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「カタ研」ハロウィンパーティー

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 10月31日木曜日。
 今日はハロウィンだ。
 9月のうちから、「カタ研」のメンバーでハロウィンパーティをしようと話していた。

 「ねぇ! 仮装するよね!」
 「もちろんですよねぇ!」
 「外に出る?」
 「当たり前ですよねぇ!」

 ハロウィンのメッカとも言える、渋谷に出掛けることに決まった。
 ルーとハーが渋谷のパブを貸切り、しばらく外で楽しんでからパーティをすることに決まった。
 誰がどんな仮装をするのか話し合った。
 基本は自分でやりたいものにする。
 恥ずかしがるメンバーもいる。

 「だったら同じ仮装にしたらどう?」

 上坂さんが提案した。
 ネットで仮装の画像を探しながら楽しく話した。

 「あ! これいいかも!」

 陽菜ちゃんが「ゾンビナース」の仮装を気に入った。
 一年の女子でそれにすると決まった。

 「私はどーしよーかなー」
 「亜紀ちゃんは悪魔じゃん!」
 「魔王だよ!」
 「なんだとー!」

 でもルーがデザイン画を描いてくれ、一発で気に入った。

 「柳さんは?」
 「わ、私は「雪の女王」がいいな!」

 ディズニー好きの柳さんらしかった。

 「じゃあ、坂上さんは?」
 「うーん、どうしようかな」
 「あ! こないだコスした時の、タカさんの衣装がありますよ!」
 「え! 石神さんの!」
 「はい! 『ヘルシング』のアーカードですよ!」
 「ああ! 知ってる!」
 
 すぐに決まった。

 「ああ、上坂さん。同じ『ヘルシング』のセラスのコスがありますけど」
 「え、知らないけど」
 
 ルーがネットの画像を見せる。

 「あ、カワイイよ!」
 「じゃあ、それで」
 
 他のメンバーも決まった。

 石神亜紀:悪魔
 御堂柳:雪の女王
 坂上真一:アーカード(吸血鬼)
 上坂さとみ:セラス・ヴィクトリア(大丈夫かな?)
 柿崎真夜:エロサキュバス(私の命令)
 平裕之:触手魔人(なんか触手物が好きらしい)
 井之頭陽菜:ゾンビナース
 鬼頭茜:ゾンビナース
 壇ノ浦洋平:マンモスの牙隊(なんでもいいと言うので。知らんぞー)
 ジョナサン・ゴールド:スパイダーマン(ぶれないね!)
 石神瑠璃;ネコ娘
 石神玻璃:ウサギ娘
 パレボレ・ウンコーカス:ウンコ

 そして特別ゲスト:ミスターX(私しか知らない)

 31日の4時に部室で着替えとメイクをすることにした。
 ちなみにセラス・ヴィクトリアの一江さんが着たものはまだ修理しておらず、借りれなかった。
 他の仮装と同じく、「RUH=HER」で普通のセラスのコスになった。
 残念。

 


 当日。
 みんな3時くらいに来ていて、それぞれの仮装に熱中した。
 私は体毛の長い衣装で、頭部に長く後ろに伸びた二本の角がカッコイイ。
 太い尾もついていて、自動でうねっている。

 「いいね!」

 柳さんはカワイ過ぎる。
 真夜は恥ずかしがっている。
 フェイクだが大きな胸に乳首もある。

 「亜紀さん! これはちょっと!」
 「いいじゃん!」
 「いや、あまりにも」

 厚手の全身タイツに厭らしいパーツが付いている。
 シースルーのコートが一層エッチだ。

 坂上さんは大興奮だった。

 「石神さん、これ着たんだよね?」
 「そうですよ。大事にして下さいね!」
 「分かった!」

 ルーが気付いて二丁の拳銃を調べた。

 「亜紀ちゃん! 弾が入ってたよ!」
 「蓮花さーん……」

 抜いた。
 危なかった。

 ルーとハーはひたすらカワイイ。
 上坂さんはでかい対物ライフルを持っている。
 平君はよく分からないが、本人は気に入っている。
 体中の緑色の触手が蠢いている。

 「ああ、これで本当にできたらなぁ」
 「?」

 陽菜と茜のゾンビナースもいい。
 メイクに拘った。
 傷はプロが使うものだったし、口の切れ目もフェイクの歯が並んでリアルだ。

 ジョナサンはいつも通りだし、パレボレもちゃんとウンコだ。

 問題は壇之浦君だった。

 「あの、これ?」

 マンモスの牙1メートル(本物)に穴が空いている。
 
 「この穴に差し込んでね」
 「ちゃんと中にシリコンとローション塗ってあるから」
 「……」

 流石に裸体は不味いということで、肌色の全身タイツも用意した。
 ただ、差し込みは必須だ。
 トイレで装着してきた。

 「あ! いいかも!」
 「「ね!」」

 ルーとハーが喜んだ。

 観光バスをチャーターしているので、みんなで乗り込んだ。




 5時半。
 渋谷の街はもう仮装した人でごった返していた。
 私たちはロータリーでバスを降り、道玄坂方面へ歩いた。

 「さー! 悪人はいないかなー!」
 「亜紀ちゃん! 今日はダメだからね!」
 「自分、悪魔じゃん!」
 「ワハハハハハ!」

 私たちの仮装は本格的だ。
 注目を浴び、声を掛けられることも多かった。
 しばらく歩き回って楽しんだ。

 予約したお店に入り、みんなで飲み食いした。
 いつものように食べようとしたら、長く鋭い鉤爪が邪魔だった。
 そのまま爪で食べた。

 「亜紀ちゃん、ほんとに悪魔みたいよね」
 「ワハハハハハ!」

 パレボレのウンコは口が無かったので飲み食い出来なかった。
 仕方が無いので、爪で一閃し、口を開けてやった。
 
 「ありがとうございます!」
 「おう」
 「ちょっと顔が斬れました」
 「傷は男の勲章だ」
 「はい!」

 まあ、地球人衣装の顔だ。

 バスの到着にはまだ時間があったが、結構飲んで食べたので店を出てブラブラ歩いた。
 他の人もお酒が回っていて騒ぎ始めていた。

 陽菜と茜が5人くらいの男たちに囲まれた。

 「カワイイじゃん!」
 「飲みに行こうよ!」
 
 私が行って、陽菜の肩に手を置いている奴の顔を掴んだ。

 「ウッ!」
 「おい、やめろって」

 顔をこっちに向けさせた。
 あれ?

 男の頬に、私の鉤爪がぶっ刺さっていた。

 「……」
 
 男が目を見開いて私を見ていた。
 他の男たちも呆然としている。

 「大丈夫?」
 「ヒャ、ヒャイ!」

 爪を抜いて、あっちへ行けと言った。
 走って行った。
 陽菜と茜は反対側にいたので気付いてない。

 「亜紀さん! ありがとう!」
 「怖かったよ!」
 「もう大丈夫だからね」
 「凄いね! 顔を掴んだだけで逃げてったよ!」
 「うん、気の弱い連中だよね」

 大丈夫だろうか……
 ちょっと気にしながらみんなで歩いていた。

 「あいつだぞ!」
 「てめぇ!」
 
 20人くらいの男たちが向かって来た。
 よかった、大丈夫そうだ。

 「きゃー」

 みんなから離れてガード下まで逃げた。
 ゆっくりだったので、ちゃんと追いかけて来た。
 柳さんとルーとハーも来る。

 「お前ら! なにやってくれてんのぉー!」
 「こいつ、女じゃん!」
 「みんな綺麗だぜぇ!」
 
 「「「「ワハハハハハハ!」」」」

 ボコボコにした。
 追加で3人の頬に穴を空けた。

 「「「「ギャハハハハハハ!」」」」

 



 家に帰り、タカさんにちゃんと報告した。

 「陽菜と茜が襲われたんで助けました」
 「そうか」
 「後から20人くらい来たので、ボコりました」
 「よし、分かった」

 そして正直に、仮装の鉤爪が頬に入っちゃったと話した。

 「ワハハハハハ!」

 タカさんは大笑いで地下に私たちを連れて行き、「劇団ゴキブリコンビナート」のDVDを見せてくれた。
 《団子三兄弟》のパフォーマンスにみんなで爆笑した。
 舞台で長い針金を三人が頬に刺して踊っている。
 うちは何でもあるなー。





 いいお父さんで幸せ。
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