1,542 / 2,818
「愛国義兵団」本部 襲撃
しおりを挟む
千両と桜はすぐに人員を配置してくれた。
火曜日の昼。
俺は病院を休んで、「日本一新会」の代表折原茂に会いに行った。
もちろんアポなどは無い。
千万組の連絡で、党本部にいることが分かっていた。
永田町の党本部で、自分の名前を名乗った。
「石神高虎だ。党代表の折原茂に会いに来た」
受付の人間が驚いていた。
「あの、折原はただいま……」
「早く取り次げ。俺が誰だか分かっているだろう!」
「はい! お待ちください!」
急いで内線を掛ける。
即座に案内された。
折原は秘書らしい男二人と一緒に部屋で待っていた。
「これは石神さん! 今日は一体……」
「タマ!」
俺の隣に着物姿のタマが現われる。
「こいつらを全て正直に話すようにしろ」
「分かった」
途端に三人が硬直した。
「あー、茶ぐらい出させれば良かった」
「俺が煎れよう」
タマが部屋を出て行った。
あいつ、できんのか?
しばらくして、若い女性が盆に茶を乗せて入って来た。
俺たちを見ても驚かない。
タマが洗脳したようだ。
俺は茶を口に入れた。
「一色六花を襲った件に関わる人間の名前を言え」
折原が自分と幹事長、その他の4人の名前を口にした。
この党の看板である女性議員・立川蓮葉の名前もあった。
立川蓮葉は元々タレントだったが政治家に転身し、美人である上に容赦ない舌鋒での追及で人気がある。
「日本一新会」が与党になった際には自由党の既得権益の破壊に大いに貢献し、各省庁や大手企業の癒着を追及して国民の人気を博した。
野党に墜落してからも、自由党のスキャンダルを国会で追及し、今も人気がある。
「「愛国義兵団」との窓口は誰だ」
「幹事長の大葉です」
「襲撃計画の中心人物は?」
「それも大葉です。大葉が計画を練り、私たちも賛成しました」
「ロシアとの接点は誰だ?」
「それも大葉です。《ボルーチ・バロータ(狼門)》との交渉は、すべて大場が取り仕切っていました。今回の計画も、《ボルーチ・バロータ》からの指示だったようです」
「!」
ロシアン・マフィアだ。
人間を化け物にする「デミウルゴス」の供給元だった組織だ。
やはり、「日本一新会」は「業」と繋がっていた。
俺は千両に電話し、今聞いた連中の確保を指示した。
俺は三人をハマーに乗せて移動した。
本部を出る前に、受付の人間の記憶と記録をタマに消させた。
俺は中野のうちの土地の中にある一軒家に折原たちを運んだ。
古い二階建ての家だった。
千両には穏便に連れて来るように指示したが、大場と立川蓮葉は拉致して来たようだ。
後から来た連中は、俺の姿を見て驚いていた。
「石神高虎……」
俺は威圧し、全員を畳みに座らせた。
千万組の人間を4人残し、あとは外を見張らせた。
「さて、お前たちがどうして集められたか分かっているな」
「あなた! これは犯罪ですよ!」
叫ぶ立川蓮葉の顔を蹴る。
後ろへ倒れながら、派手に鼻血を零した。
「お前ら! 俺の女を襲って命があると思うな!」
「「「「「「!」」」」」」
「六花を殺し、胎の子を人質にして俺を動かそうと思ったのか。絶対に許さん!」
全員が必死で命乞いをしてきた。
命が助かるのなら何でもすると言って来た。
涙と鼻水で顔をグシャグシャにしていた。
俺の威圧と、暴力に躊躇が無いことが分かったのだ。
「俺に協力しろ」
「何でもする!」
「お前たちに出来ることは少ない。無能で卑しい連中だからな」
全員が押し黙る。
しかし、命を永らえることで喜んでいる。
まったく、どうしようもない連中だ。
俺も、殺す気は無かった。
六花に何かをしていれば別だが、ド汚いことはしようとしていたが、実質何も出来ていない。
「ボルーチ・バロータをおびき出せ。上手く出来たら助けてやる」
「ほんとか!」
もちろん、命の保証だけだ。
妊婦を誘拐し、殺害しようとしたことは償ってもらう。
