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道間家の休日 Ⅲ
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翌朝。
俺は一人で朝食を摂った。
麗星と五平所は、俺が持ってきたデータを朝早くから検討しているようだ。
午前中俺は庭を散策し、少し鍛錬をさせてもらった。
麗星から庭で自由にしててくれと許可は得ている。
神剣を持ってくるのは気が退けたので、虎徹で演武をする。
庭の手入れをしていたか、道間家の人間が俺を見ていた。
「すいません。勝手にやらせてもらってます」
俺は一通りの演武を終えて挨拶した。
「素晴らしい舞でした。思わず見とれてしまい、申し訳ありません」
「とんでもない。拙い手でお目汚しを」
麗星と五平所にはもっと砕けた口調だが、他の道間家の人間には丁寧に接していた。
ここには古代より続く規律と重みがある。
「宜しければ、茶でもお持ちしましょうか」
「本当ですか! どうも妻には嫌われているようで、何もしてもらえなくて」
「アハハハハハ!」
30代前半の若い男性だった。
白の作務衣のようなものを着ている。
髪を短く刈り、濃い眉の精悍な顔だった。
俺は東屋で待つように言われ、虎徹を脇に置いて待った。
すぐに、先ほどの若い男性が盆に冷えた緑茶を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
礼を言うと、盆をテーブルに置いて一緒に座った。
「石神様とはあまりお話ししたことがなくて、少し宜しいですか?」
「もちろんです」
男性は蓑原と名乗り、代々道間家に仕えているそうだ。
「前に、庭をお屋形様と歩いているのを拝見しました」
「そうですか」
「石神様が美しく、驚いたものです」
「俺が? そんなことは」
「いいえ。ああ、石神様の外見ももちろんなのですが、その火柱の美しさが何とも」
「ああ、あなたには見えるのですね」
「はい。うちの家系などは大したものではないのですが、私はたまたま少しばかり見えるようです」
蓑原は俺に興味を持っているようで、俺自身に関して聞いてきた。
「「虎」の軍を統べられている方とは存じています。それにあの石神家の方であることも」
「ああ、何なのか今でも分からないのですが、俺が勝手に当主に祭り上げられてしまって。でもね、他の剣士からは下っ端扱いだし、引っぱたかれるどころか、真剣でブスブス刺されて死にそうになるんですからね!」
「えぇ!」
俺は昨年の当主就任の一連の鍛錬や、先日の牛鬼狩の顛末などを話し、蓑原は爆笑した。
明るい青年だった。
「とにかく、あの人らには逆らえないんですが、それ以上に大事な人間たちなんですよ」
「そうですか。何やら素敵ですね」
「道間家も同じですよ」
「はい?」
「麗星や天狼ばかりじゃない。五平所も他のあなた方も、俺にとっては大事な人間たちです」
「本当ですか!」
「麗星がどれほどの人間の愛に支えられているのかが、来るたびに分かります。ありがたいことです」
「とんでもございません!」
俺が時間を持て余しているので相手をしてくれたのだと思ったが、本当に俺と話したかったようだ。
「石神様は、この道間家を御救い下さいました」
「俺のやったことなんて。皆さんがやってらっしゃるんですよ」
「いいえ、道間家が滅びるかという時に、道間家の念願の「道間皇王」が石神様のお陰で御生誕なさいました」
「ああ、あれはちょっとエッチなことをしただけで」
「なんと!」
蓑原がまた爆笑した。
「私にも少し、道間の血が流れておるのです」
「そうですか」
「そうは言っても先祖に何人か血が入ったというだけで」
「それでも「業」に殺されなくて良かった」
