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モハメド・ライダー Ⅱ
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俺は休憩時間にペットショップで真っ白い「ロボロフスキーハムスター」を購入した。
一番俺がカワイイと思ったものだ。
一通りの飼育に必要な餌やケージなども買う。
ケージに入れたハムスターを持って帰ったのを見て、子どもたちが大騒ぎした。
ロボはケージに顔を近づけて覗き込んでいる。
ハムスターが脅えていた。
「おい、静かにしろ」
「タカさん! どうしたんですか!」
「ああ、ちょっとこいつを飼うからな」
「「「「「「え!」」」」」
「にゃ!」
「短い期間だ。うちにはロボがいるからな」
「にゃうー」
ロボが椅子に座った俺の膝に前足を置いて甘えて来た。
夕飯を食べながら、みんなに説明した。
「モハメドの乗り物だけどな」
皇紀と双子が項垂れる。
「まあ、お前たちも頑張ったけど、ちょっと方針を変えてみようと思うんだ」
俺はハムスターを高知能化することを話した。
「え、それって!」
「ああ、俺の血を与える」
「「「「「!」」」」」
みんな、俺の血の影響のことは分かっている。
「シャドウで成功したからな。俺の血は愛情の相互理解があれば良い方向へ向かう。そうだな、ハー!」
「はい! 大丈夫だと思います!」
ハーが胸を張って言い切った。
「だからしばらくこのハムスターを可愛がる。輸血のタイミングはハー、お前に一任する」
「分かりました!」
「シャドウのようにはしたくはない。俺は1CC程度を考えているが、ハーはどう思う?」
「うん、そのくらいがいいと思います! 知性は向上してもハムスターのままだと」
「そうか」
俺は食事を終えて風呂に入った。
ハムスターは俺の部屋にいる。
暖房を掛けておいた。
部屋に戻ると、ケージの中で眠っていた。
俺が近付くと目を覚ます。
「おう、起こしたか。悪かったな」
俺を小さな瞳で見ている。
ケージに指を近づけると、寄って来て俺の指の匂いを嗅いだ。
ケージを開くと、すぐに出て来て俺に近づいた。
「ロボロフスキーハムスター」は警戒心が強く、人に懐かないとペットショップで言われた。
でも、俺が掌を向けると、その上に乗って来た。
「おう、カワイイな!」
左手で身体を撫でてやると、気持ちよさそうにした。
ロボが入って来て一瞬脅えたが、俺が「大丈夫だ」と言うとまた俺の手の上で目を閉じた。
「ロボ。仲間になる奴だ。宜しくな」
「にゃー」
ロボがハムスターに近づき、身体を一舐めすると、ハムスターも脅えなくなった。
俺が病院へ行っている間は、俺の部屋でケージの中で過ごした。
子どもたちが餌や水を与える。
俺が家にいる時には、常に俺の肩に乗っていた。
風呂にも一緒に入る。
温い湯を小さなボウルへ入れて、その中へ入った。
気持ちよさそうに目を閉じている。
亜紀ちゃんが一緒に入ると、ずっと見ていて「カワイイ」と言った。
ロボとも問題無さそうで、時々背中やや頭に乗せている。
随分と仲良しだ。
俺もハムスターが可愛くなってきた。
すっかり俺に懐いたので、早乙女達を呼んだ。
最初は早乙女たちに警戒したが、俺が「大丈夫だ」と言うと安心した。
「おい、身体を撫でてやれよ」
早乙女と雪野さんが指を伸ばして身体を撫でた。
「可愛いな!」
「ほんとうに!」
「こいつをモハメドの移動手段にしようと思うんだ」
「そうなのか!」
「この子にモハメドさんが乗るんですか?」
俺は二人に計画を話した。
「私、子どもの頃にハムスターを飼っていたんです!」
雪野さんが嬉しそうに言った。
早乙女もそれを聴いて喜ぶ。
この二人も問題無さそうだ。
まあ、今から嫌がられても困ったのだが。
その週の土曜日に、輸血することにした。
早乙女家の庭に集合する。
早乙女たちには、万一の場合凶暴化することは話していない。
多分大丈夫だ。
自分で採血し、ハーにシリンジを渡した。
ハーは特殊なケージの網を移動させて、ハムスターを固定する。
ハムスターは脅えて俺を見ている。
「大丈夫だ。根性を見せろ」
ハーが輸血を開始した。
俺は口元に好物だったアーモンドと、「Ω」と「オロチ」の粉末を与える。
ハムスターがそれを食べると、身体が硬直した。
「大きさはそのままでいろ!」
俺が言う。
ハムスターは理解したか、体長に変化はない。
俺はケージの網を移動し、自由に動けるようにした。
「タカさん! エネルギーが凄いよ!」
「でも、いい波動だよ!」
ルーとハーが叫ぶ。
ケージを開いた。
ハムスターが出て来る。
俺に走り寄ってくるので掌に乗せて肩へ上がらせた。
「おい、俺の言葉が分かるか?」
ハムスターが右肩でうなずいている。
「これから、モハメドと一緒にこの家を守ってくれ。この三人がお前が守るべき人間だ」
早乙女達を指差す。
ハムスターを地面に降ろした。
「モハメド!」
《はーいー》
「こいつに乗れるか?」
《はーいー》
モハメドが早乙女の肩から飛び降りて、ハムスターに乗った。
首に移動した。
途端に庭を駆け出した。
物凄いスピードだ。
瞬きする間に広い庭の端まで行き、帰って来た。
《こいつー、使えますよー》」
「そうか!」
《飛ぶことも出来るようですー》
「なんだと!」
ハムスターが空中に浮いた。
空中を疾走して見せる。
「すげぇな!」
どうやら、「花岡」の「飛行」を習得しているらしい。
《手もありますよー》
モハメドがそう言うと、ハムスターから半透明の触手のようなものが伸びてきた。
《これでドアも開けそうです―》
みんなで驚いた。
《主さまー! 感謝しますー! ありがとうございましたー》
モハメドも気に入ったようだ。
早乙女たちも、愛くるしいハムスターに喜んだ。
まあ、ゴキブリよりは全然いいだろう。
ハムスターは「ハムちゃん」と呼ばれ、早乙女家の人気者になった。
他にもっと名前を考えなかったのかとも思うが、あいつらの家族だ。
怜花もハムちゃんが来ると喜ぶらしい。
よく一緒に寝ているそうだ。
夜になるとモハメドがハムちゃんに乗って見回りをするようになった。
ランたちは今でもゴキブリを殺さない。
まあ、俺の家ではないからどうでもいいが。
双子が「ゴキブリ捕獲ロボットを作ってあげる」と言っていた。
俺は当然止めた。
一番俺がカワイイと思ったものだ。
一通りの飼育に必要な餌やケージなども買う。
ケージに入れたハムスターを持って帰ったのを見て、子どもたちが大騒ぎした。
ロボはケージに顔を近づけて覗き込んでいる。
ハムスターが脅えていた。
「おい、静かにしろ」
「タカさん! どうしたんですか!」
「ああ、ちょっとこいつを飼うからな」
「「「「「「え!」」」」」
「にゃ!」
「短い期間だ。うちにはロボがいるからな」
「にゃうー」
ロボが椅子に座った俺の膝に前足を置いて甘えて来た。
夕飯を食べながら、みんなに説明した。
「モハメドの乗り物だけどな」
皇紀と双子が項垂れる。
「まあ、お前たちも頑張ったけど、ちょっと方針を変えてみようと思うんだ」
俺はハムスターを高知能化することを話した。
「え、それって!」
「ああ、俺の血を与える」
「「「「「!」」」」」
みんな、俺の血の影響のことは分かっている。
「シャドウで成功したからな。俺の血は愛情の相互理解があれば良い方向へ向かう。そうだな、ハー!」
「はい! 大丈夫だと思います!」
ハーが胸を張って言い切った。
「だからしばらくこのハムスターを可愛がる。輸血のタイミングはハー、お前に一任する」
「分かりました!」
「シャドウのようにはしたくはない。俺は1CC程度を考えているが、ハーはどう思う?」
「うん、そのくらいがいいと思います! 知性は向上してもハムスターのままだと」
「そうか」
俺は食事を終えて風呂に入った。
ハムスターは俺の部屋にいる。
暖房を掛けておいた。
部屋に戻ると、ケージの中で眠っていた。
俺が近付くと目を覚ます。
「おう、起こしたか。悪かったな」
俺を小さな瞳で見ている。
ケージに指を近づけると、寄って来て俺の指の匂いを嗅いだ。
ケージを開くと、すぐに出て来て俺に近づいた。
「ロボロフスキーハムスター」は警戒心が強く、人に懐かないとペットショップで言われた。
でも、俺が掌を向けると、その上に乗って来た。
「おう、カワイイな!」
左手で身体を撫でてやると、気持ちよさそうにした。
ロボが入って来て一瞬脅えたが、俺が「大丈夫だ」と言うとまた俺の手の上で目を閉じた。
「ロボ。仲間になる奴だ。宜しくな」
「にゃー」
ロボがハムスターに近づき、身体を一舐めすると、ハムスターも脅えなくなった。
俺が病院へ行っている間は、俺の部屋でケージの中で過ごした。
子どもたちが餌や水を与える。
俺が家にいる時には、常に俺の肩に乗っていた。
風呂にも一緒に入る。
温い湯を小さなボウルへ入れて、その中へ入った。
気持ちよさそうに目を閉じている。
亜紀ちゃんが一緒に入ると、ずっと見ていて「カワイイ」と言った。
ロボとも問題無さそうで、時々背中やや頭に乗せている。
随分と仲良しだ。
俺もハムスターが可愛くなってきた。
すっかり俺に懐いたので、早乙女達を呼んだ。
最初は早乙女たちに警戒したが、俺が「大丈夫だ」と言うと安心した。
「おい、身体を撫でてやれよ」
早乙女と雪野さんが指を伸ばして身体を撫でた。
「可愛いな!」
「ほんとうに!」
「こいつをモハメドの移動手段にしようと思うんだ」
「そうなのか!」
「この子にモハメドさんが乗るんですか?」
俺は二人に計画を話した。
「私、子どもの頃にハムスターを飼っていたんです!」
雪野さんが嬉しそうに言った。
早乙女もそれを聴いて喜ぶ。
この二人も問題無さそうだ。
まあ、今から嫌がられても困ったのだが。
その週の土曜日に、輸血することにした。
早乙女家の庭に集合する。
早乙女たちには、万一の場合凶暴化することは話していない。
多分大丈夫だ。
自分で採血し、ハーにシリンジを渡した。
ハーは特殊なケージの網を移動させて、ハムスターを固定する。
ハムスターは脅えて俺を見ている。
「大丈夫だ。根性を見せろ」
ハーが輸血を開始した。
俺は口元に好物だったアーモンドと、「Ω」と「オロチ」の粉末を与える。
ハムスターがそれを食べると、身体が硬直した。
「大きさはそのままでいろ!」
俺が言う。
ハムスターは理解したか、体長に変化はない。
俺はケージの網を移動し、自由に動けるようにした。
「タカさん! エネルギーが凄いよ!」
「でも、いい波動だよ!」
ルーとハーが叫ぶ。
ケージを開いた。
ハムスターが出て来る。
俺に走り寄ってくるので掌に乗せて肩へ上がらせた。
「おい、俺の言葉が分かるか?」
ハムスターが右肩でうなずいている。
「これから、モハメドと一緒にこの家を守ってくれ。この三人がお前が守るべき人間だ」
早乙女達を指差す。
ハムスターを地面に降ろした。
「モハメド!」
《はーいー》
「こいつに乗れるか?」
《はーいー》
モハメドが早乙女の肩から飛び降りて、ハムスターに乗った。
首に移動した。
途端に庭を駆け出した。
物凄いスピードだ。
瞬きする間に広い庭の端まで行き、帰って来た。
《こいつー、使えますよー》」
「そうか!」
《飛ぶことも出来るようですー》
「なんだと!」
ハムスターが空中に浮いた。
空中を疾走して見せる。
「すげぇな!」
どうやら、「花岡」の「飛行」を習得しているらしい。
《手もありますよー》
モハメドがそう言うと、ハムスターから半透明の触手のようなものが伸びてきた。
《これでドアも開けそうです―》
みんなで驚いた。
《主さまー! 感謝しますー! ありがとうございましたー》
モハメドも気に入ったようだ。
早乙女たちも、愛くるしいハムスターに喜んだ。
まあ、ゴキブリよりは全然いいだろう。
ハムスターは「ハムちゃん」と呼ばれ、早乙女家の人気者になった。
他にもっと名前を考えなかったのかとも思うが、あいつらの家族だ。
怜花もハムちゃんが来ると喜ぶらしい。
よく一緒に寝ているそうだ。
夜になるとモハメドがハムちゃんに乗って見回りをするようになった。
ランたちは今でもゴキブリを殺さない。
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