それに加えて、「業」の手先となって日本を陥れようとしたこと。
今後の日本で、それは大きな問題となる。
政治家が私欲で好き勝手にする時代は終わるのだ。
「まずは「愛国義兵団」だ。あの連中には消えてもらう」
大場に、全員を集めさせた。
誰かに電話し、俺に報告した。
「今晩、全員が「愛国義兵団」の本部に集まります」
「どのような理由だ?」
「私がそう言えば。重要な話があるので、全員を集めておくように言いました」
「それで集まるのか?」
「はい、必ず」
想像以上に大場と「愛国義兵団」との関係は強いらしい。
「ではお前たちも一緒に来い。俺たちを裏切ればどうなるのかを見せてやる」
六人が震えあがった。
俺は子どもたちに連絡し、千両と桜にも準備してうちに来るように言った。
千両は「虎王」を持ち、桜は素手だった。
二人とも、タイガーストライプのコンバットスーツだ。
「千両! 似合わねぇな!」
「はい!」
車は千万組で用意した。
白のハイエースと2トン車のトヨエースだ。
「日本一新会」の連中はトヨエースの荷台に突っ込む。
俺たちは埼玉県の春日部市にある「愛国義兵団」の本部へ向かった。
ハイエースは俺がハンドルを握り、トヨエースは桜が運転した。
ハイエースには亜紀ちゃん、双子、そして千両が乗っている。
「しかし、先日の鶏には驚きました」
「ワハハハハハ!」
「あの卵にも。大変美味しゅうございました」
「そうか!」
「石神さんには驚かされてばかりです」
「そうかよ」
俺の隣で千両が笑っている。
「今回はお前たちにも大分手間を掛けちまったな」
「いいえ」
「褒美ってわけじゃないけどな。今度アラスカへ連れて行ってやるよ」
「ありがとうございます」
「六花に子どもが生まれたら、是非見に来てくれ」
「はい、必ず」
「俺たちが残してやる次の世界に生きる人間だ」
「!」
「俺たちはそのために戦うんだからな」
「そのために、私らを?」
「そうだよ。また冥途のみやげが増えるな!」
「はい!」
千両が嬉しそうに笑っていた。
一時間後。
俺たちは「愛国義兵団」の本部に近づいた。
鉄筋の4階建ての建物が見える。
周辺は住宅と畑だ。
午後6時になっている。
「タカさん!」
「分かってる!」
双子が感知していた。
本部近くで張り込んでいた千万組の人間たちが駆け寄って来た。
「30分前までに、全員が建物の中に入りました」
「分かった。お前たちは離れていろ」
「はい!」
俺たちは手前の駐車場に車を入れた。
全員に説明する。
「妖魔化した奴が中にいる」
「「「はい!」」」
「生かしておくつもりだったが、それはナシだ」
「「「はい!」」」
「千両と桜もいいな!」
「「はい」」
「千両と桜は、議員たちと一緒に正面から入れ。あいつらは守らなくていいぞ」
「分かりました」
「お前たちが中へ入ったら、1分後に俺たちは突入する。俺はお前たちの後ろから。亜紀ちゃんとハーは屋上から。ルーは周囲を警戒し、逃げ出す奴を斃せ」
「「「はい!」」」
千両たちが中へ入って行った。
俺たちは少し離れて、それを観ていた。
火曜日の昼。
俺は病院を休んで、「日本一新会」の代表折原茂に会いに行った。
もちろんアポなどは無い。
千万組の連絡で、党本部にいることが分かっていた。
永田町の党本部で、自分の名前を名乗った。
「石神高虎だ。党代表の折原茂に会いに来た」
受付の人間が驚いていた。
「あの、折原はただいま……」
「早く取り次げ。俺が誰だか分かっているだろう!」
「はい! お待ちください!」
急いで内線を掛ける。
即座に案内された。
折原は秘書らしい男二人と一緒に部屋で待っていた。
「これは石神さん! 今日は一体……」
「タマ!」
俺の隣に着物姿のタマが現われる。
「こいつらを全て正直に話すようにしろ」
「分かった」
途端に三人が硬直した。
「あー、茶ぐらい出させれば良かった」
「俺が煎れよう」
タマが部屋を出て行った。
あいつ、できんのか?