「はい。父と兄は殺されましたが」
「業」と宇羅の道間家の血筋を狙った殺戮は徹底していたようだ。
「あなたは?」
「たまたま吉野で修業をしておりました。私の所にも妖魔が来たのですが、いらっしゃった石神家の方々に助けられました」
「ああ! じゃあ堕乱我狩ですか!」
「はい、御存知でしたか。あの時期でした」
蓑原に縁を感じた。
「それでは吉野の修行というのは、石神家と一緒に堕乱我を狩っていたのですか?」
「はい。未熟ながら、日本最高の妖魔殺しの方々に同行させていただきました」
「あの人ら、そんなこともやってたんだぁ」
「愉快な方々ですよね?」
「そんないいもんじゃないですよ!」
「アハハハハハ!」
蓑原は、自分が道間家の衛士なのだと言った。
「大した働きは出来ませんが、精一杯にやらせていただいております」
「そうですか。今後ともよろしくお願いいたします」
それで俺の演舞を興味深く見ていたのか。
「普段は庭の手入れなどをしているのです」
「そうですか。ああ、夕べハスの花の美しい香りがしました」
「はい! 宜しければご覧になりますか?」
「是非」
俺は蓑原に、庭の池に案内してもらった。
池の一角に、ハスの美しい花が沢山咲いていた。
「夕べも見たいと思ったのですが、余りにも良い香りで花まで観るのがもったいなくて」
「さようでございますか。石神様は本当に奥ゆかしい」
「とんでもない。ただの臆病ですよ。良い物を全部手にしてしまうのが怖いだけで」
「なるほど」
二人でしばらくハスの花を眺めた。
「兄もここのハスの花が大好きでした」
「そうでしたか」
俺は手を合わせ、般若心経を唱えた。
蓑原が俺をずっと見ていて、俺が唱え終わると黙って頭を下げた。
「石神様とご縁が出来て、本当に良かった」
「こちらこそ」
麗星が俺を呼びに来た。
昼食の時間のようだ。
「蓑原さんが案内してくれていたんだ」
「そうですか。あなた様をお一人にして申し訳ありませんでした」
「いや、蓑原さんと一緒で楽しかったよ」
蓑原は頭を下げて去って行った。
昼食は鰻だった。
俺の好物なので用意してくれたのだろう。
今度はテーブルで食べる。
天狼が俺の向かいで、麗星と一緒に食べた。
一口食べる度に、俺を見て微笑んだ。
「あなた様が御一緒で、天狼も嬉しいようです」
「俺もだよ」
天狼が嬉しそうに笑った。
「なんだ、五平所は食べないのか」
五平所は焼き魚の膳だった。
「年を取ると脂っこいものがあまり」
「お前、まだまだ天狼の孫を見る役目があるんだぞ?」
「いえ、そんなには」
麗星が笑った。
「なんだよ! 見たくないのかよ!」
「いえ、それはもう見てみたいですが」
「じゃあ頑張れ」
後で「Ω」と「オロチ」を飲ませよう。
「ああ、さっきの蓑原さんは良かったなぁ。本当にいい人だった」
「さようでございますか」
「一緒にいて、実に気持ちがいい。道間家の人たちはみんなそうだけどな」
「ありがとうございます」
麗星が話し出した。
「あなた様と出会わなければ、蓑原と一緒になっていたやもしれません」
「そうなのか!」
「他に道間の血を支えられるものは少なく」
「そうかぁ」
麗星が微笑んだ。
「蓑原の家は道間家の衛士を担っておりました」
「ああ、蓑原さんもそうらしいな」
「はい。でも、あの蓑原には幼い頃から親しくしていた女性がおりました」
「ほう!」
「今は一緒に暮らしております」
「ヤバかったな!」
「はい!」
みんなで笑った。
道間の家は深い。
個人の感情など入り込むことは出来ない。
「わたくしも、あと二人は産まねばなりません」
「そうなの?」
「次も男児、その次は女の子でお願いします」
「なんだ、そりゃ」
俺は笑ったが分かった。
麗星には二人の兄がいた。
それを取り戻したいのだろう。
