富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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早乙女家からの帰宅 おけけマル

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 食事が終わり、子どもたちがすぐに片づけを始める。
 余った食材で、鷹と俺で酒のつまみを作った。
 ロボは今日は満腹のようで近寄って来ない。
 雪野さんにくっついて甘えていた。

 亜紀ちゃんに指示して、4階の部屋から大きなテーブルを尖塔に運ばせる。
 俺がこの家の全てを把握しているので、また早乙女たちが驚いていた。

 「第451巻の「一般用具・備品収納」の章にちゃんと書いてある!」
 「「!」」

 また二人が今晩から読み始めようと相談していた。
 亜紀ちゃんと柳でセッティングを始め、他の子どもたちは洗い終わったものやバーベキュー台を一度俺の家に運んだ。
 他の人間たちには、先に尖塔に上がっていてもらう。

 ハマグリの甘辛煮。
 各種刺身。
 寒ブリと大根の煮物。
 それらを主に鷹が作り、俺は他の野菜などでラタトゥイユやサラダを作った。
 後は本当に残り物を焼いただけだ。
 それでも結構な量になった。
 牛肉はもう無かった。





 夜の尖塔の景色に、みんなが感動していた。
 早乙女が照明を暗めにし、真上からテーブルを照らすライトだけ明るくした。
 子どもたちが料理を運んでいる。

 「ここがあの有名な「ザ・オトメン・ポエム」のスタジオだからな!」
 「石神!」

 他の子どもたちが早乙女の詩を褒め称える。
 ずっと続けて欲しいのだ。
 毎週金曜日の爆笑飲み会に絶対必要だからだ。

 「そ、そんなにいいかな?」
 「「「「「はい!」」」」」

 早乙女が喜んでいた。
 これで今後もやってくれるだろう。
 ヤマトテレビで深夜枠の放映も検討している。
 意味がよく分からないキワモノが受けるかもしれない。

 みんなでテーブルを囲んで飲み始めた。
 アラスカの話題になった。

 「あっちは本当に寒いのでしょう?」
 
 雪野さんが聞いた。

 「そうなの。マイナス何十度にもなるんですよ。最初に着いた日はブリザードで、もう本当に驚いて」
 「アハハハハハ!」

 俺が笑うと睨まれた。
 話題を急いで変える。

 「ルーとハーは、時々この辺を全裸で走ってるでしょう?」
 「ああ! 前に見たことがあります!」
 「あっちでもやりたがって。俺は止めたんだけど、自分たちの血が騒ぐってな」

 双子がニコニコ笑っている。

 「大変だったよね!」
 
 栞が言う。

 「いつまでも帰って来ないんで、みんなが探しに行ったんだよ。ヘッジホッグを出た所で、凍えかけてたよな?」
 「「ワハハハハハハ!」」

 「あの、「花岡」で何とかならなかったんですか?」
 「瞬間冷凍だったから。あの日はマイナス40度だったか。基地内は地熱があって、結構温かいんだ。だけど外はそのままだから。まあ、死に掛けたよなぁ」
 
 雪野さんが呆気に取られていた。

 「この人がいなかったの。東雲さんが半泣きでうちに連絡してきて。この人の指示ですぐに私と椿姫がお風呂に入れて、桜花と睡蓮で温かいスープを作って。本当に大変だったんだから!」
 「「ごめんなさーい」」

 「亜紀ちゃんたちは?」

 早乙女が聞いた。

 「皇紀君は防衛システムの点検をしてて、この人と亜紀ちゃんは「ほんとの虎の穴」で飲んでた」
 「「ワハハハハハハハ!」」

 俺と亜紀ちゃんが大笑いする。
 桜花たちが、あれは本当に心配したと言った。

 「まさか外に走りに出るとは思ってなかったからなぁ」
 「なんと言っていいのか分からないよ」
 「俺もだよ!」

 みんなで笑った。

 「でも、二人はどうして裸で走るの?」

 雪野さんが素朴な疑問を抱いている。

 「まー、お祈りかな」
 「タカさんが無事でありますようにって」
 「「え!」」

 早乙女と雪野さんが驚く。

 「そんなことを考えて始めたの!」
 「お祈りはね、自分の身を斬らないとダメなんだよ」
 「自分が恥ずかしいとか辛いって思いをしなきゃならないの」
 「そんな!」

 「だから二人も走ろ?」
 「今度一緒にね?」
 「え、それは、うん」

 俺は笑って止めた。

 「嘘ですよ。こいつらは自分たちが楽しいからやってるだけで。亜紀ちゃんも皇紀も柳もやってないでしょ?」
 「え?」
 「誰に似たのか、嘘が上手くなりやがって」
 「石神のせいだろ?」
 「てめぇ!」

 悪戯の話が出たので、麗星が暴走族「兇徒狐火」を率いていた話をした。

 「あちこちの寺を燃やして回ってね」
 「あなた様!」
 「五平所は心労で倒れるし、道間家は賠償金で傾きかけて」
 「お、おやめください!」
 「だから銀行を襲って。それを叱られてからは、大阪や京都の街金を襲い出したんだよな?」
 「そんなことは!」
 
 麗星は真っ赤な顔になっていた。

 「ま、まあ。若い頃の話ですし」

 みんなが爆笑した。

 「響子の悪戯はカワイイよな」
 「そうですよね!」

 「前にさ、俺の部に忍び込んでコピーで大量の印刷をしてさ」
 「あー! やりましたね!」
 「何をしたんだ?」

 早乙女が聞いた。

 「《私たち、結婚しました!》って。俺と響子が一緒に写ってる写真をさ、病院内の全部の部署とナースセンターに夜中に配ってたんだよ」
 「みんなが「おめでとう」って来ましたよね!」
 「あれは笑ったな」
 
 響子が俺の隣でニコニコしている。

 「私も若かったからね」
 「今もだよ!」

 みんなが笑った。






 10時になり、そろそろ帰ることにした。
 麗星を抱き締めて歩いた。
 全員でテーブルを戻し、残った料理を片付けた。
 みんなでエレベーターで降り、1階のホールで集まった。
 「柱」と「小柱」が俺にまとわりつく。

 早乙女が俺からもらったランプを見て欲しいと言い、灯を消した。
 蝶のランプが幻想的に輝いた。
 みんなでそれを見た。

 家に戻り、すぐに風呂に入った。
 真っ先に響子を入れ、先に寝かせた。

 「今日も楽しかったね」
 「そうだな」

 響子はすぐにロボと眠った。
 俺は最後に入ると言い、風呂から上がった桜花たちを地下室に呼んだ。

 「明日は門土の墓参りに行くんだな?」
 「はい。やっと夢が叶います」
 
 アラスカで門土の話をした時に、桜花たちが日本に来たら墓参りがしたいと言っていた。
 じゃあ俺も一緒に行こうと言ったが、桜花たちが自分たちだけで行きたいと言った。
 俺の手間を考えてだけではなく、自分たちで心行くまで参りたいのだと。

 「場所は伝えた通りだ」
 「はい、午後には戻りますから」
 「分かった、よろしくな」
 「「「はい!」」」

 麗星も呼んだ。

 「慣れない人間ばかりで気苦労だっただろう」
 「いいえ、楽しゅうございました」

 麗星は明日帰る。

 「お陰で、俺の子どもたちが全員揃うことが出来た。ありがとうな」
 「はい、わたくしも同じ思いです」
 
 麗星を抱き締め、キスをした。

 「あなた様をお慕い申し上げております」
 「俺もだ。天狼を頼むな」
 「はい、必ず」

 みんなが風呂に入り、亜紀ちゃんと柳が呼びに来た。

 「タカさん! お風呂があきましたよー!」
 「おう、分かった!」

 地下室から出ると、二人が自分と俺の寝間着と下着を持って待っていた。
 笑って一緒に風呂に向かった。
 双子が脱衣所にまだいた。

 「おお、悪かったな」
 「おっけーだよ!」

 俺と双子の視線が合った。

 「「「!」」」




 《オッケーおけけ! オッケーおけけ! オッケーおけけ!……》




 亜紀ちゃんが爆笑して一緒にやった。
 柳は困った顔をしていた。

 みんなで柳を見る。
 柳が困ってうつむいている。
 みんなで柳を見る。
 いつまでも終わらないので、柳も脱いで一緒に踊る。

 《オッケーおけけ! おけけマル!》

 柳以外の全員で拍手をして楽しく笑い、俺たちは風呂に入った。
 柳がずっと恥ずかしそうにしていた。
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