1,612 / 2,808
道間家のハイファ Ⅱ
しおりを挟む
「これはどういうことだぁ!」
俺は状況に動揺しつつも、先ほどまで取り乱していた麗星が黙っていることが気になった。
隣の麗星を見る。
麗星は口を小さく開いたまま、血の涙を零していた。
天狼の光は収まった。
「おい! 麗星に何をした!」
「少々騒がしく、黙って頂きました」
「すぐに戻せ!」
「「双虎王」の主様と雖も、わたくしを妨げることは出来ません」
俺は「虎王」を呼ぼうとした。
しかし、それが出来ないことが分かった。
「ホホホホ、この道間家の中では「虎王」もお呼びになれますまい」
ハイファには俺の心が読めるようだった。
「「地の王」をお呼びになりますか。それはまた随分と」
呼べなかった。
俺の口が、その名を唱えられなかった。
《て、てんろ……》
血の涙を流しながら、麗星が呟いた。
どのような技か、全身が動かせずにいる中で、必死に何かを言おうとしている。
そのために血の涙を流しているのだ。
俺の腕の中で天狼の身体が熱くなっていく。
猶予がないと感じた。
「天狼の熱が上がっているぞ!」
「ここで死ぬのであれば、そこまでの者。次の天狼をまた生めば良い」
「てめぇ! ぶっ飛ばすぞ!」
「道間家の中にいる限り、誰であろうとわたくしを妨げることは出来ませぬ」
「舐めるなぁ!」
俺は左手を前に出した。
目の前に「魔法陣」が浮かび出す。
道間家がどうなるのか分からないが、今は迷っている場合ではない。
これまで上空にしか放ったことの無い「魔法陣」での攻撃を、水平に撃てば、その方角の京都の町が破壊されるだろう。
しかし、それ程の威力で無ければ、目の前のハイファを斃すことが出来ないと俺の勘が告げていた。
しばし俺のやろうとしていることは、ハイファには理解出来なかったようだが、途中で気付いた。
「なんと! それは!」
「覚悟しろ!」
麗星が俺を見ているのが分かった。
拘束された身体で、小さく瞼を閉じて俺に示した。
その時、ロボが前に飛び出した。
「なんだ?」
ハイファが訝しんでいる。
「動けるはずが無いのに、なぜこれは動いている?」
ロボが俺の前でハイファを見ている。
「お前、何者……!」
ハイファが何かに気付いた。
「ま……さか。そんな者が……」
ハイファが床に跪いた。
「かしこまりました。わたくしの思い上がりでございました」
「天狼!」
麗星が叫んだ。
俺の腕から天狼を抱きかかえる。
「五平所!」
廊下の先で倒れている五平所がふらつきながら立ち上がった。
麗星は部屋に入り、俺を手招いて再び天狼を預け、自分は走って行った。
俺は椅子に座り、麗星を待った。
天狼の熱はまだ高い。
顔が赤く、苦しそうにしている。
「天狼! しっかりしろ!」
俺は叫び続けた。
《ぷす》
俺の隣の椅子にロボが飛び乗り、天狼の頭に爪を刺した。
「おい!」
天狼の顔が白く戻り、安らかに寝息を立て始めた。
「……」
六花とよしこは椅子に座ったまま眠っていた。
ベビーベッドにいる吹雪を、天狼を抱いたまま様子を見た。
吹雪は目を開けて俺と天狼を見ていた。
「おい、お前のお兄ちゃんの天狼だ。会えて良かったな」
吹雪が俺に手を伸ばし、俺はその小さな手を握った。
麗星が駆け戻って来る音がし、俺は廊下へ出た。
「天狼をこの上に!」
麗星は分厚い座布団のようなものを持って来た。
俺は天狼をその上に乗せた。
麗星が泣きながら天狼を見ている。
「必ず助けます! 天狼! しっかりなさい!」
俺は天狼が元に戻ったと言った。
「ほんとうに! ああ! 天狼!」
麗星は天狼の身体に顔を埋めた。
身体を振るわせて泣いていた。
俺は麗星の肩を抱いて、部屋の中へ入れて椅子に座らせた。
「おい、お前も入れ」
先ほどと同じ姿勢で床に跪いていたハイファを呼んだ。
ハイファは立ち上がって、俺に言われるまま部屋へ入った。
五平所が自分で何とか歩きながら部屋へ入る。
六花とよしこはまだ眠っている。
無理に起こさない方がいいのかもしれない。
ロボが俺の隣の椅子に乗り、俺の膝に身体を預けながらハイファを見ていた。
ハイファは酷く脅えていた。
「ハイファは、この道間家を守護する最強の妖魔なのです」
麗星がようやく落ち着いてから説明した。
「いつの代からそうであるのかは、今ではもう分かりません。道間家の最大の秘密であり、何度か道間家の危機を救って来たのです」
「そうなのか」
「「業」により一族が滅ぼされた折、わたくしが一人助かりましたのも、ハイファのお陰でした。わたくしの存在をハイファが隠してくれたのです」
そういう経緯があったことは初めて知った。
「宇羅はハイファのことは知っていたんじゃないのか?」
「はい。しかし宇羅は既に道間家に敵対する者になっておりました。そのような者は、ハイファのことは記憶から消えます」
「なんだと?」
「ハイファはそれほどの力があるのです。あやかしの「王」と雖も、ハイファは渡り合えます」
「……」
想像を超える力のようだ。
「こいつも「王」なのか?」
「そうではございませんが。ハイファについてはわたくしの口からも申し上げられないのです。わたくしが隠しているわけではございません。本当の意味で、ご説明できないのです」
「そうか」
そのような「仕組み」になっているのだろう。
それが言えなくなっていることなのか、それとも知らないということなのかは分からない。
とにかく、麗星は話せないのだ。
「じゃあ、俺から聞こう。ハイファ、お前は何者なのだ?」
ハイファは俺を見詰めていた。
「わたくしは道間家を《$%’%》に引き上げるためにいる者」
聞き取れなかった。
「その運命を知る者。そして、ようやく「双虎王」の主様と巡り合い、その時が来たことを知ったのです」
「天狼を殺そうとしやがって!」
「そうではございません。天狼も「試練」に耐えることは、わたくしには分かっておりました」
「なんだと?」
「それが、このような仕儀になることは見えておりませんでしたが。まさか、そのような存在が介入するとは……」
ロボのことだろうが。
「うちのロボはカワイイ猫だぁ!」
「ニャー!」
ハイファがまた床に跪いて頭を垂れた。
「はい。これで滞りなく、道間家は引き上げられることになりました」
「なんだよ、そりゃ」
麗星が言った。
「ハイファ、それは石神様の御血が入ったためですか?」
「その通りでございます。道間家は「双虎王」の主様の下で、新たな繁栄を約束されました」
「まあ、なんという!」
麗星が喜んでいる。
「おい、こんなでたらめな奴は追い出せよ」
「そうはまいりません。ハイファはこの道間家にとっては絶対に必要な者なのです」
「しかしなぁ」
「今回のことはわたくしも慌てましたが、ハイファは理解出来ずとも、道間家のためにのみ動く者なのです」
「はぁ」
俺はため息を吐くしかなかった。
ハイファは天狼が死んでもその次があると考える。
麗星は感情的にはともかく、その正しさを信じている。
血の涙を零しながら天狼を守りたいと思っていてもだ。
道間家の当主は、それほどの厳しい道を歩んでいるのだ。
そのことだけは分かった。
「天狼は、天の運命を背負う者であることが、今回わたくしにも分かりました」
「うるせぇ!」
麗星がハイファに聞いた。
「天狼は「神通」を通すために儀式の最中でしたが、それはどうなりますか?」
「はい、麗星様。それは既につつがなく成りました。「双虎王」の主様のお力で、道間家で最高の御身になられました」
「そうなのですか!」
「おい」
「あなた様! ありがとうございました!」
「なんだよ?」
「わたくしも、あれだけ一気に開けば御身がもたないことも危惧いたしましたが」
「てめぇ! やっぱり!」
「しかし、天の運命が天狼を導きました。よもや、そのような存在がここにいるとは」
ロボか。
「それに、同じく「双虎王」の主様の御血を引くその子ども。その者との邂逅も、天狼には必要であったかと」
「そうなのですか!」
「おい、六花とよしこを起こせ!」
「仰せのままに」
俺が二人を見ると、目を覚ましたようだった。
「おい、大丈夫か?」
「虎……何があったんですか?」
「ああ、この野郎が精神攻撃で眠らせていたようだ」
「そうなんですか?」
六花はまだ意識が朦朧としているようだったが、無事なようだ。
よしこも戸惑っているが大丈夫だろう。
「おい、酔いが覚めたぜ。もう寝るぞ」
