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ホテルの夜
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みんなで楽しく飲んで、11時を過ぎて解散になった。
ルーが支払いをしようとすると、木村さんに断られた。
「でも、こんな大勢で散々飲んだのに!」
「いいって。石神のお子さんとそのお友達だからな」
「そうは行きませんよ!」
「あのさ」
「はい」
「十河さんを紹介した後でさ」
「はい?」
「あいつからとんでもないものを送られたんだ」
「あぁー!」
レッドダイヤモンドだろう。
「あれをさ、親戚の宝石店で引き取ってくれてさ」
「家に置いとくと危ないですもんね」
「そうだよ! とんでもない金額になったんだよ!」
「アハハハハ!」
そういうことなら、とご馳走になった。
タカさんに話せば、また何か送ってくれるだろう。
佐藤先輩は木村さんの家に泊るそうだ。
「また石神に、ねぶた祭に来いって伝えてくれ」
「はい! 必ず!」
「君たちもね。歓迎するから」
「ありがとうございます!」
輝美さんの運転で、また送ってもらった。
翌日の午後。
昼食の後で、また木村さんがマイクロバスで迎えに来てくれた。
佐藤先輩は帰られたそうだ。
夕べの御礼を全員で言って、案内を頼んだ。
「メールで送ってもらった通りでいいかな?」
「はい! お願いします!」
木村さんが笑顔で出発させた。
「しかし、変わったサークル活動だね」
「はい! 「カタストロフィ研究会」といいますが、今後の「業」との戦争で日本を守るにはどうすればいいのかを研究するという」
「アハハハハハ! それはまた大変だ」
「はい!」
木村さんが笑った。
地元の方の案内なので、スムーズに移動できる。
現場では、私たちが本格的な測量をするので、驚いていた。
全員で手分けして測量や写真、動画を撮影する。
皇紀に組んでもらったドローンもある。
空撮もしていく。
みんなフィールドワークの楽しさを味わっていた。
「随分と本格的だね」
「はい! 日本を守りますよー!」
「よろしくね!」
13か所を回り、最後に十河さんの家に向かった。
「タカさんが、懐かしく思うかもしれないから、写真を撮っておいてくれって」
「そうか」
しかし、十河さんの家は無かった。
建物は撤去され、更地になっていた。
「東京に移られたんだよね」
「はい。今もお元気なんですが」
「もう、ここへ戻る気は無かったんだろうな」
「そうですね」
ルーとハーが土地を見詰めていた。
二人の傍へ行った。
「ここはいい土地だね」
「滅多に無いいい土地だね」
「そうなんだ」
私たちはホテルまで送ってもらった。
木村さんに一緒に夕飯をと誘ったが、今日は帰るとおっしゃった。
散々お世話になったお礼をみんなで言う。
「じゃあ、石神に宜しくね」
笑って手を振って帰られた。
今日はみんなでお風呂を楽しんだ。
その後でホテルの中を散策し、タカさんたちのお土産を探した。
ねぶた柄の浴衣を買った。
夕飯はまたビュッフェ形式で頂き、特別料金を支払って、囲炉裏ラウンジでお酒を飲んだ。
ホテル内の居酒屋からお酒や料理が運ばれてくる。
専用のスタッフが付いて、注文を受けてくれた。
大きな囲炉裏があって、全員が座れた。
「また来たいね」
上坂さんが言った。
「そうですね」
「青森、守らなきゃね!」
「佐藤先輩や木村さんたちがいるもんね!」
ルーとハーが言った。
「亜紀さん、どうしました?」
私があまり話さないので、真夜が心配して聞いて来た。
「うん。さっきの十河さんの土地を見てね」
「はい。何か寂しかったですね」
「そうなんだ。あの人は生まれ育ったこの土地を捨てて東京に来てくれたんだね」
「そうですね」
真夜も十河さんのことは知っている。
お酒が好きだと聞いて、タカさんに断って、真夜と一緒に飲みに誘ったことがある。
慣れない東京で寂しがっているだろうからと、タカさんも喜んで承諾してくれた。
「私たちってさ。随分と甘い環境にいるんだなって思った」
「はい。確かに十河さんとは違いますね」
「命を懸けるとかなんとか言ってるけどさ。自分はこんな温かい場所にいる」
「亜紀さん……」
私は自分でも何を言っているのか分からなくなっていた。
「タカさんがいて、兄弟がいて、柳さんがいて、ロボがいて、真夜がいる」
「私、ロボさんの後ですか!」
真夜が私を元気づけようとしているのは分かっている。
「もしもどこかへ行かなきゃならなくなったら、真夜だけは付いて来てくれる?」
「もちろんです!」
真夜が私の手を取って言ってくれた。
「私はずっと亜紀さんと一緒ですよ!」
「ウフフフ、ありがとう」
明日も長距離の移動だからと、9時にはみんな切り上げた。
私は真夜を誘って夜の庭を歩いた。
広大な池があり、その周囲を散策した。
真夏だが、夜は涼しい。
真夜が私の腕を組んで来た。
「気持ち悪いなー」
「ゲヘヘヘヘ」
二人で笑い、そのまま歩いた。
所々、ライトアップされ、庭は美しかった。
「どうですか、石神さんと一緒に来たくなったでしょう?」
「もう、何言ってんの!」
タカさんの話題を出せば、私の機嫌が直ることを知っている。
池の中に突き出すように位置している浮見堂に行った。
「木村さんと美也さんね、幼馴染なんだって」
「ああ、凄く仲が良かったですよね」
「何度かね、間違いがあったらしい」
「アハハハハハ!」
「でもね、今でもああやっていい関係の友達なんだって」
「奥さんの輝美さんも美也さんとは仲がいいですよね」
真夜が笑って言った。
「私もさ」
「はい」
「タカさんと何度かは間違いがあって、それでもずっと仲良し親子でいたいな」
真夜が大笑いした。
ちょっと背中を叩く。
「いいですね! それ!」
「そうならないかなー」
「ちょっと難しいかもですね」
「なんでよ! 真夜も応援してよ!」
「だって、亜紀さんは素敵ですから。一度間違いがあったら、石神さんも夢中になるでしょう?」
「!」
私は真夜に、今夜はとことん飲むぞと言った。
真夜は必死にやめようと言った。
ルーが支払いをしようとすると、木村さんに断られた。
「でも、こんな大勢で散々飲んだのに!」
「いいって。石神のお子さんとそのお友達だからな」
「そうは行きませんよ!」
「あのさ」
「はい」
「十河さんを紹介した後でさ」
「はい?」
「あいつからとんでもないものを送られたんだ」
「あぁー!」
レッドダイヤモンドだろう。
「あれをさ、親戚の宝石店で引き取ってくれてさ」
「家に置いとくと危ないですもんね」
「そうだよ! とんでもない金額になったんだよ!」
「アハハハハ!」
そういうことなら、とご馳走になった。
タカさんに話せば、また何か送ってくれるだろう。
佐藤先輩は木村さんの家に泊るそうだ。
「また石神に、ねぶた祭に来いって伝えてくれ」
「はい! 必ず!」
「君たちもね。歓迎するから」
「ありがとうございます!」
輝美さんの運転で、また送ってもらった。
翌日の午後。
昼食の後で、また木村さんがマイクロバスで迎えに来てくれた。
佐藤先輩は帰られたそうだ。
夕べの御礼を全員で言って、案内を頼んだ。
「メールで送ってもらった通りでいいかな?」
「はい! お願いします!」
木村さんが笑顔で出発させた。
「しかし、変わったサークル活動だね」
「はい! 「カタストロフィ研究会」といいますが、今後の「業」との戦争で日本を守るにはどうすればいいのかを研究するという」
「アハハハハハ! それはまた大変だ」
「はい!」
木村さんが笑った。
地元の方の案内なので、スムーズに移動できる。
現場では、私たちが本格的な測量をするので、驚いていた。
全員で手分けして測量や写真、動画を撮影する。
皇紀に組んでもらったドローンもある。
空撮もしていく。
みんなフィールドワークの楽しさを味わっていた。
「随分と本格的だね」
「はい! 日本を守りますよー!」
「よろしくね!」
13か所を回り、最後に十河さんの家に向かった。
「タカさんが、懐かしく思うかもしれないから、写真を撮っておいてくれって」
「そうか」
しかし、十河さんの家は無かった。
建物は撤去され、更地になっていた。
「東京に移られたんだよね」
「はい。今もお元気なんですが」
「もう、ここへ戻る気は無かったんだろうな」
「そうですね」
ルーとハーが土地を見詰めていた。
二人の傍へ行った。
「ここはいい土地だね」
「滅多に無いいい土地だね」
「そうなんだ」
私たちはホテルまで送ってもらった。
木村さんに一緒に夕飯をと誘ったが、今日は帰るとおっしゃった。
散々お世話になったお礼をみんなで言う。
「じゃあ、石神に宜しくね」
笑って手を振って帰られた。
今日はみんなでお風呂を楽しんだ。
その後でホテルの中を散策し、タカさんたちのお土産を探した。
ねぶた柄の浴衣を買った。
夕飯はまたビュッフェ形式で頂き、特別料金を支払って、囲炉裏ラウンジでお酒を飲んだ。
ホテル内の居酒屋からお酒や料理が運ばれてくる。
専用のスタッフが付いて、注文を受けてくれた。
大きな囲炉裏があって、全員が座れた。
「また来たいね」
上坂さんが言った。
「そうですね」
「青森、守らなきゃね!」
「佐藤先輩や木村さんたちがいるもんね!」
ルーとハーが言った。
「亜紀さん、どうしました?」
私があまり話さないので、真夜が心配して聞いて来た。
「うん。さっきの十河さんの土地を見てね」
「はい。何か寂しかったですね」
「そうなんだ。あの人は生まれ育ったこの土地を捨てて東京に来てくれたんだね」
「そうですね」
真夜も十河さんのことは知っている。
お酒が好きだと聞いて、タカさんに断って、真夜と一緒に飲みに誘ったことがある。
慣れない東京で寂しがっているだろうからと、タカさんも喜んで承諾してくれた。
「私たちってさ。随分と甘い環境にいるんだなって思った」
「はい。確かに十河さんとは違いますね」
「命を懸けるとかなんとか言ってるけどさ。自分はこんな温かい場所にいる」
「亜紀さん……」
私は自分でも何を言っているのか分からなくなっていた。
「タカさんがいて、兄弟がいて、柳さんがいて、ロボがいて、真夜がいる」
「私、ロボさんの後ですか!」
真夜が私を元気づけようとしているのは分かっている。
「もしもどこかへ行かなきゃならなくなったら、真夜だけは付いて来てくれる?」
「もちろんです!」
真夜が私の手を取って言ってくれた。
「私はずっと亜紀さんと一緒ですよ!」
「ウフフフ、ありがとう」
明日も長距離の移動だからと、9時にはみんな切り上げた。
私は真夜を誘って夜の庭を歩いた。
広大な池があり、その周囲を散策した。
真夏だが、夜は涼しい。
真夜が私の腕を組んで来た。
「気持ち悪いなー」
「ゲヘヘヘヘ」
二人で笑い、そのまま歩いた。
所々、ライトアップされ、庭は美しかった。
「どうですか、石神さんと一緒に来たくなったでしょう?」
「もう、何言ってんの!」
タカさんの話題を出せば、私の機嫌が直ることを知っている。
池の中に突き出すように位置している浮見堂に行った。
「木村さんと美也さんね、幼馴染なんだって」
「ああ、凄く仲が良かったですよね」
「何度かね、間違いがあったらしい」
「アハハハハハ!」
「でもね、今でもああやっていい関係の友達なんだって」
「奥さんの輝美さんも美也さんとは仲がいいですよね」
真夜が笑って言った。
「私もさ」
「はい」
「タカさんと何度かは間違いがあって、それでもずっと仲良し親子でいたいな」
真夜が大笑いした。
ちょっと背中を叩く。
「いいですね! それ!」
「そうならないかなー」
「ちょっと難しいかもですね」
「なんでよ! 真夜も応援してよ!」
「だって、亜紀さんは素敵ですから。一度間違いがあったら、石神さんも夢中になるでしょう?」
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真夜は必死にやめようと言った。
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