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皇紀と双子を先に寝かせ、俺は亜紀ちゃんと柳とで改めて飲んだ。
「石神さん、フルーツポンチって珍しいですよね」
「たまに作るけどな。蓮花が好きなんだよ」
「そうなんですか!」
亜紀ちゃんと柳が驚いた。
「あいつが子どもの頃にな。姉の蓮華と一緒に食べた思い出があるらしい。二人の世話をしていたサキさんという人がよく作ってくれたらしいんだ」
「そんな思い出が! ああ、今度行ったら沢山作りましょうよ!」
「アハハハハ! そうだな。あいつはちょっと子どもっぽいんで恥ずかしいとか言うんだけどな」
「そんなこと! 絶対に作りましょうね!」
「そうだな」
亜紀ちゃんと柳が、作り方を研究しようと言っていた。
「今日はみんなにああいう話をしたんだが、少し前に羽入が言っていたことが俺の中に突き刺さってな」
「羽入さんですか?」
みんな羽入と紅のことは知っている。
「羽入と紅のことは、元々は、蓮花との話が切っ掛けになったんだ」
「どういうお話だったんですか?」
「まあ、今日話したようなことだったんだ。蓮花はデュール・ゲリエたちを愛しているっていうことでな」
「ああ!」
「俺もその気持ちはよく分かった。だからな、本当に人間と機械が友情や愛情を抱き合えるんじゃないかってなぁ」
「あ! 乾さんとディディが!」
「そうだ。俺と蓮花の予想を超えて、あの二人は愛し合っているからな。それを、俺たち戦う者同士でも当然持てるだろうって」
「なるほど!」
「蓮花には夢があるんだ。これから世界中でデュール・ゲリエは人間を守っていく。そして俺たちと一緒に戦ってくれる。だったら、俺たちは戦友だ。蓮花はそういう人間と機械が共に手を取り合って互いを大事にしていく関係を築きたいと思っている」
「ただのロボットじゃないですよね!」
「そういうことだ」
皇紀くんや双子ちゃんにも分かったはずだ。
「それで、羽入さんの言葉が突き刺さったって?」
亜紀ちゃんが尋ねた。
「あいつらは、秋田の山中で強敵に遭遇した」
「はい。危なかったんですよね?」
先日、早乙女の「アドヴェロス」や左門の「対特殊生物部隊」と一緒に、拠点を殲滅した。
だから全員、羽入と紅の経緯は知っている。
「目標のライカンスロープは斃した。でもその直後に、別な強力なライカンスロープに襲われた。油断していた。索敵を閉じてしまったことから、紅は両足を喪い、羽入も脇腹を抉られた」
「はい」
「紅は羽入を逃がそうとした。でも羽入は逃げなかった。あいつは動けなくなった紅の前に立って、はらわたを零しながら戦った」
「スゴイですね」
「紅は自分の「ヴォイド機関」を暴走させて、敵ごと消滅するつもりだった」
「「桜花」ですよね」
「でも、羽入が秘奥義で打ち破った。大した奴だ」
柳が聞いて来た。
「石神さん、紅さんはそういうプログラムなんですよね?」
「それは違うよ、柳」
「え!」
「俺も蓮花も、デュール・ゲリエたちに、自爆するようには命じていない。機能は持たせているけどな。まあ、そういう機能を付けたわけではなく、「ヴォイド機関」の使い方でそういうことも出来るというだけだ。でも、人間を守るために使えという命令は下してはいないんだ」
「そ、それじゃ!」
「あいつらは、自分の判断で「桜花」を使うんだよ。大事な仲間と思ってな。自分の身を犠牲にして助けるためだ」
「そんな……」
亜紀ちゃんも驚いていた。
「だから言っただろう。蓮花はロボットを作っているんじゃないって。仲間を作ろうとしているんだ」
「ディディさんは、乾さんのためですよね?」
「ディディはそうだ。乾さんのためなら、何でもやるだろうよ」
「デュール・ゲリエたちは……」
「あいつらは、俺のために戦うことが最上の価値になっている。だから人間のように、恐ろしいから逃げ出すということは無いだろうけどな。命の使い方について、動物本能が無い分、純粋に行動する」
「崇高ですが、悲しいですね」
