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記念写真
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中庭は皇紀が中心となってライトや椅子などを用意していた。
あらかじめ俺の指示で準備していた。
俺が全員を連れて行くと、椅子が9脚並んでいる。
院長夫妻を中心に、右の院長側に士王を抱いた栞、吹雪を抱いた六花、鷹。
左の静子さん側にロボを抱いた俺、天狼を抱いた麗星、早乙女夫婦。
後ろに子どもたち5人と桜花たち3人が並ぶ。
院長が俺を真ん中にしようとしたが、お二人に座って頂いた。
「石神、これで3人の子どもたちが全員揃ったんだな」
「はい。感無量ですよ。まさかこんな俺にこういう日が来るとはね」
「石神さん、ニジンスキーたちもいれば良かったですね」
また柳が空気を読まない発言をする。
「お、おう」
まったく無理なことを言いやがる。
「あ! タカさん!」
亜紀ちゃんが叫んだ。
「あんだよ!」
「野薔薇ちゃん!」
「!」
鬼娘が乗っかって余計なことを言いやがった。
まずはこのまま撮らせた。
念のために3枚撮る。
「タヌ吉! 野薔薇!」
庭を回って嬉しそうにタヌ吉と野薔薇が来た。
院長夫妻が驚いている。
「おい! 石神!」
「アハハハハハ!」
「お呼び頂きまして!」
「父上さまー!」
着物姿の美しいタヌ吉と、ゴスロリファッションの可愛らしい野薔薇が笑顔で俺の傍に来た。
俺は子どもたちに椅子をあと2脚用意させた。
早乙女達の隣に並べて置くと、早乙女と雪野さんが内側へ座れと誘導した。
タヌ吉と野薔薇が嬉しそうに礼を言う。
もう3枚撮った。
「ハイファ! いるんだろう! お前も入れ!」
ハイファが来た。
「レイ! お前も一緒だ! 響子、レイはどこだ?」
「タカトラの前に寝そべった」
「おし! ハスハ!」
俺の膝の間に、綺麗なドレス姿の童女が座った。
他の人間には見えないようだ。
写るかどうかは知らん。
俺も自棄になって呼んでみただけだ。
「じゃあ、写真を撮るぞ! 皇紀!」
「はい!」
皇紀がタイマーをセットした。
また3枚撮る。
「タヌ吉、野薔薇、ありがとうな! 引き続き蓮花と風花を頼むな!」
二人は笑ってまた庭を歩いて行った。
「ハイファもハスハも御苦労!」
二人が笑顔で会釈して消えた。
庭の向こうで、タヌ吉と野薔薇の「良かったね」と嬉しそうに話す声が聞こえた。
院長と静子さんが目を丸くしている。
その後も、それぞれの写真を撮った。
俺と栞、六花、麗星。
俺と士王、吹雪、天狼。
士王たち3人。
俺と個別に士王たち。
院長夫妻。
院長と栞、
院長夫妻と双子。
俺と栞と士王。
俺と六花と吹雪。
俺と麗星と天狼。
また一人ずつとツーショットを撮った。
様々な組み合わせで、あとは好きなように撮った。
数百枚にもなった。
「ああ、俺とこの壁の虎を撮ってくれ」
諸見の鏝絵の虎と撮った。
諸見に送ってやろう。
3人の子どもたちと一緒にも撮った。
諸見が喜ぶだろう。
「レイ! 一緒に撮ろう!」
俺はレイを呼んだ。
どこにいるのか分からん。
皇紀がシャッターを切った。
「あ!」
響子が叫んだ。
途端に口に手を充てた。
「ん?」
その後もみんながはしゃいでそれぞれ撮った。
俺は寒いので、院長夫妻と先に上に上がった。
紅茶を淹れる。
「楽しいな、石神」
「そうですね。みんなが揃いましたからね」
「ああ。もうこの家は寂しくないな」
「ちょっとうるさいですよ」
お二人が笑った。
先に風呂へ入って頂く。
内風呂だ。
俺は下へ降りて、みんなを「虎温泉」に誘った。
悪いが皇紀には院長夫妻を相手してもらう。
流石にこの人数では風呂も一杯になった。
余裕はあるが。
双子がかき氷を作って配った。
小さな子どもたちは、先に家に入れた。
俺がみんなから言われて、また『ペールギュント』の《ソルヴェイグの歌》を歌った。
全員が黙って聴いていた。
六花が『ともしび』を歌った。
みんなに上手くなったと言われて六花が喜んだ。
子どもたちがまた様々に歌い、みんなで楽しんだ。
全員で「ヒモダンス」を踊った。
院長たちが気になるので、一足早く俺だけ先に上がった。
寝間着に着替えて、家に戻る。
身体はホカホカだ。
冷たい夜風が気持ちいいくらいだった。
やはり「虎温泉」はいい。
リヴィングに戻ると、皇紀がさっきの写真をPCに出して院長たちと見ていた。
「おお、さっきのか」
「タカさん!」
皇紀が俺を見て慌てている。
院長たちも、様子がおかしい。
「どうした?」
皇紀が全員の集合写真を俺に見せた。
驚いた。
俺の前に大きな虎が寝そべっている。
レイがサイズを小さくしたようで、俺の足元しか隠していない。
「おい! レイが写ったのか!」
「それだけじゃないですよ!」
皇紀が指で示す。
ハイファやタヌ吉と野薔薇も写っている。
そして、普段は俺以外に見えないハスハまでちゃんと写っていた。
「僕、初めて見ましたよ!」
「おう」
レイは俺も観たことが無かった。
俺の思い出の記憶通りのあのレイだった。
本当に懐かしい。
しかし、ハスハまで写るとは。
「タカさん、一番は別にあるんです」
「なんだ?」
皇紀が諸見の鏝絵の前で撮った写真を見せた。
皇紀は順番に流して行く。
最初は俺一人。
士王、吹雪、天狼と。
そして……
「おい!」
レイが、あのレイチェル・コシノが俺の隣で微笑んでいた。
「タカさん!」
「石神!」
「石神さん!」
俺が泣き崩れたので、三人が叫んだ。
もう言葉が出なかった。
レイが、俺の隣で笑っていた。
あらかじめ俺の指示で準備していた。
俺が全員を連れて行くと、椅子が9脚並んでいる。
院長夫妻を中心に、右の院長側に士王を抱いた栞、吹雪を抱いた六花、鷹。
左の静子さん側にロボを抱いた俺、天狼を抱いた麗星、早乙女夫婦。
後ろに子どもたち5人と桜花たち3人が並ぶ。
院長が俺を真ん中にしようとしたが、お二人に座って頂いた。
「石神、これで3人の子どもたちが全員揃ったんだな」
「はい。感無量ですよ。まさかこんな俺にこういう日が来るとはね」
「石神さん、ニジンスキーたちもいれば良かったですね」
また柳が空気を読まない発言をする。
「お、おう」
まったく無理なことを言いやがる。
「あ! タカさん!」
亜紀ちゃんが叫んだ。
「あんだよ!」
「野薔薇ちゃん!」
「!」
鬼娘が乗っかって余計なことを言いやがった。
まずはこのまま撮らせた。
念のために3枚撮る。
「タヌ吉! 野薔薇!」
庭を回って嬉しそうにタヌ吉と野薔薇が来た。
院長夫妻が驚いている。
「おい! 石神!」
「アハハハハハ!」
「お呼び頂きまして!」
「父上さまー!」
着物姿の美しいタヌ吉と、ゴスロリファッションの可愛らしい野薔薇が笑顔で俺の傍に来た。
俺は子どもたちに椅子をあと2脚用意させた。
早乙女達の隣に並べて置くと、早乙女と雪野さんが内側へ座れと誘導した。
タヌ吉と野薔薇が嬉しそうに礼を言う。
もう3枚撮った。
「ハイファ! いるんだろう! お前も入れ!」
ハイファが来た。
「レイ! お前も一緒だ! 響子、レイはどこだ?」
「タカトラの前に寝そべった」
「おし! ハスハ!」
俺の膝の間に、綺麗なドレス姿の童女が座った。
他の人間には見えないようだ。
写るかどうかは知らん。
俺も自棄になって呼んでみただけだ。
「じゃあ、写真を撮るぞ! 皇紀!」
「はい!」
皇紀がタイマーをセットした。
また3枚撮る。
「タヌ吉、野薔薇、ありがとうな! 引き続き蓮花と風花を頼むな!」
二人は笑ってまた庭を歩いて行った。
「ハイファもハスハも御苦労!」
二人が笑顔で会釈して消えた。
庭の向こうで、タヌ吉と野薔薇の「良かったね」と嬉しそうに話す声が聞こえた。
院長と静子さんが目を丸くしている。
その後も、それぞれの写真を撮った。
俺と栞、六花、麗星。
俺と士王、吹雪、天狼。
士王たち3人。
俺と個別に士王たち。
院長夫妻。
院長と栞、
院長夫妻と双子。
俺と栞と士王。
俺と六花と吹雪。
俺と麗星と天狼。
また一人ずつとツーショットを撮った。
様々な組み合わせで、あとは好きなように撮った。
数百枚にもなった。
「ああ、俺とこの壁の虎を撮ってくれ」
諸見の鏝絵の虎と撮った。
諸見に送ってやろう。
3人の子どもたちと一緒にも撮った。
諸見が喜ぶだろう。
「レイ! 一緒に撮ろう!」
俺はレイを呼んだ。
どこにいるのか分からん。
皇紀がシャッターを切った。
「あ!」
響子が叫んだ。
途端に口に手を充てた。
「ん?」
その後もみんながはしゃいでそれぞれ撮った。
俺は寒いので、院長夫妻と先に上に上がった。
紅茶を淹れる。
「楽しいな、石神」
「そうですね。みんなが揃いましたからね」
「ああ。もうこの家は寂しくないな」
「ちょっとうるさいですよ」
お二人が笑った。
先に風呂へ入って頂く。
内風呂だ。
俺は下へ降りて、みんなを「虎温泉」に誘った。
悪いが皇紀には院長夫妻を相手してもらう。
流石にこの人数では風呂も一杯になった。
余裕はあるが。
双子がかき氷を作って配った。
小さな子どもたちは、先に家に入れた。
俺がみんなから言われて、また『ペールギュント』の《ソルヴェイグの歌》を歌った。
全員が黙って聴いていた。
六花が『ともしび』を歌った。
みんなに上手くなったと言われて六花が喜んだ。
子どもたちがまた様々に歌い、みんなで楽しんだ。
全員で「ヒモダンス」を踊った。
院長たちが気になるので、一足早く俺だけ先に上がった。
寝間着に着替えて、家に戻る。
身体はホカホカだ。
冷たい夜風が気持ちいいくらいだった。
やはり「虎温泉」はいい。
リヴィングに戻ると、皇紀がさっきの写真をPCに出して院長たちと見ていた。
「おお、さっきのか」
「タカさん!」
皇紀が俺を見て慌てている。
院長たちも、様子がおかしい。
「どうした?」
皇紀が全員の集合写真を俺に見せた。
驚いた。
俺の前に大きな虎が寝そべっている。
レイがサイズを小さくしたようで、俺の足元しか隠していない。
「おい! レイが写ったのか!」
「それだけじゃないですよ!」
皇紀が指で示す。
ハイファやタヌ吉と野薔薇も写っている。
そして、普段は俺以外に見えないハスハまでちゃんと写っていた。
「僕、初めて見ましたよ!」
「おう」
レイは俺も観たことが無かった。
俺の思い出の記憶通りのあのレイだった。
本当に懐かしい。
しかし、ハスハまで写るとは。
「タカさん、一番は別にあるんです」
「なんだ?」
皇紀が諸見の鏝絵の前で撮った写真を見せた。
皇紀は順番に流して行く。
最初は俺一人。
士王、吹雪、天狼と。
そして……
「おい!」
レイが、あのレイチェル・コシノが俺の隣で微笑んでいた。
「タカさん!」
「石神!」
「石神さん!」
俺が泣き崩れたので、三人が叫んだ。
もう言葉が出なかった。
レイが、俺の隣で笑っていた。
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