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「銀河宮殿」でお食事

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 12月26日の午後5時。
 ロボと士王と吹雪は早乙女家に預かってもらう。

 俺たちは新宿の「銀河宮殿」に着いた。
 俺が千万組に言って、特別な駐車場を手配させた。
 リムジンで行ったからだ。
 それでも乗り切れないので、亜紀ちゃんがハマーを運転した。
 俺たちが店に行くと大歓迎された。
 塩野社長まで来ている。
 
 「石神はん!」
 「お久しぶりです。いらしてたんですね?」
 「そりゃーもう! 石神はんたちとまた御堂総理までいらっしゃると聞いて」
 「そんな、わざわざ」

 塩野社長は嬉しそうに笑っていた。

 「おい、お前ら! 今日は新記録を作れ!」
 「「「「「はい!」」」」」

 子どもたちに命じると、塩野社長が爆笑していた。

 「いいお肉をぎょうさん用意しまいたから!」
 「ワハハハハハハハ!」

 大変だ。

 御堂がちょっと遅れて入って来た。
 塩野社長自ら席に案内してくれた。
 俺たちのために特別に用意されたようで、6台のテーブルが繋がっている。
 普通の平テーブルと、客用の4人掛けのテーブルが3台続き、間に平テーブルを挟んで6人掛けのテーブルと平テーブル。
 店の方でちゃんと分かっていて、普通の人間用と獣用を仕切って下さっている。
 平テーブルは、俺たちの大量注文の置き場だ。
 獣用は両側に肉皿が置かれるようになっている。

 俺の隣に御堂と響子が座り、六花、鷹。
 向かいに栞と一江、大森と桜花、椿姫、睡蓮。
 獣テーブルに亜紀ちゃんたちが適当に座る。

 どんどん肉が運ばれて、みんなで楽しく焼いた。
 桜花たちが焼肉は初めてだと言うので、俺が最初の肉を焼いてやった。

 「美味しい!」

 桜花たちが喜んでいた。
 栞も久しぶりの焼肉を楽しんでいる。
 一江たちとも嬉しそうに話していた。

 「御堂、あの四谷の地下は参ったぜ」

 俺は知らない人間も多いので、四谷の地下の亡霊退治の話をした。

 「御堂に頼まれてさ、旧日本帝国陸軍の亡霊を退治に行ったんだよ」
 「エェー!」

 栞たちが驚く。
 一江と大森は概略は知っている。

 「子どもたちを巻き込んでさ。何をするのか話さないで連れ込んだんだ」
 「いつもながらに、あなたって酷いよね」
 「しょうがねぇだろう! 俺だって怖かったんだよ!」

 御堂が大笑いしている。

 「でも、こいつの頼み事だからなぁ、引き受けるしかねぇ」
 「悪かったね」
 
 俺は美味いステーキを食わせて子どもたちを一緒に連れて来たと話した。

 「最初はライカンスロープ的なものが出るかもってな」
 「何よ、その「的」っていうのは!」
 「だって、ウソを吐きたくないじゃん」
 「ウソじゃないの!」

 栞が言い、みんなが笑った。

 「何も知らないハーをポイントマンにしてさ。俺コワイから真ん中を進んで」
 「ほんと酷いよね!」
 「亡霊が出るって部屋に入ったら、全部のライトが消えちゃってな。慌ててヘッドライトを点けたら、亡霊がびっしり」
 「!」

 全員が黙り込む。

 「ルーとハーが速攻で気絶しやがってよ! まったく役立たねぇ」
 「あなた……」

 「まあ、なんとか「虎王」で斬って行ってさ、亜紀ちゃんが双子を引っぱたいて起こして、あとは全員で「オロチストライク」な。30分くらいで片付けた」
 「大変だったな、石神」
 「お前のせいだぁー!」

 みんなが笑った。

 「でもさ、壁が崩れて扉が見えたんだよ。向こう側にでかい部屋がまたあって。白骨だらけなの」
 「じゃあ、その人たちの?」
 「多分な。遺書とかあってさ、みんな故郷の家族とか奥さんや子どものことが綴られていてな。ちょっと俺たちもへこんだ」
 「そうだったんだ……」
 
 栞たちが黙り込んだ。

 「俺ら、散々楽しんでぶっ殺したからなー」
 「ちょ、ちょっと!」
 「ワハハハハハハハ!」

 みんな退いた。

 「しょうがねぇだろう! ほんとに怖かったんだよ!」
 
 御堂が笑いながら「まあまあ」と言った。

 「石神からね、あの人たちの供養を頼まれたんだ。もちろん丁寧に御供養したよ」
 「流石は御堂くんね!」
 「おい! 俺は!」

 みんなが笑った。

 「気になって、後から麗星に聞いたんだよ。そうしたらさ、「オロチストライク」は霊を成仏させる作用があるんだってさ!」
 「そうなんだ、良かった!」
 「でもさ、「虎王」は強力過ぎて、どこまで飛ばされるのか分かんないんだって」
 「……」

 「俺、半分以上「虎王」でやっちゃったからなー」
 「あ、あなた……」

 みんながまた退く。

 「あ! でもさ! もしかしたら天国? そういう場所までいったかもじゃん!」
 「あなたって、時々とんでもないよね?」
 「そう?」

 俺は桜花たちにどんどん喰えと言った。

 「初めてなんだから、自分たちでもいろいろ注文して喰えよ」
 「「「はい!」」」

 空気を変えるために桜花たちが栞にどういうものか聞きながら注文した。
 響子が俺をじっと見ている。

 「あんだよ?」
 「タカトラって優しいけど、時々酷いことするよね?」
 「お前に優しけりゃいいじゃん」
 「うーん、そっか」

 響子がニコニコして特上ロースを食べた。
 頭を撫でてやる。

 「本当にアレは僕のせいなんだよ。石神に無理なことを頼んだんだから」
 「御堂くんはそう言うけどさ」
 「実はね、石神に頼む前にも大きな御寺とか神社の人にお願いしたんだ」
 「そうだったの?」

 俺も聴いている。

 「でも全然ダメでね。何人か倒れて入院しちゃうし」
 「そんな場所だったの!」
 「それを聞いても石神は行ってくれたんだ」
 「あなた!」
 
 今度は栞が涙目になる。

 「御堂の頼みだからな! まあ、俺には「虎王」があるし。「虎王」は強力な結界も張るから、亡霊ごときはどうってこともねぇ」
 「亜紀ちゃんたちは?」

 「あ、ああ! あいつらは大丈夫だよ」

 俺は肉を争っている子どもたちを指差した。
 みんなで爆笑した。

 「みんな幽霊とか怖がるけどさ。生きている人間が死んだ人間よりも弱いって決めつけているからな。そんなことはねぇよ」
 「でも、あなたも怖かったんだよね?」
 「まーなー」

 みんなが爆笑した。



 


 「そう言えば、一江と大森もひでぇ目に遭ったよな?」
 「はい、部長のお陰で何とかなりましたけどね」

 「え! なに?」

 俺は笑って話してやった。
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