しばらくして、若い女性が盆に茶を乗せて入って来た。
俺たちを見ても驚かない。
タマが洗脳したようだ。
俺は茶を口に入れた。
「一色六花を襲った件に関わる人間の名前を言え」
折原が自分と幹事長、その他の4人の名前を口にした。
この党の看板である女性議員・立川蓮葉の名前もあった。
立川蓮葉は元々タレントだったが政治家に転身し、美人である上に容赦ない舌鋒での追及で人気がある。
「日本一新会」が与党になった際には自由党の既得権益の破壊に大いに貢献し、各省庁や大手企業の癒着を追及して国民の人気を博した。
野党に墜落してからも、自由党のスキャンダルを国会で追及し、今も人気がある。
「「愛国義兵団」との窓口は誰だ」
「幹事長の大葉です」
「襲撃計画の中心人物は?」
「それも大葉です。大葉が計画を練り、私たちも賛成しました」
「ロシアとの接点は誰だ?」
「それも大葉です。《ボルーチ・バロータ(狼門)》との交渉は、すべて大場が取り仕切っていました。今回の計画も、《ボルーチ・バロータ》からの指示だったようです」
「!」
ロシアン・マフィアだ。
人間を化け物にする「デミウルゴス」の供給元だった組織だ。
やはり、「日本一新会」は「業」と繋がっていた。
俺は千両に電話し、今聞いた連中の確保を指示した。
俺は三人をハマーに乗せて移動した。
本部を出る前に、受付の人間の記憶と記録をタマに消させた。
俺は中野のうちの土地の中にある一軒家に折原たちを運んだ。
古い二階建ての家だった。
千両には穏便に連れて来るように指示したが、大場と立川蓮葉は拉致して来たようだ。
後から来た連中は、俺の姿を見て驚いていた。
「石神高虎……」
俺は威圧し、全員を畳みに座らせた。
千万組の人間を4人残し、あとは外を見張らせた。
「さて、お前たちがどうして集められたか分かっているな」
「あなた! これは犯罪ですよ!」
叫ぶ立川蓮葉の顔を蹴る。
後ろへ倒れながら、派手に鼻血を零した。
「お前ら! 俺の女を襲って命があると思うな!」
「「「「「「!」」」」」」
「六花を殺し、胎の子を人質にして俺を動かそうと思ったのか。絶対に許さん!」
全員が必死で命乞いをしてきた。
命が助かるのなら何でもすると言って来た。
涙と鼻水で顔をグシャグシャにしていた。
俺の威圧と、暴力に躊躇が無いことが分かったのだ。
「俺に協力しろ」
「何でもする!」
「お前たちに出来ることは少ない。無能で卑しい連中だからな」
全員が押し黙る。
しかし、命を永らえることで喜んでいる。
まったく、どうしようもない連中だ。
俺も、殺す気は無かった。
六花に何かをしていれば別だが、ド汚いことはしようとしていたが、実質何も出来ていない。
「ボルーチ・バロータをおびき出せ。上手く出来たら助けてやる」
「ほんとか!」
もちろん、命の保証だけだ。
妊婦を誘拐し、殺害しようとしたことは償ってもらう。
それに加えて、「業」の手先となって日本を陥れようとしたこと。
今後の日本で、それは大きな問題となる。
政治家が私欲で好き勝手にする時代は終わるのだ。
「まずは「愛国義兵団」だ。あの連中には消えてもらう」
大場に、全員を集めさせた。
誰かに電話し、俺に報告した。
「今晩、全員が「愛国義兵団」の本部に集まります」
「どのような理由だ?」
「私がそう言えば。重要な話があるので、全員を集めておくように言いました」
「それで集まるのか?」
「はい、必ず」
想像以上に大場と「愛国義兵団」との関係は強いらしい。
「ではお前たちも一緒に来い。俺たちを裏切ればどうなるのかを見せてやる」
六人が震えあがった。
俺は子どもたちに連絡し、千両と桜にも準備してうちに来るように言った。
千両は「虎王」を持ち、桜は素手だった。
