上 下
1,762 / 2,806

オッパイの星を掴め! Ⅱ

しおりを挟む
 ある夜に亜紀ちゃん、柳、双子と飲んだ。
 双子はアイスミルクだった。
 毎日必死に「オッパイ鍛錬」(柳だけ「オロチストライク」鍛錬)をしていた。

 「オッパイ、ダメだね」
 「やっぱ石神家の血は貧乳なんだよ」
 「お前らはうちの血じゃねぇだろう!」

 思い返すと、美亜さんは普通だったが、山中家の咲子さんは非常に慎ましい。
 澪さんはちょっと大きい。
 菊子さんも普通だ。
 完全に血筋だろう。

 「お母さん、大きかったよね?」
 「そうだよ! 私たちだってあのくらいなきゃおかしいよ!」
 「タカさんのお母さんは?」
 「普通だったな」
 「じゃあ、やっぱおかしいよ!」

 だからうちの血筋は関係ねぇって。

 「だけどよ、咲子さんって……」
 「「「そんな人知らない!」」」

 「おい!」

 散々世話になったくせに。
 まあ、どうでもいい下らないことだ。

 「オッパイなんかどうでもいいじゃねぇか」
 「タカさん! 何言ってんですか!」
 「いくらタカさんだって、言っていいことと悪いことがあるよ!」
 「タカさん、ちょっと見損なったわ」

 「このやろう!」

 柳が呆れていた。

 「私も前のサイズでも良かったかな」
 
 三人が今度は柳を攻める。

 「あー、自分がちょっとばかしおっきくなったものだから、随分余裕ですね」
 「自慢しちゃってるよ、この人」
 「自慢できるほどのオッパイかよ」
 「ちょっと! あなたたち!」

 実に下らない。

 「おい、お前らいい加減にしろよ」
 
 俺が仲裁した。

 「そう言うタカさん。タカさんは今のオチンチンが半分以下になっちゃってもいいんですか?」
 「なに?」
 「ちっちゃチンチンって言われていいですか!」
 「六花さんとか泣きますよ?」

 双子が「ギャハハハハハ」と笑った。

 「やだな」
 「「「そうでしょー!」」」

 それにしても、柳を責める謂れはないことだと言った。
 三人が柳に謝った。
 また翌日からも、仲良く鍛錬に励んだ。




 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■




 「それから毎日オッパイの成長を目指して必死にやったんだよな?」
 「そうですよ!」
 「でも、全然効果無かったんだよな?」
 「そうですよ!」

 「鷹さん、酷かったんですよ! 私の部屋中を探し回って、絶対に何か隠してるんだって」
 「「「ワハハハハハハハ!」」」

 鷹も大笑いしていた。

 「私、ちょっと肌が弱かったから、石神さんにもらったサプリメントがあったんですよ」
 「ああ、ジンクな」
 「それ、「これだぁー」って言われて全部飲まれちゃって」
 「柳が大騒ぎだったよなぁ」
 「そうですよ! 石神さんが私のために買って来てくれたものだったんですから!」
 「「「すいませんでしたー」」」

 鷹がまた笑った。

 「俺が怒って、三人が土下座して謝ってなぁ。翌日にすぐに買いに行かせた」
 「でも、石神さんのだから嬉しかったのに」
 「まったくなぁ」

 亜紀ちゃんと双子が頭を掻いている。

 「結局、遺伝しかねぇってな」
 「でもタカさん! 柳さんは20歳を過ぎてからオッパイが成長したんですよ!」
 「そういうこともあるよ。普段足りなかった栄養素が補われて、とかな。うちはいろいろ喰うからなぁ」
 「じゃあ、私たちも!」

 三人の目が輝く。

 「まあ、肉の喰い過ぎじゃねぇのか?」
 「そんなことあるんですか!」
 「一般の食肉には女性ホルモンと似たものが入っていることが多いからな。肉をピンクに見せる効果とかさ」
 「「「「えぇー!」」」」
 「ホルモンって、ほんの少しの量でとんでもない変化をもたらすから。妊娠すると胸が大きくなるのも、ホルモンの作用だ」
 「「「「オォー!」」」」

 四人が大声で叫ぶ。

 「昆虫なんてもう、とんでもないよな。イモムシ毛虫がさなぎの中でドロドロになっちゃってさ。それで蝶に変態するんだから。物凄いだろ?」
 「そうですよね!」

 「まあ、簡単に言っちゃえば、男性だって女性ホルモンを射てば胸が膨らむのは知ってるだろ?」
 「あぁー! 「薔薇乙女」ですー!」
 「そうだよ。お前らだってそうすれば簡単に大きくなれる。まあ、でも絶対にやるなよな」

 それはみんな分かっている。

 「大体な、親から貰ったものを大事にしない奴は俺は嫌いだ。ユキなんかはああいう生き方だからいいんだけどよ。お前らは大きくなる必要はねぇんだ」
 「でも、タカさんもちっちゃくなったら嫌なんですよね?」
 
 俺は亜紀ちゃんの頭を引っぱたいた。

 「それは俺がこのオチンチンを親からもらったからだぁ!」

 鷹が爆笑していた。

 「まあ、そうですよね。私も決して大きい方じゃないですけど、これが気に入ってます」
 「俺も鷹のオッパイが大好きだしな!」

 みんなが笑った。

 「じゃあ、鍛錬は無駄だったけど、仕方ないですかね」

 俺が笑って言った。

 「それがよ、鷹。無駄じゃなかったんだよ」
 「なんです?」

 「ほら、夏にシベリアからロシアの人たちを大移動しただろう?」
 「はい、大変でしたよね?」
 「そうだ。2億6千万もの妖魔が来たからな」
 「はい。あの後石神先生が倒れて随分心配しました」
 「まあ、そっちはな。でもな、こいつらが一生懸命に「オロチストライク」を鍛錬したお陰で、随分と助かったんだよ」
 「ああ! なるほど!」

 鷹も笑った。

 「みんな技は使えたけど、あの鍛錬が無ければ高速で撃てなかったからなぁ。実に下らないことだったけど、あのお陰でみんな熟練者になったからな」
 「「「ワハハハハハハハ!」」」

 亜紀ちゃんと双子が無邪気に大笑いする。

 「まあ、柳もご苦労さん」
 「なんか、まだ納得できないんですけどぉー!」

 みんなで笑った。

 「まあ、私たちはまだ中一だしね!」
 「伸びしろはあるもんね!」
 「なによ、あんたたちー!」

 三人でじゃれる。
 亜紀ちゃんの方が双子よりちょっと大きい。
 まあ、亜紀ちゃんの中学の頃と一緒だ。
 先は見えている。

 「栞とかいたら出来ない話だったな!」
 「六花ちゃんも麗星さんもおっきいしね!」
 「静子さんもな!」
 「「「「「「アハハハハハハハハ!」」」」」」

 みんなで爆笑した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

まさか、、お兄ちゃんが私の主治医なんて、、

ならくま。くん
キャラ文芸
おはこんばんにちは!どうも!私は女子中学生の泪川沙織(るいかわさおり)です!私こんなに元気そうに見えるけど実は貧血や喘息、、いっぱい持ってるんだ、、まあ私の主治医はさすがに知人だと思わなかったんだけどそしたら血のつながっていないお兄ちゃんだったんだ、、流石にちょっとこれはおかしいよね!?でもお兄ちゃんが医者なことは事実だし、、 私のおにいちゃんは↓ 泪川亮(るいかわりょう)お兄ちゃん、イケメンだし高身長だしもう何もかも完璧って感じなの!お兄ちゃんとは一緒に住んでるんだけどなんでもてきぱきこなすんだよね、、そんな二人の日常をお送りします!

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

イケメン歯科医の日常

moa
キャラ文芸
堺 大雅(さかい たいが)28歳。 親の医院、堺歯科医院で歯科医として働いている。 イケメンで笑顔が素敵な歯科医として近所では有名。 しかし彼には裏の顔が… 歯科医のリアルな日常を超短編小説で書いてみました。 ※治療の描写や痛い描写もあるので苦手な方はご遠慮頂きますようよろしくお願いします。

処理中です...