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blutschwert Ⅶ

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 マクシミリアンと俺の家に戻り、子どもたちを集めた。

 「これから、敵戦力を急襲する!」
 「「「「「はい!」」」」」
 「ドイツだ!」
 「「「「「はい!」」」」」

 俺は尋問の結果を話し、「シュヴァルツェス・ブルート」を攻撃すると話した。

 「皇紀とロボは留守番! マクシミリアンはどうする?」
 「一緒に連れて行ってくれ」
 「よし! 皇紀、「Ωexoskeleton(Ω外骨格)」を準備してくれ」
 「はい!」

 「Ω外骨格」は、「花岡」を使えない人間を飛行に耐えるように設計して作った。
 それなりに体力は必要なので、響子などは無理だ。
 マクシミリアンならば、問題無いだろう。

 「3分で出るぞ! 夕飯までに帰るからな!」
 「「「「「はい!」」」」」

 皇紀がマクシミリアンを裏の研究棟へ連れて行った。
 俺たちは「Ωコンバットスーツ」に着替える。
 
 全員が庭に出る。

 「マクシミリアンは俺が連れて行く。出発!」
 「「「「はい!」」」」

 数分後、オルペの山林の中にある、「シュヴァルツェス・ブルート」の演習場に着いた。
 流石にマクシミリアンも驚いている。

 「これが「ハナオカ・アーツ」か!」
 「見たかったんだろう?」
 
 マクシミリアンが笑った。
 上空から、演習場で訓練をしているのが見えた。

 下降して、避難を呼び掛けた。

 「急いで逃げろ! ぼんくらは死ぬぞ!」

 俺たちを訓練中の連中が見上げ、何人かが銃を向けて来た。

 「亜紀ちゃん! 「槍雷」をぶちかませ」
 「はい!」

 演習場の真ん中に亜紀ちゃんが撃ち、直径10メートルの大穴が空く。
 粉塵が舞い上がる。

 「次は容赦しない! 急いで逃げろ!」

 演習場から逃げ出すのが見える。

 「ハー! 垂直に「轟閃花」をぶちかませ!」
 「はい!」

 演習場が吹き飛び、深さ2500メートルの穴が空く。
 ハーのコントロールのせいで、演習場きっかりの土地が破壊された。
 穴の周辺は灼熱の色に溶けている。
 穴の底ではまだプラズマが渦巻いていた。

 「全員で周辺の建物をぶっ壊せ! 人がいたら追い出してからな!」
 「「「「はい!」」」」
 「「フルーフト」と叫べ! 「逃げろ」という意味だ!」
 「「「「はい!」」」」
 「抵抗されたらぶっ殺せ!」
 「「「「はい!」」」」

 俺はマクシミリアンと滑走路に降りて、子どもたちの活躍を眺めた。
 マクシミリアンがまた大笑いしている。

 「奴らの自慢の戦力が、こんなに簡単に! イシガミ、お前は最高だ!」
 
 10分後。
 演習場周辺は更地になっていた。
 俺はその間に、マクシミリアンとここの将官を探し出した。
 身長2メートル近い男で、抵抗の意志は無いと言った。

 「お前らが大層強いと聞いて来たんだがな」
 「勘弁してくれ」
 「もう降参か?」
 「当たり前だ」
 「お前の首をモップの柄に刺せばいいんだよな?」
 「それでもいい。もう誰も抵抗しない」

 マクシミリアンに気付いた。

 「マクシミリアンか! お前がこいつらを連れて来たのか」
 「違う。俺も連れて来てもらっただけだ。お前たちはイシガミに逆らった。「虎」の軍にちょっかいを出したんだ」
 「「虎」の軍だと! なんてことだ」
 「お前たちももう終わりだ。「虎」の軍に降らなければ、全員が殺される」
 「それは「デア・グローセ(Der Große:偉大な方々)」が決めることだ」
 
 子どもたちが集まった。

 「よし! じゃあ、次行くぞ!」
 「「「「はい!」」」」

 俺たちはまた上昇し、ボン郊外の城へ向かった。
 そこが「シュヴァルツェス・ブルート」の本部とのことだった。




 小腹が空いたので、ボンの市内で食事にした。
 適当な店に入り、俺が注文する。
 子どもたちの旺盛な喰いっぷりに、店主が喜んだ。
 様々なブルストを子どもたちがどんどん喰う。
 
 「ザワークラウトも喰え!」
 「「「「はーい」」」」

 ちょっと食べた。
 美味しくないと文句を言っていた。
 まあ、俺も好きではない。
 店主が俺に声を掛けて来た。

 「ヘンな服着てるね!」
 「ショーの途中なんだ」
 「へぇー!」

 ルーがブラックカードで支払い、店主が驚いた。

 「また来なよ!」

 丁度連絡も行っているだろう。
 「準備」は整っているはずだ。
 俺たちは城へ向かった。




 直接庭に降り、まっすぐに城の玄関へ向かう。
 やはり連絡が行っていたようで、抵抗する者はいない。
 玄関前に人が立っていたが、俺が「震花」でドアを吹っ飛ばす。
 慌てて人間が脇にどいた。

 中で執事らしい男が蹲っていた。
 俺たちが入ると、根性で立ち上がった。

 「デア・グローセがお待ちです」

 俺たちを案内する。
 4階までエレベーターで上がり、長い廊下を歩く。
 途中で様々な動物のヘッドの剥製が掛かっており、双子が興味を引かれていた。

 突き当りの部屋のドアを執事が開いた。

 円形の巨大なテーブルがあり、向こう側に8人の老人たちが座っていた。

 「自己紹介は必要ねぇな?」

 老人たちが頷く。
 俺たちは適当な椅子に腰かけた。
 20人ほどが座れる大きさだった。
 亜紀ちゃんが紙を持って、真ん中の老人に渡そうとした。
 護衛らしい男たちが動いたので、「槍雷」でぶっ飛ばす。
 老人たちは手出しをするなと言った。

 「これは?」
 「請求書だ。ハインリヒとエリアスが、俺の店で無銭飲食をした」
 「申し訳ないが、日本語は読めない」
 「ちっ!」

 俺は読み上げてやった。

 「それとは別に、俺の一部門が襲われた。その分は別の請求だ」
 「分かった」
 「お前らの軍隊に襲われると言われた。これはもう戦争と考えていいな?」
 「待ってくれ! 我々に敵対の意志はない!」
 「それは負けてから言うことじゃないぜ?」
 「本当だ! 君たちの戦力を測ろうとしたことは認める! だが、被害を与えるつもりは無かった!」

 その通りだろう。
 キャバレーでも千万組の人間に大した怪我は無かった。

 「俺たちの愛するドールが破壊された」
 「なんだと?」
 「許さんぞ」
 「ま、待て! どんな要求でも受け入れる! だから待ってくれ!」
 「お前たちの全ての拠点を破壊し、お前たちを皆殺しに出来る」
 「分かっている! あなたに逆らう気は無いのだ!」

 「マクシミリアン、どう思う?」
 「さて、全部無くしてしまった方が良いのではないか?」
 「マクシミリアン、貴様!」

 マクシミリアンは有名な男らしい。
 俺の隣で笑顔でいる。

 「まあ、俺もそうしてもいいんだがな。大した手間も無さそうだしな」
 「頼むから待ってくれ!」

 老人たちが懇願した。
 最強の手札が呆気なく潰されたことで、相当なショックを受けている。

 「イシガミ、一応話を聞いてみてもいいんじゃないか?」
 「お前がそう言うなら仕方が無いな」

 マクシミリアンは役どころを弁えていた。
 バチカンが俺の盟友であることを示しているのだ。
 バチカンに敵対する「シュヴァルツェス・ブルート」の連中に、それが通じた。
 これでバチカンにこいつらの制御を頼める。

 「さて、じゃあ交渉してみるか」




 俺の獰猛な笑顔に、「デア・グローセ」の老人たちが慄いた。
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