「そうだ。でも、悲しいからこそ、魂なんだよ。自分の身を守る心を持ってはいるが、その上に、崇高なものを持っている。戦って死ぬことを恐れない戦士なんだ」
「だから「デュール・ゲリエ(硬戦士)」……」
俺たちは少し沈黙した。
デュール・ゲリエのために、祈りたかった。
「それで羽入は瀕死の重傷を負った。紅が半狂乱でなぁ。運ぶのに苦労するくらいだった」
「そうですか……」
「俺たちに、絶対に羽入を死なせないでくれと、泣き叫んでいたよ。自分のことなど放っておいて、すぐに羽入を助けてくれってな。本来、俺に対しては絶対服従のはずなのに、俺が大人しくしろと言っても聞かなかった」
「プログラムを超えたんですね」
「まあ、プログラムと言っても、あいつらに備わっているのは尋常じゃねぇ人工知能だからな。核となる「価値観」から派生して言動が構築されるようになっている。俺のために戦うことがセントラル・ドグマだけどな。他にも仲間を大事にすることなんかも中心核になっているんだ」
「なるほど」
「紅は、羽入に対する「思い」が相当強くなっていたんだな。どういうわけか、紅は表には出さないツンデレになっちまったようだけどな」
三人で笑った。
「まあ、そこは若干、俺と蓮花の意向も組み込まれてのことだったけどな」
「どういうことですか?」
「最初から「羽入を愛せ」としたんじゃ、本当の愛情や友情は育たない。互いに一緒に生活し、戦って行くうちにそういう気持ちを育てて行って欲しかったんだ」
「ああ、素敵ですね」
「そうだろう? 最初に二人が出会った時には大喧嘩だったからなぁ。紅は自分の高性能で羽入を簡単に降せると思っていたようだが、羽入には真言を使った特殊な武道があった。それで辛勝だ」
俺は苦労して二人を運び、羽入を治療し、紅を修復した過程を話した。
「羽入の両腕は、無茶な使い方をして完全に潰れていた。流石の俺も苦労したぜ」
「でも、治したんですよね!」
「まあな。あの紅の姿を見たら、それ以外の選択肢はねぇ」
「「アハハハハ!」」
「俺が帰ってから、羽入が意識を取り戻して蓮花に言ったそうだ」
「何をですか?」
「紅が「桜花」を使えないようにして欲しいってな」
「「!」」
亜紀ちゃんと柳が驚く。
「俺は感動したよ。羽入はすげぇ奴だった。紅を心底愛していたんだ。愛する女として、自分のために死んで欲しくないのだと」
二人が涙を零した。
「タカさんは、そうしたんですか?」
「いや、断った」
「「え!」」
「いいか、羽入がそう思うのと同じように、紅も自分の命を燃やして使いたいんだよ。その心を止めることは出来ない」
「じゃあ、いつか危険な時には!」
「分からん。それはあいつらの運命だ」
「「!」」
俺は笑って、二人の頭を撫でた。
「羽入が言ったそうだ。死ぬのなら一緒に死ねばいいってな。あいつは紅が自分を助けようとして死ぬことが嫌だったんだ。ダメになったら、一緒に死のうと言った。紅も分かっただろうよ」
「そんな……」
「俺はあいつらの友情、愛情が堪らないぜ。あんなに美しいバディはいねぇだろうよ。互いを助けたいと思う仲間はいる。でもな、一緒に死にたいって相手は、そうは見つからないよ」
「そうですね」
亜紀ちゃんと柳は考えているようだった。
自分ならどうするのかということだ。
「これはだから、羽入と紅の運命だ。人間は、自分の命を自分以外のために使えばそれでいい。あの二人のような関係は特別だよ。ああいうものは、運命で繋がるしかない。求めたってダメだ」
「「はい!」」
「俺はお前らなんか死んでも平気だからな! 必ず俺を守って死ぬんだぞ!」
「「はい!」」
三人で笑った。
「私はタカさんのことなんか、好きでもなんでもないですけどね!」
「私も!」
「おお! ツンデレだな!」
「「アハハハハハハ!」」
その晩は三人で一緒に寝た。
「俺はロボを守って死ぬからな!」
「にゃー!」
ロボが俺に上に乗って顔を舐めて来た。
亜紀ちゃんと柳が笑っていた。
「石神さん、フルーツポンチって珍しいですよね」