「じゃあ頑張んないとな!」
「はい!」
麗星が明るく笑った。
俺は一人で朝食を摂った。
麗星と五平所は、俺が持ってきたデータを朝早くから検討しているようだ。
午前中俺は庭を散策し、少し鍛錬をさせてもらった。
麗星から庭で自由にしててくれと許可は得ている。
神剣を持ってくるのは気が退けたので、虎徹で演武をする。
庭の手入れをしていたか、道間家の人間が俺を見ていた。
「すいません。勝手にやらせてもらってます」
俺は一通りの演武を終えて挨拶した。
「素晴らしい舞でした。思わず見とれてしまい、申し訳ありません」
「とんでもない。拙い手でお目汚しを」
麗星と五平所にはもっと砕けた口調だが、他の道間家の人間には丁寧に接していた。
ここには古代より続く規律と重みがある。
「宜しければ、茶でもお持ちしましょうか」
「本当ですか! どうも妻には嫌われているようで、何もしてもらえなくて」
「アハハハハハ!」
30代前半の若い男性だった。
白の作務衣のようなものを着ている。
髪を短く刈り、濃い眉の精悍な顔だった。
俺は東屋で待つように言われ、虎徹を脇に置いて待った。
すぐに、先ほどの若い男性が盆に冷えた緑茶を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
礼を言うと、盆をテーブルに置いて一緒に座った。
「石神様とはあまりお話ししたことがなくて、少し宜しいですか?」
「もちろんです」
男性は蓑原と名乗り、代々道間家に仕えているそうだ。
「前に、庭をお屋形様と歩いているのを拝見しました」
「そうですか」
「石神様が美しく、驚いたものです」
「俺が? そんなことは」
「いいえ。ああ、石神様の外見ももちろんなのですが、その火柱の美しさが何とも」
「ああ、あなたには見えるのですね」
「はい。うちの家系などは大したものではないのですが、私はたまたま少しばかり見えるようです」
蓑原は俺に興味を持っているようで、俺自身に関して聞いてきた。
「「虎」の軍を統べられている方とは存じています。それにあの石神家の方であることも」
「ああ、何なのか今でも分からないのですが、俺が勝手に当主に祭り上げられてしまって。でもね、他の剣士からは下っ端扱いだし、引っぱたかれるどころか、真剣でブスブス刺されて死にそうになるんですからね!」
「えぇ!」
俺は昨年の当主就任の一連の鍛錬や、先日の牛鬼狩の顛末などを話し、蓑原は爆笑した。
明るい青年だった。
「とにかく、あの人らには逆らえないんですが、それ以上に大事な人間たちなんですよ」
「そうですか。何やら素敵ですね」
「道間家も同じですよ」
「はい?」
「麗星や天狼ばかりじゃない。五平所も他のあなた方も、俺にとっては大事な人間たちです」
「本当ですか!」
「麗星がどれほどの人間の愛に支えられているのかが、来るたびに分かります。ありがたいことです」
「とんでもございません!」
俺が時間を持て余しているので相手をしてくれたのだと思ったが、本当に俺と話したかったようだ。
「石神様は、この道間家を御救い下さいました」
「俺のやったことなんて。皆さんがやってらっしゃるんですよ」
「いいえ、道間家が滅びるかという時に、道間家の念願の「道間皇王」が石神様のお陰で御生誕なさいました」
「ああ、あれはちょっとエッチなことをしただけで」
「なんと!」
蓑原がまた爆笑した。
「私にも少し、道間の血が流れておるのです」
「そうですか」
「そうは言っても先祖に何人か血が入ったというだけで」
「それでも「業」に殺されなくて良かった」
「はい。父と兄は殺されましたが」
「業」と宇羅の道間家の血筋を狙った殺戮は徹底していたようだ。
「あなたは?」
「たまたま吉野で修業をしておりました。私の所にも妖魔が来たのですが、いらっしゃった石神家の方々に助けられました」
「ああ! じゃあ堕乱我狩ですか!」
「はい、御存知でしたか。あの時期でした」
蓑原に縁を感じた。
「それでは吉野の修行というのは、石神家と一緒に堕乱我を狩っていたのですか?」
「はい。未熟ながら、日本最高の妖魔殺しの方々に同行させていただきました」
「あの人ら、そんなこともやってたんだぁ」
「愉快な方々ですよね?」
「そんないいもんじゃないですよ!」
「アハハハハハ!」
蓑原は、自分が道間家の衛士なのだと言った。
「大した働きは出来ませんが、精一杯にやらせていただいております」
「そうですか。今後ともよろしくお願いいたします」
それで俺の演舞を興味深く見ていたのか。
「普段は庭の手入れなどをしているのです」
「そうですか。ああ、夕べハスの花の美しい香りがしました」
「はい! 宜しければご覧になりますか?」
「是非」
俺は蓑原に、庭の池に案内してもらった。
池の一角に、ハスの美しい花が沢山咲いていた。
「夕べも見たいと思ったのですが、余りにも良い香りで花まで観るのがもったいなくて」
「さようでございますか。石神様は本当に奥ゆかしい」
「とんでもない。ただの臆病ですよ。良い物を全部手にしてしまうのが怖いだけで」
「なるほど」
二人でしばらくハスの花を眺めた。
「兄もここのハスの花が大好きでした」
「そうでしたか」
俺は手を合わせ、般若心経を唱えた。
蓑原が俺をずっと見ていて、俺が唱え終わると黙って頭を下げた。
「石神様とご縁が出来て、本当に良かった」
「こちらこそ」
麗星が俺を呼びに来た。
昼食の時間のようだ。
「蓑原さんが案内してくれていたんだ」
「そうですか。あなた様をお一人にして申し訳ありませんでした」
「いや、蓑原さんと一緒で楽しかったよ」
蓑原は頭を下げて去って行った。
昼食は鰻だった。
俺の好物なので用意してくれたのだろう。
今度はテーブルで食べる。
天狼が俺の向かいで、麗星と一緒に食べた。
一口食べる度に、俺を見て微笑んだ。
「あなた様が御一緒で、天狼も嬉しいようです」
「俺もだよ」
天狼が嬉しそうに笑った。
「なんだ、五平所は食べないのか」
五平所は焼き魚の膳だった。
「年を取ると脂っこいものがあまり」
「お前、まだまだ天狼の孫を見る役目があるんだぞ?」
「いえ、そんなには」
麗星が笑った。
「なんだよ! 見たくないのかよ!」
「いえ、それはもう見てみたいですが」
「じゃあ頑張れ」
後で「Ω」と「オロチ」を飲ませよう。
「ああ、さっきの蓑原さんは良かったなぁ。本当にいい人だった」
「さようでございますか」
「一緒にいて、実に気持ちがいい。道間家の人たちはみんなそうだけどな」
「ありがとうございます」
麗星が話し出した。
「あなた様と出会わなければ、蓑原と一緒になっていたやもしれません」
「そうなのか!」
「他に道間の血を支えられるものは少なく」
「そうかぁ」
麗星が微笑んだ。
「蓑原の家は道間家の衛士を担っておりました」
「ああ、蓑原さんもそうらしいな」
「はい。でも、あの蓑原には幼い頃から親しくしていた女性がおりました」
「ほう!」
「今は一緒に暮らしております」
「ヤバかったな!」
「はい!」
みんなで笑った。
道間の家は深い。
個人の感情など入り込むことは出来ない。
「わたくしも、あと二人は産まねばなりません」
「そうなの?」
「次も男児、その次は女の子でお願いします」
「なんだ、そりゃ」
俺は笑ったが分かった。
麗星には二人の兄がいた。
それを取り戻したいのだろう。
「じゃあ頑張んないとな!」
「はい!」
麗星が明るく笑った。
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