俺は天狼にキスをし、吹雪を抱き上げて部屋を出た。
六花が俺に腕を絡めて一緒に歩く。
よしこが慌てて吹雪のベッドを抱えてついてきた。
五平所が追いかけてこようとして、後ろで転んだ。
「おい、無理するな」
「すいません!」
俺は六花と一緒に寝た。
よしこは隣の部屋に入る。
ロボは俺の枕の上に横になった。
「ロボ、ありがとうな」
腕を上げて身体を撫でてやると、「ゴロゴロ」と喉を鳴らした。
六花も頭を撫でてやる。
「ところで、何があったんです?」
「明日にしてくれ。今日は疲れた」
「はーい!」
六花が俺の首に顔を埋めて匂いを嗅いでいた。
俺は笑って六花の髪を撫でていると、やがて六花が眠った。
暗闇の中で、しばらく闇を見ていた。
道間家の想像以上の深さを思った。
「やっぱり俺は、剣で斬り合ってる家の方がいいぜ」
六花のいい匂いを嗅ぎながら、俺も眠った。
俺は状況に動揺しつつも、先ほどまで取り乱していた麗星が黙っていることが気になった。
隣の麗星を見る。
麗星は口を小さく開いたまま、血の涙を零していた。
天狼の光は収まった。
「おい! 麗星に何をした!」
「少々騒がしく、黙って頂きました」
「すぐに戻せ!」
「「双虎王」の主様と雖も、わたくしを妨げることは出来ません」
俺は「虎王」を呼ぼうとした。
しかし、それが出来ないことが分かった。
「ホホホホ、この道間家の中では「虎王」もお呼びになれますまい」
ハイファには俺の心が読めるようだった。
「「地の王」をお呼びになりますか。それはまた随分と」
呼べなかった。
俺の口が、その名を唱えられなかった。
《て、てんろ……》
血の涙を流しながら、麗星が呟いた。
どのような技か、全身が動かせずにいる中で、必死に何かを言おうとしている。
そのために血の涙を流しているのだ。
俺の腕の中で天狼の身体が熱くなっていく。
猶予がないと感じた。
「天狼の熱が上がっているぞ!」
「ここで死ぬのであれば、そこまでの者。次の天狼をまた生めば良い」
「てめぇ! ぶっ飛ばすぞ!」
「道間家の中にいる限り、誰であろうとわたくしを妨げることは出来ませぬ」
「舐めるなぁ!」
俺は左手を前に出した。
目の前に「魔法陣」が浮かび出す。
道間家がどうなるのか分からないが、今は迷っている場合ではない。
これまで上空にしか放ったことの無い「魔法陣」での攻撃を、水平に撃てば、その方角の京都の町が破壊されるだろう。
しかし、それ程の威力で無ければ、目の前のハイファを斃すことが出来ないと俺の勘が告げていた。
しばし俺のやろうとしていることは、ハイファには理解出来なかったようだが、途中で気付いた。
「なんと! それは!」
「覚悟しろ!」
麗星が俺を見ているのが分かった。
拘束された身体で、小さく瞼を閉じて俺に示した。
その時、ロボが前に飛び出した。
「なんだ?」
ハイファが訝しんでいる。
「動けるはずが無いのに、なぜこれは動いている?」
ロボが俺の前でハイファを見ている。
「お前、何者……!」
ハイファが何かに気付いた。
「ま……さか。そんな者が……」
ハイファが床に跪いた。
「かしこまりました。わたくしの思い上がりでございました」
「天狼!」
麗星が叫んだ。
俺の腕から天狼を抱きかかえる。
「五平所!」
廊下の先で倒れている五平所がふらつきながら立ち上がった。
麗星は部屋に入り、俺を手招いて再び天狼を預け、自分は走って行った。
俺は椅子に座り、麗星を待った。
天狼の熱はまだ高い。
顔が赤く、苦しそうにしている。
「天狼! しっかりしろ!」
俺は叫び続けた。
《ぷす》
俺の隣の椅子にロボが飛び乗り、天狼の頭に爪を刺した。
「おい!」
天狼の顔が白く戻り、安らかに寝息を立て始めた。
「……」
六花とよしこは椅子に座ったまま眠っていた。
ベビーベッドにいる吹雪を、天狼を抱いたまま様子を見た。
吹雪は目を開けて俺と天狼を見ていた。
「おい、お前のお兄ちゃんの天狼だ。会えて良かったな」
吹雪が俺に手を伸ばし、俺はその小さな手を握った。
麗星が駆け戻って来る音がし、俺は廊下へ出た。
「天狼をこの上に!」
麗星は分厚い座布団のようなものを持って来た。
俺は天狼をその上に乗せた。