二人とも、タイガーストライプのコンバットスーツだ。
「千両! 似合わねぇな!」
「はい!」
車は千万組で用意した。
白のハイエースと2トン車のトヨエースだ。
「日本一新会」の連中はトヨエースの荷台に突っ込む。
俺たちは埼玉県の春日部市にある「愛国義兵団」の本部へ向かった。
ハイエースは俺がハンドルを握り、トヨエースは桜が運転した。
ハイエースには亜紀ちゃん、双子、そして千両が乗っている。
「しかし、先日の鶏には驚きました」
「ワハハハハハ!」
「あの卵にも。大変美味しゅうございました」
「そうか!」
「石神さんには驚かされてばかりです」
「そうかよ」
俺の隣で千両が笑っている。
「今回はお前たちにも大分手間を掛けちまったな」
「いいえ」
「褒美ってわけじゃないけどな。今度アラスカへ連れて行ってやるよ」
「ありがとうございます」
「六花に子どもが生まれたら、是非見に来てくれ」
「はい、必ず」
「俺たちが残してやる次の世界に生きる人間だ」
「!」
「俺たちはそのために戦うんだからな」
「そのために、私らを?」
「そうだよ。また冥途のみやげが増えるな!」
「はい!」
千両が嬉しそうに笑っていた。
一時間後。
俺たちは「愛国義兵団」の本部に近づいた。
鉄筋の4階建ての建物が見える。
周辺は住宅と畑だ。
午後6時になっている。
「タカさん!」
「分かってる!」
双子が感知していた。
本部近くで張り込んでいた千万組の人間たちが駆け寄って来た。
「30分前までに、全員が建物の中に入りました」
「分かった。お前たちは離れていろ」
「はい!」
俺たちは手前の駐車場に車を入れた。
全員に説明する。
「妖魔化した奴が中にいる」
「「「はい!」」」
「生かしておくつもりだったが、それはナシだ」
「「「はい!」」」
「千両と桜もいいな!」
「「はい」」
「千両と桜は、議員たちと一緒に正面から入れ。あいつらは守らなくていいぞ」
「分かりました」
「お前たちが中へ入ったら、1分後に俺たちは突入する。俺はお前たちの後ろから。亜紀ちゃんとハーは屋上から。ルーは周囲を警戒し、逃げ出す奴を斃せ」
「「「はい!」」」
千両たちが中へ入って行った。
俺たちは少し離れて、それを観ていた。
1
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。
ゆらゆらぎ
恋愛
ある日、平民出身である侯爵夫人カトリーナは辺境へ行って二ヶ月間会っていない夫、ランドロフから執事を通して離縁届を突きつけられる。元の身分の差を考え気持ちを残しながらも大人しく身を引いたカトリーナ。
実家に戻り、兄の隣国行きについていくことになったが隣国アスファルタ王国に向かう旅の途中、急激に体調を崩したカトリーナは医師の診察を受けることに。
お尻たたき収容所レポート
鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。
「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。
ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。
イケメン歯科医の日常
moa
キャラ文芸
堺 大雅(さかい たいが)28歳。
親の医院、堺歯科医院で歯科医として働いている。
イケメンで笑顔が素敵な歯科医として近所では有名。
しかし彼には裏の顔が…
歯科医のリアルな日常を超短編小説で書いてみました。
※治療の描写や痛い描写もあるので苦手な方はご遠慮頂きますようよろしくお願いします。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる