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改造ロボ

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 (タカトラが帰って来た!)

 テッテッテッテ。

 「にゃー!(遅かったね!)」
 「おー、ロボ、ただいま!」

 タカトラの足に自分の匂いをこすりつけながら、タカトラの匂いも嗅いだ。

 (あれ、ちょっと疲れてるなー)

 テッテッテッテ。
 タカトラと一緒に階段を上がる。

 子どもたちが挨拶する。 
 亜紀が、すぐにタカトラの夕飯のカレーを温めた。
 ちょっとカレーの匂いは苦手。

 タカトラがいつもの席に座り、私はタカトラの後ろに寝そべる。
 亜紀がカレーを持って来てタカトラの前に置いた。

 「今日はあともう一杯ありますよ!」
 「お前ら、病気か!」
 「「「「「アハハハハハ!」」」」」

 「私たちも進化してるんです」
 「おい、やけに少ないな」
 「え?」
 「単に、一人分を半分にしただけなんじゃねぇか!」
 「そ、そんなことは!」

 亜紀が頭を引っぱたかれた。
 ちょっとタカトラの疲れが少なくなった気がする。
 亜紀たちはタカトラが大好きだから、いろいろ考えるのだろう。

 「ほんと、お前ら肉とカレーは頭がおかしくなるからなぁ」
 「ワハハハハハ!」
 「こうなると、どうして一杯だけ残るのか不思議だぜ」
 「最初に取り分けておくので」
 「じゃあ、二杯分取り分けろよ!」
 「それはー、あのー」
 「もういいよ」

 タカトラが笑っている。
 楽しそうだ。
 私も楽しくなる。

 タカトラが食事を終えて風呂に入った。
 さっき折角匂いをつけたのにー。
 まー、またやるかー。

 風呂場の前でタカトラが出て来るのを待つ。
 タカトラが歌を歌っている。
 うっとり聞く。
 亜紀が傍に来た。

 「あ、タカさん歌ってるね! 一緒に聞いていい?」
 「にゃ(いーよー)」

 亜紀が隣に座った。
 一緒にうっとり聞く。

 がちゃ。

 タカトラが出て来た。
 わーい、パジャマを着てるぞー。
 もう出掛けないんだ。

 「タカさん、ちょっと飲みましょうよ!」
 「そうだな」
 「柳さーん! 飲みますよー!」
 「はーい!」

 みんなで移動する。

 テッテッテッテ。

 「ロボも飲むか?」
 「にゃ(飲むー)」

 タカトラが日本酒とマグロを切ってくれた。
 
 ペロ、くちゅくちゅ。

 タカトラがいつものように中心になって話をする。
 響子が元気になったということを言っている。

 「それがさ、どうもレイが何かしてくれてるみたいなんだよ」
 「スゴイですね!」
 「そうだよな。柳はレイって感じたことあるか?」
 「ないですよ。でもたまに響子ちゃんがどこかを見てニコニコしてます」
 「そうかー」

 タカトラが、今日は疲れているからと早めに切り上げた。
 一緒に行く。

 テッテッテッテ。

 「なんだよ、ロボはもうちょっと飲んでればいいじゃんか」
 「にゃー(もういいよ)」

 タカトラが私を抱き上げて部屋へ入った。
 ベッドに横になる。
 すぐに寝た。

 カチャリ。

 私が鍵を掛けた。
 そういうことが出来るのはタカトラも誰も知らない。
 時々柳のトイレの邪魔をしてからかう。

 「あーん、誰かはいってるー!」

 柳が他のトイレに行ってから出る。




 タカトラの寝顔は綺麗だ。
 毎日見てても飽きない。

 (こないだは焦ったなー)

 底辺神をタカトラが殺し、呪いを受けてしまった。
 流石のタカトラも、この世界の命ではアレには敵わない。
 亜紀たちが話しているのを聞いたので、急いで飛んでった。
 小柱も来てくれた。
 空中で話した。

 「にゃー(タカトラ、大変だよ!)」
 「小柱!(うん、急ごうね!)」

 道間の家で、私がタカトラの呪いを壊し、小柱がタカトラの弱まった命を回復した。
 間に合って良かったー。

 あの「試練」で、タカトラがまた高まった。
 また未来が変わった。
 
 「にゃ(今日は、もうちょっと高めておこうと思います)」

 《ぷす》

 「にゃぁぁぁ!(大変だぁ!)」

 タカトラの顔に髭が生えた。
 ボーボーだ。
 タカトラは毎朝丁寧に髭を剃っている。

 「にゃ!(やり直しだ。元に戻そう)」

 《ぷす》

 「にゃぁぁぁ!(目が三つになったよ!)」

 《ぷす》

 「にゃぁぁぁ!(今度は角が!)」

 《ぷす》

 「にゃぁぁぁ!(お前、誰だよ!)」

 《ぷす》

 「にゃぁぁぁ!(見たこと無い生物にぃ!)」

 《ぷす》

 「にゃぁぁぁ!(チェンソーさまぁ!)」

 夜明け近くになって、ようやく元に戻せた。
 
 「にゃー(ふー)」

 小柱を呼んで、ぷすぷすになった身体を戻してもらった。

 「にゃ(さんきゅー)」
 「小柱!(いつでもどーぞー)」

 カチャリ。

 鍵を開けておいた。

 スヤスヤ。





 タカトラが起きる気配がした。
 
 「おー、チェンソーマンになった夢みたぜ」

 また寝た。
 私も眠い。

 スヤスヤ。





 「タカさーん、朝ですよー!」
 「パンツ脱ぐからおきてくださーい!」

 双子が起こしに来た。

 「おー、おはよう」
 「「おはようございます!」」

 「なんかスッキリしたような、疲れているような、ヘンな感じだな」
 「だいじょうぶ?」
 「まあ、起きるか! 斬に怒られちゃうしな!」
 「「アハハハハハハ!」」

 タカトラがベッドを降りた。

 「おい、ロボ。朝食を食べに行こうぜ?」

 尻尾を揺らした。

 「なんだよ、行かないのか? 夕べ、そんなに飲んでねぇよな?」
 
 タカトラが優しく額に手を置いた。
 うれしー。

 「熱は無いな。じゃあ、食べたくなったら降りて来いよ」

 



 「にゃ(お腹空いたけど、ねむいよー)」

 ぶっ壊すのは得意なんだけどなー。
 今度練習しておこう。

 スヤスヤ。





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 10月初旬の土曜日。
 俺はテレビのニュースを見ていた。

 「おい、この近所で突然髭が生えたりする事件だってよ!」
 「え、コワイですね」
 「な! 女性の人もいるらしいぞ」
 「やー! 「業」の攻撃ですかね!」
 「それはちょっとなー。俺のオチンチンは違うって言ってる」
 「タカさんのオチンチンって万能ですよね!」
 「まーなー!」

 隣にいたロボが、ちょっと俺を見てどっかへ行った。
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