麗星が泣きながら天狼を見ている。
「必ず助けます! 天狼! しっかりなさい!」
俺は天狼が元に戻ったと言った。
「ほんとうに! ああ! 天狼!」
麗星は天狼の身体に顔を埋めた。
身体を振るわせて泣いていた。
俺は麗星の肩を抱いて、部屋の中へ入れて椅子に座らせた。
「おい、お前も入れ」
先ほどと同じ姿勢で床に跪いていたハイファを呼んだ。
ハイファは立ち上がって、俺に言われるまま部屋へ入った。
五平所が自分で何とか歩きながら部屋へ入る。
六花とよしこはまだ眠っている。
無理に起こさない方がいいのかもしれない。
ロボが俺の隣の椅子に乗り、俺の膝に身体を預けながらハイファを見ていた。
ハイファは酷く脅えていた。
「ハイファは、この道間家を守護する最強の妖魔なのです」
麗星がようやく落ち着いてから説明した。
「いつの代からそうであるのかは、今ではもう分かりません。道間家の最大の秘密であり、何度か道間家の危機を救って来たのです」
「そうなのか」
「「業」により一族が滅ぼされた折、わたくしが一人助かりましたのも、ハイファのお陰でした。わたくしの存在をハイファが隠してくれたのです」
そういう経緯があったことは初めて知った。
「宇羅はハイファのことは知っていたんじゃないのか?」
「はい。しかし宇羅は既に道間家に敵対する者になっておりました。そのような者は、ハイファのことは記憶から消えます」
「なんだと?」
「ハイファはそれほどの力があるのです。あやかしの「王」と雖も、ハイファは渡り合えます」
「……」
想像を超える力のようだ。
「こいつも「王」なのか?」
「そうではございませんが。ハイファについてはわたくしの口からも申し上げられないのです。わたくしが隠しているわけではございません。本当の意味で、ご説明できないのです」
「そうか」
そのような「仕組み」になっているのだろう。
それが言えなくなっていることなのか、それとも知らないということなのかは分からない。
とにかく、麗星は話せないのだ。
「じゃあ、俺から聞こう。ハイファ、お前は何者なのだ?」
ハイファは俺を見詰めていた。
「わたくしは道間家を《$%’%》に引き上げるためにいる者」
聞き取れなかった。
「その運命を知る者。そして、ようやく「双虎王」の主様と巡り合い、その時が来たことを知ったのです」
「天狼を殺そうとしやがって!」
「そうではございません。天狼も「試練」に耐えることは、わたくしには分かっておりました」
「なんだと?」
「それが、このような仕儀になることは見えておりませんでしたが。まさか、そのような存在が介入するとは……」
ロボのことだろうが。
「うちのロボはカワイイ猫だぁ!」
「ニャー!」
ハイファがまた床に跪いて頭を垂れた。
「はい。これで滞りなく、道間家は引き上げられることになりました」
「なんだよ、そりゃ」
麗星が言った。
「ハイファ、それは石神様の御血が入ったためですか?」
「その通りでございます。道間家は「双虎王」の主様の下で、新たな繁栄を約束されました」
「まあ、なんという!」
麗星が喜んでいる。
「おい、こんなでたらめな奴は追い出せよ」
「そうはまいりません。ハイファはこの道間家にとっては絶対に必要な者なのです」
「しかしなぁ」
「今回のことはわたくしも慌てましたが、ハイファは理解出来ずとも、道間家のためにのみ動く者なのです」
「はぁ」
俺はため息を吐くしかなかった。
ハイファは天狼が死んでもその次があると考える。
麗星は感情的にはともかく、その正しさを信じている。
血の涙を零しながら天狼を守りたいと思っていてもだ。
道間家の当主は、それほどの厳しい道を歩んでいるのだ。
そのことだけは分かった。
「天狼は、天の運命を背負う者であることが、今回わたくしにも分かりました」
「うるせぇ!」
麗星がハイファに聞いた。
「天狼は「神通」を通すために儀式の最中でしたが、それはどうなりますか?」
「はい、麗星様。それは既につつがなく成りました。「双虎王」の主様のお力で、道間家で最高の御身になられました」
「そうなのですか!」
「おい」
「あなた様! ありがとうございました!」
「なんだよ?」
「わたくしも、あれだけ一気に開けば御身がもたないことも危惧いたしましたが」
「てめぇ! やっぱり!」
「しかし、天の運命が天狼を導きました。よもや、そのような存在がここにいるとは」
ロボか。
「それに、同じく「双虎王」の主様の御血を引くその子ども。その者との邂逅も、天狼には必要であったかと」
「そうなのですか!」
「おい、六花とよしこを起こせ!」
「仰せのままに」
俺が二人を見ると、目を覚ましたようだった。
「おい、大丈夫か?」
「虎……何があったんですか?」
「ああ、この野郎が精神攻撃で眠らせていたようだ」
「そうなんですか?」
六花はまだ意識が朦朧としているようだったが、無事なようだ。
よしこも戸惑っているが大丈夫だろう。
「おい、酔いが覚めたぜ。もう寝るぞ」
俺は天狼にキスをし、吹雪を抱き上げて部屋を出た。
六花が俺に腕を絡めて一緒に歩く。
よしこが慌てて吹雪のベッドを抱えてついてきた。
五平所が追いかけてこようとして、後ろで転んだ。
「おい、無理するな」
「すいません!」
俺は六花と一緒に寝た。
よしこは隣の部屋に入る。
ロボは俺の枕の上に横になった。
「ロボ、ありがとうな」
腕を上げて身体を撫でてやると、「ゴロゴロ」と喉を鳴らした。
六花も頭を撫でてやる。
「ところで、何があったんです?」
「明日にしてくれ。今日は疲れた」
「はーい!」
六花が俺の首に顔を埋めて匂いを嗅いでいた。
俺は笑って六花の髪を撫でていると、やがて六花が眠った。
暗闇の中で、しばらく闇を見ていた。
道間家の想像以上の深さを思った。
「やっぱり俺は、剣で斬り合ってる家の方がいいぜ」
六花のいい匂いを嗅ぎながら、俺も眠った。
1
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
まさか、、お兄ちゃんが私の主治医なんて、、
ならくま。くん
キャラ文芸
おはこんばんにちは!どうも!私は女子中学生の泪川沙織(るいかわさおり)です!私こんなに元気そうに見えるけど実は貧血や喘息、、いっぱい持ってるんだ、、まあ私の主治医はさすがに知人だと思わなかったんだけどそしたら血のつながっていないお兄ちゃんだったんだ、、流石にちょっとこれはおかしいよね!?でもお兄ちゃんが医者なことは事実だし、、
私のおにいちゃんは↓
泪川亮(るいかわりょう)お兄ちゃん、イケメンだし高身長だしもう何もかも完璧って感じなの!お兄ちゃんとは一緒に住んでるんだけどなんでもてきぱきこなすんだよね、、そんな二人の日常をお送りします!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
俺の幼馴染がエロ可愛すぎてヤバい。
ゆきゆめ
キャラ文芸
「お〇ん〇ん様、今日もお元気ですね♡」
俺・浅間紘(あさまひろ)の朝は幼馴染の藤咲雪(ふじさきゆき)が俺の朝〇ちしたムスコとお喋りをしているのを目撃することから始まる。
何を言っているか分からないと思うが安心してくれ。俺も全くもってわからない。
わかることと言えばただひとつ。
それは、俺の幼馴染は最高にエロ可愛いってこと。
毎日毎日、雪(ゆき)にあれやこれやと弄られまくるのは疲れるけれど、なんやかんや楽しくもあって。
そしてやっぱり思うことは、俺の幼馴染は最高にエロ可愛いということ。
これはたぶん、ツッコミ待ちで弄りたがりやの幼馴染と、そんな彼女に振り回されまくりでツッコミまくりな俺の、青春やラブがあったりなかったりもする感じの日常コメディだ。(ツッコミはえっちな言葉ではないです)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン歯科医の日常
moa
キャラ文芸
堺 大雅(さかい たいが)28歳。
親の医院、堺歯科医院で歯科医として働いている。
イケメンで笑顔が素敵な歯科医として近所では有名。
しかし彼には裏の顔が…
歯科医のリアルな日常を超短編小説で書いてみました。
※治療の描写や痛い描写もあるので苦手な方はご遠慮頂きますようよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる