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KYOKO DREAMIN XⅧ 大院長出撃
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「モンゴル・ウランバートルでの避難移民輸送中に、「業」の軍勢の襲撃!」
「「虎」が出撃しました!」
幾つもの作戦行動中に発生した異常事態。
「中国が裏切りました! 自国民1億を捧げて「神」を召喚! その他20億の妖魔を感知!」
「なんだと!」
アラスカ最高司令本部。
司令官の一江が叫んだ。
ロシアで「業」の軍勢がロシア全体を支配したことから、各国はその対応に追われた。
アメリカやEU、フィリピンを始め、いち早く「虎」の軍と同盟を結ぶ国が増え、ロシアは国際的に孤立して行った。
しかしそういう国際情勢の中でも「業」に靡く国や組織も多く、世界各地で戦争が始まった。
中国はロシアとの接近を幾度も繰り返した末、やっと昨年に「虎」の軍と同盟を結び、ロシアと国境を接するモンゴル国の避難移民の輸送に協力する作戦が今回展開された。
中国側から輸送車両が送られて、避難移民を中国の基地へ移動する。
そこからアラスカへ順次輸送していく作戦であった。
その護衛任務に「クリムゾン・リッカ」が派遣された。
だが、中国側の裏切りにより、輸送車両は届かないばかりか、自国の民衆を「業」に明け渡して「神」と妖魔の召喚のための犠牲にしたのだった。
怒りまくる一江を大森が宥めようとしていた。
「あれほどの友好条約を中国は破ったのか!」
「そうです! 相当計画的に動かなければ、このタイミングで「神」の召喚はあり得ません!」
「どうやら中央に「業」の手が侵食していたようだな。落ち着け、一江」
「ちきしょう!」
「虎」の軍が「業」の《ハイヴ》と呼ばれるジェヴォーダンやバイオノイドの生産基地を叩くようになり、「業」の軍勢は一気に攻勢に出て来た。
そのため、「虎」の軍はロシアに国境を接する地域に軍事施設を建設し、また住民を避難させる活動を優先していた。
いよいよロシアを囲い込み、決戦の時が迫っている。
しかし「業」の軍勢もそれを阻むために激しい反撃を開始し、多くの戦場で「虎」の軍と交戦している。
「ウランバートルは「クリムゾン・リッカ」たちだな!」
「はい! しかし妖魔はともかく、「神」に対抗出来るのは「虎」だけです!」
「分かってる! 他の最高幹部たちも作戦行動中か!」
栞と士王はポーランドのハイヴを、亜紀は南米チリのハイヴ、ルーとハーはアゼルバイジャンのバクー市の基地防衛で、現在道間麗星と共に「業」の《百鬼夜行》軍と交戦中。
鷹と柳はアフリカ各地の戦線を飛び交いながら維持している。
「ウランバートルに出現した「神」は中級神27柱!」
「なんだそれは!」
これまでで最も多い出現だった。
「解析データ再確認! 間違いありません!」
「その数は「虎」だって厳しいだろう!」
「一江、応援は出せないのか?」
「無理だ! 「神」、しかも中級神なんて、亜紀ちゃんだって無理なんだよ!」
「道間皇王はどうなんだ?」
「麗星さんに聞いてみる!」
作戦行動中のために、麗星と連絡が付くか怪しかった。
道間皇王・天狼の戦闘能力は未知数だったが、以前に中国大陸に終結した30億近い妖魔を一蹴したことから、相当な実力者と分かっている。
しかし、その出撃は道間麗星の許可が無ければならなかった。
「「クリムゾン・リッカ」から入電! 「神」の一柱が移送隊を襲撃! 庇った「虎」が負傷した模様!」
「!」
「リッカからメッセージ! 「クリムゾン・リッカ」は「虎」の支援に全戦力を集中すると!」
「待て!」
一江は迷っていた。
石神のために、六花たちは全力で戦うだろう。
「神」を降すことは出来ないが、それでも確実な援護にはなる。
だがその場合、避難移民をガードする人間がいなくなる。
「もっと多くの兵士を派遣すれば良かった……」
その間にもアラスカから殲滅戦装備のデュールゲリエが出撃し、今も兵士の輸送を手配している。
一江の指示がなくとも、最高指令室のメンバーは優秀だ。
「セイントから入電! モザンビークでの作戦終了! アラスカへ帰投するとのことです!」
「すぐにセイントに繋げ!」
「はい!」
すぐに一江はヘッドセットを装着し、聖と交信した。
「「虎」がウランバートルで負傷してます! 現在中級神27柱と交戦中!」
「すぐに行くぞ!」
「「タイガーファング」を送ります! そちらの人員は2000で宜しいですね!」
「おう! 急げ! 俺は先に飛ぶからな!」
「お願いします!」
大森が一江の肩を抱いた。
「いい流れだな」
「ああ!」
聖は「虎」に次いで強力な対妖魔戦の技を持っていた。
しかしそれは「虎」の軍の最高機密となっており、実際にディアブロ・アキとデスキング・シオウが「虎」を除く最強とほとんどの人間が信じていた。
そのため聖は大規模な会戦規模の戦闘には出撃せず、ハイヴ攻略などの重要な戦闘にも赴いたことはない。
「一部が「花岡」を使える傭兵団」という認識であり、彼らは「カサンドラ」を使っての戦闘で全戦全勝だ。
聖の副官のスージーがまた抜群の偽装工作をしている。
「虎」の軍の必殺の隠しカードだった。
「ああ、「虎病院」へ連絡! 「虎」が負傷しているとのことで、専用のベッドと治療の準備をしておくように。他にも負傷者が予想されると伝えろ!」
「はい!」
一江と大森は、アラスカから輸送タイプの大型「タイガーファング」の準備を進め、モザンビークで「セイントPMC」の兵士を回収の後、ウランバートルの避難移民の輸送をする作戦を検討した。
そこへ、思わぬ人物から連絡が来た。
「「虎」が出撃しました!」
幾つもの作戦行動中に発生した異常事態。
「中国が裏切りました! 自国民1億を捧げて「神」を召喚! その他20億の妖魔を感知!」
「なんだと!」
アラスカ最高司令本部。
司令官の一江が叫んだ。
ロシアで「業」の軍勢がロシア全体を支配したことから、各国はその対応に追われた。
アメリカやEU、フィリピンを始め、いち早く「虎」の軍と同盟を結ぶ国が増え、ロシアは国際的に孤立して行った。
しかしそういう国際情勢の中でも「業」に靡く国や組織も多く、世界各地で戦争が始まった。
中国はロシアとの接近を幾度も繰り返した末、やっと昨年に「虎」の軍と同盟を結び、ロシアと国境を接するモンゴル国の避難移民の輸送に協力する作戦が今回展開された。
中国側から輸送車両が送られて、避難移民を中国の基地へ移動する。
そこからアラスカへ順次輸送していく作戦であった。
その護衛任務に「クリムゾン・リッカ」が派遣された。
だが、中国側の裏切りにより、輸送車両は届かないばかりか、自国の民衆を「業」に明け渡して「神」と妖魔の召喚のための犠牲にしたのだった。
怒りまくる一江を大森が宥めようとしていた。
「あれほどの友好条約を中国は破ったのか!」
「そうです! 相当計画的に動かなければ、このタイミングで「神」の召喚はあり得ません!」
「どうやら中央に「業」の手が侵食していたようだな。落ち着け、一江」
「ちきしょう!」
「虎」の軍が「業」の《ハイヴ》と呼ばれるジェヴォーダンやバイオノイドの生産基地を叩くようになり、「業」の軍勢は一気に攻勢に出て来た。
そのため、「虎」の軍はロシアに国境を接する地域に軍事施設を建設し、また住民を避難させる活動を優先していた。
いよいよロシアを囲い込み、決戦の時が迫っている。
しかし「業」の軍勢もそれを阻むために激しい反撃を開始し、多くの戦場で「虎」の軍と交戦している。
「ウランバートルは「クリムゾン・リッカ」たちだな!」
「はい! しかし妖魔はともかく、「神」に対抗出来るのは「虎」だけです!」
「分かってる! 他の最高幹部たちも作戦行動中か!」
栞と士王はポーランドのハイヴを、亜紀は南米チリのハイヴ、ルーとハーはアゼルバイジャンのバクー市の基地防衛で、現在道間麗星と共に「業」の《百鬼夜行》軍と交戦中。
鷹と柳はアフリカ各地の戦線を飛び交いながら維持している。
「ウランバートルに出現した「神」は中級神27柱!」
「なんだそれは!」
これまでで最も多い出現だった。
「解析データ再確認! 間違いありません!」
「その数は「虎」だって厳しいだろう!」
「一江、応援は出せないのか?」
「無理だ! 「神」、しかも中級神なんて、亜紀ちゃんだって無理なんだよ!」
「道間皇王はどうなんだ?」
「麗星さんに聞いてみる!」
作戦行動中のために、麗星と連絡が付くか怪しかった。
道間皇王・天狼の戦闘能力は未知数だったが、以前に中国大陸に終結した30億近い妖魔を一蹴したことから、相当な実力者と分かっている。
しかし、その出撃は道間麗星の許可が無ければならなかった。
「「クリムゾン・リッカ」から入電! 「神」の一柱が移送隊を襲撃! 庇った「虎」が負傷した模様!」
「!」
「リッカからメッセージ! 「クリムゾン・リッカ」は「虎」の支援に全戦力を集中すると!」
「待て!」
一江は迷っていた。
石神のために、六花たちは全力で戦うだろう。
「神」を降すことは出来ないが、それでも確実な援護にはなる。
だがその場合、避難移民をガードする人間がいなくなる。
「もっと多くの兵士を派遣すれば良かった……」
その間にもアラスカから殲滅戦装備のデュールゲリエが出撃し、今も兵士の輸送を手配している。
一江の指示がなくとも、最高指令室のメンバーは優秀だ。
「セイントから入電! モザンビークでの作戦終了! アラスカへ帰投するとのことです!」
「すぐにセイントに繋げ!」
「はい!」
すぐに一江はヘッドセットを装着し、聖と交信した。
「「虎」がウランバートルで負傷してます! 現在中級神27柱と交戦中!」
「すぐに行くぞ!」
「「タイガーファング」を送ります! そちらの人員は2000で宜しいですね!」
「おう! 急げ! 俺は先に飛ぶからな!」
「お願いします!」
大森が一江の肩を抱いた。
「いい流れだな」
「ああ!」
聖は「虎」に次いで強力な対妖魔戦の技を持っていた。
しかしそれは「虎」の軍の最高機密となっており、実際にディアブロ・アキとデスキング・シオウが「虎」を除く最強とほとんどの人間が信じていた。
そのため聖は大規模な会戦規模の戦闘には出撃せず、ハイヴ攻略などの重要な戦闘にも赴いたことはない。
「一部が「花岡」を使える傭兵団」という認識であり、彼らは「カサンドラ」を使っての戦闘で全戦全勝だ。
聖の副官のスージーがまた抜群の偽装工作をしている。
「虎」の軍の必殺の隠しカードだった。
「ああ、「虎病院」へ連絡! 「虎」が負傷しているとのことで、専用のベッドと治療の準備をしておくように。他にも負傷者が予想されると伝えろ!」
「はい!」
一江と大森は、アラスカから輸送タイプの大型「タイガーファング」の準備を進め、モザンビークで「セイントPMC」の兵士を回収の後、ウランバートルの避難移民の輸送をする作戦を検討した。
そこへ、思わぬ人物から連絡が来た。
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