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石神家本家 Ⅳ

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 夜になった。
 石神家のみなさんは、まだ食べている。
 タカさんは結構食べたけど、また横になっていた。
 塞がってない傷口が多くなっている。

 「タカさん、大丈夫?」
 「おい、「Ω」と「オロチ」はあとどれくらいだ?」
 「うん、あと3回か4回分かな。不味いよ」
 「そうか、じゃあそろそろだな」
 「え?」

 タカさんはハマーからお酒を持って来るように言った。

 「半分でいい。ヒモで縛ってる奴からな」
 「はい、でも……」
 「とにかく持って来てくれ。ああ、酒を持って来たからと言ってからな」
 「「はい!」」

 虎白さんたちに声を掛けた。

 「あんだと!」
 「高虎! てめぇ何で黙ってた!」

 「すみません!」

 タカさんがまた土下座で謝ってる。
 またみんなに蹴られてる。
 私とハーはすぐに山を降って取りに行った。

 



 瓶を壊さないように、ハーと丁寧に運んだ。
 大体30本。

 「おう! こんなにか!」

 みんな喜んで瓶を一人ずつ開けて行った。
 そのまま飲むようだ。
 酒宴が始まった。
 みんな笑って、瓶から直接飲み始める。
 やっぱ、石神家はみんなお酒が好きみたいだ。
 残ったお肉とかまた焼いている。
 塩や味噌だけで飲んでる人もいる。

 私たちはタカさんの傍に戻った。
 タカさんは横になって目を閉じている。
 小声で話した。
 
 「おい、俺ももういい加減に限界だ」
 「「うん」」
 「あいつら! よくも好き勝手にやりやがって!」
 「でも逆らえないんでしょ?」
 「もう我慢出来るかぁ! 目に物見せてやる!」
 「え! 何をするの!」
 「「グングニール」をぶちかます!」
 「そしたらみんな死んじゃうよ!」
 「大丈夫だ。あの城をぶっ飛ばすからな」
 「「え!」」

 「そうすりゃ、俺の本気も分かるだろう。おったまげてる間に逃げるぞ」
 「大丈夫かなー」
 「俺に任せろ!」

 タカさんはこれから姿を隠すと言った。
 そうしたら私たちも探しに行く振りをして離れろと言われた。





 「おい! 高虎がいねぇぞ?」
 「あいつ! 逃げやがったか!」
 
 タカさんがいないのにみんなが気付いた。

 「私たち! ちょっと探してきます!」
 「おう! ああ、暗いから危ねぇや。おい! 誰か一緒についてけ!」

 私たちに二人の人が付いて来た。
 仕方が無い。

 私とハーが山の中に入ると、すぐにタカさんの大声が聞こえた。

 「てめぇら! よく見やがれ!」

 タカさんの声だった。

 「高虎ぁ! どこにいやがる!」

 次の瞬間、城の上に巨大な光の柱が立った。
 そこから激しい電光が拡がり、辺りが昼間よりも明るくなった。
 轟音が響く。

 私とハーは駆け戻った。
 誰か怪我してると大変だ。

 戻ると城は跡形も無く、地面に大きな窪みが出来ていた。
 周囲で燃えているものもある。
 虎白さんたちは全員無事だった。
 爆風が来たはずだが、みんなさっきのまま立ってる。
 流石だと思った。

 「ルー!」
 「うん!」

 虎白さんたちを見て驚いた。

 「みんな炎の柱だよ!」
 「タカさんと同じだぁ!」

 タカさんのものよりも大分小さいが、赤い炎の柱が虎白さんたちを覆っている。
 全員ではないが、15人のうち8人はそうだった。
 他の人たちも、全然違う巨大なエネルギーを感じる。
 あんなのが、タカさん以外にもあるなんて、想像もしなかった。

 タカさんが森の中から姿を現わした。

 「見たかぁ! ガーッハハハハハハ!」

 大笑いしていた。

 「高虎! 死ぬ覚悟はいいなぁ!」
 「え?」
 「てめぇ! 俺らの城をぶっ壊して、無事に済むと思うなよ!」
 「なんでぇ!」
 「あんなもんで! 俺らがビビると思うなよ!」
 「ビビれよ!」
 「お前ぇ! 元気そうじゃねぇか!」
 「てめぇ! 弱ったフリしてやがったかぁ!」

 みんなが日本刀を手に、タカさんに迫った。

 「「虎王」! 来い!」

 タカさんが叫び、両手を上に上げた。

 「高虎ぁ! ゴルァァ!」
 「ちょ! ちょっと待って! 今準備しますからぁ!」
 「ふざけんなぁ!
 「手足ぶった斬れ!」
 「殺してもいいぞ!」
 「俺らの城の仇を取れぇ!」
 「バラバラにしてやんよ!」

 何カ所か斬られているうちに、「虎王」が飛んで来た。
 タカさんが必死に掴んで空中に逃げる。

 「降りて来い! クサレがぁ!」
 「弓を持って来い!」
 「ガトリング砲があったろう!」
 「城の中だから、ぶっとんだぞ」
 「ちっくしょう! 高虎! 降りろ!」

 「虎王」を握ったタカさんは、自信満々に地上に降りて来た。

 「てめぇらぁ! 今度こそやってやる!」
 
 「全員! 奥義を使え!」
 「おう!」

 「連山!」
 「雲霧!」
 「露刃!」
 「月光雪崩!」
 「青光!」
 「乱鬼!」
 「雲竜!」
 「風切り!」
 「多目天!」
 「雷電!」
 「大元!」
 「煉獄!」
 「無間!」
 「回天!」
 「砂塵!」
 
 次々とタカさんに斬りかかった。
 タカさんも必死に応戦したが、たちまち切り刻まれた。
 血まみれになってぶっ飛ぶ。

 『ギャハハハハハハハハハ!!!!』

 みんなで動かなくなったタカさんをメッタ刺しにしていた。

 「「……」」

 またみんながお酒を飲み出した。






 「タカさん、生きてる?」
 「……」
 「「Ω」と「オロチ」、全部飲も?」
 「……」

 二人で口移しで飲ませた。

 「……」
 「「……」」






 タカさんは服を斬られて殆ど裸になってて、全身から白い泡をシュワシュワさせてた。
 大丈夫そうだった。
 ハーと交代で「手かざし」をしながら、またお肉を食べた。
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