「たまに作るけどな。蓮花が好きなんだよ」
「そうなんですか!」
亜紀ちゃんと柳が驚いた。
「あいつが子どもの頃にな。姉の蓮華と一緒に食べた思い出があるらしい。二人の世話をしていたサキさんという人がよく作ってくれたらしいんだ」
「そんな思い出が! ああ、今度行ったら沢山作りましょうよ!」
「アハハハハ! そうだな。あいつはちょっと子どもっぽいんで恥ずかしいとか言うんだけどな」
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「そうだな」
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「今日はみんなにああいう話をしたんだが、少し前に羽入が言っていたことが俺の中に突き刺さってな」
「羽入さんですか?」
みんな羽入と紅のことは知っている。
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「どういうお話だったんですか?」
「まあ、今日話したようなことだったんだ。蓮花はデュール・ゲリエたちを愛しているっていうことでな」
「ああ!」
「俺もその気持ちはよく分かった。だからな、本当に人間と機械が友情や愛情を抱き合えるんじゃないかってなぁ」
「あ! 乾さんとディディが!」
「そうだ。俺と蓮花の予想を超えて、あの二人は愛し合っているからな。それを、俺たち戦う者同士でも当然持てるだろうって」
「なるほど!」
「蓮花には夢があるんだ。これから世界中でデュール・ゲリエは人間を守っていく。そして俺たちと一緒に戦ってくれる。だったら、俺たちは戦友だ。蓮花はそういう人間と機械が共に手を取り合って互いを大事にしていく関係を築きたいと思っている」
「ただのロボットじゃないですよね!」
「そういうことだ」
皇紀くんや双子ちゃんにも分かったはずだ。
「それで、羽入さんの言葉が突き刺さったって?」
亜紀ちゃんが尋ねた。
「あいつらは、秋田の山中で強敵に遭遇した」
「はい。危なかったんですよね?」
先日、早乙女の「アドヴェロス」や左門の「対特殊生物部隊」と一緒に、拠点を殲滅した。
だから全員、羽入と紅の経緯は知っている。
「目標のライカンスロープは斃した。でもその直後に、別な強力なライカンスロープに襲われた。油断していた。索敵を閉じてしまったことから、紅は両足を喪い、羽入も脇腹を抉られた」
「はい」
「紅は羽入を逃がそうとした。でも羽入は逃げなかった。あいつは動けなくなった紅の前に立って、はらわたを零しながら戦った」
「スゴイですね」
「紅は自分の「ヴォイド機関」を暴走させて、敵ごと消滅するつもりだった」
「「桜花」ですよね」
「でも、羽入が秘奥義で打ち破った。大した奴だ」
柳が聞いて来た。
「石神さん、紅さんはそういうプログラムなんですよね?」
「それは違うよ、柳」
「え!」
「俺も蓮花も、デュール・ゲリエたちに、自爆するようには命じていない。機能は持たせているけどな。まあ、そういう機能を付けたわけではなく、「ヴォイド機関」の使い方でそういうことも出来るというだけだ。でも、人間を守るために使えという命令は下してはいないんだ」
「そ、それじゃ!」
「あいつらは、自分の判断で「桜花」を使うんだよ。大事な仲間と思ってな。自分の身を犠牲にして助けるためだ」
「そんな……」
亜紀ちゃんも驚いていた。
「だから言っただろう。蓮花はロボットを作っているんじゃないって。仲間を作ろうとしているんだ」
「ディディさんは、乾さんのためですよね?」
「ディディはそうだ。乾さんのためなら、何でもやるだろうよ」
「デュール・ゲリエたちは……」
「あいつらは、俺のために戦うことが最上の価値になっている。だから人間のように、恐ろしいから逃げ出すということは無いだろうけどな。命の使い方について、動物本能が無い分、純粋に行動する」
「崇高ですが、悲しいですね」
「そうだ。でも、悲しいからこそ、魂なんだよ。自分の身を守る心を持ってはいるが、その上に、崇高なものを持っている。戦って死ぬことを恐れない戦士なんだ」
「だから「デュール・ゲリエ(硬戦士)」……」
俺たちは少し沈黙した。
デュール・ゲリエのために、祈りたかった。
「それで羽入は瀕死の重傷を負った。紅が半狂乱でなぁ。運ぶのに苦労するくらいだった」
「そうですか……」
「俺たちに、絶対に羽入を死なせないでくれと、泣き叫んでいたよ。自分のことなど放っておいて、すぐに羽入を助けてくれってな。本来、俺に対しては絶対服従のはずなのに、俺が大人しくしろと言っても聞かなかった」
「プログラムを超えたんですね」
「まあ、プログラムと言っても、あいつらに備わっているのは尋常じゃねぇ人工知能だからな。核となる「価値観」から派生して言動が構築されるようになっている。俺のために戦うことがセントラル・ドグマだけどな。他にも仲間を大事にすることなんかも中心核になっているんだ」
「なるほど」
「紅は、羽入に対する「思い」が相当強くなっていたんだな。どういうわけか、紅は表には出さないツンデレになっちまったようだけどな」
三人で笑った。
「まあ、そこは若干、俺と蓮花の意向も組み込まれてのことだったけどな」
「どういうことですか?」
「最初から「羽入を愛せ」としたんじゃ、本当の愛情や友情は育たない。互いに一緒に生活し、戦って行くうちにそういう気持ちを育てて行って欲しかったんだ」
「ああ、素敵ですね」
「そうだろう? 最初に二人が出会った時には大喧嘩だったからなぁ。紅は自分の高性能で羽入を簡単に降せると思っていたようだが、羽入には真言を使った特殊な武道があった。それで辛勝だ」
俺は苦労して二人を運び、羽入を治療し、紅を修復した過程を話した。
「羽入の両腕は、無茶な使い方をして完全に潰れていた。流石の俺も苦労したぜ」
「でも、治したんですよね!」
「まあな。あの紅の姿を見たら、それ以外の選択肢はねぇ」
「「アハハハハ!」」
「俺が帰ってから、羽入が意識を取り戻して蓮花に言ったそうだ」
「何をですか?」
「紅が「桜花」を使えないようにして欲しいってな」
「「!」」
亜紀ちゃんと柳が驚く。
「俺は感動したよ。羽入はすげぇ奴だった。紅を心底愛していたんだ。愛する女として、自分のために死んで欲しくないのだと」
二人が涙を零した。
「タカさんは、そうしたんですか?」
「いや、断った」
「「え!」」
「いいか、羽入がそう思うのと同じように、紅も自分の命を燃やして使いたいんだよ。その心を止めることは出来ない」
「じゃあ、いつか危険な時には!」
「分からん。それはあいつらの運命だ」
「「!」」
俺は笑って、二人の頭を撫でた。
「羽入が言ったそうだ。死ぬのなら一緒に死ねばいいってな。あいつは紅が自分を助けようとして死ぬことが嫌だったんだ。ダメになったら、一緒に死のうと言った。紅も分かっただろうよ」
「そんな……」
「俺はあいつらの友情、愛情が堪らないぜ。あんなに美しいバディはいねぇだろうよ。互いを助けたいと思う仲間はいる。でもな、一緒に死にたいって相手は、そうは見つからないよ」
「そうですね」
亜紀ちゃんと柳は考えているようだった。
自分ならどうするのかということだ。
「これはだから、羽入と紅の運命だ。人間は、自分の命を自分以外のために使えばそれでいい。あの二人のような関係は特別だよ。ああいうものは、運命で繋がるしかない。求めたってダメだ」
「「はい!」」
「俺はお前らなんか死んでも平気だからな! 必ず俺を守って死ぬんだぞ!」
「「はい!」」
三人で笑った。
「私はタカさんのことなんか、好きでもなんでもないですけどね!」
「私も!」
「おお! ツンデレだな!」
「「アハハハハハハ!」」
その晩は三人で一緒に寝た。
「俺はロボを守って死ぬからな!」
「にゃー!」
ロボが俺に上に乗って顔を舐めて来た。
亜紀ちゃんと柳が笑っていた。
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