1,963 / 2,857
100日じゃ多分死なないワニ Ⅲ
しおりを挟む
「虎温泉」から上がり、みんなでリヴィングに集合した。
本当は酒でも飲むつもりだったのだが、仕方が無い。
「えー。ワニが来ました」
みんな笑いそうな顔をしている。
「ちょっとした事故で死に掛けたので、蓮花研究所で「Ω」「オロチ」、そして俺の血液を200CC打ちました」
もちろんみんな「事故」の事情は分かっている。
六花の「槍雷」だ。
「助かりました」
みんなが笑顔で拍手をする。
特に六花と亜紀ちゃんが抱き合って喜ぶ。
「現在体長38メートル、体重は凡そ50トンになってます」
「「「「「「!」」」」」」
全員が騒ぎ出す。
俺の血液を研究していた双子はもう高速思考で互いと話し合っていた。
「問題が幾つかあります」
「アリちゃんは殺さないで下さい!」
亜紀ちゃんが涙目で訴える。
「そう、ワニをどうするか。殺処分はしないとして、じゃあどこでどうやって世話をするのか」
「ここじゃダメですか?」
「38メートルだと言っただろう!」
「ああ」
亜紀ちゃんをぶん殴りたかった。
「野生に戻すこともあり得るけどなぁ。でも、あんな怪獣を他の連中が放っておくわけもねぇ。飼おうなんて奴はほとんどいねぇから、まず殺されるな」
「アリちゃんは殺さないで下さい!」
「それに、あのガタイでの食事だ。間違いなく生態系が崩れる。誰にも見つからなかったとしても、いずれ餌がいなくなるだろうな」
「アリちゃん!」
いちいちうるせぇ。
ワニは生態系の頂点だ。
あいつが喰われることは絶対に無いので、喰い放題でその周辺がどうなるのか。
「同じ理由で、俺たちが世話するとしても、膨大な餌が必要になる。野生のワニは満腹すると1か月以上食事は不要だと言われているが、あいつがどうなのかは分からん。それに満腹させるには恐らく20トン以上は肉を喰うだろうよ」
「うち以上ですね!」
「当たり前だ!」
肉バカたちでも平均すれば一日10キロだろう。
5年分という感じか。
「まあ、用意出来ないわけではないが、流通を歪める量だな」
「アリちゃんのためですよ!」
「それと、水場も必要だ。少なくとも300メートル角のプールがいるな」
「がんばります!」
「要は、カワイイからペットとして飼うということは出来ないということだ!」
「タカさん!」
亜紀ちゃんが半泣きだ。
「まあ、そうは言ってもだ。またまた俺がやっちまったことだから、じゃあ殺そうということではない」
「ありがとうございます!」
亜紀ちゃんがニコニコする。
六花が流石に責任を感じて暗くなっている。
「言葉を話すそうだ」
「え!」
「だから役に立たないこともないだろう。扱いはどこまで出来るのかはまだ不明だが、俺は出来るだけのことはしてやりたいと思っている」
「タカさん!」
「蓮花の研究所は渡良瀬川にも近い。水を引いてプールくらいはそれほど難しくはないだろう。それに土地は幾らでも調達出来るしな。今所有している山林に高い塀で囲って住まわせることも出来ると思う」
「はい!」
「何にしても、お前らの協力が必要になるだろう。明日俺が行って来るが、何か頼むことになる。よろしくな!」
「私も行きますよ!」
「そうか」
「「私たちも!」」
「私も行きます!」
子どもたちが全員名乗り出た。
まあ、現物を観ることも必要だろう。
「六花と鷹はこっちにいてくれな」
「トラ、私も行きます」
「六花は別に責任を感じる必要はないぞ。あの状況ならしょうがない。まあ、本気でやってくれれば良かったかもな」
「タカさん!」
「冗談だよ!」
でも、完全に殺していれば面倒は無かったのは本当だ。
可愛そうなことをしたと悲しんだだろうが。
まあ、何にしても後先を考えずに俺が血液を与えたことが最大の原因だ。
俺のせいだ。
「会議は以上だ! じゃあ飲むぞ!」
「「「「「「はーい!」」」」」」
「にゃー」
あ、ロボも連れてかなきゃ。
鷹が雰囲気を変えるために、また頑張って美味いつまみを作ってくれた。
みんなで「幻想空間」で飲んだ。
翌朝、俺たちは7時に出発した。
鷹と六花たちはゆっくり起きて帰ってくれと言ったが、やはり早くに起きて帰って行った。
「飛行」でも良かったのだが、ハマーで向かった。
一江には夕べのうちに事情を話し、月曜日も休むことにしている。
「相変わらずデタラメ人生ですね」
「うるせぇ!」
一江が笑っていた。
亜紀ちゃんが運転し、柳が助手席だ。
鷹が気を遣っておにぎりを大量に作ってくれていた。
六花が唐揚げを揚げてくれた。
滅多にないことだが、やはり気にしていたのだろう。
まあ、今日はゆっくりして欲しい。
「おい、俺は十分喰ったから交代しよう」
「ありがとうございます!」
俺が運転し、亜紀ちゃんと柳が後ろに座った。
おにぎりを頬張って行く。
ロボは大好きなササミで満腹している。
「鷹さんはやっぱり最高ですね!」
「六花さんの唐揚げも美味しいですよ!」
途中でサービスエリアに寄らずに、まっすぐにぶっ飛ばした。
10時前に蓮花の研究所に着いた。
いつものように玄関で蓮花、ミユキ、前鬼、後鬼が出迎えてくれる。
「よう、また迷惑を掛けたなぁ」
「とんでもございません」
「早速見に行くか」
「はい、お願い致します」
敷地を回って、仮囲いの場所へ着いた。
鉄パイプを組んで、防護布を回している。
ミユキが入り口を開ける。
「あなたさまー!」
「なんだ!」
やけに色っぽい声が聞こえた。
本当は酒でも飲むつもりだったのだが、仕方が無い。
「えー。ワニが来ました」
みんな笑いそうな顔をしている。
「ちょっとした事故で死に掛けたので、蓮花研究所で「Ω」「オロチ」、そして俺の血液を200CC打ちました」
もちろんみんな「事故」の事情は分かっている。
六花の「槍雷」だ。
「助かりました」
みんなが笑顔で拍手をする。
特に六花と亜紀ちゃんが抱き合って喜ぶ。
「現在体長38メートル、体重は凡そ50トンになってます」
「「「「「「!」」」」」」
全員が騒ぎ出す。
俺の血液を研究していた双子はもう高速思考で互いと話し合っていた。
「問題が幾つかあります」
「アリちゃんは殺さないで下さい!」
亜紀ちゃんが涙目で訴える。
「そう、ワニをどうするか。殺処分はしないとして、じゃあどこでどうやって世話をするのか」
「ここじゃダメですか?」
「38メートルだと言っただろう!」
「ああ」
亜紀ちゃんをぶん殴りたかった。
「野生に戻すこともあり得るけどなぁ。でも、あんな怪獣を他の連中が放っておくわけもねぇ。飼おうなんて奴はほとんどいねぇから、まず殺されるな」
「アリちゃんは殺さないで下さい!」
「それに、あのガタイでの食事だ。間違いなく生態系が崩れる。誰にも見つからなかったとしても、いずれ餌がいなくなるだろうな」
「アリちゃん!」
いちいちうるせぇ。
ワニは生態系の頂点だ。
あいつが喰われることは絶対に無いので、喰い放題でその周辺がどうなるのか。
「同じ理由で、俺たちが世話するとしても、膨大な餌が必要になる。野生のワニは満腹すると1か月以上食事は不要だと言われているが、あいつがどうなのかは分からん。それに満腹させるには恐らく20トン以上は肉を喰うだろうよ」
「うち以上ですね!」
「当たり前だ!」
肉バカたちでも平均すれば一日10キロだろう。
5年分という感じか。
「まあ、用意出来ないわけではないが、流通を歪める量だな」
「アリちゃんのためですよ!」
「それと、水場も必要だ。少なくとも300メートル角のプールがいるな」
「がんばります!」
「要は、カワイイからペットとして飼うということは出来ないということだ!」
「タカさん!」
亜紀ちゃんが半泣きだ。
「まあ、そうは言ってもだ。またまた俺がやっちまったことだから、じゃあ殺そうということではない」
「ありがとうございます!」
亜紀ちゃんがニコニコする。
六花が流石に責任を感じて暗くなっている。
「言葉を話すそうだ」
「え!」
「だから役に立たないこともないだろう。扱いはどこまで出来るのかはまだ不明だが、俺は出来るだけのことはしてやりたいと思っている」
「タカさん!」
「蓮花の研究所は渡良瀬川にも近い。水を引いてプールくらいはそれほど難しくはないだろう。それに土地は幾らでも調達出来るしな。今所有している山林に高い塀で囲って住まわせることも出来ると思う」
「はい!」
「何にしても、お前らの協力が必要になるだろう。明日俺が行って来るが、何か頼むことになる。よろしくな!」
「私も行きますよ!」
「そうか」
「「私たちも!」」
「私も行きます!」
子どもたちが全員名乗り出た。
まあ、現物を観ることも必要だろう。
「六花と鷹はこっちにいてくれな」
「トラ、私も行きます」
「六花は別に責任を感じる必要はないぞ。あの状況ならしょうがない。まあ、本気でやってくれれば良かったかもな」
「タカさん!」
「冗談だよ!」
でも、完全に殺していれば面倒は無かったのは本当だ。
可愛そうなことをしたと悲しんだだろうが。
まあ、何にしても後先を考えずに俺が血液を与えたことが最大の原因だ。
俺のせいだ。
「会議は以上だ! じゃあ飲むぞ!」
「「「「「「はーい!」」」」」」
「にゃー」
あ、ロボも連れてかなきゃ。
鷹が雰囲気を変えるために、また頑張って美味いつまみを作ってくれた。
みんなで「幻想空間」で飲んだ。
翌朝、俺たちは7時に出発した。
鷹と六花たちはゆっくり起きて帰ってくれと言ったが、やはり早くに起きて帰って行った。
「飛行」でも良かったのだが、ハマーで向かった。
一江には夕べのうちに事情を話し、月曜日も休むことにしている。
「相変わらずデタラメ人生ですね」
「うるせぇ!」
一江が笑っていた。
亜紀ちゃんが運転し、柳が助手席だ。
鷹が気を遣っておにぎりを大量に作ってくれていた。
六花が唐揚げを揚げてくれた。
滅多にないことだが、やはり気にしていたのだろう。
まあ、今日はゆっくりして欲しい。
「おい、俺は十分喰ったから交代しよう」
「ありがとうございます!」
俺が運転し、亜紀ちゃんと柳が後ろに座った。
おにぎりを頬張って行く。
ロボは大好きなササミで満腹している。
「鷹さんはやっぱり最高ですね!」
「六花さんの唐揚げも美味しいですよ!」
途中でサービスエリアに寄らずに、まっすぐにぶっ飛ばした。
10時前に蓮花の研究所に着いた。
いつものように玄関で蓮花、ミユキ、前鬼、後鬼が出迎えてくれる。
「よう、また迷惑を掛けたなぁ」
「とんでもございません」
「早速見に行くか」
「はい、お願い致します」
敷地を回って、仮囲いの場所へ着いた。
鉄パイプを組んで、防護布を回している。
ミユキが入り口を開ける。
「あなたさまー!」
「なんだ!」
やけに色っぽい声が聞こえた。
1
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。
アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。
いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。
だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・
「いつわたしが婚約破棄すると言った?」
私に飽きたんじゃなかったんですか!?
……………………………
たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない
たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。
何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる