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ネコの国星
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「にゃー」(久し振りに、あそこへ顔を出して置くかなー)
ロボ集会の後で、なんとなく思い出した。
ふよふよ……スン!
数百万光年を跳んだ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「おい、ロボを知らないか?」
「え、さっき外へ出たんですけどー」
「ああ、今日は新月か」
「はい?」
「なんでもねぇ。ちょっと今日は遅くなるかもなー」
「私、起きてますよ」
「いいよ、亜紀ちゃん。俺が飲みながら待ってるよ」
「あ! じゃあ私も!」
俺は笑って亜紀ちゃんと一緒に風呂に入り、俺の部屋のベランダで暖房器具を揃えて二人で毛布にくるまった。
「あったかいですね!」
「そうだな!」
薩摩焼酎のお湯割りを一緒に飲む。
つまみはアツアツのおでんだ。
コンロと鍋も出している。
「ロボ、どこ行ったんですかねー」
「まあ、あいつにも付き合いとかあるんだろうよ」
「えぇー! アハハハハハハ!」
ゆっくりと飲んだ。
12月の新月の日だ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「にゃー!」(あぁ! ネコ神様ぁ!)
地上に降りると、一斉にネコたちが私を見つけて集まって来た。
この星を支配している連中だ。
ずっと前に見つけてから、時々来ている。
気のいい連中だから、気に入っている。
いつも、この草原には大勢のネコたちがいる。
しかし、今日は少し少ない感じがした。
「にゃ」(みんな元気?)
声を掛けると、ちょっと沈んだ。
悲しそうにうつむいている。
「にゃ?」(どうしたの?)
「にゃうー」(実はネコ神様。1年前からとんでもない奴が現われまして)
「にゃにゅー?」(なんだ、それ?)
みんなが口々に話し出した。
桁違いに強い奴が現われ、次々に他のネコを殺して回っているらしい。
「ニャニャー!」(「ハニャオカ」の戦士も手が出ないんです!)
「にゃーにゃー」(「ニャセンカ」が効きません!)
「ニャーニャー」(「ニャシンカ」を使える上級者もダメでした!)
「にゃにゃ!」(もう何百もの仲間が!)
「ニャー!」(にゃんだとー!)
驚いた。
こいつらは、ネコにしてはそこそこ強いはずだった。
これまで「イヌ大陸」から来た軍勢も、「ハニャオカ」の闘技でいつも撃退していた。
「ハニャオカ」の戦士は一騎当千。
ネコパンチやネコキックを長年の間に磨き上げた、究極の技を持っていたのだ。
それがどうして。
「にゃー!」(どんな奴なんだ!)
「にゃーにゃ!」(「ニャルマ」って奴です!」
「……」(なんか知ってる)
「にゃにゃ!」(名門「ハニャオカ」家の者だったんですが、「ニャオリ」様の弟だったんです」
「にゃー」(だよねー)
「にゃうにゃう!」(子どもの頃から悪い奴だったんですが、家から追い出したらとんでもない魔王になりやがって!)
「にゃー」(うん、やっぱ知ってるっぽい)
「にゃにゃ!」(こうなったら、玉砕覚悟で全員でやろうかと!)
「にゃー」(それはどうかなー)
みんな痩せ細っていた。
「ニャルマ」のせいで、獲物が獲れなくなっているらしい。
ウッシーを狩ってみんなでガンガン食べていたのだが、最近ではウッシーが魔物化しているようだ。
それも「ニャルマ」の力らしい。
「にゃ!」(よし! まずはマッグロを獲って来よう!)
「ニャニャー!」(ほんとですか!)
「にゃにゅにゃにゅ!」(自分ら、海には入れないっすから!)
「にゃん!」(ちょっと待っててね!」
海へ行ってマッグロの群れを見つけた。
ぱんぱんぱんぱん……
爪で引っ掻けて草原まで投げて行く。
数十頭のマッグロが丘に上がった。
「ニャンニャン!」(ネコ神様! ありがとうございます!)
「にゃんにゃん!」(マッグロなんて本当に久しぶりだ!)
みんなが群がって食べ始めた。
相当飢えていたらしい。
爪で切り分けて、食べやすくしてやった。
またお礼を言われた。
一緒に食べる。
くちくち
みんな満腹して、しばらく寝た。
こいつらはいつも満足すると寝る。
とりあえず、一緒に寝た。
すやすや
怪しい気配がして目が覚めた。
みんな半分寝ている。
「……」
「にゃん!」(ネコ神様! 「ニャルマ」が来ましたよ!)
起きている奴の一人が言った。
「ニャウマ」家の者らしい。
ニャウセイと名乗った。
気配感知が得意な家系だ。
「ニャ!」(まかせて!)
バリバリバリバリ……ばーん
「にゃんにゃんにゃんにゃん!」(「ニャルマ」が死んだ! やったぁー!)
みんなが喜んだ。
ウッシーたちも元に戻った。
みんなが狩って、大宴会になった。
ジルバを踊った。
「にゃー」(じゃあ、そろそろ帰ろうかな)
「にゃん!」(ネコ神様! ありがとうございました!)
「にゃ」(いいよー)
「ハニャオカ」家のニャオリが前に出て来た。
「にゃー」(あのう、こんなことをネコ神様にお願いするのは恐縮なのですが)
「にゃ?」(なーにー?)
「にゃうん」(今後もこのようなことになるかもと不安で。何か方法は無いものでしょうか?)
「にゃん!」(分かったよ)
シャキン……ぽき
「にゃん!」(ネコ神様! それは!)
爪を一本出して折った。
「にゃ」(これを使えばいいよ)
「にゃんにゃん!」(これは! まさか伝説の「猫王(にゃおう)」では!)
「……」
「にゃにゃう!」(まさかあの伝説の爪を頂けるとは!)
ニャオリが早速爪を装着した。
「にゃー!」(ああ! 出来る! ネコ神様の力がぁ!)
ばーん
「にゃにゃん!」(これでもう、何が来ても大丈夫ですわ!)
「にゃ!」(良かったね!)
いい加減、帰ろ。
ふよふよ……スン
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「あー! ロボ、帰って来ましたよ!」
「よし! 迎えに行ってやるか!」
楽しく長いこと飲んでいたので、亜紀ちゃんの足が少々よろける。
亜紀ちゃんと笑いながらウッドデッキに行った。
「ロボー!」
「おう、今日は随分と遅かったな」
「にゃー」(ごめんなさい)
俺が足を拭いてやり、中へ入れた。
身体が冷え切っている。
全身を撫でてやった。
「おい、随分と冷えてるじゃないか」
「にゃー」(タカトラー! あったかいよー)
「ちょっと温めた日本酒でも飲むか!」
「にゃ!」(さいこう!)
亜紀ちゃんがまた笑いながら温めの熱燗を作った。
ベランダのものを亜紀ちゃんが片付けて来て、ちょっとリヴィングでまた飲んだ。
「じゃあ、そろそろ寝るか」
「タカさん! 一緒に寝ていいですか!」
「ああ、ロボをあっためてやろう」
「はい!」
ロボが俺と亜紀ちゃんに挟まれて幸せそうにゴロゴロと喉を鳴らした。
三人でスヤスヤ寝た。
ロボ集会の後で、なんとなく思い出した。
ふよふよ……スン!
数百万光年を跳んだ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「おい、ロボを知らないか?」
「え、さっき外へ出たんですけどー」
「ああ、今日は新月か」
「はい?」
「なんでもねぇ。ちょっと今日は遅くなるかもなー」
「私、起きてますよ」
「いいよ、亜紀ちゃん。俺が飲みながら待ってるよ」
「あ! じゃあ私も!」
俺は笑って亜紀ちゃんと一緒に風呂に入り、俺の部屋のベランダで暖房器具を揃えて二人で毛布にくるまった。
「あったかいですね!」
「そうだな!」
薩摩焼酎のお湯割りを一緒に飲む。
つまみはアツアツのおでんだ。
コンロと鍋も出している。
「ロボ、どこ行ったんですかねー」
「まあ、あいつにも付き合いとかあるんだろうよ」
「えぇー! アハハハハハハ!」
ゆっくりと飲んだ。
12月の新月の日だ。
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「にゃー!」(あぁ! ネコ神様ぁ!)
地上に降りると、一斉にネコたちが私を見つけて集まって来た。
この星を支配している連中だ。
ずっと前に見つけてから、時々来ている。
気のいい連中だから、気に入っている。
いつも、この草原には大勢のネコたちがいる。
しかし、今日は少し少ない感じがした。
「にゃ」(みんな元気?)
声を掛けると、ちょっと沈んだ。
悲しそうにうつむいている。
「にゃ?」(どうしたの?)
「にゃうー」(実はネコ神様。1年前からとんでもない奴が現われまして)
「にゃにゅー?」(なんだ、それ?)
みんなが口々に話し出した。
桁違いに強い奴が現われ、次々に他のネコを殺して回っているらしい。
「ニャニャー!」(「ハニャオカ」の戦士も手が出ないんです!)
「にゃーにゃー」(「ニャセンカ」が効きません!)
「ニャーニャー」(「ニャシンカ」を使える上級者もダメでした!)
「にゃにゃ!」(もう何百もの仲間が!)
「ニャー!」(にゃんだとー!)
驚いた。
こいつらは、ネコにしてはそこそこ強いはずだった。
これまで「イヌ大陸」から来た軍勢も、「ハニャオカ」の闘技でいつも撃退していた。
「ハニャオカ」の戦士は一騎当千。
ネコパンチやネコキックを長年の間に磨き上げた、究極の技を持っていたのだ。
それがどうして。
「にゃー!」(どんな奴なんだ!)
「にゃーにゃ!」(「ニャルマ」って奴です!」
「……」(なんか知ってる)
「にゃにゃ!」(名門「ハニャオカ」家の者だったんですが、「ニャオリ」様の弟だったんです」
「にゃー」(だよねー)
「にゃうにゃう!」(子どもの頃から悪い奴だったんですが、家から追い出したらとんでもない魔王になりやがって!)
「にゃー」(うん、やっぱ知ってるっぽい)
「にゃにゃ!」(こうなったら、玉砕覚悟で全員でやろうかと!)
「にゃー」(それはどうかなー)
みんな痩せ細っていた。
「ニャルマ」のせいで、獲物が獲れなくなっているらしい。
ウッシーを狩ってみんなでガンガン食べていたのだが、最近ではウッシーが魔物化しているようだ。
それも「ニャルマ」の力らしい。
「にゃ!」(よし! まずはマッグロを獲って来よう!)
「ニャニャー!」(ほんとですか!)
「にゃにゅにゃにゅ!」(自分ら、海には入れないっすから!)
「にゃん!」(ちょっと待っててね!」
海へ行ってマッグロの群れを見つけた。
ぱんぱんぱんぱん……
爪で引っ掻けて草原まで投げて行く。
数十頭のマッグロが丘に上がった。
「ニャンニャン!」(ネコ神様! ありがとうございます!)
「にゃんにゃん!」(マッグロなんて本当に久しぶりだ!)
みんなが群がって食べ始めた。
相当飢えていたらしい。
爪で切り分けて、食べやすくしてやった。
またお礼を言われた。
一緒に食べる。
くちくち
みんな満腹して、しばらく寝た。
こいつらはいつも満足すると寝る。
とりあえず、一緒に寝た。
すやすや
怪しい気配がして目が覚めた。
みんな半分寝ている。
「……」
「にゃん!」(ネコ神様! 「ニャルマ」が来ましたよ!)
起きている奴の一人が言った。
「ニャウマ」家の者らしい。
ニャウセイと名乗った。
気配感知が得意な家系だ。
「ニャ!」(まかせて!)
バリバリバリバリ……ばーん
「にゃんにゃんにゃんにゃん!」(「ニャルマ」が死んだ! やったぁー!)
みんなが喜んだ。
ウッシーたちも元に戻った。
みんなが狩って、大宴会になった。
ジルバを踊った。
「にゃー」(じゃあ、そろそろ帰ろうかな)
「にゃん!」(ネコ神様! ありがとうございました!)
「にゃ」(いいよー)
「ハニャオカ」家のニャオリが前に出て来た。
「にゃー」(あのう、こんなことをネコ神様にお願いするのは恐縮なのですが)
「にゃ?」(なーにー?)
「にゃうん」(今後もこのようなことになるかもと不安で。何か方法は無いものでしょうか?)
「にゃん!」(分かったよ)
シャキン……ぽき
「にゃん!」(ネコ神様! それは!)
爪を一本出して折った。
「にゃ」(これを使えばいいよ)
「にゃんにゃん!」(これは! まさか伝説の「猫王(にゃおう)」では!)
「……」
「にゃにゃう!」(まさかあの伝説の爪を頂けるとは!)
ニャオリが早速爪を装着した。
「にゃー!」(ああ! 出来る! ネコ神様の力がぁ!)
ばーん
「にゃにゃん!」(これでもう、何が来ても大丈夫ですわ!)
「にゃ!」(良かったね!)
いい加減、帰ろ。
ふよふよ……スン
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「あー! ロボ、帰って来ましたよ!」
「よし! 迎えに行ってやるか!」
楽しく長いこと飲んでいたので、亜紀ちゃんの足が少々よろける。
亜紀ちゃんと笑いながらウッドデッキに行った。
「ロボー!」
「おう、今日は随分と遅かったな」
「にゃー」(ごめんなさい)
俺が足を拭いてやり、中へ入れた。
身体が冷え切っている。
全身を撫でてやった。
「おい、随分と冷えてるじゃないか」
「にゃー」(タカトラー! あったかいよー)
「ちょっと温めた日本酒でも飲むか!」
「にゃ!」(さいこう!)
亜紀ちゃんがまた笑いながら温めの熱燗を作った。
ベランダのものを亜紀ちゃんが片付けて来て、ちょっとリヴィングでまた飲んだ。
「じゃあ、そろそろ寝るか」
「タカさん! 一緒に寝ていいですか!」
「ああ、ロボをあっためてやろう」
「はい!」
ロボが俺と亜紀ちゃんに挟まれて幸せそうにゴロゴロと喉を鳴らした。
三人でスヤスヤ寝た。
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