何かのエネルギーが覆ってるね」
「多分、「大闇月」を電気的に再現したものだね」
「そうか」
周波数の組み合わせでやったのだろう。
以前に「業」たちは、「花岡」耐性の片鱗を俺たちに見せていた。
その発展型なのか。
亜紀ちゃんの「最後の涙」のような大規模破壊の技まで止めてしまうとは。
「何か感じるか?」
「ダメ。この壁のせいだよ。私たちの感知力も防がれてる」
「タカさんの勘だけが頼りだね」
「頑張るよ」
双子の不思議な感知能力が役立たないのは弱った。
しかし、内部を探らないわけには行かなかった。
壁が異常に厚いために、扉から部屋までは長い通路になっていた。
ライカンスロープの飼育のためらしき部屋は見つかったが、肝心の研究施設はまだだ。
上の階に上がる階段やエレベーターもまだ見えない。
俺たちが入って来た柱の化け物がいた部屋は、最上階までの吹き抜けになっていた。
この建物には巨大な扉はそこだけだったので、恐らくもう柱の化け物はいない。
「おい、この建物って床面は普通なんじゃないか?」
「あ、そうかも!」
壁が堅牢であれば、屋上以外の床面まで厚くする必要はない。
外部からの攻撃は、外壁で十分に耐えられる。
俺は部屋の天井に「虚震花」を撃ち込んだ。
予想通り、天井が崩れ、上階の部屋へ出られた。
「やったね!」
「おう!」
三人で2階部分を探索した。
今度は中央辺りで、エレベーターと階段を見つけることが出来た。
恐らく、ライカンスロープの反乱を畏れての構造だろう。
唯一の移動手段を限定しておけば、ある程度は閉じ込めておくことが出来る。
エレベーターは使わずに、内部だけ確認した。
やはり8階までの構造物のようだった。
俺たちは階段で移動した。
警戒しながらも高速移動で部屋を確認して行ったので、30分程で7階まで上がっていた。
これまではライカンスロープのための部屋しか発見していない。
7階でようやく研究施設を見つけた。
ルーとハーがコンピューターに取りつき、データを調べて行く。
研究員はまだ一人も見ていない。
俺は隣接する部屋へ入った。
20人程の遺体があった。
全員が薬物を飲んで自決したようだった。
手にコップが握られていた。
「お前ら、一体何をやってんだよ」
「業」に操られていたのかもしれないが、憐れな連中だった。
研究室へ戻ると、双子がデータの吸い出しを始めていた。
俺は二人に任せて、7階の他の部屋の探索を始めた。
このフロアは研究員たちの私室も兼ねていたようで、20人の研究員だけで使っているようだった。
この建物の大きさはでかいが、壁の厚さを考慮すると、もしかしたら20人だけで全体を賄っていたのかもしれない。
ライカンスロープの餌だけでも大変だっただろうが、睡眠状態にでもしていたのだろう。
何にしても非人道的な施設には違いない。
研究員たちが自決したということは、情報の漏洩を防ぐためだろうか。
彼らは一体何を隠さなければならなかったというのか。
一通りフロアを周って、双子のいる研究施設へ戻った。
「タカさん、データの吸出しは終わったよ!」
「でもここからアラスカへは送れなかった。電波暗室だね」
「そうか」
俺たちは最後のフロアの8階へ向かった。
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