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俺の血
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翌朝。
朝の6時にアラームが鳴った。
蓮花が首から提げていたものだ。
俺を起こさないように、音はごく小さい。
振動で知らせるタイプのもののようだった。
ぶす。
ロボが煩いので止めた。
俺も幾つか目覚まし時計をやられた。
だから、大体の場合、双子に起こしてもらうようになった。
そもそもが、俺は自分が起きようと思った時間に起きることが出来る。
そうすることで、眠りの質も変わり、想定した時間内で熟睡出来る。
聖も同じだったから、戦場に関連する能力なのだろう。
戦場でアラームを掛けることは出来ない。
俺は7時頃に目を覚まし、ロボを連れて食堂へ行った。
子どもたちも起きていて、隣の厨房で朝食を作り始めていた。
「タカさん、おはようございます!」
厨房に顔を出した俺に亜紀ちゃんが挨拶し、他の子どもたちも挨拶してきた。
「おう、おはよう。ロボのご飯を先に貰えるか?」
「はーい!」
亜紀ちゃんがササミを焼き、刺身を幾切れか切って持って来た。
ロボが嬉しそうに食べる。
俺は御堂を起こしに行った。
御堂の部屋をノックすると、もう起きていたようだった。
「もうすぐ朝食が出来るんだ。来れるか?」
「ああ、すぐに行くよ」
俺は御堂を食堂まで連れて行き、自分の部屋へ入った。
蓮花はぐっすりと眠っている。
俺は蓮花を揺すって起こした。
蓮花が目を覚まして俺を見て、次いで時計を見た。
「イヤァァァァァァーーーーー!!」
でかい叫び声を挙げた。
俺は笑って、朝食が出来るからゆっくり来いと言った。
みんなで食べ始めると、蓮花が入って来た。
「申し訳ございません」
「いいって。俺たちが来たんだから、お前はゆっくりしていろよ」
「アラームが鳴ったはずなのですが」
「ああ、煩いんでロボが壊したんじゃねぇの? 俺も何度もやられてるし」
「さようでございますか」
蓮花が俺を睨みながら座った。
亜紀ちゃんが笑って蓮花の朝食を持って来る。
蓮花は頭を下げて食べ始めた。
「今朝はウニをお出ししようと思っていたのですが」
「いいよ、普通で」
喰ってみたかった。
「ロボさんにも食べて頂きたかった」
「にゃ!」
まあ、自業自得だろう。
こいつが目覚ましを壊した。
朝食を食べ終わり、いよいよ俺がここへ来た目的を達することとなった。
全員で着替えて外に出る。
「Ωコンバットスーツ」で、御堂の分もある。
ブランたちも完全装備で並んでいる。
デュール・ゲリエも50体出している。
離れて、武神「武御雷」も控えている。
俺は「七星虎王」と「五芒虎王」を持っている。
御堂にはダフニスとクロエを両脇に置き、アザゼルを背後に出した。
双子がゲージに入れたラットを2匹持って来た。
「おい、本当にこれだけの準備が必要なのか?」
「うん。前回も武神以外はいたよ」
「ロボが斃したけどね」
俺が聞いたのは、俺の血が動物実験で狂暴化するということだった。
最初はヒトとラットの組み合わせなので血清で実験したが、血液そのものを輸血した時に、とんでもないことになったと聞いた。
50ccの輸血だったようだ。
「最初はタカさんの意志を無視してやってみるね。今回は100ccでやるから」
「分かった」
ラットの小さな身体に100ccも入るわけはないのだが、ラットはすぐに大型化するようだ。
「じゃーやるよ!」
ハーが大型のシリンジに俺の血液を入れ、ラットの身体に挿し込んだ。
ラットが痛みで暴れるが、無視して血液を注入していく。
やがて、ラットは暴れなくなり、身体を3倍ほどにし、目の前の肉にかぶりついていく。
どんどん巨大化し、更に肉を食べる。
体長は5メートルにもなった。
前回、50ccを輸血した時も5メートルと聞いていたので、このサイズがラットとしては適合しているのだろう。
もちろん、用意した肉は1キロほどなので、質量は見合っていないが。
ラットは俺たちを見下ろしていた。
「まずは礼を言おう。よくぞ我を生み出した」
「生んでねーぞ!」
「お前! 悪い奴か!」
双子が叫ぶ。
「そうではない。お前たちに感謝している。お前たちに協力しよう」
「ほんとか!」
「騙してないな!」
俺は驚いていた。
ラットが巨大化したばかりか、知性まである。
人間の言葉を話している。
双子が俺を振り返った。
首を横に振っていた。
双子に見える「光」が、ダメなものだということだ。
「お前に何が出来るんだ?」
俺が聞いた。
ラットは匂いを嗅ぐような動作を見せた。
「あなたが「虎神」。あなたに従いましょう」
「なんだと?」
「あなたの敵を私が斃しましょう」
「出来るのかよ」
「もちろんです。あなたの血を持つ私であれば」
「へぇー」
ラットが四つ足になった。
「それでお前は何が欲しいんだ?」
「そうですな」
俺たちに近づく。
俺たちの匂いを嗅いでいた。
「この娘でいいでしょう」
柳に巨大な顔を向けた。
「どうするんだ?」
「犯してから喰いますが」
下卑た顔でラットが笑った。
「ヒィッ!」
柳が叫び、次の瞬間に俺が「七星虎王」でラットの頭を割った。
ラットは全身を激しく痙攣させて死んだ。
地面に黒い血が流れ、物凄い悪臭を放った。
そして、その周囲に「地獄道」が開き、ラットの死骸を呑み込んで行った。
地面に流れた血も、跡形も無く無くなっていた。
「前回もそうだったの。解剖して調べようと思ってたんだけど」
ルーが言い、蓮花も頷いていた。
御堂が柳を抱き締めていた。
柳は小さく震えていた。
「柳、もう大丈夫だぞ」
「石神さん!」
「お前をあんな奴に渡すわけはないだろう」
「はい」
「お前は俺の大事な女だ」
「はい!」
俺も柳を抱き締めた。
しばらくラットの悪臭が漂っていたが、それも消えた。
俺たちは一度本館に戻った。
ブランたちも解散する。
午後から、またテストすることにした。
朝の6時にアラームが鳴った。
蓮花が首から提げていたものだ。
俺を起こさないように、音はごく小さい。
振動で知らせるタイプのもののようだった。
ぶす。
ロボが煩いので止めた。
俺も幾つか目覚まし時計をやられた。
だから、大体の場合、双子に起こしてもらうようになった。
そもそもが、俺は自分が起きようと思った時間に起きることが出来る。
そうすることで、眠りの質も変わり、想定した時間内で熟睡出来る。
聖も同じだったから、戦場に関連する能力なのだろう。
戦場でアラームを掛けることは出来ない。
俺は7時頃に目を覚まし、ロボを連れて食堂へ行った。
子どもたちも起きていて、隣の厨房で朝食を作り始めていた。
「タカさん、おはようございます!」
厨房に顔を出した俺に亜紀ちゃんが挨拶し、他の子どもたちも挨拶してきた。
「おう、おはよう。ロボのご飯を先に貰えるか?」
「はーい!」
亜紀ちゃんがササミを焼き、刺身を幾切れか切って持って来た。
ロボが嬉しそうに食べる。
俺は御堂を起こしに行った。
御堂の部屋をノックすると、もう起きていたようだった。
「もうすぐ朝食が出来るんだ。来れるか?」
「ああ、すぐに行くよ」
俺は御堂を食堂まで連れて行き、自分の部屋へ入った。
蓮花はぐっすりと眠っている。
俺は蓮花を揺すって起こした。
蓮花が目を覚まして俺を見て、次いで時計を見た。
「イヤァァァァァァーーーーー!!」
でかい叫び声を挙げた。
俺は笑って、朝食が出来るからゆっくり来いと言った。
みんなで食べ始めると、蓮花が入って来た。
「申し訳ございません」
「いいって。俺たちが来たんだから、お前はゆっくりしていろよ」
「アラームが鳴ったはずなのですが」
「ああ、煩いんでロボが壊したんじゃねぇの? 俺も何度もやられてるし」
「さようでございますか」
蓮花が俺を睨みながら座った。
亜紀ちゃんが笑って蓮花の朝食を持って来る。
蓮花は頭を下げて食べ始めた。
「今朝はウニをお出ししようと思っていたのですが」
「いいよ、普通で」
喰ってみたかった。
「ロボさんにも食べて頂きたかった」
「にゃ!」
まあ、自業自得だろう。
こいつが目覚ましを壊した。
朝食を食べ終わり、いよいよ俺がここへ来た目的を達することとなった。
全員で着替えて外に出る。
「Ωコンバットスーツ」で、御堂の分もある。
ブランたちも完全装備で並んでいる。
デュール・ゲリエも50体出している。
離れて、武神「武御雷」も控えている。
俺は「七星虎王」と「五芒虎王」を持っている。
御堂にはダフニスとクロエを両脇に置き、アザゼルを背後に出した。
双子がゲージに入れたラットを2匹持って来た。
「おい、本当にこれだけの準備が必要なのか?」
「うん。前回も武神以外はいたよ」
「ロボが斃したけどね」
俺が聞いたのは、俺の血が動物実験で狂暴化するということだった。
最初はヒトとラットの組み合わせなので血清で実験したが、血液そのものを輸血した時に、とんでもないことになったと聞いた。
50ccの輸血だったようだ。
「最初はタカさんの意志を無視してやってみるね。今回は100ccでやるから」
「分かった」
ラットの小さな身体に100ccも入るわけはないのだが、ラットはすぐに大型化するようだ。
「じゃーやるよ!」
ハーが大型のシリンジに俺の血液を入れ、ラットの身体に挿し込んだ。
ラットが痛みで暴れるが、無視して血液を注入していく。
やがて、ラットは暴れなくなり、身体を3倍ほどにし、目の前の肉にかぶりついていく。
どんどん巨大化し、更に肉を食べる。
体長は5メートルにもなった。
前回、50ccを輸血した時も5メートルと聞いていたので、このサイズがラットとしては適合しているのだろう。
もちろん、用意した肉は1キロほどなので、質量は見合っていないが。
ラットは俺たちを見下ろしていた。
「まずは礼を言おう。よくぞ我を生み出した」
「生んでねーぞ!」
「お前! 悪い奴か!」
双子が叫ぶ。
「そうではない。お前たちに感謝している。お前たちに協力しよう」
「ほんとか!」
「騙してないな!」
俺は驚いていた。
ラットが巨大化したばかりか、知性まである。
人間の言葉を話している。
双子が俺を振り返った。
首を横に振っていた。
双子に見える「光」が、ダメなものだということだ。
「お前に何が出来るんだ?」
俺が聞いた。
ラットは匂いを嗅ぐような動作を見せた。
「あなたが「虎神」。あなたに従いましょう」
「なんだと?」
「あなたの敵を私が斃しましょう」
「出来るのかよ」
「もちろんです。あなたの血を持つ私であれば」
「へぇー」
ラットが四つ足になった。
「それでお前は何が欲しいんだ?」
「そうですな」
俺たちに近づく。
俺たちの匂いを嗅いでいた。
「この娘でいいでしょう」
柳に巨大な顔を向けた。
「どうするんだ?」
「犯してから喰いますが」
下卑た顔でラットが笑った。
「ヒィッ!」
柳が叫び、次の瞬間に俺が「七星虎王」でラットの頭を割った。
ラットは全身を激しく痙攣させて死んだ。
地面に黒い血が流れ、物凄い悪臭を放った。
そして、その周囲に「地獄道」が開き、ラットの死骸を呑み込んで行った。
地面に流れた血も、跡形も無く無くなっていた。
「前回もそうだったの。解剖して調べようと思ってたんだけど」
ルーが言い、蓮花も頷いていた。
御堂が柳を抱き締めていた。
柳は小さく震えていた。
「柳、もう大丈夫だぞ」
「石神さん!」
「お前をあんな奴に渡すわけはないだろう」
「はい」
「お前は俺の大事な女だ」
「はい!」
俺も柳を抱き締めた。
しばらくラットの悪臭が漂っていたが、それも消えた。
俺たちは一度本館に戻った。
ブランたちも解散する。
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