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ファティマの預言
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11月の第三週の土曜日午前10時。
マクシミリアンから電話が来た。
「またこれから行ってもいいか?」
「ああ、構わないぞ。一緒に昼食でもどうだ?」
「ああ、いいな。もう一人連れて行くから」
「分かった、じゃあ待ってるな」
子どもたちにマクシミリアンが来ると伝えた。
「亜紀ちゃん、釜めしを取ってくれ。俺とマクシミリアンともう一人は極上うなぎと鯛めしな」
「分かりましたー!」
子どもたちが喜ぶ。
みんなで好きな釜めしを言い、亜紀ちゃんがまとめて注文した。
1時間くらい掛かるらしい。
30分後、マクシミリアンが到着した。
特別仕様のロールスロイスのリムジンと、護衛のものらしいベンツも付いて来る。
マクシミリアンに護衛が付くのはおかしい。
門を開けて玄関前で迎えると、護衛たちがすぐに降りて周囲を警戒し、マクシミリアンが降りて反対のドアを開けた。
「げ、猊下!」
ローマ教皇が来た。
「イシガミ!」
「おい、お前! なんで言わないんだ!」
「ワハハハハハ!」
早く中へ入れろと言うので、仕方なく二人を家に入れた。
ローマ教皇はずっとニコニコして俺を見ていた。
なんなんだ。
エレベーターでリヴィングへ案内する。
「おい、どういうことなんだよ!」
俺がマクシミリアンに言うと、笑いながら身の安全のためだと言われた。
「実を言えば、俺が猊下にお前の話をしたら大変興味を示されてな。是非またお前と話がしたいと言われたのだ」
「なんだよ、そりゃ!」
「東方教会の話だよ」
「あ?」
そういえば、こないだマクシミリアンがうちに来た時に、そんな話をした覚えがある。
「お前はバチカンを否定してただろ?」
「そうじゃねぇよ!」
マクシミリアンは笑いながら教皇に通訳している。
俺も少しはイタリア語も分かるが、それほど得意ではない。
一体何を言ってやがるやら。
「まあいい。今日は猊下がお前に話したいことがあるそうだ」
「あ、あのさ」
「なんだ?」
「まさかローマ教皇が来るなんて思ってなかったからよ」
「まあ、話さなかったからな」
「お前なら昼飯はなんでもいいと思ったんだよ」
「ああ、構わないぞ?」
「釜めしなんだけどさ」
「カマメシ?」
俺は一人分ずつ釜で炊き上げたご飯と食材だと説明した。
「ライスだしよ。あの、ピザとろうか?」
マクシミリアンが大笑いし、ローマ教皇に説明した。
ローマ教皇が大笑いした。
「猊下も是非カマメシを頂きたいと仰られている」
「マジか!」
「猊下は贅沢な食事を好まれない。安心しろ」
「お前! 喧嘩売ってんのかぁ!」
「極上うなぎ」は5千円近くする。
まあ、うちはそれを好きなように食べるのだが。
釜めしが届いて、子どもたちがリヴィングへ運んだ。
俺は猊下に「鯛めし」のセットを一つ置いた。
鰻は重いだろう。
「最初はそのまま召し上がって下さい。途中でお好きなように出し汁を掛けて食べて下さい」
俺が説明しながら、動作で示した。
マクシミリアンも通訳する。
亜紀ちゃんがスプーンを持って来て置いた。
マクシミリアンは箸で食べられるようだった。
俺は「極上うなぎ」を茶碗に少しよそって猊下に出した。
猊下は顔を綻ばして喜んでいた。
マクシミリアンも美味いと言っている。
まあ、口に合って良かった。
亜紀ちゃんがうちで作ったはまぐりの吸い物も配って行く。
猊下は全部召し上がり、俺に感謝の言葉を口にした。
「今度はピザを用意しておきますね」
猊下が笑った。
しかし、本当にどういうものがお好きなのか。
俺は猊下とマクシミリアンを地下へ案内し、亜紀ちゃんにコーヒーを運ばせた。
「ここは完全防音になっています」
俺が説明すると、猊下とマクシミリアンが頷いた。
「さて、どのようなお話ですか?」
「イシガミ、今日は「ファティマの預言」について話したい」
「分かった」
マクシミリアンは猊下を向いて、猊下が首を縦に振るのを確認して言った。
「ファティマ第三の預言については、先日少し話したな」
「ああ、獣の王という話か」
「ファティマの預言」は三つに分かれていると言われている。
1917年の5月から10月にかけて、ポルトガルの小村に聖母マリアが現われ、3人の子どもにその預言を告げたという。
聖母マリアは7度に亘って現われ、村人や噂を聞きつけて集まって来た大勢の人間にも目撃されている。
そしてしかるべき時期が来たら預言を公開するように言った。
第一の預言は第一次世界大戦の終焉だった。
第二の預言は第二次世界大戦の勃発と終焉。
それらは的中した。
そして第三の預言。
これは1960年に公開されるはずだったが、ローマ教皇庁がその余りの内容に公開を避けた。
多くの公開を求める声があり、その要求でハイジャック事件まで起きた。
第三次世界大戦を示すものだと、多くの人間が推察した。
2000年に教皇庁はついに第三の預言について公開した。
しかし、それは大勢に兵士による聖職者の暗殺という内容で、世界大戦とは異なるものだった。
1981年のヨハネ・パウロ2世の暗殺を示したものだという、それっぽい解釈も流布された。
そうした中で、預言を受け取った子どもの一人ルシアは、教皇庁が嘘を言っていると言い出した。
公開された内容は、預言の一部でしかないと。
そしてルシアは「闇の勢力による戦争」の内容であるとし、「人間と宇宙の力により悪は滅ぼされる」と生前に言い残した。
俺は、そういう自分が知っていることを二人に話した。
「イシガミ、それは正しい。バチカンが公開したのは、預言の一部でしかない。余りの内容に、全部の公開は控えられた」
「そうか」
マクシミリアンが話し出した。
マクシミリアンから電話が来た。
「またこれから行ってもいいか?」
「ああ、構わないぞ。一緒に昼食でもどうだ?」
「ああ、いいな。もう一人連れて行くから」
「分かった、じゃあ待ってるな」
子どもたちにマクシミリアンが来ると伝えた。
「亜紀ちゃん、釜めしを取ってくれ。俺とマクシミリアンともう一人は極上うなぎと鯛めしな」
「分かりましたー!」
子どもたちが喜ぶ。
みんなで好きな釜めしを言い、亜紀ちゃんがまとめて注文した。
1時間くらい掛かるらしい。
30分後、マクシミリアンが到着した。
特別仕様のロールスロイスのリムジンと、護衛のものらしいベンツも付いて来る。
マクシミリアンに護衛が付くのはおかしい。
門を開けて玄関前で迎えると、護衛たちがすぐに降りて周囲を警戒し、マクシミリアンが降りて反対のドアを開けた。
「げ、猊下!」
ローマ教皇が来た。
「イシガミ!」
「おい、お前! なんで言わないんだ!」
「ワハハハハハ!」
早く中へ入れろと言うので、仕方なく二人を家に入れた。
ローマ教皇はずっとニコニコして俺を見ていた。
なんなんだ。
エレベーターでリヴィングへ案内する。
「おい、どういうことなんだよ!」
俺がマクシミリアンに言うと、笑いながら身の安全のためだと言われた。
「実を言えば、俺が猊下にお前の話をしたら大変興味を示されてな。是非またお前と話がしたいと言われたのだ」
「なんだよ、そりゃ!」
「東方教会の話だよ」
「あ?」
そういえば、こないだマクシミリアンがうちに来た時に、そんな話をした覚えがある。
「お前はバチカンを否定してただろ?」
「そうじゃねぇよ!」
マクシミリアンは笑いながら教皇に通訳している。
俺も少しはイタリア語も分かるが、それほど得意ではない。
一体何を言ってやがるやら。
「まあいい。今日は猊下がお前に話したいことがあるそうだ」
「あ、あのさ」
「なんだ?」
「まさかローマ教皇が来るなんて思ってなかったからよ」
「まあ、話さなかったからな」
「お前なら昼飯はなんでもいいと思ったんだよ」
「ああ、構わないぞ?」
「釜めしなんだけどさ」
「カマメシ?」
俺は一人分ずつ釜で炊き上げたご飯と食材だと説明した。
「ライスだしよ。あの、ピザとろうか?」
マクシミリアンが大笑いし、ローマ教皇に説明した。
ローマ教皇が大笑いした。
「猊下も是非カマメシを頂きたいと仰られている」
「マジか!」
「猊下は贅沢な食事を好まれない。安心しろ」
「お前! 喧嘩売ってんのかぁ!」
「極上うなぎ」は5千円近くする。
まあ、うちはそれを好きなように食べるのだが。
釜めしが届いて、子どもたちがリヴィングへ運んだ。
俺は猊下に「鯛めし」のセットを一つ置いた。
鰻は重いだろう。
「最初はそのまま召し上がって下さい。途中でお好きなように出し汁を掛けて食べて下さい」
俺が説明しながら、動作で示した。
マクシミリアンも通訳する。
亜紀ちゃんがスプーンを持って来て置いた。
マクシミリアンは箸で食べられるようだった。
俺は「極上うなぎ」を茶碗に少しよそって猊下に出した。
猊下は顔を綻ばして喜んでいた。
マクシミリアンも美味いと言っている。
まあ、口に合って良かった。
亜紀ちゃんがうちで作ったはまぐりの吸い物も配って行く。
猊下は全部召し上がり、俺に感謝の言葉を口にした。
「今度はピザを用意しておきますね」
猊下が笑った。
しかし、本当にどういうものがお好きなのか。
俺は猊下とマクシミリアンを地下へ案内し、亜紀ちゃんにコーヒーを運ばせた。
「ここは完全防音になっています」
俺が説明すると、猊下とマクシミリアンが頷いた。
「さて、どのようなお話ですか?」
「イシガミ、今日は「ファティマの預言」について話したい」
「分かった」
マクシミリアンは猊下を向いて、猊下が首を縦に振るのを確認して言った。
「ファティマ第三の預言については、先日少し話したな」
「ああ、獣の王という話か」
「ファティマの預言」は三つに分かれていると言われている。
1917年の5月から10月にかけて、ポルトガルの小村に聖母マリアが現われ、3人の子どもにその預言を告げたという。
聖母マリアは7度に亘って現われ、村人や噂を聞きつけて集まって来た大勢の人間にも目撃されている。
そしてしかるべき時期が来たら預言を公開するように言った。
第一の預言は第一次世界大戦の終焉だった。
第二の預言は第二次世界大戦の勃発と終焉。
それらは的中した。
そして第三の預言。
これは1960年に公開されるはずだったが、ローマ教皇庁がその余りの内容に公開を避けた。
多くの公開を求める声があり、その要求でハイジャック事件まで起きた。
第三次世界大戦を示すものだと、多くの人間が推察した。
2000年に教皇庁はついに第三の預言について公開した。
しかし、それは大勢に兵士による聖職者の暗殺という内容で、世界大戦とは異なるものだった。
1981年のヨハネ・パウロ2世の暗殺を示したものだという、それっぽい解釈も流布された。
そうした中で、預言を受け取った子どもの一人ルシアは、教皇庁が嘘を言っていると言い出した。
公開された内容は、預言の一部でしかないと。
そしてルシアは「闇の勢力による戦争」の内容であるとし、「人間と宇宙の力により悪は滅ぼされる」と生前に言い残した。
俺は、そういう自分が知っていることを二人に話した。
「イシガミ、それは正しい。バチカンが公開したのは、預言の一部でしかない。余りの内容に、全部の公開は控えられた」
「そうか」
マクシミリアンが話し出した。
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